転生先生テリま   作:物書き初心者

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配達

 紅き翼と造物主との会合から暫し経った。其の間に事あるごとにナギ達に呼ばれるようになった。基本酒の席に呼ばれるが、最終的にはナギかラカンと決闘のような状態になる。

 

 あの撤退戦後、紅き翼は連合の英雄として祭り上げられた。何でもグレート=ブリッジ奪還の功労者と言うことらしい。

 

 だがそのグレート=ブリッジ要塞はもう機能しないはずである。あの撤退戦で撤退する時に要塞設備に時限式で自爆するように魔法を徹底的に仕掛けるように言って撤退させた。最後の爆発音は其れだろう。

 

 そして、紅い翼に新メンバーが加わった。ガトウ・カグラ・ヴァンデンバーグと言う元政府の犬と其の弟子、タカミチ・T・高畑。これにより紅き翼は戦争を止める為に動き出すだろう。

 

 戦争の動きとしては連合が盛り返して昔ながらの勢力図に戻ったらしい。それ以降は小康状態に小競り合いが続いている。他にはテオが言っていたがウェスペルタティア王国の王女が帝国と連合の調停役に成ろうとして失敗したらしい。

 

 テオは其の王女にコンタクトをとって協力する気らしく、今、俺にその内容を書いた手紙を渡してきた。

 

「と言うことで、それをアリカ・アナルキア・エンテオフュシアと言う王女に渡してきて欲しいのじゃ」

 

 テオはにこにことしながら俺に手紙を渡してくる。エンテオフュシア、アスナの関係者だろうか。

 

「それは依頼か?」

 

「うむ、信用できて、確実に届けてくれるじゃろ」

 

「で、其の王女は今何処にいるんだ」

 

 俺がそう聞くと少し目を逸らしながら、

 

「MMじゃ」とボソリと言って来た。

 

 よりにもよって連合の首都まで行かせる心算らしい。何でオスティアの王女が連合にいるのかは分からないが行くしかなさそうだ。

 

「時間が掛かるかも知れないからラヴを常に連れて歩くようにしろ」

 

 ラヴはスライムの親玉みたいだがあれで結構強い。この頃のテオはラヴに乗って首都内を駆け回って無法者を見付けたらラヴで成敗しているらしい。其の所為か何気に首都ではジョゴスが人気者になっている。縫いぐるみにすら成っていたのには驚いた。

 

「うむ、頼むのじゃ!」と、元気に送り出してくれた。

 

 

 

 

 俺は取り敢えずMMまで転移してきた。顔が知れると面倒臭い事になるから認識阻害の魔法の掛かったメガネを掛けて置く。そして、水晶の錘が付いたペンデュラムを使い術式を走らせダウジングを開始する。

 

 ダウジングに従って歩いていくと徐々に人が居なくなり日が傾いてきた。そして、広場のような所に出た、其処には何故か紅き翼が居た。まだ時間もある・・・俺は声を掛ける事にした。

 

「久しいな、紅き翼。戦争の止め方は決まったか」

 

 一瞬警戒してた様だが俺がメガネを外したら此方を正しく認識しできたみたいだ。

 

「よぉ!アレイじゃねぇか如何してこんなとこに居るんだ?」

 

と、言いながらナギが殴り掛かって来る。其れを危なげなく受け止め。

 

「依頼でとある人物に会いに来たんだが何故か此処に出た」

 

「そうなのか俺にはクロウが術を失敗する様な事は無い気がするのだが?」

 

 詠春がそう言いながら此方に歩いてくる。

 

「わかんねぇぞ~。完璧超人みてぇなこいつにも失敗位あるかも知れねぇじゃねか」

 

 ヌハハ笑いながら俺の肩を叩いてくるラカン

 

「いや、ラカン、まだ捜索中で結果は出てない。それで何でMMに来てるんだ。確かこの前の酒盛りの時はグレート=ブリッジ辺りに居なかったか」

 

「ガトウに呼ばれたんだ。じゃなきゃわざわざ本国になんて来てねぇよ」

 

 そうなナギが説明しくれたので、ガトウの方を向いてどういう事なのかと見てみる

 

 ガトウが一瞬悩んだようだが此方に近づいてきながら、

 

「皆にあって欲しい人が居てな。それで本国まで呼んだんだ」

 

「ほう、ついに結婚するのか」

 

 俺はニヤリとしながらガトウに言ってみる。それを聞いたナギ、ラカン、詠春がそれぞれ声を上げる。

 

「おっ、そうなのかガトウ!」「なにっ、どんな女だ!」「それはめでたいな」

 

と、俺以外がガトウを囲みそれぞ祝福してタカミチはオロオロしている。ガトウは苦笑しながら、

 

「俺にそんな相手いると思うのか?会って欲しいのは協力者だ!ってアレイ分かってて言ってるだろう!」

 

 皆が《何だそうなのか、まぁガトウに女は居ないか》という空気になり、ガトウが落ち込みタカミチに慰められていた。少年に慰められるオヤジってのは、かなりシュールだ。

 

「それでガトウ、協力者と言うのは誰なんだ?それによって、俺は此処を去ろうと思うのだが」

 

