転生先生テリま   作:物書き初心者

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閑話 3

 <アスナ超スーパー育成計画 その2>

 

 

(その1)魔力完全無効果能力の制御

 

 Lesson1 魔法を消さないようにしよう

 

 アスナと魔力で出来た玉でキャッチボールをする。

 

 始めは受け止めた瞬間消えたが、害が無いと分かると消えなくなった。

 

 今現在の制御は無意識らしい。

 

 Lesson2 任意で魔法を消そう

 

 先ほどのキャッチボール中にアトランダムにエヴァが軽い衝撃がくる魔法球をぶつける。

 

 これも何故かすぐさまクリアしてしまった。

 

 簡単な制御は出来るようになったらしい。

 

 

(その2)氣・魔力の活用法

 

 アスナは能力がある為、魔法が使えないことが判明した。

 

 ただ氣・魔力の量は中々に多いらしくこれを最も活用しやすい方法として究極技法『咸卦法』を習得する予定となった。

 

 この咸卦法、発動すると肉体強化・加速・物理防御・魔法防御・鼓舞・耐熱・耐寒・耐毒等の作用があるらしく、これだけでかなり強くなれるそうだ。

 

 ただエヴァ曰く、普通、数年厳しい修行をしてものにするものらしく、究極技法の名に恥じない難易度らしい。

 

 更にこの技法を習得したとしても更に厳しい修行が待ってるとか。

 

 ・・・・・・取り敢えず、常人なら才能が無い限り手を出さない技法らしい。

 

 それで使える人間(ガトウ)がいないので口頭で伝えて取り敢えずやらせてみたのだが何故かアスナは出来てしまった。

 

 魔力完全無効果能力の制御の時もそうだったが、アスナは所謂、天才という奴らしい。

 

 それを見たエヴァが「お前も理不尽の部類か・・・・」という目で見ていたが気にせず先に進む事にする。

 

 

 3)体術、剣術

 

 咸卦法を使うアスナは、近接戦闘が主眼となる。

 

 現在のアスナは五歳児と変らない身体だ。

 

 そうすると得物は有った方がいいだろうという事になり、普通の木刀を持たせて剣術の基礎を教える。

 

 後は何時の通り、習うより慣れろという事でナイトゴーントのゴン君にお出まししてもらう。

 

  ◆

 

「という事で、アスナにはこれと戦ってもらう」

 

 俺がゴン君を出して指差すとそれを見たアスナはハイライトの消えた目、所謂、レイプ目でフルフルと首を横に振っている。

 

「といっても出した以上、問答無用で襲い掛かるがな」

 

 それを聞いた瞬間、「イヤァーーー」とアスナが悲鳴を上げながら逃げって行った。

 

 ゴン君はそれと同速で追いかけていく。

 

 この頃のアスナは感情が豊かになってきたな。

 

と、考えていたら横に立っていたエヴァが、

 

「・・・・・今日はアスナの好きな料理でも作ってやるか・・・」

 

と、昔を思い出したのか、哀愁を漂わせながら呟いていた。

 

 

 

 

 

 <アスナの日常>

 

 

 

 私、アスナの日常は、ここに来て約二年間毎朝行っているアレイを起こす事から始まる。

 

「アレイ・・・・起きて・・・・朝だよ」

 

 アレイの上に跨りながらアレイを揺さぶる。

 

 こうすると横で揺さぶるよりも長時間アレイに構ってもらえる。気付けた私・・・・ナイス。

 

「・・・アスナ、おはよう」

 

 アレイの寝起きは異常なほどいい。本当は起きていたのではないかと疑いたくなるくらい。

 

 起きたアレイは私の頭を撫でて抱き上げてくれる。

 

 暖かさと安心感、この後の事を考えると束の間の至福ね。

 

 何時もの事なのだが、ふにゃっと私がとろけているといつの間にかアレイの服が変っているのよね。不思議、多分魔法なんだろうけど。

 

