転生先生テリま   作:物書き初心者

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皇帝に謁見

ヘラス帝国の首都上空

 

 首都が一望できるほどの高度に先ほどまで何も無かったが、いつの間にか一組の男女が現れた。

 

 一人はマスターテリオン、現在はアレイ・クロウと名乗っている。もう一人は、アレイの手に子猫のように襟首を持たれ吊るされている、テオこと、テオドラ第三皇女。

 

「何じゃ。何処なのじゃ?ここは?」

 

 突然の転移に場所が掴めてないらしい。今は夜だから何処を見ても星空に見えるのだろう。俺は今の位置をテオに伝える事にした。

 

「今、ヘラスの首都上空だ。大体雲の更に上だな」

 

 そうと伝えると、テオは興味深そうに周りを見渡した。ふむ、高い所は平気のようだ。ちょっと残念。

 

「星空が綺麗なのじゃ。そう言えば何でこんな所に転移したのじゃ。そもそもどうやったのかも謎じゃが?」

 

 此方を振り向きながら聞いてくる。俺は答えられる事だけ答える事にする。

 

「俺はヘラスに行った事が無い、だから大体で転移してたんだ。で、空の上なのは歩かなくてすむだろう。ちなみにどうやったかは秘密だ」

 

「うむ、大体分かったが歩かなくてすむのはどうしてじゃ?」

 

 テオは不思議そうに聞いてくる。もうちょっとしたら分かるが、まあ心の準備は大事だろう。

 

「このまま、王城に向って落ちていけば良いだけだろ」

 

 俺はさも当たり前のように言ってみる。テオは目を見開き俺を見た後、下を見てまた俺を見た。

 

「のう、アレイ。冗談じゃろ?この真っ暗の中落ちるのは嫌じゃぁぁ」

 

 よほど嫌なのか半泣きで聞いてくる。俺はこのまま自由落下を開始しようかとも思ったが此処で暴れられても困るので滑空するように螺旋を描いて王城に降りていった。

 

 

 

 

 俺は王城を目視可能な位置まで来て、テオに、皇帝の執務室と謁見の間に位置を聞いた。多分時間的に執務室にいるだろうとテオが言うので執務室の中に転移する。

 

 俺はかなりデカイ執務机の前に転移したらしい。俺に気付いたのかダンディなオヤジが声を上げながら立とうとするが、俺はアトラック=ナチャで椅子に縛り動けなくする。

 

「あんたが皇帝か?取りあえず、落し物を届けに来た。後はそいつから聞いてくれ」

 

 俺は自分の前にテオを降ろした。そして、術式を解いた。テオはいきり皇帝の前に出るとは思って無かったのか。少々慌てていたが皇帝の方を向いて挨拶をした。

 

「ただいま戻りました。父上」

 

「ようやく帰ったか、じゃじゃ馬娘が」

 

 俺は普通に敬語を話すテオに驚いたがそれも直ぐに元に戻った。

 

「な、なんじゃと。バカオヤジ」

 

 なんだか、親子喧嘩、兼説教に突入したので俺は壁際に退避した。

 

 

 

 それから暫らくたってテオが罰で謹慎することが決まったようだ。テオは半泣きだったが仕方ない。

 

「すまない。待たせた、お客人」

 

「いや、其処まで待っていない。テオに俺の話はきいたか」

 

 俺は皇帝に対して全く気にせず何時も道理に接する。皇帝はたいして気にしてないのかそのまま話し続ける。器のデカイ事だ。

 

「いいや、まだだ。君を交えて話したいのだがどうだね」

 

「俺は其れで良いが、テオさっさと経緯を話してくれ」

 

 俺はテオに護衛を撒いてから、どうやって今に至るか話て貰った。皇帝は静かに聴いていたがドラゴンを瞬殺とブラックロッジの行で少し驚いた顔をしたが概ねポーカーフェイスで聞いた。

 

「という感じで、アレイを護衛にしたいじゃ。だめじゃろうか、父上」

 

 テオは真剣そうに皇帝の目を見て言った。皇帝も娘の視線を確り受け止めていた。そして、俺に向き直った。

 

「まずは、娘の命を助けてくれた事に感謝する」

 

「気にするな食糧確保の次いでだ」

 

 俺は事実を其のまま言う事にする。テオは此方を不満そうに見ていたが俺は気付かない振りをした。それを見て皇帝は苦笑していた。

 

 皇帝は表情を真面目な表情に作り直た。俺も自分の話だろうと皇帝を見やる。

 

「君はブラックロッジ所属だそうだが、其のブラックロッジとはなんなのだね。余も帝国を預かる者として外の情報は集めているが、ブラックロッジだけはよく分からなかった。よければ話せるだけで構わないから、話してくれないか」

 

と、言ってきた。

 

 ふむ、今後、魔法世界で動く時に正しい情報を入れて置けば何かしら役に立つかもしれない。少し考え俺は言った。

 

「どんな情報が集まったか、聞いても良いか」

 

 皇帝は小さく頷いて

 

