無限螺旋終端にて……
お、おわった~~~。やりきった、乗り切ったんだ、俺。
一体何度諦めかけた事か、始めのころは大十字君も俺にあった瞬間バットエンド迎えてたけど、最後は旧神様になっちゃて大出世だよね~。
まあ、俺も最後の最後にナイアさんには借りをこっそり返したからスッキリした。
原作だと成仏した感じだけど、俺の場合は依頼主の所に密かに運ばれたみたいです。
今、忠犬こと、ナコト写本<エセルドレーダ>のエセルと一緒に旧神の手の上に来ています。
エセルがこちら向き、意思を確認してきます。戦うのかと……
「……マスター」
そんなエセルの頭を撫でながら、契約のパスから旧神の依頼や報酬、前世の記憶などを流し込みます。
すると、理解したのか目を細め気持ちよさそうに俺の手を受け入れてくれます。
幻だと思いますが尻尾が千切れんばかりに振られています。
デモベの世界で、がんばり過ぎたみたいだ。
などと考えながら眉間を揉みながら色々と思い返してみる。
◆
送り込まれ、ナイアさんに会って、エセルに会って、ナイアさんに呑まれかけて、エセルと愛し合って、ナイアさんに食われて、大急ぎで俺とエセルを強化して……。
うん、まず思い浮かんだのが、肉欲と自己錬磨って……
ああ、そういえば最初いろいろ物珍しくて俺もアンチクロスも大暴走してたよなぁ~~。
アルちゃんが大十字君に会う前に、アルちゃんをアンチクロスが捕まえて来た時は焦ったよ~。
まあ、アルちゃんの情報は、エセルに反映させてもらったけどそういえばエセルも暴走してるんだよねぇ~。現在進行形で。
原作でアルちゃんが、ネロ(母)の魔道書から記述を移植してたいから、エセルもできるんじゃ、とエセルに相談したらできるらしい事が分かった。
空きページさえあれば、エセルが読めんだ時に写本されるらしい。なぜしなかったのか聞いてみたら。
「今のわたし<ナコト写本>に満足してらっしゃるなら、余計な手を加えない方が良いかと、それに手を加えるならマスターの手で…」
などと恥じらいながら言われ、あまりの可愛さにお持ち帰りした俺は、悪くないと思う……、うん。
それ以降、時間があれば知識の収集に勤しんでいたらしい。
らしいと言うのは最後の方、自分の事で大忙しだったからだ。最初は、写本する⇒俺に見せる⇒俺ほめる⇒エセル大喜び⇒写本する量ふえる、のスパイラル。
いくら半邪神だからといっても限界は在る。
最後の方になると、写本する量が多過ぎて主だった魔導書しか読んでいなかった。
その時に今どの位の魔導書を蓄積したのか聞いてみたのだが。
いやぁ~驚いたね。いつの間にか某食いしん坊魔導図書館になってた。
エセルさん、あ、あんた、18万冊って……。 後で聞いたが、アンチクロスの魔導書や、ナイアさんの図書館の本も収集済みらしい。
一体、どうやったのやら……。
俺個人としては、自己錬磨(裏の裏の仕事)と、大十字君の相手、組織の運営(裏の仕事)で暇なんてなかったけど飽きは来る。
なので、覇道にちょっかい掛けてみたり、大十字君と親しくなって裏切ってみたり、ウェストに肩入れしてみたり、ライカさんを弄ってみたりとナイアさんに怪しまれない為に色々やってみたのだが……、うん、我ながら外道な事が多々あった。
ナイアさんが「やっぱり君も、僕らの同胞だよね。」と言われた時は、自分の部屋で落ち込んだ。今では「良い思い出」なのか?
そういえば、一度だけウェストが最終大十字君(トラペゾ無し)とやり合って完膚なきまでに勝ったのには驚愕した。
あの時は、ウェストに肩入れしてたから、色々協力してたんだけどいきなり。
「きたきた!きぃぃ~たぁぁぁ~~~のであぁぁぁ~~~~る!!!」
と、ギター掻き鳴らしながら狂ったように図面を引いて、あれよあれよという間に機体ができて、
「スーパーウェスト無敵ロボ29号DX未来を先取り、ああ、今、私輝いてる、2014!!」
と、やはりギター掻き鳴らしなから叫んでいて、気がついたら出撃。
それで、そのドラム缶でデモンベインをフルボッコ……。覇道とアンチクロスは呆然、俺とナイアさん大爆笑。
いや~、恐れ入ったよ。キチ○イの底力というか、ぶっ飛びっぷりと言うかに。
あの時の、あいつと戦かったら俺でもキツイと思う。それ位の変体ロボだった。
だが、もうそれ以降彼に協力するのはやめた。
だってなんか進化して邪神すら倒しそうな勢いだったし……、一応、自分、半邪神ですから。
◆
想い返せば本当に色々あったなぁ~、と思いつつ旧神に話しかけてみる。
「旧神よ、依頼は完了した。確認を頼む。」
「うむ、確認した。報酬の話をしよう。」
ああ、本当に永かった。
原作のテリオンさんが絶望し狂ったのも頷ける。あの世界、一歩裏に入ったら鬼畜に陵辱してくるからなぁ~(精神を)
この旧神の加護とエセルがいなかったら途中で堕ちてたね。大十字君も言ってたけど、愛って偉大だよね。
「まず、世界。これは望み通りネギまに限りなく近い世界だ。好きにせよ。次に、今まで鍛えた肉体、精神、魂、魔導具などなどだ。そしてナコト写本、最後に我が与えられる物で汝が望む物を一つだけ与えよう。」
《いやいや、ちょ、待とうよ、旧神様。チート超えてバグってるから、俺(マスターテリオン)+エセル(魔道図書館)って、星が物理的に消し飛んじゃうから。さらに+1って、大丈夫か、ほんとに大丈夫なのか》
と、頭の中ではそう考えつつも顔は涼しげである。
あの無限螺旋を超えてきたのは伊達ではない。まあ単なる見栄であるが。
「では、旧神よ。他の物語、いや世界に介入できる力がほしい」
「それはヨグ=ソトースの門のような物でよいのか」
「かまわない」
「なれば、その世界の管理者に了解をとるか、呼ばれるかしなければ介入が出来んが構わぬか?」
「十分だ、感謝する旧神よ」
「では、そろそろ汝等を転移、汝は転生になるか、をしよう。それと安心するがよい。次は母の腹を裂いて産まれると言うことはない。かの世界の人の因子と、我の因子を混ぜて無から汝を生み出す」
《まあ確かに安心だけど……。ってことは、俺、半邪神から半旧神に変わるって事。じゃあ、次からこの旧神が父上…!!》
「感謝する。・・・父上とお呼びしても」
「うむ、それでよい。汝の事は気に入っておるし、このまま邪神の種をばら撒かれても困る。ゆえに我が眷属に、息子になって貰う。では、かの世界に送るとしよう」
旧神《父上》がそう言うと、俺の身体か徐々に蛍火のような物に解けて行く。
そこで俺は、エセルの頬を撫でながら、
「向こうでもよろしく頼むぞ、エセル」
「イエス、すべては偉大なるマスターの御心のままに…」
「では、先に逝っている。」
忠犬の様に気持ち良さげに撫でられているエセルと、
「我が新たな息子に幸多からんことを、万難を排し平穏たらんことを」
と、旧神の加護と守護を与えてくれる新たな父に見守られながら、俺は次第に意識が解けていった。