IS BURST EXTRA INFINITY   作:K@zuKY

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お久しぶりです。
それぞれの思惑IS学生編。
次回はトーナメント当日のお話、来週に予約済。


EX―IS12:ツーマンセル・トーナメント開催前

 ツーマンセル・トーナメント開催前。

 裏では賭け――といっても金銭が絡むものではなく、あくまでお遊びである――が横行したり、新聞部が情報をバラ売りしたりと、小さな問題はあるが、IS学園の生徒達の7割はお祭り気分、或いは他人事でそれらを楽しみにしていた。

 今年は専用機持ちが多数きている上に、人類史上初の男性操縦者まで入学したのだ、面白さや娯楽を求め勝ちな学生達はこぞって噂話や賭け事に興じるのも仕方の無い事だろう。

 もっと言えば、異星人がこの学園に滞在しているのだ。頻度としては余り見かけないが、代表候補生達や教師とは良く接触しているという新聞部のエースが流した情報もあって、今最も注目を集めている存在である。

 さて、グラール太陽系星人ことセンクラッド・シン・ファーロスだが、その噂や能力の内容は、新聞部に記載されているものと公式・非公式のインタビューを準拠とすると以下のものである。

 

 言語習得能力が極めて高く、ハッキング能力も国家レベルで持ち得ている。

 剣道有段者――本来は剣術だが――であり、ISを作った篠ノ之博士の妹でもある篠ノ之箒を瞬殺する程の剣の腕前の持ち主。

 イギリスの貴族であり財閥でもあるオルコット家の当主に対して面と向かって懇々と諭そうとする程の説教好き。

 中国の天才児に真っ向からケンカを売ったKY。

 クモのような――何故か漢字で打たれてはいないが、これを作成した時、新聞部のエースは一時姿を消したと言われている――存在である生徒会長を手玉に取る話術を持つ者。

 ブリュンヒルデと対等以上に付き合える上に、信頼されている男。

 篠ノ之博士が興味を持つ対象。

 そして、地球人類が足元にも及ばない技術を持つグラール太陽系惑星人。

 

 とまぁ、虚実入り混じっている状態ではあるが、IS学園側の認識は個人単位でも然程ズレてはいない。特に、性差別的な意味合いでは殆ど払拭されている。立場上、世界と隔絶した環境に置かれているIS学園内で、異星人について討論している者達から見ても、そうでない者達から見ても、だ。

 そんな彼女達が出した結論というのは、簡単なものだった。

 遠目から見るのが一番。

 まるで、性格が壊滅的に悪い美男美女に対する扱いと何ら変わりの無いものだったが、それもそうだろう。粗相や無作法な事をしでかして万が一にでもプッツンとキレられたら、親族諸共人生終了のお知らせが物理的にも社会的にもスッ飛んでくるのだ。進んで関わりを持ちたがる方がどうかしている。

 専用機持ちや代表候補生は国単位で情報収集を指示されている故に、有る程度のリスキーな言動や行動が許容されているから踏み込んでいけるが、そうでない者達から見ればセンクラッドは常識的に考えてとんだ厄介者だ。 

 その厄介者に対して色々思うところが有るもの、もしくは思うところはないが国や企業、或いは裏社会からの命令によって監視、或いは会話を義務付けられている者達が代表候補生以外にも幾人か存在している。

 

 例えばそう、前者ならば篠ノ之博士の妹であり、得意とする領域で戦いを挑んだ結果、あっさりと敗北を喫した篠ノ之箒と、唯一の男性操縦者である織斑一夏とか。

 

「一夏、いよいよだな」

「あぁ」

 

 言葉少なに返す一夏だが、別にこれは箒の事を嫌っているのではない。むしろこの幼馴染を無条件に信頼している程には好意を持っている。尤も、恋する乙女である箒から言わせれば「もっとわかりやすい好意で接して欲しいな……」だとか。

 緊張しているわけでもない、ただ単純に一夏は自室に備え付けられていたPCから情報を閲覧しているのである。

 中国代表代表候補生にして、セカンド幼馴染である凰鈴音が操る甲龍。

 イギリス代表候補生にして、今は親しい友人であるセシリア・オルコットが操るブルーティアーズ。

 日本代表候補生にして、生徒会長更識楯無の妹である更識簪が操る打鉄。

 フランス代表候補生にして、人類史上2人目の男性操縦者であるシャルル・デュノアが操るラファール・リヴァイヴ・カスタム。

 此処までは見終わり、今は最後の壁として立ち塞がるであろう強敵の情報を食い入るようにして見詰めていた。

 ドイツ軍IS配備特殊部隊シュヴァルツェ・ハーゼの隊長にして、織斑一夏という存在を否定しているラウラ・ボーデヴィッヒの情報を。

 遠距離や中距離はレールガンにさえ気をつければ問題ない。あの少女なら、パッケージ換装は絶対にないという確信が、一夏にはあった。軍人としては失格だろうが、あの少女は真っ向から自分を折りに来ると察している。

