Persona4 The StrikerS in MID-CHILDA (現在、凍結中…)   作:Neo-PSI

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第33話『続・笑撃』

>すずかとの語らいが終わり、出発の準備が整った・・・。

 

>名残惜しそうにしていた彼女だが、晩御飯の準備に取り掛かるためアリサと共に材料の調達へと向かった・・・。

 

 

「さて、それじゃあ改めて今回の任務を説明するよ?レイジングハート、お願い。」

 

【了解。】

 

 

 

先程までのすずかが生み出していた雰囲気とは打って変わったこの場で、凛とした表情のなのはがレイジングハートを取り出し、ホログラムの地図が映し出される。

 

 

「捜索地域はここ、海鳴市の市内全域。」

 

「これは・・・。」

 

 

悠が注意深く見詰めているとその映し出された地図上に1つずつ・・・計3つのマーカーは反応があった時間帯と共に順に記されていく。そのマーカーは一点に集中せず、それぞれ間隔を広げた位置に点在している。「移動してますね・・・。」

 

「そう。誰かが持って移動しているか、独立して動いているのか分からないけど・・・。」

 

ティアナ、そしてフェイトもそれを見て考えを巡らせている。どうやらこれは一筋縄ではいかなそうだ。

 

 

 

「あれ?ロストロギアって“物”なんですよね?自分勝手に動くことなんてあるんですか?」

 

「あ、えっとね?ロストロギアって言っても色々あるから、一概に“物体”とは限らないんだ。中には自分の意思を持っている“モノ”もあるしね。」

 

「はぁ~、成程~。」

 

 

 

>陽介からの疑問をフェイトが補足しつつ、任務内容の確認は進められていく・・・。

 

 

 

「仮に“レリック”だったとしても、この世界は魔力保有者が滅多にいないから暴走の危険はかなり薄い・・・。」「とは言え、相手はロストロギア・・・。何が起こるか分からないし、場所も市街地・・・。油断せずにしっかり捜索をしていこう!」

 

「「「「はい!!」」」」

 

「はい!!」

 

「ういっす!!」

 

「押忍!!」

 

「アイアイ、サー!!」

 

「了解です!」

 

 

 

フェイト・なのはの号令の下、フォワード陣・自称特別捜査隊のメンバーは気合の籠った声を返す。

 

 

「あ~・・・、とその前にちょっと良いッスか?」

 

「「「「「「「?」」」」」」」

 

 

気合が入ったと思った矢先、陽介が頭をかきつつ皆を制するように声を上げた。

突然声を上げた陽介に魔導士組の面々は“?”と首を傾げている。

 

 

「どうしたクマか?ヨースケ?」

 

「どうかした?じゃね~だろうが、クマ吉・・・。お前、そのカッコで街に行く気かよ・・・。」

 

やれやれ、と言った風に陽介は首を振っている。陽介からの答えに魔導士組の全員も“あっ!”と言った表情になる。

 

 

「あ~・・・。そう言えばそうだね・・・。」

 

「すっかりクマ君に見慣れちゃって、全然考えてなかったよね・・・。」

 

「そうやなぁ~・・・、どうしたもんやろか・・・。」

 

 

任務の前に思わぬ難題にぶつかった事で、なのは達の険しくなっているが・・・。

 

 

「クマ、服は持ってきてるか?」

 

「チッチッチ・・・。侮ってもらっては困るクマよ、センセイ・・・。その辺りに抜かりはないクマ!」

 

 

問題発生から1分と経たずして、問題はあっさり解決した。

 

 

「な、なんや、服持ってるんか?クマ君?」

 

「フッフゥ~ン・・・、ここにあるクマよ!」

 

 

はやてからの問いかけにクマは胸のあたりを自慢げに“ポンッ”と叩いている。

 

 

「あ、ああ~・・・、キグルミの中にか・・・。なるほろ・・・。」

 

「だったら早くコテージに行って、着替えてこい。」

 

「あ~い!」

 

 

>陽介に促される形でクマはコテージへと着替えに向かった・・・。

 

 

 

>・・・・・。

 

 

>クマが着替えをしに、コテージへと向かって数分・・・。

 

 

 

「それにしても・・・、クマ君の中身か~・・・。」

 

「一体どんな姿なんやろうな?興味あるなぁ~。」

 

 

 

待っている間やる事の無い面々、なのはとはやては各々クマの中身について空想を膨らませている。

 

 

 

「初めて会ってから1週間以上経ってるけど、キグルミを脱いだ姿は見た事なかったね・・・。」

 

「エリオ君は見た事無いの?」

 

「僕も無いよ。お風呂とかでも会った事無いし・・・。」

 

「ああ、あのクマ公ここぞとばかりに夜更かして不規則な生活送ってるからな・・・。知らなくても、無理ねぇぜ・・・。」

 

 

完二はフェイト・キャロ・エリオの間にはいる形で会話に混ざっている。

 

 

「て言うかあいつのキグルミって、一体どんな構造してんだ?飯食べる時も脱がずに、そのままの格好だったし・・・。」

 

「ああ、確かに・・・。」

 

「一々気にしてたらやっていけねぇよ、あれは・・・。ハ、ハハハ・・・。」

 

