転生先生テリま   作:物書き初心者

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大戦期突入

1980年、学園が設立してから約100年

 

二度の世界大戦があったが、俺達には然程影響はなかった。

 

色々と細工をして来たが、大きな歴史の流れには影響がなかった。

 

少々科学技術の発達が早いのと、日本の発言力が強くなった程度である。

 

ブラックロッジは相変わらず世界経済を牛耳っている。ただ魔法世界、取り分けメガロメセンブリア(以降MM)と仲が悪い。

 

初代、二代目学園長まではよかったが、三代目時代から、何処から情報が漏れたか分からないが、エヴァがブラックロッジに所属しているのが魔法世界に伝わった。

 

その結果、MMから、自称正義の味方とか言うのが来くるようになった。

 

初め五体満足でボコしてお帰りいただいていたのだが、更に代を重ねると何を勘違いしたのか大人数で襲ってきたので首だけにして学園長室に送り届けてやった。

 

この後、正式な抗議はないが、魔法世界ではブラックロッジは悪の秘密結社で悪の魔法使いの巣窟だと噂されているらしい。

 

更に暫らくして、マスターテリオンに3000万ドル、アンチクロスに1000万ドルの賞金首になっていた。

 

ちなみにブラックロッジの支部は此処しか無いし、存在がばれてるのも此処だけである。だから、千客万来かと言うとそうでもない。

 

此処はあくまで支部で本拠地ではないと思われてるらしい。

 

それに旧世界に詳しい人間は手を出してこない。

 

麻帆良でも、外様の魔法先生と生徒以外は穏健派で触らぬ神に祟り無しと言った感じである。なので時々、思い出した様に一人二人襲ってきたりする。

 

取り敢えず今は少人数なのでボコして、学園長室に放り込んでいる。

 

 

 

さて、久々の原作知識によると来年から大きな戦争が始まるらしい。この戦争は原作に深く関わってくるらしいので俺も参戦しようと思う。

 

問題はエヴァだ。付いて来るのはいいが麻帆良に縛られるってのがある。これをしないと原作が崩れる気がする。

 

まあ如何にかしよう。まずは、エヴァの説得からだな。

 

 

「エヴァ、調べたい事が出来たからここを空ける。留守番を頼みたい」

 

「うん?わかった。で、どれ位空けるんだ?」

 

一瞬少し寂しそうな表情になる。

 

俺も一緒に居たいが、向こうの世界で身動きが取れなくなりそうなので我慢して貰う。

 

「5,6年といった所だ。それ以上なるとしても一度戻ってくる」

 

「私が一緒じゃまずいのか」

 

不満顔で暗に着いて行きたいと言ってくる。

 

「絶対に来るなとは言わんが、行き先は魔法世界だ。」

 

「・・・そうか、わかった。私もアレイの邪魔はしたくない。今回は大人しく待っているとしよう」

 

残念そうな顔をして、拗ねた様に横を向くエヴァ。

 

俺はそんなエヴァの頭を撫でながら、

 

「ありがとなエヴァ。何かしらの土産を持って帰るから、楽しみにしていてくれ」

 

と苦笑しながら言う。

 

エヴァはちょっと機嫌が直ったのか、此方を向いて

 

「私達にとっては、5,6年なぞ直ぐだ。だから、しっかり調べて来い!」

 

微笑んで言ってくれた。

 

 

 

それから俺とエセルは、密かに魔法世界に旅立った。

 

 

 

 

それから約一年間、どう立ち回るか決めるために情報収集に勤しんだ。

 

 

其れで分かった事が、この戦争に裏がありそうな事、オスティアが怪しい事、魔力完全無効果能力を持つ黄昏の姫巫女と呼ばれる存在が居る事。

 

この戦争の黒幕と直接敵対し勝つのは正直簡単だと思う。まあ、探すのが面倒臭い、それに面白くも無い。なので、帝国の勢力に加担して裏を探ろうと考えいる。

 

帝国を選んだ理由は、MMが関わっている連合は除外、そして、中立なのでアリアドネーも除外そうすると必然的に帝国しかないのである。

 

どういう風に参戦するかは考えてないが、どうとでもなるだろう。

 

 

オスティアが怪しいと考えるのは、使い魔がオスティアに近づいたら消されたからだ。

 

今回使ったのは使い捨ての使い魔とは言え一般魔法使いになら5、6人に囲まれても勝てる位には強い。

 

それが何の情報も持ち帰れなかったのだ。これは何か有ると見ていい。

 

 

黄昏の姫巫女は、魔力完全無効果能力と言うのを使った。防衛兵器扱いらしい。聞いた話によると小さな女の子だと言う話だ。

 

俺は能力もそうだが、小さな女の子と言われエヴァを思い出して興味が湧いた。なので帝国に行く前に可能なら見に行こうと思う。そして、気に入ればお持ち帰りしようと思う。

 

俺は取り敢えずオスティアに向かった。

 

 

 

 

オスティア着いて早々戦闘に巻き込まれる事になった。

 

ヘラス帝国が攻めて来たみたいだ。俺は戦場が一望できる高度まで空を駆け上がった。

 

黄昏の姫巫女が防衛兵器なら能力的に結界のように使うだろうと中りをつけ、それらしい施設を探す。

 

そして、一際は高い孤立した塔を見つけ、その塔に最上階に転移した。

 

 

其処は、屋上にドーム型の屋根を付けた様な祭壇だった。

 

転移して最初に見たのは両手を鎖につながれた人形の様な女の子、次に周りにいる5人のローブの魔法使い。

 