 一夏の頭は悪いわけがない。中学までの成績は上位に位置していたし、IS学園における知識や実践においても徐々に徐々に追いつき始めている。また、セシリアの弱点を読み切った点も鑑みるに、乙女心を察する能力以外には長けているのだ。

 一夏の運動神経が悪い筈もない。篠ノ之流剣術道場で剣術を一時期修め、剣を手放してアルバイトに勤しみ、そして再度剣を握ってものの一週間足らずで現役時代の動き以上のモノを手に入れている。

 まさしくブリュンヒルデの弟だ。極最近になって本人はそれを嫌っている節が出てきているが。

 

 箒は安堵していた。

 一時期の一夏は酷いものだった。何かに取り付かれたように自分を追い込んでいた。被弾率は上がり、撃墜判定が出る事もしばしばあった。

 だが、センクラッドが一夏を呼び出した後から、徐々に徐々に無理をするのをやめていった。未だに焦りは見えるが、感情のコントロールが出来てきているように見える。何かしら諭されたのだろう。伊達に約30年も生きているわけではないのだな、と半ば失礼な事を考えている箒だが、同時に胸にささくれが出来ている事も自覚している。

 結局、自分では一夏を変える事が出来なかった。

 いや、踏み込んだ結果、拒絶される事を恐れて何も言えなかったのは自分だ。

 年上だから、異星人だから、経験豊富だから、様々な言葉で取り繕う事は出来る。だが、結局自分の心には嘘はつけないものだ。

 故に、箒はセンクラッドに対して幾つかの思う処があった。それを自己に向ける事が出来ない、内罰的な考えにならないのは、年齢と環境で培った性格に起因していた。

 

「箒? おさらいをしたいんだけど……」

「――あ。すまない、少し考えて事をしていた」

「ああ、良いって良いって、明日はトーナメントだし、俺もさっき同じ事をしていたしさ」

 

 手を振ってそう言った一夏に、胸が痛くなるのを感じつつも、言葉を促す箒。

 すると、一夏はモニターにトーナメント表を映し出して、身振りを交えつつ考えを述べた。

 

「考えてみたけど、一回戦や二回戦は箒と同じ意見だ。別に気にする相手じゃないと思ってる。でも、準決勝からは違うと思う。俺はこの2人が出てくると思ってる」

 

 この言葉は、既にトーナメントの組み合わせが発表されているという事を指している。本来は発表されないものなのだが、今年は様々な意味で違った。

 会場の規模、世界中に流されたCM、一般公開や可視化した大会、この全てはただ一人の異星人の為に変更を強いられたといっても良いだろう。本人からすれば大迷惑だと溜息をついていたけれども。

 もっとも、トーナメントに出場する者達の組み合わせはIS学園だけでは無く、様々な組織や国が頭を突き合わせて考えた結果だったりする。

 

「む、この2人がか……?」

 

 そういわれた箒が注視すると、見覚えのある2人がクローズアップされていた。更識簪とファラ・ジャクリーンペアだ。

 更識簪は一夏とボーデヴィッヒと3人で組んで山田先生と戦っていた子だ。徹底的に距離を維持しながら援護射撃を加える様子は、到底一年では考えられないものだった。

 そして、簪とペアになるファラ・ジャクリーン。

 2組代表決定戦で鈴音に喰らいついたあの黒人女子生徒だ。あの時点で偏差射撃や反動予測込みの射撃をしていたのだ、成長次第では専用機持ちに比肩しうる実力を持った可能性もある。

 しかし、箒は簪の実力に懐疑的であった。いかに片方が強かろうとも、精神的な脆さが露呈したあの模擬戦を見るに、何処かで脱落するのでは?と思っているのだ。勝負事に必要な粘り強さや諦めない気持ちというモノの一切が、彼女には致命的なまでに欠けていた。そこを指摘してみると、一夏は首を振って否定した。

 

「確かに、気持ち的に弱い部分はあるだろうけど、あの射撃技術は脅威だと思う。それに他のペアと比べてやっぱり総合力が勝っているんだよなぁ」

 

 セシリアや箒と一緒にISの習熟に励みながら、一夏は情報収集を行っていた。といっても、そこまで大層な事をしているわけではない。それとなくそれぞれの組で誰が強いのかを聞いて、IS学園に保管されている模擬戦のアーカイブを視聴して対策を考えていた位だ。流石にツーマンセル・トーナメント直前のデータは公平性を保つ為に配信されてはいない。

