Persona4 The StrikerS in MID-CHILDA (現在、凍結中…)   作:Neo-PSI

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第30話『地球』

>・・・・・。

 

>キャロと完二そしてフリードの触れ合いから数日後・・・。

 

 

あれ以降、気持ちに余裕が戻ったのかキャロの体調はすっかり元通りになった。完二との仲も良好だ。

さらに内向的な性格も少し緩和された様で、前より明るくなったように見える。

 

 

>そして“こちらの世界”に来て、丁度10日が経過した日・・・。

 

あれからも機動六課の人間たちとの交流は深まり、ロングアーチ部隊長補佐「グリフィス・ロウラン」、ヘリパイロット「ヴァイス・グランセニック」をはじめとした面々とも知り合いになった。

 

 

朝の訓練を終え一息ついていた悠は現在ブリーフィングルームに向かっている。

 

実は緊急の要件として、なのはから念話で急遽呼び出されたのだ。急いで来て見るとそこにはスターズ分隊のメンバーであるスバルとティアナ、隊長のなのはが既に集まっていた。

 

 

「来たね悠君。」

 

「すみません。待たせてしまいましたか?」

 

「ううん、大丈夫だよ。気にしないで。」

 

「そうですか、よかった・・・。」

 

 

最後に来た事に謝罪を入れ、悠もスバル達と同じ様に席に着いた。

 

 

「それで、緊急の用件とは?何かあったんですか?」

 

「うん、実はうちに異世界への派遣任務の要請があったの。」

 

「え、派遣任務・・・ですか?」

 

「しかも異世界に?」

 

「うん、決定事項。」

 

 

なのはから告げられた内容にスバル、ティアナの両名が言葉を発した。2人にとってもあまり馴染みのない内容の様だ。その証拠に探る様な声をしている。

 

 

 

「機動六課への派遣任務要請・・・、と言う事は矢張り・・・。」

 

「そう、六課の管轄であるロストロギア関連・・・。それでね?私やスバル達と一緒に悠君達にも来てほしいの。」

 

「俺達も・・・ですか?」

 

 

 

仕事を手伝えるようになる事は決まっていたが、局員でない自分も?と悠は一瞬思ったが、自分達が呼ばれたと言う事はつまり関係のある“何か”があるのだろう。その疑問は同じく一瞬の内に消え去った。

 

 

 

「うん、急で悪いけど、皆を集めて2時間後に屋上のヘリポートに来てくれる?」

 

「分かりました。では、直ぐに皆を集めてきます。」

 

「お願いね?」

 

「はい!」

 

 

>緊急の要件とあって、内容を聞いた途端、皆を集めるべくブリーフィングルームを後にした・・・。

 

 

 

>・・・・・。

 

 

>2時間後・・・。機動六課、屋上ヘリポート・・・。

 

 

 

>特別捜査隊の面々を連れてやってきた・・・。

 

 

 

現在この場にはスターズ、ライトニングのメンバーとロングアーチからは、はやてとシャマル、ほぼフルメンバーと言ってよい程の人数が集まっている。

 

 

 

「えらく人数多いですけど、大丈夫なんですか?機動六課(ここ)の人員が足りなくなるんじゃ・・・。」

 

「大丈夫。留守の間の事はちゃんと、グリフィス君やザフィーラに頼んどるから心配あらへんよ?それに、相手は未知のロストロギアやからね。念には念をってことで。」

 

 

 

主要メンバーの殆どが出撃と言う事もあって、不安を感じた陽介が質問するが、そこは「流石は部隊長」とでも言うべき所か、はやての方でしっかりと対応策が講じられていた。

 

 

 

「後は、行き先もちょっとね・・・。」

 

「行き先・・・どこなんですか?」

 

 

 

メンバーを収集しに行った悠は疎(おろ)か、あの場に残ったティアナ、スバルにも詳細は明かされていなかったようだ。そして、遂に任務に関する情報の一部が明かされた。

 

 

 

「第97管理外世界・・・現地惑星名称『地球』。」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

はやての口から紡がれた想像もしていなかった内容に特別捜査隊の面々は衝撃を受け、『地球』に対してあまり馴染みの無いフォワード陣も互いの顔を見合せながらざわざわと、どよめいている。

 

 

「その星の小さな島国の小さな町・・・『日本、海鳴市』。ロストロギアはそこに出現したそうや。」

 

「日本・・・、海鳴市・・・。」

 

 

(どう言う事だ?イゴールは異変を解決しなければ帰れないと言っていた筈・・・。)

 

 

そう、確かにイゴールは帰るには異変を解決しなければならない、と言っていた。ならば当然地球に帰る事は、現在出来ない筈。あのイゴールが間違った事を言うとはとても思えない悠は、驚愕を顔に出さずにその事について思考を巡らせている中、そのまま会話が続いていく・・・。

 

 

「地球って、フェイトさんが昔住んでた・・・。」

 

「うん。」

 

 

