転生先生テリま   作:物書き初心者

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じゃじゃ馬?登場

 あの後、俺はオスティアからヘラス首都近郊の森林に転移してきた。もうそろそろ夕方と言った所か少々早いが食事にすることにする。

 

俺はエセルを呼び出す事にする。今回の戦争では保険としてエセルには裏方に徹してもらおうと考えている。なので基本、戦闘中は別行動である。

 

「エセル、来てくれ食事にする」

 

「イエス、マスター。何を食べられますか」

 

いつもの涼やかな声が答えてくれる。

 

俺は折角なので食材をその辺にある物で食事をしてみようと考えて、何か無いか周りを探知してみた。

 

するとおあつらい向きに此方に超大型な生き物が何かを追って走ってくるのを察知した。たぶんドラゴンだろう。今夜の食材はこいつに決めた。

 

「エセル、ドラゴンにしよう。丁度もう少ししたら此処に来る。解体の準備をしててくれ」

 

「イエス、マスター。アデアット<万能従者の鑑>」

 

エセルのアーティファクト<万能従者の鑑>とは、契約者の主に関する行動に限りかなり強力なサポ-トとブーストをしてくれるメイド服である。

 

今回なら解体と言う事で何処からとも無く出した。大振りの包丁を握っている。

 

エセル曰く、従者にとっての万能工具みたいな物らしい。色々と重宝しているようだ。

 

そうこうしているとしていると、木を薙ぎ倒す音とドスドスと重低音な足音が徐々に此方にやって来る。

 

そして、追われていたのであろう小さな影が草むらから俺に向かって飛び出してきた。さらにその後ろから、木々を吹き飛ばしながらドラゴンも現れた。

 

多分子供であろう。ローブを目深に被り顔などは判別できない。その子供は此方に気付いたのか、

 

「にげるのじゃぁぁぁ!!!」

 

と叫んだ。そして、叫んだ拍子に足が絡まったのか何も無い所でこけた。

 

俺の目の前で盛大にこけ、「へぶっ」とくぐもった声が聞こえ、そのままヘッドスライディングして俺の足元で止まった。

 

ドラゴンも急の止まると思ってなかったのか俺達を跨ぎ越えて行こうとしたが、俺はすれ違い様首を切り飛ばした。

 

ドラゴンはそのままの勢いで俺の後ろに重い音立てながら転がって行った。

 

「エセル、解体は任せた。今夜はステーキにしよう。それと客人の分も頼む」

 

「イエス、マスター」

 

と答え早速解体に取り掛かるエセル。あれよあれよと見事に解体されていくがそれを見届けずに足元で荒い息をしている物体を見た。

 

しばらくすると行き成りガバッと身を起こした。

 

「何で逃げないのじゃぁぁ!お蔭でこけたではないかぁぁ!!」

 

身を起こしたと同時に吠えられてしまった。

 

「ッそれどころではないアヤツがいない内に逃げるのじゃ」

 

俺の手を引いて先ほど飛び出してきた方に駆け出そうする。当然俺は動こうとしないので、その子供はつんのめって止まる。

 

「どうしたのじゃ!もしや恐怖で身がすくんで動けんのか?」

 

どうも後ろの解体作業が位置的に見えなくて、いまだドラゴンに追い掛けられてるものと思っているらしい。

 

俺は無言で子供の襟首を掴んで持ち上げる。

 

「なな何をするんじゃぁ!」と言って手足をばたつかせているが気にしない。

 

俺はその子供を、皮が剥がされ内臓が取り出され半分骨になっている元ドラゴンに向けた。

 

「ドラゴンの末路だ」

 

俺はそう説明したが反応が返ってこない。おかしいと思いフードを取って様子を見てみた。そしたらだらしない表情をして気絶していた。ちなみに女の子だった。

 

俺は仕方が無いので近くの木にもたれ掛かって座りその横に寝かせた。そして、魔術で火を出して焚き火代わりにした。多分、解体が終わってステーキが焼ける頃には起きるだろう。

 

 

 

 

「みぃぃぃぎゃぁぁぁぁ!!!」

 

俺の横で奇声が上がった。女の子でこの悲鳴はいいのか、とも思ったが取り敢えず起きたらしい。

 

「起きたかステーキが焼けている食べるといい」

 

ステーキを食べる様に進めてみる。どういう反応をしてくれるか楽しみである。

 

「・・・え、わかったのじゃ。・・って食べれるかぁぁぁ!!」

 

両手を上げて吠えられた。ふむノリ突込みだったか。

 

「食べてやれ、お前を追いかけた所為でこんな姿になったんだ」

 

ニヤニヤ内心で笑いながら、表情は酷く真面目そうにして言ってみる。

 

「妾の所為なのか・・・いや、しかし・・・あんな物さえ見なければ・・・」

 

など呟きながら、う~~んと頭を抱えてうなていた。

 

俺はエセルに焼いてもらった串焼き状にしたステーキを頬張りながら見ていた。ちなみに、エセルは俺の横でせっせと肉を焼いている。

 

「よく考えたらみなたら、そなたの所為ではないかぁぁぁぁ!!」

 

また、両手を上げて吠えられた。よく吠える子だ。

 

「では、食べないのか」

 

「そんな哀れな物を見る目で肉を見るでない!食べる食べるのじゃ!」

 

俺から串を奪い取り肉を見つめプルプル震えていたが意を決したのか肉を頬張った。

 

「・・・うまいのじゃぁぁ・・・でも戻しそうなのじゃぁぁ・・・」

 

滝の涙を流しながら食べていた。結局、三本も食べていたので途中で気にならなくなったのだろう。

 