 まぁ、一年目でそこまでやれる者が何人いるかと聞かれれば、余り居ないと答えるものが多いが。

 最初、箒は一夏がそういう事をしていると聞いた時には「本当に一夏か?」と聞いて凹ませてしまう珍事もあったりする。

 何にせよ、少しずつ変わってきているのだ、彼も、彼女も。

 以前の彼ならば対策なんて考えもしないで、取り合えずどうにかなるだろうで突貫する脳筋スタイルを採っていた筈だ。

 だが、箒(身内)が変わった事や、センクラッドとの会話や周囲の強さ、ラウラから投げかけられた言葉で、変わらざるを得なくなった。

 姉の庇護下から抜け出し、自らの足で均された道を歩み始めた。まだあくまで均された、という前置きがつくし、いずれそれも自分で決められる事になるかは定かではない。少なくとも、一歩以上の踏み出しとなっているのは間違いない。

 

「曲がりなりにも生徒会長の妹だし、ジャクリーンさんはあの時期で鈴と善戦していたから、あがってくると思う」

 

 ならば勝ち上がってくるのなら簪を集中的に攻撃するべきだろう、と箒は結論をつけ、次の、もっと言えばメインの確認に移る。

 決勝ではほぼ必ず、どちらかのペアが勝ち抜いてくると、2人は予測を立てていた。

 凰鈴音とセシリア・オルコットペアか、ラウラ・ボーデヴィッヒとシャルル・デュノアペアだ。

 

「鈴の見えない射撃と格闘戦、セシリアのBTとピンポイントでの狙撃が勝つか、それともボーデヴィッヒとデュノアの距離を選ばない戦術が勝つか、か……」

「どっちも有り得ると思う……あった、箒、これがデュノアさんの模擬戦データ」

「む、どれどれ――」

 

 一夏がシャルルの模擬戦のデータをクリックすると、代表決定戦が再生され始めた。

 柔らかい表情と一見すると女性に見えない事もない顔の造り。だが、小柄ながらも青くなり始めた顎が彼が男だと証明している。

 シャルルが纏っているISはデュノア社が単独で作ったラファールの後継機、ラファール・リヴァイヴを彼専用にカスタマイズしたものだ。基本装備を削り、その分拡張領域を倍加させた、継戦能力重視かつ全距離対応型の攻撃的なスペック。

 彼はそれを余す事無く使っていた。

 試合開始と共に、小気味良くブースターを小刻みに噴かしながら両手に持つアサルトライフルで機動力を削ぐように射撃を行い、女子生徒の動きを制限する。

 対する女子生徒は被弾しつつも、呼応するように前進した。手に持っているショットガンとブレードで速攻をかけようという事が丸判りだ。

 直線的に移動する女子生徒とは対照的に、緩やかな曲線を交えた機動を用いているデュノア。これでは勝負にならないだろう、と一夏と箒が検討をつけるほどに、習熟の差が有りすぎている。

 現に、前進の素振りを見せた途端、シャルルは小刻みに噴かしていたブースターを全速へと切り替え、徹底した距離の維持に努め始める。

 武装は未だ、アサルトライフル。

 

「このまま削り切るのか?」

「いや、そうはならなかったな」

「ほう」

 

 基本性能を削ったラファール・リヴァイヴ・カスタムIIとそうではないラファール・リヴァイヴでは速力に若干の差が出るのは当然だ。故に、女子生徒が徐々に距離を詰め、ショットガンの領域に差し掛かり、引き金を引いた瞬間。

 それは起こった。

 シャルルの両手それぞれに持っていたアサルトライフルが消え、左手には大きな防護シールドを、右手にはアサルトカノンを具現化させるまでにかかった時間は0コンマ以下。

 ソレを見た箒とデータ上の女子生徒は同時に絶句していた。

 

「これは……」

 

 瞬時という速さで武装の切り替えが出来る者なぞ、学園にも余り居ない。1年で見れば皆無だろう。無手の状態から武器を呼び出す場合は、それを考えるだけで良いが、武器を一度しまい、別種の武器を呼び出すとなれば話は全然違ってくる。かかる時間は凡そ2倍以上かかる筈の切り替えを瞬時に行ったシャルルは、天才か、それとも努力の賜物か、その両方か。

 特に、箒は戦慄していた。姉が作ったISの一端を知る程度の知識だが、シャルルの異質さは理解している。アレを機械の補助やコアと意識を共有させたりする事なしで出来るのならば、紛れもなくIS操縦者で言う処の『天才』だと。

 動揺した女子生徒がアサルトカノンの直撃を連続で喰らい、脱落判定が出たのはその直後であった。

 

「強いな」

「あぁ、強い」

 

 ぽつり、と零した言葉に偽りの響きは一切無い。箒の独り言めいた感想に肯定を持って返した一夏の表情は厳しい。他の代表候補生と比較して、何ら遜色なく、非常にやりにくいと感じているからだ。

