虚の穴は何故閉じない?   作:エア_

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スターク&リリネット回

なんか、テキトーに描いた。

あ、声優ネタとか書いたけど、気にすることはない腐★腐★腐


第三話~一刃

「あぁ、真っ青だなぁ」

 

「そーだな」

 

「でもこれ偽物なんだよなぁ」

 

「そーだな」

 

「ロリとか最高だろ?」

 

「そーだなうわぁあああああああああああああ!!」

 

朝からうるさいのは虚夜宮、一刃の宮。男の野太い叫びが響き渡る。虚空を眺めていたはずなのに、何故か絶叫してしまう。そう、やはり問題児である東吾(とうご)(まもる)の仕業なのだろう。

 

「何てこと言わせやがるこのガキ」

 

「何って、言うほうが悪いね! リリネットちゃんが可哀想だぜ」

 

「だろー? この変態には呆れてんだ」

 

守とリリネットと呼ばれた少女は互いに、ねー! と言い合い意気投合していた。対する一刃、コヨーテ・スターク。彼は目の前の二人を心底面倒に思いながらも、何とか静かにしたいと策を講じていた。

 

「はぁ、俺はゆっくりとだらりとしたいんだけどねぇ」

 

「ならリリネットちゃんは俺が引き取るから一人で頑張れ」

 

「おいこら」

 

軽々とリリネットを抱えると一目散に宮から出ようとする。しかし、スタークに回り込まれた。

 

「あいつは俺の従属官だ。勝手な事されちゃあ」

 

「コンビネーションアタック!」

 

「おう!」

 

「何!? グフェ!?」

 

回り込んだスタークの股間をリリネットが蹴り上げ吹き飛ぶ瞬間に守が空中で移動する向きを変え、そのまま地面に自立型パイルドライバーをかました。脳天から叩き落されたスタークはピクリともしない。

 

「あ、死んだか?」

 

「スターク、おかしい奴を亡くした」

 

「いや死んでねぇから!」

 

急激に意識を覚醒させたのか、全力で否定をしだすスターク。頭からは紅い水が一本滴っている。

 

「「あ~ぁ、生きてた」」

 

「お前等って酷いな!」

 

二人の返しに若干涙目になる。何故このガキ二人は俺の平穏を奪ってゆくのか。それが知りたい。

 

ちなみにこのコヨーテ・スタークは熟女好きだ。実はリリネットがいないときはよく守図書館を利用している。いらん情報だった。

 

「てか守! お前にだけはおかしい奴なんていわれたくねぇぞ! この歩くエロ同人」

 

「歩くエロ同人はハリベルとかミラローズの姉御だろ! いい加減にしろ!」

 

「いやお前だよ!」

 

何故かエロ同人の話になる限り二人の仲は良好と言ったところだろうか。エロ同人のワードを知らないリリネットは完全に蚊帳の外で退屈そうな顔をする。それを見過ごさないのか守は「汚い大人しか知らない言葉だよ~」と優しく諭し、スタークと再び口論をする。

 

「てめぇ守! 謝って来いよハリベル達に! 『エロ同人とか言ってサーセン』ってよぉ!」

 

「何を言いやがるかスターク! てめぇが実はミラローズの姉御みたいな体系の人が好みなのは周知の沙汰なんだよ! てめぇが行って来い!」

 

「ふざけんな! 何で周知の沙汰・・・・・・お前か! お前が言いふらしたんだろ! 絶対そうだ!」

 

「・・・・・・スタークはボンッキュッボンッが好きなのか、やっぱ変態だった」

 

自分の性癖を暴露されてスタークがぶち切れている中、リリネットは自分の貧相な胸に手を当てながら、彼を半目で睨みつける。たじろぐスタークだが、今は彼女にかまっているときではない。

 

今目の前で自分の性癖をバラス諸悪の根源をつまねばならない。

 

だって、リリネットに悪影響だもん(スターク、心の叫び)

 

「お前にはいつか引導を渡そうと思っていたが、今日がその日らしいな!」

 

「何!? インド王だと!?」

 

「誰がカレーの王様だ!」

 

どうやっても守はボケ倒したいらしい。もうボケに切れというものはなくただ連発しているようにしか感じられない。そんなことでお笑い界で生き残れると思っているのだろうか。

 

「・・・・・・はぁ、もう疲れた。俺寝るわ」

 

「じゃあリリネットちゃんと遊んでくるわ・・・・・・読んでもいいけど返せよ?」

 

