Persona4 The StrikerS in MID-CHILDA (現在、凍結中…)   作:Neo-PSI

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第28話『相談』

>・・・・・・・・。

 

 

>陽介達がミッドチルダに来てから数日経った・・・

 

 

あの事情説明の後、陽介達も民間協力者として登録され、この機動六課の寮で生活を送っている。幸いな事に寮の空き部屋は結構余っているらしくその点は問題にならなかった。

 

 

ただ・・・

クマを1人部屋にして良いものか、ちょっとした問題となった。

 

 

「クマきちを1人にしたら何しでかすかわかんねぇぞ。下手したら何か騒ぎを起こしかねん・・・。」

 

「んな!?しっけいな!クマはもう1人で生活ぐらいできるクマよ!」

 

「嘘つけ!前にお前の部屋見たら、散らかり放題の汚れ放題だったじゃねえか!!」

 

 

・・・といった陽介の発言もあり、結局以前からクマと居候として共に生活をしていた言い出しっぺの陽介が同室になる事で解決となった。

 

因みにその際・・・。

 

 

「また俺がクマの飼育係になるのかよ・・・。ああ、俺の優雅な1人暮らしが・・・。」

 

 

と陽介は一人ぼやいていたが・・・。

 

まぁ、それは置いといて、その後も様々な事があった。

 

 

まず八神はやての守護騎士達“ヴォルケンリッター”の中でただ1人の男、ザフィーラとの邂逅があった。

 

では、早速その時まで遡ってみよう・・・。

 

 

>・・・・・。

 

 

それは完二達のペルソナのお披露目があった後の夕方、寝床となる寮へ悠達がはやての案内でやって来た時の事であった。

 

 

 

「おお~!!ひろ~い!!」

 

「うぉお!!すっげぇ!!ここに住めんのか!?いやぁ~こういう所に住むの、実は結構憧れてたんだよね~!」

 

 

 

機動六課の寮はそんじょそこらの高級マンションよりもスタイリッシュなデザインのものであり、クマと陽介は歓声を上げていた。

 

 

「ほぉ・・・、これは確かにすごいですね・・・。ん?」

 

 

直斗も寮の洗練さに感心していると何かを見つけ、その一点で視線が止まった。

 

 

「どうした直斗?お?」

 

 

どれに気付いた完二、そして興奮状態だったクマと陽介、悠もその視線の先を見るとそこに静かに佇む1つの存在がいた。

 

 

「ああ、紹介するな?この子は私の守護騎士の1人、ザフィーラや。」

 

「・・・・・。」

 

「「「「「・・・・・。」」」」」

 

 

 

はやてが手で示す先には青い体毛を靡(なび)かせる1匹の動物がいた。

 

だが、紹介を受けても陽介達は固まったままであった。

 

只でさえ青い体毛、更に額に青い宝石のような物が埋め込まれた動物相手にどう対応したものかと悩んでいるのだ・・・。

 

すると、悠が静かにザフィーラの下に歩み寄り・・・。

 

 

「・・・・・。」

 

 

ザフィーラの目線と同じになる様に片膝をついて屈み、無言で手を刺し伸ばした。

 

そして・・・。

 

 

「・・・・・。」

 

 

それに答えるようにザフィーラも前足を悠の手へと伸ばし・・・、握手(?)を交わす。

 

 

「「・・・・・。」」

 

「お、おい・・・。何なんだ・・・?この状況・・・?」

 

「ちょ、・・・ザフィーラ?・・・ゆ、悠君?ふ、2人共・・・?」

 

 

 

奇妙な沈黙に包まれたこの場に耐え切れなくなった陽介がポツリと呟くと、それに続いてはやてが一向に動きを見せない両者を交互に見ながら話し掛ける。

 

 

 

「・・・お前とは何故だかうまくやっていけそうな気がする。」

 

「・・・俺もそう思う。」

 

「フッ・・・。ザフィーラだ。宜しく頼むぞ。」

 

「俺は鳴上 悠・・・。こちらこそ宜しく・・・。」

 

 

 

如何やら寡黙な者同士、何か親近感を感じた様で握手1つで友好関係を気づいた2人。

 

 

「おお・・・。センセイ、凄いクマ!!」

 

「全く・・・、先輩らしいですね。」

 

「流石先輩!!言葉なんざ必要ねぇってことっスね!?正に漢っスよ!」

 

「いやいやいや!!意味分かんねぇよ!!つうか、喋れるってところはスルーかよ!?」

 

「おお!陽介くん!ナイスなツッコミや!!」

 

 