保護者であるフェイトの故郷と会って、キャロも少なからず興味をそそられている様だ。

 

 

「私とはやて隊長はそこの生まれ。」

 

「そや。」

 

 

生粋の日本人である両隊長も懐かしそうに話している。こうして会話している時は年相応の女性に見える。

 

 

「私達は6年程過ごしたな・・・。」

 

「うん、向こうに帰るの久しぶり。」

 

 

 

普段、凛としているシグナムも今は柔らかな声でシャマルと会話している。

 

 

「まぁ、ある程度の広域捜査になるから、司令部も必要やしな。」

 

「つぅ事で出発だ。準備は良いか?」

 

「「「「はい!!」」」」

 

「では・・・、出発!!」

 

 

 

>そんなこんなで一通りの説明が終わった所で移動のためにヘリに乗る事となった・・・。

 

 

 

>・・・・・・。

 

 

 

>ヘリ内部・・・。

 

 

 

>フォワード陣となのは達はこれから向かう地球について、楽しそうに談笑している・・・。

 

 

だが、悠は未だに不安、疑問に思考を支配されている。

 

そんな中・・・。

 

 

 

「悠・・・、あんまり考え込むなよ?」

 

「陽介・・・。」

 

「そうですよ、先輩?」

 

「直斗・・・。」

 

 

 

両隣に座っている陽介と直斗が悠を心配するように声をかけた。流石、伊達に『相棒』と呼び合っている親友や仲間には今何を考えているのか御見通しの様だ。

 

 

 

「頭回らせるのも良いけどさ、俺は出たとこ勝負もアリだと思うぜ?」

 

「出たとこ勝負、か・・・。」

 

 

分からない時はいくら考えても分からないものだ。だったら如何事態が転ぶか、流れに身を任せるのも一興か。

 

 

 

「確かに、それも偶にはいいかもしれませんね。」

 

「そうだな・・・。それにしても意外だな。直斗がそう言った考えになるとは・・・。一番考え込むかと思ったが・・・。」

 

 

 

確かに一番理屈っぽい直斗がこんなギャンブルの様な答えに行き着くとは予想外ではあった。一体どうしてこの様な結論に至ったのだろうか。そんな事を悠が考えていると、直斗は穏やかで、そして力強い目でその理由を口にした。

 

 

 

「僕も・・・、先輩を信じていますから。」

 

「・・・ありがとう、直斗」

 

 

 

直斗から告げられたその言葉は、素直に嬉しいもので、自然と頬が緩み直斗に微笑みかける形となる。その顔に心なしか直斗の頬は薄いピンク色へと変わり、微笑み返している。

 

 

 

「先輩!男ならこういう時はデンッと構えてりゃ良いんスよ!!」

 

「そうクマよ?センセイ!!クマの様にデンッ、とね!!」

 

「お前はデンッと構え過ぎだろ!!少しは考え巡らせよ!!」

 

 

完二、クマも一人で悠を気遣って声をかけていき、クマの言葉にまた陽介が軽快なツッコミを入れていき、クマが陽介の前に飛び出し更に反論。そして結局、何時も通り“巻き込まれ要員”の完二や“ストッパー役”の直斗も巻き込んだ大騒ぎへと発展していく。

 

 

「鳴上さん、どうかしたですか~?」

 

 

そんな中、リインがなのはたちから離れて悠の方にやって来た。まだ幼さが残っている子供そのものな彼女は、小さな感情の異変にも敏感なようで悠を気遣いに来たらしい。

 

 

 

「ありがとう、何でもないよリイン。それよりもその姿・・・。」

 

「あ、これですか?地球に行くとなれば“これ”でないといけませんから!」

 

 

 

気遣いに来てくれた事に感謝の言葉を述べるが、そこには“何時ものリイン”はいなかった。何故なら、今リインはエリオやキャロより少し小さいくらいの、“普通の少女”の大きさになっているのだ。

 

これについては悠も少し驚きはしたが「まぁ、魔法なら何でもありだろうな」と自己完結してしまった。

 

 

 

「普通の人の大きさになれるんだな・・・。」

 

「はいです!」

 

「フフッ、何だか・・・嬉しいな・・・。」

 

「はい?」

 

 

笑っている悠に対して、リインは“?”とばかりに首を傾げている。何がそこまで嬉しいのだろうか。

 

 

「ちゃんとリインと手を繋ぐ事も、掌で頭をなでる事も出来るからな・・・。」

 

「あぅ・・・。え、えへへ・・・。」

 

 

そう微笑みながらリインの頭をなでる悠。1年間共に過ごした従妹を懐かしんでいる様だ。今までの乱れてかけていた心が嘘のように落ち着いている。

 

 

悠の思いがけない笑顔と行動にリインは驚きながらも頬を赤く染めて、にへら~と笑い、悠とは対照的にその心は徐々に乱れ始めた・・・。

 

 

>何処か肩の力が抜けるのを感じた・・・・。

 

 

 

>『転送ポート』から、地球へと向かおう・・・。


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