 

ヴィータとスバルはクマの珍妙な行動を思い返しながら苦笑いを浮かべている・・・。それにつられて陽介も過去の思い出を掘り返して同じく乾いた笑みを浮かべている。

 

「これまであまり触れていなかったが、あいつについて知らない事が多いな・・・。」

 

「なんだかんだ、有耶無耶なままになってましたし・・・。」

 

「そもそも何でクマ君あんな格好しているのかしら?」

 

「ですね~。」

 

 

シグナム・ティアナ・シャマル・リインも、クマについてのあれこれ様々な事を思い返している。

 

 

「そこは・・・、彼にも色々事情があるんです。」

 

「そうだな、色々・・・。」

 

「「「「「「「「「「?」」」」」」」」」」

 

 

それをまとめて発した直斗・悠の声色になのは達が若干の違和感を覚えていると・・・。

 

 

 

 

「皆、お待たせ!」

 

 

>背後から声が聞こえてきた・・・。

 

 

 

「ああ、クマ君か?待、っとった、で・・・・?」それが耳に入ってきたことで皆は雑談、そして違和感について考える事を止め振り返る。

 

・・・すると、まるで世界から音が消えたかのように周囲一帯から音が消え、声の主を見た途端にまるでお化けでも見たかのようにはやての顔は一瞬にして固まってしまった。

 

他の魔導士組の面々も同じだ。

 

 

何故なら・・・。

 

 

「だ、誰や君!?」

 

 

そこにいたのはボタン部分に白いフリル、胸元に赤いバラがあしらわれた服とスラリとしたズボンを着た金髪碧眼の美少年だったからだ。

 

 

 

「あ~、皆さん?言いたい事はよ~くわかります・・・。」

 

「ま、まさか・・・。」

 

 

何となく予感はしているが未だ信じられないのか、“プルプル”と震えながらはやては陽介へと視線を向けたまま、その少年へ指をさしている。「はい・・・、間違いなくこいつはあのクマ吉です・・・。」

 

「どうかしたの?皆?」

 

 

 

陽介から告げられた言葉に漸く思考が追いついたのか、皆はまるで油の切れた機械の様に“ギギギッ・・・”っと不思議そうな顔をして首を傾げているクマへと視線を向け・・・

 

 

 

「「「「「「ウッソォォォォォォォォォォ!!??」」」」」」」

 

 

 

静寂を壊すには十分過ぎる、つんざくような悲鳴にも似た叫びを上げた。

 

 

 

「う、うそや!私は信じん!クマ君の中身がこんな金髪の美形やなんて!」

 

「はやてちゃん!?それは流石に失礼だよ!?」

 

「そ、そうだよ、はやて。確かに私も驚いたけど。」

 

「なのはちゃん、フェイトちゃん・・・。せやけど、せやけどな!信じれんもんは信じれんのや!」

 

「は、はやて、落ち付いてくれよ!」

 

「正気に戻って下さい、主!」

 

「気をしっかり持って!はやてちゃん!」

 

「こ、こんなはやてちゃん、見た事無いです!!どうしたらいいですか!?」

 

 

 

予想だにしないクマの中身にはやての関西人の血故かツッコまずにはいられない様で、ある種のパニック状態を起こしており、なのは・フェイトそして守護騎士3名にリインも何とか落ち着かせよう“アタフタ”している。

 

 

>『言霊使い』の伝達力で落ち着かせよう!

 

 

悠もさすがにこのままではらちが明かないとはやてに声をかけるが・・・。

 

 

「は、はやてさん!?ちょっとおt「私はもっとお笑い芸人風のおもろい顔が出てくると思っとったのに!!」・・・・・。」

 

 

>・・・だが通じない!!

 

 

「だ、ダメだ・・・。幾らやっても今の俺の伝達力でも止められる気がしない・・・。」

 

「お、お前でもか・・・。」

 

「な、直斗・・・。オメェ何とかできねぇか?」

 

「ゴメン・・・。僕も自信がない・・・。」

 

 

 

特別捜査隊、そして他の面々もさじを投げかけようとしていた。

 

その時!

 

 

「オー、ベイビーちゃん達。そんなにクマの魅力に驚かないでよ〜。」

 

 

そんな状況のはやて達を制するようにクマが一声上げた。

 

すると・・・。

 

 

「・・・・・。」

 

 

 

あれだけ騒がしかったはやてがピタッと止まったのだ!

 

 

「あ、あれ?はやて、ちゃん?」

 

「はやて?」

 

「ゴメン・・・。落ち付いたわ・・・。」

 

 

そして深呼吸しクマのへと視線を移した。

 

 

「可愛い外見しとったから、“ちょっとええな〜”と思った・・・。」

 

(おお!?まさかの逆ナン成功!?)

 

 

はやてからの思わぬ好印象にクマの内面世界は天国の様に華やかなものとなっていく。

 

しかし、現実は無情であった。

 

 

「けど今のセリフで一気に冷めたわ・・・。確かにクマ君や・・・。これは無いわぁ〜・・・。」

 

「が、がっくし・・・orz」

 

 

クマは一気に地獄へと叩き落とされたのであった・・・。


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