 アレイは私を抱きかかえたまま近くに立て掛けておいた木刀を持ち庭に出て行く。早朝訓練の為である。

 

 この訓練、エセルかエヴァが朝食に呼びに来るか、私がゴン君に勝たない限り続けられる事になっている。

 

 ゴン君に勝てるとアレイが優しく微笑んでくれるから勝ちたいのだが、悔しい事に中々勝たせてもらえない。

 

 前にエセルとエヴァに相談したら、ゴン君は私と同スペックに調整されているから力技では絶対に勝てないと言われた。

 

 なのでそれからは咸卦の気の密度と効率化、剣術と体術に力を入れている。

 

 訓練が終われば朝食だ。エセルかエヴァが作ってくれるがどちらもプロ級。

 

 ちなみに昼と晩は私がエセルかエヴァに習いつつ作る事になっている。

 

 まだまだ二人の腕には追いつけてないがアレイは美味しいと言ってくれる。とっても嬉しい。もっと頑張らなくては。

 

 基本的に家事は私たち三人で行っている。

 

 アレイも一度しようとしたみたいだけどアレイ至上主義のエセルが尽く代わりにやったそうだ。

 

 私の仕事にはもう一つ、招かれざる客の相手がある。『偉大な魔法使い(笑)』とか賞金稼ぎの事だ。

 

 ムカつく事にアレイを魔王呼ばわりして殺しにやって来る。

 

 基本的にはボコボコにして追い帰すが、一応殺しても構わないとは言われている。

 

 私もアレイや私を殺そうとする相手の命を助けてやる程お人好しではないけど上手く手加減できたらアレイが褒めてくれるのよね。

 

 だから、基本ボコすだけで止めている。

 

 アレイが前に言ってたが魔法世界と違いこっちでは殺人は面倒な事になるらしい。それに力の制御訓練にもなっていいとか言っていた。

 

 ちなみに顔がばれると拙いから認識阻害の魔法を掛けたアレイのお下がりの仮面を貰った。今では宝物の一つになっている。

 

 仕事が無いときはアレイ達のうち、手の空いている人が色々教えてくれたり構ってくれる。

 

 家事や旧世界と魔法世界の一般常識、勉学、魔法、剣術、体術、雑学、遊びなどほんとに色々だ。

 

 夜は皆思い思いに過ごしているが、大体はアレイが居ればそのそばに全員居るし、アレイが部屋に戻れば皆戻るという感じね。

 

 ちなみに寝る時は、エセル、エヴァ、私の順でアレイと一緒に寝ている。

 

 私以外がアレイと寝ると次の日、機嫌がすこぶるいい上になんかツヤツヤしているのよね。

 

 二人に理由を訊いても苦笑してそのうち分かるとだけしか教えてくれなし。

 

 仕方ないからアレイに訊いてみたら、「呪いが解けて2,3年したら知識として教えてやろう」と、言われた。

 

 教えてくれる気が無いんじゃなくてまだ私には早いらしい。

 

 アレイがそう言うなら仕方ない・・。

 

 ・・・・仕方ないから「ぶぅ~」と頬を膨らませて私不満です。と、いうポーズを取りつつアレイに甘える。

 

 こんな感じに今の私の日常は充実している。

 

 

 

 

<アスナ無双>

 

 

 1985年 魔法世界 ケルベラス渓谷上空

 

 

 今、アスナと魔法世界に来ている。

 

  ◆

 

 あの大戦の後、色々とあってどう言う訳かアリカ女王が全責任を取らされ投獄、処刑されるようだ。

 

 使い魔の情報では裏でMM元老院が動いているらしいが、アリカ女王と親しい訳でも一応の友人である紅き翼の連中に頼まれた訳でもなし、何よりナギの事だ、タイミングを見て助けるだろうと考え放置していた。

 

 この2年間、その事を思い出すことは無かったが先日久しぶりにナギから「姫さんの救出の手伝い頼めねーか?」と連絡が来た。

 