顔を見られる前に魔法使いを魔術を使い昏倒させる。此処までの作業に要した時間は刹那も無いだろう。

 

俺は女の子に近づきながら、取り敢えず自己紹介をすべきかと彼女の前で片膝を着いた。その時、能力の反動か何かなのだろう。彼女が口から血を流した。

 

俺はそれを左手でふき取りながら、

 

「初めましてだ、姫巫女。俺はブラックロッジが一人、アレイ・クロウとい言う。君の名は?」

 

と俺は可能な限り威圧などしない様に、小動物を相手にする感じで言ってみる。

 

すると彼女は、無表情、無感動な声で、

 

「・・・アレイ・・名前・・・アスナ・・・・アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシア」

 

と名前を教えてくれる。

 

その時俺は気付いた。常時展開している防禦陣が解呪されていた。そして通常空間より幾分か魔力が薄い。まさに、魔力を吸うブラックホールの様である。

 

今後どうなるか分からないがやり方しだいでは脅威になりそうなので、彼女を手元に置いておいた方が良いと考えた。

 

なので俺は、彼女の頭を撫でながら、

 

「アスナか良い名だ。・・・・アスナ、外に興味は無いか?」

 

と何も写さない彼女の瞳を覗きながら聞いてみる。無表情だが撫でられて少し気持ち良さそうだ。

 

「・・・外」

 

と興味を持ったのかは分からないがそう呟いた。

 

ここまでで出時間切れのようだ。塔の外にヘラスの物と思われる鬼神兵が間近に迫っていた。今ヘラスに顔が割れるのは面白くない。

 

俺は右手を鬼神兵に向け、長年使ってきて最も信頼している魔導書の術式を走らせる。

 

「ン・カイの闇よ!」

 

この術式は重力結界術式である。結界内の重力を操作してそれこそブラックホールのような超重力にしたりもできる。更に捕縛結界として設置したり、空中に球形に作り出し打ち出したり、操作したりとかなり自由の利く術式である。

 

右手の前に漆黒の球体が出来、視認不可能な速さで鬼神兵の胸に向かって打ち出された。

 

打ち出されたこぶし大の球体は鬼神兵に当たったとたん、爆発的に大きくなり鬼神兵の上半身を飲み込み消え、下半身だけが残された。

 

下半身が崩れ落ちる大きな音を聞きながら俺はアスナに向き直った。

 

「アスナ。すまない時間のようだ。次に会った時アスナが外に出たいと思えば連れ出そう。考えておいてくれ」

 

俺はアスナを撫でてから転移しようと思い、アスナの頭に手を伸ばした。その時背後から俺に向かって一発の魔法の射手が迫って来た。

 

俺は振り向き様裏拳で打ち消し、魔法を放ったと思われる赤毛の少年と向き合う。その少年が俺達の居る祭壇に降りて来た。

 

「その子から離れやがれ!!」

 

と、開口一番叫んだ。そして、長刀を持った黒髪の青年と胡散臭い雰囲気のローブの男、彼の仲間と思わしき人間も降りてくる。

 

ふむ、第三者から見ると俺はこの子を襲っている様に見えるらしい。強襲を掛けた後に話していたから間違いではない。

 

3人とも此方をかなり警戒している。俺はアスナが居るので威圧などしない様に気をつける。

 

「先ほどの鬼神兵の上半身が突然消えたのは、貴方がやったのですか?」

 

と、ローブの男が問うてくる。黒髪の青年は疑わしそうにローブの男を軽く見た。

 

俺は答える心算が無いので無視して今後どうするか考える。

 

先程までなら俺が、感知できない距離からヘラス側を攻撃して撤退させようかとも思ったが、この3人がオスティア側に付くのなら押し返せるだらろう。ならこのままヘラスに跳んでも問題ないな。

 

そう考えていたら、赤毛の少年が此方に一歩踏み出してきた。

 

「すかしてんじゃね!何者だてめぇ!!」

 

とチンピラのように凄んで来る。

 

ふむ、三下にしか見えんぞ、少年。時間は無いが少し遊んでから帰るか。

 

「貴様ら程度三下に名乗る心算は無い。時間が押しているので去らしてもらう」

 

と眼中に無いかのごとくあざ笑ってやる。

 

少年の仲間は色めき立つが、少年は頭から何かが千切れた音がした。

 

「ふっざけんなぁぁぁ!!」

 

と、かなりの速度で一直線に向かってくる。

 

「ナギ!!」「待ちなさい、ナギ!」

 

青年、ローブが静止の声を掛けるが赤毛は聞かずに此方に飛び込んでくる。

 

俺は魔力をほんの少し右手に集め赤毛に向かって軽く打ち出した。

 

それに当たった赤毛は「ガフッ」と肺の中の空気を出しながら、スマッシュを決められたピンポン玉の様に青年に向かって吹っ飛んでいった。

 

何とか青年は受け止め咳き込む赤毛を心配した後、此方を睨み付けて来た。その間、ローブは此方から目を離さず、何時でも迎撃出来る様にしていた様だ。

 

「図に乗るなよ少年。貴様ら如き今すぐ消せる。それを見逃してやろうと言うのだ」

 

其処まで言って、殺気を叩きつる。奴等は顔色を変えるが、俺は一顧だにせずに、

 

「其処で大人しくしていろ」

 

と言い放ちアスナに向き直る。

 

「機会があればまた会おう」

 

俺はアスナにだけ聞こえる声で微笑みながらそう言い、ヘラスに向け転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 


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