 例えばセシリア。距離を離した戦いに定評があり、BTという遠隔操作武器の異質さから、やりにくい相手だと思われ勝ちだが、未だにBTと狙撃武器の同時活用が出来ない為、そこをつけば幾らでもやりようがある……まぁ、冷静な彼女が放つ遠距離射撃は命中率が半端無い上に、BT稼働率も独走しているので、非常にやりにくい相手である。特に一夏とは相性が究極的なまでに悪い。ただそれは逆でも言える。

 例えば鈴音。基本的に近中距離戦のみで戦い、見えない砲弾を撃ち出す龍咆の特性を駆使し、一定距離内では無類の強さを発揮する彼女だが、武装が極度に限られている上に速度が無いという弱点を抱えている。その分安定性と耐久性はかなりのものだし、そもそも彼女はまだ習熟して1年程度でこの実力だ、素質だけで見れば一流の遥かに上をいっている。それは、戦った箒が一番理解している。

 それでは、デュノアはどうか。

 拡張領域を倍加させたという事は、多数の武装を持っているという事。彼専用にカスタマイズされているという事は、それに慣れているという事でも有るのは、先の高速切替で判明している。

 救いがあるとすれば、基本性能が低下している点と量産型の発展機である故の、言い換えれば専用機ではない以上『今までに発表されている武器』だけを選別して装備している、この2点だ。

 基本性能の差をどうにかして突かなければならない。一夏と箒は難しい顔を見せ合いながら、意見を交換していき、最後にと再生した映像に映し出されているのは、ラウラ・ボーデヴィッヒであった。

 苦虫を噛み潰したような表情で、ラウラの動きを見る一夏。そこに激情の色は無く、暗い色も然程無い。

 

「やっぱ、言うだけあるよな……」

 

 そう零した言葉には、紛れもない賞賛が込められていた。

 引けばレールガンを必中の領域で当て、寄れば6本から構成されているワイヤーブレードで切り刻み、それを掻い潜れば両手にあるプラズマカッターで叩き伏せられる。

 それらが単品ではどうにかなるかもしれないが、ワイヤーブレードとプラズマカッター、或いはワイヤーブレードとレールガンの併用が前提で運用しているのだ、シールドエネルギー無視の零落白夜とブレード一本、かつ機動力重視の白式では突撃するしかない。

 ISの稼動時間の差はセシリアや鈴以上に差が開いている。後は奇策頼みとなるのは明白だが、相手はそれを見越しているのを前提で考えねばならない。

 以前、簪と3人で組んで山田先生と模擬戦をした際、ラウラは一夏を素人『めいた』行動を採らせている。完全に素人でもなく、極僅かながらもプロでもやるかもしれない程度の可能性を持つ行動を、だ。

 あの時点で、一夏の行動パターンは読まれているといっても過言ではない。事実、高機動を駆使し、自分の身を考えずに何らかの単一行動を採る事、これがISにおける一夏の全てだ。

 戦略構築、戦術の効果的運用、自身のISを深い領域で把握している能力、ISにおける必要な能力全てが一夏を凌駕している事は間違いない。

 これで他の代表候補生と同等の実力を持つシャルルと組んでくるのだ、敗北はほぼ確実だろう。常識的に考えれば。

 

「だけど」

 

 この勝負において、敗北は絶対に赦されない。

 このままでは織斑一夏で有る事を完全に否定されて終わりだ。証明し続けなければならない、自身が織斑で有る事と、一夏で有る事、両方を。今や織斑の名は更識やデュノア以上に大きく、今や一夏という存在は篠ノ之よりも重い。

 勝ち続けなければならないのだ。

 

「箒、聞きたい事があるんだけど」

「ん? 何だ?」

「ISが所持している武器って、他の誰かが使えるように……とか出来るのか?」

「あぁ、勿論。ただ、色々制約はあるが。例えば私が白式に許可した武器なら、一夏は扱えるが、その他のISでは扱えないままだ」

 

 成る程……と零した言葉は緩やかな速度で空気中に霧散した。一夏の頭脳はフル回転し始めている。

 白式にFCSは積まれていない。零落白夜に容量を全て取られている弊害だ。しかし、それは扱えないという意味ではない。ボーデヴィッヒからすれば素人の考え、浅はかだと断じられるであろう思考。

 しかし、ボーデヴィッヒは一夏の過去を知っているが故に、この戦術を採る事を想定していない。

 その思考の間隙を、一夏が穿とうとしていた。

 

 血に塗れた地面。

 歯の根が噛みあわず、震える腕で銃を手に取った、あの頃の自分。

 腕と肩に伝わった確かな衝撃。

 呻き声。

 大好きな姉の、今にも泣きそうな顔。

 