 戦力的にお前等だけで問題ないだろ、と聞いてみたのだが救出後に旧世界に逃げる予定で、それならブラックロッジトップの俺に話しを通しておいた方がいいとアルに言われたらしい。

 

 ナギ自身は遊びに来ねーか。って、くらい軽く訊いて来たが・・・。

 

 ・・・政治的にはかなり問題のような。まぁ、アスナが対集団戦の経験を積むいい機会か。

 

  ◆

 

 そんな感じのやり取りがあって今俺たちは此処に来ている。

 

「ねぇ、アレイ。あの人がアリカって人?」

 

と、俺の腕の中で髪を下ろして仮面を着け、俺とおそろいの黒いローブ纏っているアスナが訊いて来る。

 

「ああ、そうだ。あれがアリカだ」

 

 谷に突き出した足場の上を歩かされている女を指してそう答えながら、この後の計画の流れを思い返す。

 

 ケルベラス渓谷という場所は特殊で、その谷底では魔法や気が作用しない。更に凶悪な魔物が巣くっている。

 

 そこに上から落すというのが今回の処刑方法だ。

 

 予定としてはナギが落ちてきたアリカを受け止め谷底から脱出、その間に周りに居る有象無象(軍隊)を排除、その後ラカン以外全員で旧世界に逃げると言うのが今回の計画だ。

  

 そんな事を考えていたらアリカが飛び降り、ラカンたちが現れ周りがどよめいていた。

 

「アスナ、そろそろ俺たちも出るぞ。準備して置け」

 

「は~~い」

 

と、いう元気な答えを聞きながらラカン達の近くに転移する。

 

  ◆

 

「ぐ・・捕らえよ反逆者だ!!谷底の二人も逃がすな!!」

 

と、偉そうな魔法使いが叫んでいる。

 

「おおっとやるのか?良いのかよその程度の戦力で」

 

 などとラカンが挑発しているが・・・・・

 

「・・・・ふむ、確かにこの程度、俺が来るまでもなかったな」

 

「そーだよ!私だけでもだいじょぶよ。きっと!」

 

 俺の呟きにアスナが元気に返してくる。

 

「なっ貴様は!く、黒の皇!マスターテリオン!!貴様まで出て来ただと!!」

 

「クク・・安心するといい。今回、俺は高みの見物をさせてもらう。・・・戦うのはこの子だけだ」

 

 俺はそう言いながらニヤリとしてアスナを降ろし、頭を撫でる。

 

「くぅ~・・・舐めおって!・・・そんな幼子が我らの艦隊と精鋭部隊相手に何が出来るというのだ!」

 

 それを聞いたアスナが「ぶぅ~」と頬を膨れさせて「あんな雑魚には負けないもん」と言っている。

 

 ラカン達は何か言いたそうに此方を見ているが無視して、

 

「舐めているのは貴様らだろう。この程度の戦力などこの子だけでも殲滅出来るよ」

 

と、言いアスナの頭を頑張れよとポンポンとした後、俺は上空に戻った。

 

  ◆

 

 アスナが囲んでいた兵士に向って駆け出し木刀を振るたびに数十人が冗談の様にポンポン空を飛んでいく。

 

 そんな異様な様子を見て固まっている兵士にアスナが容赦なく襲い掛かる。

 

 五歳児が軍隊を圧倒している。・・・何ともシュールな光景だ。

 

 頭の中で、「そなたこそ、真の魔法世界無双だ!!」とナレーションが聞こえてきそうだ。

 

 それにしても高々2年でここまで強くなるとは、・・・エヴァも言っていたがアスナも色々と規格外のようで・・・。

 

 ・・・・・・正直危なくなれば手を出す気で居たがこれなら大丈夫だろう。

 

  ◆

 

 その後、粗方殲滅し終わりナギ達と合流したがアスナが戦闘していたと知られ詠春とガトウにお説教されアリカにキレられた。

 

 更に俺を庇うアスナが加わり収拾が付かなくなりながらも俺たちは旧世界に向けて歩き出した。

 


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