 

俺達は食事を終え、お茶を飲みながら一服していた。

 

「それにしても、ドラゴンを瞬殺とはすごいのぉ」

 

感心した風にこちらを見ながら言ってくる。この女の子、角があり褐色な所を見るとヘラスの良い所の子女だろう。何でこんな所に居るのか分からないが。

 

「そんな事は無い。その気になれば割と誰でも出来る」

 

俺は正直に感じたまま答えた。ちょっとナイトゴーントと訓練すればいける気がする。

 

「いやそんな訳無いのじゃ。それでじゃなぁ・・・妾の護衛になってはくれんか?」

 

俺を下から覗き込むように聞いてくる。上目遣いでかなり可愛い。 

 

「良い所の子女が何処の誰とも知れない人間を雇って良いのか?ちなみに俺は何でも屋をやっていて、今仕事は請けてない」

 

「何でも屋とは何じゃ?」

 

女の子は首をかしげて聞いてくる。オイオイ、質問には答えないのか。まあいいが。

 

「そのままだ。金次第で何でもやるから何でも屋なのさ」

 

女の子はしきりに頷いて、俺を真っ直ぐ見つめて言った。

 

「なら妾の護衛をしても問題は無いのじゃ!妾がそなたを雇うじゃ!!」

 

握りこぶしを作り力説する。要するに自分自身が雇うから俺の出自は気にしないと言いたいらしい。

 

「ほんとに、俺を雇うのか?かなり高い上に此方の世界では悪名が酷い筈だが、そういえまだ名乗りをしてなかったな」

 

そういって俺は名乗ろうとしたが女の子に止められた。

 

「そなたを雇うんじゃ。妾から名乗るじゃ。妾は、テオドラ・・・テオドラ・バシレイア・ヘラス・デ・ヴェスペリスジミアじゃ。気軽にテオと読んで欲しいのじゃ」

 

テオがサラリと名乗ったが帝国の王族らしい。ほんと何でこんな所に居るのやら。

 

「ふむ、王族か?」と一応確認を取っておく。

 

「うむ、第三皇女じゃ」と無い胸を張って答えられた。

 

「余計に雇わない方が言いと思うが」と呟きながら取り敢えず名乗ることにした。

 

「俺は、ブラックロッジが一人、アレイ・クロウだ。」

 

そう名乗るとテオが顔面蒼白になって、ガタガタ震えだした。ブラックロッジはこの魔法世界でどんな扱いなのか凄く気になる反応だ。

 

「嘘じゃ!そなたがブラックロッジの一員なんて嘘なのじゃ!!」

 

テオが悲痛な感じで否定する。何を持って嘘と断定してるのか分からないが、テオが思っているブラックロッジはどんな物か聞いて見る事にする。

 

「ふむ、テオが知っているブラックロッジとはどういう物なのだ」

 

「悪逆非道を尽くす秘密結社、禁術や外法を好んで使う悪人ばかりが所属してるのじゃ。そして、かの闇の福音<ダーク・エヴァンジェル>も在籍いてるらしのじゃ。そして、いい子にしてないと闇に福音やブラックロッジのメンバーに禁術の実験台にされるのじゃぁぁ!!」

 

テオはまるで怪談でも話すかのように話してくれた。なんか寝物語の一種みたいだ。取り敢えず実態を話せる所だけ話してみる事にする。

 

「俺の所属しているブラックロッジは今は旧世界の経済のバランスを執っている秘密結社だ。もとは厄介事請負業、所謂何でも屋のギルドが元だ。だから俺も何でも屋なんだが」

 

エヴァが所属しているとかは態々言わない。他にも後ろ暗い事はあるが聞かれてないから黙っておく。

 

「悪の魔法使いが所属してるのではないのか?それに確か結社のトップと幹部に賞金が掛かっておった筈じゃ」

 

テオは真実を確かめるように俺の目を覗き込んでくる。その目は純粋で俺のなけなしの良心突き刺さって来る。

 

「悪かどうかは置いておくが、少数だが魔法使いも所属している。今は会社や企業のトップが殆どだ。賞金に着いては俺も分からん。昔、MMと喧嘩した後に何時の間にか賞金が掛かってたそうだ」

 

まぁ嘘は言っていない。其処まで話してテオは何度か頷いた。そして、俺を目を真っ直ぐ見ていった。

 

「それなら妾が雇っても問題ないのじゃ!!」

 

元気に両手を上げて宣言してきた。どうあっても雇いたいらしい。実際ヘラスから参戦する心算であったから、これはこれで良いのだがテオの相手は大変そうだ。

 

「ふむ、取れあえずテオの両親と要相談だな。後は基本的に護衛だが応相談で何でもやると言った感じか」

 

「やってくれるのじゃな!」

 

テオははしゃぎながら言ってくるが。

 

「テオの両親しだいだ。取りあえずテオのうちに行くぞ」

 

エセルに念話で情報を集めるように指示を出し、俺はテオの襟首を掴んで歩き出した。

 

「やめい、自分で歩けるのじゃぁぁぁ!!」

 

じたばたしてたが俺は気にせずに王城の上空にあたりに転移する準備をした。

 

「そういえば、テオは何でこんな所にいたんだ?」

 

「うむ!うざったい護衛を巻いたらいつの間にかドラゴンに出くわしたのじゃ!」

 

何かすこぶるやる気が無くなる事を堂々と言いやがりましたよ、このテオ。俺は無理やり気分を変えて、転移の術式を走らせた。

 

「テオ跳ぶぞ」

 

「とぶってどういう事じゃ」

 

次の瞬間二人は消えた。

 

 


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