「かまわぬよ」と行き成り横合いから声が掛けられた。其方を見た詠春が、「マクギル元老院議員!!」と叫ぶが彼が協力者ではないようだ。

 

 そして、シズシズと女性がこの広間に上がって来ようとしていて議員が其方を指し、

 

「主賓はあちらの方だ。ウェスペルタティア王国・・・・アリカ王女だ」

 

 そう紹介されてアリカ王女には議員が赤き翼だと紹介されていた。其の間、ナギがぽ~~とした感じで見ていた。

 

 ガトウとタカミチは知り合いらしく、王女と議員の横に並んでいた。そうこうするうちに王女にナギたちが自己紹介する事に。

 

「俺は紅き翼のリーダーのナギ・スプリングフィールドだ。よろしくな姫さん」

 

と、ナギが自己紹介して色々喋っていた。そして、詠春も無難に自己紹介し、次のラカンの時、ナンパでもしたのだろう、「気安く話しかけるな下衆が」とキレれられていた。

 

それが終わると王女がお前は誰だと言う目でこちらを見てきた。此処で自己紹介していいものか考えたが、まぁ、何かあったら実力行使と言うことで名乗ることにした。

 

「ブラックロッジが一人、アレイ・クロウだ」

 

「そなたが、帝国の『金色の魔人』か。何故このような所に居るのじゃ」

 

と、かなりきつく睨まれている。どうしたものか、と悩んでいると

 

「アレイとはこの前戦ってから仲良くなったんだ。今日はなんか依頼で人を探していてここに来たらしい」

 

と、ナギが珍しく覚えていたらしく俺が依頼できた事を話していた。

 

其の後、ナギと王女が仲良く会話してこの会合がお開きになった。

 

 

 

 

 会合が終わり俺はナギたちから飲みに誘われた依頼があると断り、王女の元に行った。

 

「先ほどぶりだな、アリカ・アナルキア・エンテオフュシア」と、俺は王女の後姿に声を掛ける。

 

「む・・金色『アレイでいい』では、アレイなんのようじゃ」

 

 王女は振り返り怪訝そうな顔をしていた。俺は手紙を出してそれを王女に差し出しながら、

 

「現依頼主、テオドラ・バシレイア・ヘラス・デ・ヴェスペリスジミアからアリカ・アナルキア・エンテオフュシアに手紙だ」

 

 王女が其の手紙を受け取ったのを確認してから俺は踵を返した。

 

 

 

 其の後、行き成りラカンに拉致られ酒場に連行された。

 

「でぇ~、おめぇは王女様と何話してたんだ」と、鼻息荒く近づいてきた、隣でナギも黙ってはいるが気になるらしくこちらをジト目で凝視してくる。

 

「依頼で会っていただけだ。変な勘ぐりはするな、それに彼女自身に興味はない」と、顔面を近づけてくるラカンの顔を押し返す。ナギはホッとしている。王女に一目惚れしたらしい、青春してるみたいなのでそっとして置く事にする。なにより俺が弄らんでもラカンが弄るだろう。

 

「あんな良い女なのに興味なしかよ。うん?彼女自身って事は、なんに興味が在るんだよ」

 

「・・・・・・黄昏の姫巫女」

 

 そう言えば赤き翼にアスナについて知らないか訊いてないことを思い出し、ラカンがウザいのもあるがついでなので教えてやることにした。

 

「なっ、姫子ちゃん狙いかよ、って事はアレイもアルと同じ趣味って事か・・・・」

 

 驚愕した顔でナギが言ってきて、ナギとアル以外、意外そうな物を見る目で此方を見てくる。アルは一瞬目が光った気がするが。タカミチは分かってなさそうだ。

 

「アルの趣味は知らんないが、俺は間違いなくロリコンだろう。それと先に言っておくが、アスナには約束があって探しているだけだ」

 

 そう涼やかにハキッリ宣言した。そうしたら、ナギとラカンは興味が失せたのか二人で飲み始め毎度の事ながら喧嘩に突入して外に出て行った。俺は詠春とガトウに挟まれ何故か説教を受け、お前はアルのようになるなと言われた。

 

 其の後、アルに「同士よ。今宵は幼女について語り合おうではありませんか」と言われたので、

 

「ふむ、特別幼女が好きなのではなく、愛している伴侶等(パートナー達)が見た目完全に幼女だからロリコンだと言ったんだが。まぁ、語ると言うなら聴こう」

 

と返したら何処からともなく、紅き翼のメンバーが集まってきて「お前結婚してたのか!!!しかも、等って何だ!等って!!」と詰め寄られた。

 

 取り敢えず、正妻と愛人が一人ずついると言ったら、何故か全員から殴られ、今度一緒に飲みに来いと誘われた。

 

 機会を見て紹介するとしよう、先に色々話しをしていないとアルとラカン辺りがエセルにSAN値直葬されかねない。

 

 アスナの居場所は紅き翼も知らないらしい。ナギ曰く、王女にも訊いたが話しずらそうにしていたらしい。

 

 

 そんな感じに今回の飲み会は終了した。

 


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