 ズキリ、とこめかみが痛むが、一切を無視した一夏は、今、覚悟を決めた。

 白式を受領した後、冷静になって考えてみればどう考えてもおかしいと思っていた。

 FCSすらない、まるで『撃つ事』自体を否定するようなコンセプト、ブレードオンリーの機体がどうして作られて、どうして届けられたのか。

 織斑一夏の過去を知っている者ならば、その配慮は当然だろう。

 その配慮を今、自分で否定しようとしている。

 

「束姉には悪い事する、かな……」

 

 想い人が意図せず呟いた言葉に、表情を強張らせる箒。

 何故そこで姉の名が出る、と喉元まで出掛かった言葉を飲み込み、箒は心を落ち着かせる事が出来たのは、ひとえに一夏が凪いだ表情を、覚悟を決めた雰囲気を出していたからだ。

 大切な何かを決めた、漢の顔。

 箒も一度しか見た事が無い、想い人の姿。

 何故も、どうしても意味を為さない、まるで一振りの刀のようなその顔に、箒はずっと昔からどうしようもなく惹かれているのだから。

 そして、一夏の提案に是非も無いと首を縦に振る箒。

 数日間の間に、一夏と箒は何処まで手が伸びるのだろうか。

 

 

 同時刻。

 ラウラ・ボーデヴィッヒとシャルル・デュノア。ドイツとフランスという東西的な意味でも有り得ない組み合わせがペアを決めたのは、偶然ではなく、上層部の意向だった。御丁寧に部屋まで一緒、ついでに言えば転入する時期も同じ。更識あたりはさぞ警戒しているに違いない、とラウラもシャルルも思っていた。

 

「それで、どうするのかな?」

「言った通りだ。誰が来ようとも変わらない。私が前衛ならば貴様は後衛、その逆も然りだ。貴様が得意とする戦術に合わせてやる。だが、織斑一夏に関しては手を出すな。アレは、一度折らなければならない。男性操縦者とブリュンヒルデの弟という肩書きの重さを知って貰わなければな」

 

 デュノアのオーダーに対して厳然たる口調で断じたラウラ。

 既に2人とも、予習というべきものは全て済ませていた。

 準決勝で当たるであろうセシリア・オルコットと凰鈴音ペアに対してだけではなく、誰を相手にしようとも、地力の差で勝てると踏んではいたが、慢心をしてしまえば敗北を喫する可能性が0ではない。

 それを0に近づける為の戦術構築やペア練習を、ラウラ達は粛々とこなしていた。

 

「男性唯一の操縦者、か……」

 

 複雑な色を宿した声で小さく呟いたシャルル。色々想う所はあるのだろう。

 本来ならば、シャルルは一夏と同室だった。

 だが、異星人の来訪と、それ政治がそれを変えた。何よりも優先すべきものを上の意向で勝手に変更させられた、と言っても良い。

 シャルルとなった意味が、失われたという事でもある。

 だが、シャルルはそこに絶望を感じてはいない。自らの人生は定められた手順と筋書きに従って勝手に動いているのだ、変えられるわけも無いのならば、早々に諦念するのが利口だと、固く信じていた。

 ラウラはその言葉を聞いていたし、その意味を情報として持っていたが、約定によってそれを口外する事は無い。哀れとも思わなかった。

 その道をラウラは既に通っているのだ、現在進行形で、シャルルよりも遥かに過酷な道を。故に、何ら想う事は無い。

 ただ、釘はさしておかねばならないだろう。

 

「感心しないな」

「え?」

「貴様は『2人目』だろう」

 

 その言葉に、表情筋を僅かに動かしたシャルルは、ごめん、と小さく謝った。

 それで、手打ちだ。

 

「織斑君は、上がって来れると思う?」

 

 話題を変える為に、シャルルは懐疑的な音で言葉を発した。たった数ヶ月、しかも専用の教育を受けずに放課後を使っての練習程度しかしていないという情報がある以上、習熟度の差は縮まらない。それはどんなに才能があったとしても、それを伸ばす時間が圧倒的に足りていないという事だ。

 しかしラウラは当然だと頷く。

 

「習熟度合いで考えるならば織斑一夏は論外だ。だが、奴は必ず、決勝まであがってくる」

「ふぅん。どちらにせよ、彼は特別だという事、かな」

 

 僅かながら皮肉を塗したシャルルに、その通りと頷いてみせるラウラ。

 ツーマンセル・トーナメントの対戦表を見るものが見れば、有る法則に気付くだろう。

 一夏ペアが左端、右端がラウラペア、ここまではまだ良い。だが、一夏達が順当に勝ち上がると仮定した場合、対戦相手の搭乗時間が徐々に増えていく事に気付く者は気付く筈だ。

 当然のように細工をしたのである。国が、組織が、企業が。

 ランダム抽選にしてしまえば、ラウラペアと一夏ペアが初戦で当たる可能性もあるし、セシリアペアが一夏ペアと当たる場合もある。その可能性を潰したのだ。

 織斑一夏と篠ノ之箒にとって、有る意味デビュー戦でもあるこの戦いにおいて、初戦敗退というのは些か都合が悪い。そうなれば侮る者達も出てくるのは必至だし、世間の反応は微妙なものになる筈だ。