スタークが隠し持つ本に視線を向けながら守はそういうと、リリネットを連れて、宮を出る。本来は愛染が召集をかけたりしない限り出てはいけないのだが、彼は特別なのだろう。基本大丈夫である。

 

「わかってるよ。リリネット。無茶な頼みはすんなよ?」

 

「当たり前だろ? スタークじゃあるまいし」

 

「絶望した」

 

なんの優しさもない一撃がスタークの心臓を貫いた。無邪気な子供の何気ない一言は大人にとってくるものがあるのだろう。両膝、そして両手を地面につけ、絶望に打ちひしがれていた。

 

「んじゃあ行って来るわ」

 

「またあとでな~スターク~」

 

「・・・・・・絶望した」

 

 

 

 

「ごらぁああああああああああ!」

 

「にっひっひっひ! 大成功!」

 

「MATTE! MATTE! 今の状況俺が一人死んでまう! あぁ後ろに! 後ろに!」

 

リリネットと遊ぶことにしたはずの守だったが、何故か今は彼女を肩車して後ろから追いかけてくるヤミーから必死の思いで逃げている。その頬には花丸が赤く描かれており、額には肉の文字。これでわかるだろう。また悪戯したのだ。

 

「今度と言う今度は絶対に許さねぇええ!」

 

「きゃははっ! 聞いたか守? 絶許だってよ絶許!」

 

「お前も対象だからな! リリネット! お前は蚊帳の外じゃねぇんだよ!!」

 

頭の上からかわいらしく楽しそうに叫ぶリリネット、しかし今の守は絶賛逃亡中。下半身が別の意味でブルっていた。筋肉痛などお構いない。とまれば即死だろう。

 

そんな彼も、何とか彼女も巻き込もうと企んだ。なんて奴だ。

 

そう思った矢先、リリネットはくるりとヤミーのほうを向いた。そしてその手には見えないように持たれた目薬が。

 

「ぐすっ、守お兄ちゃんに無理矢理やらされて・・・・・・ふぇ」

 

「守てめぇ!! 人のこと言えた立場か貴様ァ!!」

 

「しまった! ヤミーは小動物系が大好きな奴だった!! なんて策略! 貴様が孔明か!!」

 

ヤミーの性癖が判明する中、守の走る速度が増す。なぜならヤミーの走る速度が増したからである。そう、この男。ヤミーはなんといっても子犬やらなんやらの小さい動物、またはそれを連想させるのが大好きなのだ。つまりはリリネットは奴にとって小動物であることに間違いはない。

 

つまり、例え事の発端がリリネットでも全ての責任は守が取らなくてはならなくなったのだ。

 

「殺す! 俺の目の前で泣かせるとか絶対に許さん」

 

「ぎゃあ! ヤバイ! こいつ顔の輪郭が太くなりやがった!」

 

「てめぇの悪事は、俺が裁く」

 

「てめぇはむしろ柱のほうだろうが声的に! この化物め! ってぎゃあああ!? 死ぬッ! 死んでまうッ!」

 

飛んでくるは拳の雨、左右に避けてはその雨を何とかかわす。彼の体がでかいおかげなのか、動きが単調で本当によかったと、ほんの少し守は思うのでした。

 

「じゃあフェイント入れるぞぉー」

 

「何それ聞いてなサンタナ!?」

 

突如フェイントを入れられ吹き飛ぶ守。勿論リリネットにダメージが入らないように抱きしめながら落ちてゆく。

 

しかし、体勢が某超人レスリングの王座決定戦で見られたあの三大必殺技なのはどうも許せない。

 

「うっひゃっははー! マッスルインフェ○ノー」

 

「何それ俺を殺す気なのリリネットちゃゼブラッ!?」

 

顔面から砂漠に突っ込み、完全にサーフボードのようにピンとした姿勢でおったてられた守。ヤミーに追いつかれ結局錐揉みシュートを食らう羽目になった。

 

 

 

 

「ただいまー! スターク!」

 

「も、戻ってこれた」

 

「おう、お帰りってぎゃあああああああああああああ!!」

 

スタークがちょうど昼寝から起きた頃、リリネット達が戻ってきた。快く迎えようとしたスタークだったが、目の前の惨状に驚きを隠せないでいた。それも仕方ないかもしれない。

 

なんせ、顔が風船のようにはれ上がり、体のあちこちから血を流し、リリネットに引き摺られている守の姿があるのだ。ビックリするのは可笑しくない。むしろ笑えない。

 

「ど、どうしたんだよ守!」

 

「・・・・・・なぁ、スターク。マッスルインフェル○ってな? やっぱ三大技だったよ」

 