「曰く、大規模な慈善事業を取り仕切っている。

 曰く、死の商人である。

 曰く、旧世界の主だった企業が参加している。

 曰く、悪の魔法使いの巣窟である。  

 曰く、闇の福音が所属している。

 曰く、もう既に世界征服している悪の組織である。

などなどだよ正直情報が錯綜していてどれが正しのか分からない」

 

 さすが帝国、色々と情報を集めてるようだ。

 

「概ね正しい。悪の魔法使いの巣窟位か間違いは、あと悪の組織でもない。俺に言えるのはそれ位か」

 

「という事は、善悪関係なく、裏で旧世界を征服している組織で闇の福音も所属していると、そう言う事かね」

 

 皇帝は難しい顔をしながら聞いてきた。概ねそんな感じだろう。ただ征服と言っても経済的にだが。

 

「満足できたか。これ以上聞かれても答えられないが」

 

「大丈夫だ。助かった。だが今後、ブラックロッジとは敵対したく無いな」

 

 皇帝は真面目な顔でそう言って来た。

 

「護衛の件はどうする」

 

 断られたら正直こまる、と思いながら表情はポーカーフェイスで聞いてみる。

 

「ブラックロッジの名は出すのかね」

 

「ああ、聞かれたら出すと考えてくれ」

 

 皇帝は少し悩んで俺を見ながら言った。

 

「雇おう。護衛以外も応相談でやってくれるのだろう。それと名を出すのは少し待てくれ、帝国内で根回しをしておく」

 

 まあ基本何でも出切るからな。帝国内だけとは言え動きやすくなるのは有り難い。

 

「諒解した。取りあえず、今から護衛に付く」

 

「ああ、よろしく頼む。契約書などは明日になる」

 

 分かった、と答え俺は皇帝とガッチリ握手した。

 

 

 

 そして、テオの案内でテオの部屋まで来た。

 

「此処が妾の部屋じゃ。そして、アレイは隣の部屋になるのじゃ」

 

 テオが自分の部屋の壁のドアを指指す。このドアで隣の部屋と繋がっているらしい。

 

「取りあえず、今日は寝るぞ。テオは明日から謹慎なんだったな」

 

「そうじゃ、じゃがアレイが居れば好きなときに遊びにいけるの」

 

 テオは嬉しそうに言った。ジト目で俺はテオを見る。

 

「・・・しばらくは、俺も動けんから大人しくしとけ」

 

「うむ、大人しくしているし、やる事もちゃんとやるからそんな目で見ないで欲しいのじゃぁぁ」

 

 徐々に後ずさりながら後半泣きが入るテオであった。

 

「俺は部屋にいるから、何かあれば呼ぶか叫ぶかしろ」

 

「うむ、わかったのじゃ」

 

 そう言い、俺は部屋に入っていった。

 

 

 

 取りあえず、俺はテオと自分の部屋に害意を持った存在が入ったら、とある素敵な異空間(餓鬼結界)に転移するトラップをしかけ、更に各種結界を構築していった。

 

 それを済ませてからエセルを呼び出した。

 

「エセル、来てくれ」

 

「イエス、マスター」

 

 何時も道理の涼やかな声が返って来た。俺はエセルを撫でながら訊いた。

 

「あの後、オスティアはどうなった」

 

「3人がアスナと接触、その後ヘラスを押し返しました」

 

「そうか、あの三人の事は分かるか」

 

「イエス、マスター。彼らは<紅き翼>と名乗り、連合に所属しているようです。

 一人目は赤毛の少年<ナギ・スプリングフィールド>魔法使い、特徴はその他に比べ魔力が多いです。

 二人目は黒髪の青年<近衛 詠春>神鳴流剣士、特徴は良くも悪くも高次元で纏まった神鳴流剣士です。

 三人目はローブの男<アルビレオ・イマ>魔法使い、特徴は重力魔法を好んで使うようです。これは私見ですが彼は私と似たような存在だと思われます。

 総じて見るにマスターの脅威にはならないと思われます」

 

 他に比べたらかなり強かったから、其のうち頭角を現してくるだらう。そうなったらヘラスは俺を出すか他に強い奴が居るのならそいつか。

 

「ヘラスは次どう動くか情報はあるか」

 

「イエス、もう一度オスティアを攻めるようです」

 

 かなり無謀、いや、無理だろ何考えてんだ。皇帝はまともそうだったから、他のやつか。

 

「エセル、どうしてそんな作戦になった」

 

「貴族が主導で推し進めたそうです。連合の援軍が引いた所を狙うそうですが、あの三人が残るようなので現戦力では攻略不可能でしょう。いかがなさいますか。マスター」

 

 取りあえず、根回しが終わるまで俺は動く気は無い。其の間に貴族と軍人を徹底的に調べて丸裸にしてみるか。それとブラックロッジの噂を流しておくとしよう。

 

「明日から帝国の貴族と軍人を丸裸にしろ、裏で何かやってる連中が居るはずだ。それとブラックロッジの噂を流してくれ。これで今日は終了だ。一緒に寝るぞ、エセル」

 

「イエス、マイ、マスター」

 

 俺はエセルを抱いてベットに向った。

 

 

 


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