 世界は2人の価値を損なう事を是とせず、価値は上げるだけ上げておきたいという思惑もあっての、組み合わせだった。

 もっとも、興行という意味では正しい事だ。表向きは競技であると謳っている以上、そこは避けては通れないし、そもそも2人はIS操縦者という意味では異質過ぎる。

 片や篠ノ之博士の妹、片やブリュンヒルデの弟であり、人類史上初の男性操縦者。

 貶めるよりは持ち上げた方が利になるのは自明の理だ。

 ついでに言えば、彼等がセンクラッド達と親交を温めているという点も見逃せない点だろう。IS学園の監視カメラを通して、センクラッドは幾人かにアドバイスを与えていたり、雑談を興じている事が確認されている。精神構造が篠ノ之束よりかは地球人類に似通っている可能性が高いという分析が成された以上、そこら辺も加味しているのは間違いない。

 

「特別というよりも、必然かもしれんがな」

「露骨過ぎる組み合わせだよ、本当に。でもそれだけで上がれる程、ISは甘くはないと思うけど」

「この程度なら上がってくるだろう。織斑の成長には眼を見張るものがある」

 

 その言葉に、シャルルは意外だという感想を持った。横顔を見ると、至極当然のような表情をしていた。瞳は冷え冷えとした輝きが宿っているのは何時もの事だが、一夏の話題となると顔を歪めているのが普通であった。

 

「白式のカタログスペックを見た。酷いものだ、半分程度しか良さを引き出せず、5割り増しで欠点を露呈しているような技量の無さが目立つ劣等生」

 

 淡々と告げるラウラは、感情を脇に置いての感想しか述べていない。確かに一夏は白式のスペックをフルに引き出しているとは言えない。零落白夜の使用タイミングとかではなく、機動力において本来のスペックを出し切っていないし、動きもようやく直線的ではなくなりつつあるが、未だ荒削りだ。

 しかし――

 

「だが、奴は初戦で白式を受領し、1次移行を終えずして10分もの間、専用機持ちと渡り合った」

 

 その言葉に、沈黙を選ぶシャルル。自分ならば出来るだろうか。ブレードオンリーの機体で、新型の、それも最適化していないISでブルー・ティアーズをかわし続ける事が出来たのか。

 ISの知識と搭乗時間が有る程度あり、打鉄やラファールならば、10分持たせる事は可能だろう。だが、一夏はその両方が極端な程無い。IS学園に来てからすぐに、だ。

 自分では絶対に不可能だと、シャルルは断定した。

 学園内のデビュー戦と考えれば、一夏の動きは異常だ。

 相手の攻撃や行動の癖を読み切って、肉を斬らせてでも骨を断つタイプ。言うだけならば簡単だが、やるとなると極端に難しいもの。

 殴り合いのケンカでさえ、肉体は萎縮する。銃器ならば尚更だ。いかにISが安全神話を地でひた走ろうとも、人の根源に刻まれている恐怖を克服するには多大な時間がかかる。特に一夏は日本人だ。銃や闘争から離れて久しい日本人なのだ。

 どの意味に置いても時間を相当費やさねば出来る芸当ではない。だが、一夏はそんな時間など与えられていなかった。

 異常、異質、異端。

 織斑一夏は、人として何処か破綻しているのではないだろうか。

 シャルルがそう考えている間にも、ラウラは自身の考えと情報を述べていく。

 

「それに、放課後だけとは言え、オルコットや麒麟児と呼ばれている凰鈴音とも練習をしている。素人同士でやるよりも遥かに効率的に物事を覚えられるし、第三世代特有の特殊武装にも逸早く慣れる事が出来る」

 

 実際には口頭の説明だとあんまり良く判らないので、攻撃を受けたり動きを見て覚えるというスパルタな感じでやっていた。

 もしここにシャルルが加わっていた場合、一夏の成長速度は知識面でも大幅に強化されて正しく万能型に近付くのだが――

 

「中近距離の凰鈴音、遠距離と多角的攻撃のセシリア・オルコット、最近になって銃器の腕前も上がってきている篠ノ之博士の妹、篠ノ之箒。この3人に鍛えられているといっても過言ではない。現に、4名が連続してアリーナを借りている」

「……手の内が全部曝してしまう可能性があるのに、よくやるよ」

「仲が良い、だけではないな。政治的な意味合いも多分に含まれていると見て良い。勝ちを拾うよりも重要だと考えたのだろう」

「だろうね」

 