「聞いただけで鳥肌立ったわくそったれ!」

 

ボロ雑巾のようにリリネットに捨てられた守はスタークに抱きかかえられながらそう言った。その顔はまるでこれから死地に行くような何故か晴れやかな顔だった。

 

「あぁ、スターク。錐揉みシュートってな?」

 

「もういい、もういいんだクロエ」

 

「誰がクロエだ、ジャック・バウワーかお前は」

 

リリネットが何か言っているが、二人は無視して芝居を続ける。

 

「体の四肢が弾け飛びそうになるんだ・・・・・・ぜ、ガクッ」

 

「クロエ、クロエェエエエエエエエエ!」

 

「もうええわ。それよりテレビ見ようよ守、スターク」

 

「「あ、はい」」

 

三文芝居は好きではないらしく、リリネットはスタコラさっさとテレビのある居間まですっ飛んでいった。守もスタークもしょうがないと、まるで今のことをなかったようなそぶりで、彼女の後を追った。彼らも観たいものがあるのだろう。

 

「今日はやっぱり24を見ようよ~二人とも」

 

「いや、ここはアニメで行こう。ほら再放送のメイドガイなんてどうだ?」

 

「あの、RXは?」

 

「「それは前に一挙放送あってみただろ!」」

 

守の意見をバッサリ切った二人は海外ドラマか日本アニメか言い合っていた。もし十刃に聞いたらほとんどが24と意見するだろう。しかし、スタークはどうしても観ておきたかったのだ。

 

何故なら

 

「メイドガイなんて、もう再放送はこれっきりないだろ! 24なんて半月に1シーズン再放送すんだから!」

 

そう、そうなのである。このメイドガイ。再放送はあるが次にあるのがいつか分からないのだ。これがアニメの欠点なのかもしれない。しかし、24は違う。むしろ24は海外ドラマの中でも名作の一つだ。通常チャンネルでも簡単に見れる。すばらしいものだ。だが残念なことに、虚園に通常チャンネルなんてものは空蔵町のではないため、時間帯が異なっているのだ。

 

「24が観たいの! 前回のシリーズでジャック死んだことになったし! このシリーズは見逃せないの!」

 

こっちもこっちで重要なシーンらしい。そのためか両者一歩も引かない。すると守が、あっ、と声を上げる。その声を聞いた二人が彼のほうを向く。

 

「このテレビ、二画面できんじゃん」

 

二人の言い合いはあっけなく終わり、今はテレビから微妙に離れて明るい場所で正座して見ている。もちろん、守も正座している。

 

「しっかし、お前が来てからゆっくりできねぇな。ほんとによ」

 

「おうおう、人をトラブルメーカー見たく言うなや、照れるだろ?」

 

「理解してするとか余計にたちが悪ィ」

 

ジト目でスタークは守を見る。あ、目をそらした。

 

スタークはため息をつくと、自分の前で正座をする少女、リリネットを見据えながら守と会話をした。

 

「正直感謝してる。お前がいなきゃ、あいつはずっと暗いままだったかも知れん。孤独だったのは事実だ」

 

「何言ってんだか。似合わねぇぜ? スタークさんよ」

 

それ以上は聞かないぜ。と言いたげな表情で、守はテレビに目を向ける。彼自身改まって言われるのが照れるのだろう。スタークもそれを理解したのか、テレビに目を向ける。

 

「おぉ、やっぱ凄いなメイドガイ」

 

「日本文化はスゲーよなぁ。っと、リリネット。前に出すぎだぞ。目ぇ悪くすんだろが」

 

「んー? んー」

 

覚束ない返事と共に少しだけ後ろに下がる彼女を見て素直だなぁと思う守の表情はとても気持ち悪かった。今なら殴ったって誰も攻められはしないだろう。

 

「てか、ジャックのステータス高いだろ。何だよ尋問とかもう怖すぎて見れんわ」

 

「将来のリリネットが楽しみだな」

 

「止めたげてよぉ」

 

将来、ジャックバウワー並みの凄みと尋問行動をとられると流石のスタークも泣きたくなる。守の言葉は本当に起こりそうなことを言うため少し怖いのかもしれない。

 

「まぁ、もしするなら守だけだろうね」

 

「理不尽を真正面から受けた。守は死んでしまった」

 

「おお守よ。死んでしまうとは情けないザマァ」

 

「おいこら」

 

リリネットの呟きに守は崩れ落ちる。スタークの追撃に成す術もなく、彼は彼女の理不尽に疲労を見せながら、テレビを見続けた。

 

 

 




将来が来ればいいね、ほんと

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