 乾燥した言葉は、真実を射抜いている。

 セシリアと鈴音は、ブリュンヒルデの弟であり男性唯一の操縦者、そして篠ノ之博士の妹との仲が良好だと、今やIS学園外にまで知れ渡っている。

 EUと中国が画策し、指令を飛ばし、新聞部のエースに打診して情報として発信させているのだ。無論、外部へと発信する場合はゴシップ関連を抜いて、という前提もつくが、黛薫子はソツなくこなしていた。

 どんな形であれ、リードをとっておきたいのはISに縛られた世界の宿命だ。尤も、ドイツもフランスも先んじたいものはあっただろうが、それを止めているのはラウラ自身と、シャルルの父だった。

 ラウラの場合は一夏を何処かで折らねばならぬと決めている故に、シャルルの場合は父の指令通りに。

 

「となると、ボーデヴィッヒさんは織斑君と決勝で当たると?」

「当然だ。あの組み合わせならば、必ず勝ちあがる。勝てなければ、それこそ嘘だ」

「……ええっと、嫌いなんだよね?」

「当然だ。大嫌いだ。奴の事を考えると虫唾が走る」

 

 嫌悪を露に断言するラウラを見て、苦笑するシャルル。こういう時のラウラは本当に年相応に幼く見えるのだ。小さな体躯と相まって微笑ましさすら感じる。

 

「だが、それとこれとは別だ。IS学園で他にそんな練習を積んだものなぞ一年には居ないし、適応力は随一だ。ならば、勝ちあがるのは必然と見るべきだろう」

 

 嫌悪感を薄れさせたラウラが放つ言葉。それは、素質的な意味合いでは織斑一夏を認めているという意味でも有った。

 故に、シャルルは多少の驚きと意外さを持って返す。

 

「よくまぁそんなに嫌いなのに、冷静に分析できるね?」

「冷静さを失うのは軍人として失格だ。戦争や戦闘は好き嫌いでするものではない。特にISを扱う者ならば尚更だ」

 

 面白くも無いと言わんばかりの口調。そこには言い知れぬ重みが含まれている。

 ISが台頭する前のラウラは、何をやらせてもエースだった。試験管ベイビーとして軍で生み落とされたラウラにはそれが全てだった。

 だが、ISが現れてからは全てが激変した。

 ISとの適合性をあげる為に行われた手術に失敗し、IS操縦者としては落第とまではいかないが、それまでエースとして君臨していた彼女が引き摺り下ろされる程度には、凡庸な腕前にまで落ちた。

 そこからは地獄であった。

 軍からは出来損ない扱いされ、ISを扱えるものと扱えないもの、上手下手、新たな『持つ者と持たざる者』の差別化が始まり、存在意義を見失ったラウラ。

 そんなラウラを救ったのは、織斑千冬であった。

 ラウラは生涯忘れない。

 自分に手を差し伸べてくれた千冬を。

 エースとして返り咲いた時、また周囲が掌を返した事を。

 持つ者と持たざる者の軋轢を。

 軍内部での自身の立場の危うさを。

 ラウラは生涯忘れる事は無い。

 

「仮に織斑君が勝ちあがったとして、僕が篠ノ之さんを撃破しても加勢しなくて良いの?」

「あぁ。貴様は砂漠の逃げ水(ミラージュ・ザ・デザート)を使って篠ノ之を撃破したら、待機してくれ。それで万が一、私が負けた時に織斑を撃破してくれれば良い」

 

 万が一も有り得ない……とは聞こえない響きに、綺麗に整えられた眉を寄せてシャルルは首を傾げる。そこまで危惧する事とは思えないし、一緒に組んだシャルル自身が理解しているのだ、ラウラは一年のみならずIS学園でも屈指の腕を持つという事を。

 専用機を操る腕、敵味方の戦力分析を正しく行い、そこから導き出される敵の戦術予想の的中率や指揮能力に疑う点は皆無だ。あるとすれば、特殊部隊に在籍していた為か、多少なりともIS学園の生徒達の行動や活動に嫌悪や疑問点を持っている事だが、勝負にそれらを持ち込む事は無い筈だ。あったとしてもそこは自分が居るのだ、フォローはどうとでも出来よう。

 だからシャルルは不思議に思ったのだ。

 

「万が一……有り得るのかな?」

「想定外の事態なんて幾らでもある。負ける気はしないが、織斑の素質と戦闘時における眼の良さは異常だ。見に徹してきた時の回避率は尋常ではないのは、観ただろう?」

「それは、そうだけど……」

 

 どうにもそれだけではない気がしたのだが、それを含ませた言葉にラウラは答えず、そろそろ就寝時間だと呟いてPCの電源を落とし、寝る支度を始めた事で、この疑問は解消されずに終わる事になる。

 その翌日、シャルルとラウラに一本の通信が入った。

 

 

 ツーマンセル・トーナメント前日。

 簪は二組に在籍しているパートナーの部屋に上がっていた。

 アメリカ国籍を持つ黒人女子生徒であり、ファラ・ジャクリーン。

 父は不明、母は売春婦という最底辺に位置する国民でありながら、地力でIS学園入学まで這い上がった不断の努力家。驚異的な事に何の後ろ盾も無しにこの学園に入学した女子生徒、とは本音からの情報だった。

 あの国の黒人蔑視、というよりも白人至上主義はEUよりはマシではあるが、それでも未だ根強い差別がある。

 その中で這い上がった彼女は、一体どれ程の努力をしてきたのか。それまでに一体どれ程の地獄を見てきたというのか。簪には理解出来ないし、想像すら出来ない存在でもあった。

 

「――で、順当にいけば準決勝でミスターと当たるけど、共闘してみてどうだったのさ?」

「……どうと言われても……」

 

 正直、困る。ついでに言うとミスターって何だ。いや生徒で見れば一人しかいないから判るけど、ミスターて。

 とは思ったものの、取り合えずはそれを脇に置いて嫌々ながらに思い出そうとする。

 正直、あの時の事など思い出したくも無い。自己と他者に対する嫉妬や嫌悪でイッパイイッパイになりながらも他人事のようにISを動かしていただけだ。思うところなぞ、一夏に対する恨み位しかないし、そもそも山田先生が強すぎて何を言えば良いかも判らない。

 単純に思考放棄しているという自覚はある。

 それでも出場する事になったのだから、せめて手は抜かないようにしようと、ちょっとした前向きな考えを持つようにはなっていた為、簪は一夏の行動を考えてみた。

 

「……無鉄砲、無謀、何をしでかすか判らない」

「そうさね、けどそれだけだと思うならダメだねぇ」

「駄目?」

「あぁそうさ。ちゃんと相手を見てやらないと、失敗しやすいもんさ」

 

 生返事を返しながら考えてみる簪だが、答えはでない。ま、そんなもんかね、更識の妹ってのは、と若干の失望を覚えながらも、ファラはそれをおくびにも出さずに手をヒラヒラとさせながら、

 

「眼が良いのと覚悟を持っているという事さ」

「覚悟?」

 

 そんなもの、あるのか?と訝しげに聞く簪に、獰猛で野性味溢れる笑みを浮かべ、手を銃の形にして撃つ真似をしたファラ。

 

「撃ち、撃たれる覚悟さ」

 

 少し考えて、簪は理解した。同時にその表情には驚きと困惑がない交ぜとなって浮かんできている。

 それは、つまるところ、言うなれば。

 殺し合いを許容するという意味ではないか?

 そう簪が確認すると、その通りさと頷いてみせるファラ。

 

「オルコットのお嬢サマとの対戦は見たかい?」

「一度だけ……」

「ミスターの動き、あんなの新兵じゃ到底できやしないよ。銃口を向けられても脅えず、動じず、冷静に対処する。アンタに出来るかい?」

 

 そう言われてみれば、確かにそうだ。簪は更識であるが故に、銃や刃に関してかなりの知識と経験を持っている。だが、一夏はどうだろうか。ド素人の域から出ない筈の、剣術を修めていたという理由では済まされない程、彼は常に冷静だった。あの瞬間だけを切り取ってみれば、十中八九、一夏をアマチュアと判断出来る材料は消失していた。

 ふるふると首を振って否定した簪を見て、笑みを満足気なそれへと変質させ、ファラは続ける。

 

「アレをクソ度胸と言うのは間違いだ。無鉄砲、無謀、何をしでかすか判らないじゃない。計算して無謀に走れる大馬鹿野郎さ。あぁ言う奴は、あと少しというところで盤上ごとひっくり返してくる、厄介なモンさ」

「けど、彼の操縦技術はまだ未熟――」

「そう、確かに未熟さ。けど、模擬戦……戦えば戦う程、伸びるタイプだ。いや、ありゃ伸びるってモンじゃない。化け物だね。賭けても良い、ミスターを先に、出来るだけ早く潰さないと、アタシらは負ける」

 

 あっけらかんと敗北宣言を出したファラに、多少むっとなりながら簪は反論する。

 幾らなんでも、勝ち上がる可能性は低いだろうと。

 簪もトーナメント表を見て把握はしていたが、それだけで勝ち上がるのは難しいと判断している。

 これは、シャルルとラウラの焼き直しだ。

 同じような反論と推論を交え、結果としては箒ではなく一夏から潰しにいくというところ以外は、変わらないものだった。

 だが。

 ファラが話し合いの最後に、唐突に向けてきた言葉。

 それが酷く苦いものとして残った。

 

「そうそう。誰彼恨むのは構いやしないけど、流石に限度があるさね。聞いていないアタシでも判っちまう位、恨んでんなら、いっそ真正面からぶっ飛ばしてやりな」


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