・・・・・とまぁ。

 

色々と本当に色々あった訳だが、その中でも行動できる範囲が広がったという事が大きいだろう。

 

 

取り敢えず生活する場は確保できたが、如何せんやる事が無いため数日後には皆が暇を持て余してしまっていた。

 

一応、訓練に参加して体を動かすと言う事は可能なのだが、それは1日の中でもほんの一部分だけ、問題解決にはならなかった。

 

それを見かねて「特別捜査隊」リーダーの悠が同じく、「機動六課」のリーダー的存在のはやてに掛け合った結果、暫らくしたら六課の仕事を手伝える事になった。

 

これによって悠達も給料を得る事が出来るようになり、行動の幅も広がった。元々お金は協力者と言う事で支給される筈だったそうだが、これで1日1日が非常に充実するだろう。

 

 

そんなこんなで、1週間が経過しようとしていた頃・・・

 

 

「あの、鳴上さん・・・。」

 

「ん?」

 

 

>食堂で昼食を1人で取っていると、キャロから声をかけられた・・・。

 

>何故か怯えている様に見える・・・。

 

 

人見知りな性格なのは初対面の際に既に分かってはいたが、どうも様子がおかしい。

少なくとも1週間顔を合わせている悠に対して、キャロは既に普通に話ができるようになっていた筈だが・・・。

 

 

「キャロ、どうかしたのか?」

 

「あの、相談したい事が・・・・。」

 

「相談したい事?」

 

「はい・・・。」

 

 

様子がおかしいという直感は当たっていたようだ。どうやら何か問題を抱えているようだ。

 

 

 

>キャロから突然相談事を持ちかけられた・・・。

 

 

 

>・・・・・。

 

 

 

>場所を変えて、機動六課ロビーの休憩スペース・・・

 

>詳しく話を聞いてみた・・・。

 

 

 

「“完二が睨んでくる”?」

 

「はい・・・。」

 

 

 

相談事と言うの悠の後輩、“巽 完二”についてのものだった。それを話すとポツリポツリとキャロは言葉を発して行く。

 

 

 

「時々、なんですけど、私を見て険しい顔をしてるんです・・・。」

 

「険しい、顔・・・?」

 

「はい・・・。」

 

 

完二とは学校での生活の時と同じ様に接しており、特に変わった様子は見えなかった。改めて最近の出来事を思い出してみるが、これと言ったものは浮かんでこない。

 

 

「あの、私何か気に障る様な事をしたんでしょうか・・・。」

 

 

只でさえ完二の風貌に恐れを抱いており、相手を気遣う慈悲の心に溢れたキャロは自分が悪い事をしたのでは、と言う自虐的な考えで、さらに自らを苦しめてしまっているようだ。

 

 

まずはキャロの心の静めなければ、でないと心も体も幼い彼女は体調まで崩しかねない。

 

 

 

「キャロ、そう考え込むな。落ち着いて。」

 

「は、はい。」

 

「分かった、俺の方でも完二の様子を見てみる。だから心配するな、な?」

 

「はい・・・、ありがとうございます・・・。」

 

 

 

相談事に乗ってくれたのが、悩みを解消することを約束してくれたのが、嬉しかったのか僅かだがキャロの表情が柔らかくなった。

 

 

 

>クエスト“完二からの視線”の依頼を受けた。

 

 

 

 

 

 

>これから完二の様子を注意深く観察する必要があるようだ・・・。

 

 

>・・・・・・。

 

 

>機動六課内、廊下・・・。

 

 

(それにしても、一体何故・・・? 完二がキャロに対して何か不快感を持っているのか?)

 

 

あれからキャロと別れた悠は自室に戻ろうと局内を1人歩いていた。何度も何度も記憶を振り返ってみるが、完二がキャロに不快と感じる所が見当たらない。だが、何か見落としているのではないかと再び記憶を漁るが、矢張り何も思い当たらない・・・。

 

 

そんな堂々巡りを繰り返し、若干俯きながら歩いていると・・・。

 

 

「お!先輩!」

 

 

何とも都合のいい事に、その渦中の人物“巽 完二”が丁度、前方の曲がり角から姿を現した。

 

 

「ん?どうかしたんスか?なんか暗いみてぇだけど・・・。」

 

「いや・・・、大丈夫だ。」

 

「本当っスか?」

 

「ああ。」

 

「なら良いッスけど・・・。」

 

 

考え事に没頭していたからか、表情が少し暗くなっていたようだ。その僅かな差を気付くあたり、完二が繊細な心の持ち主なのが分かる。

 

 

(やっぱり特に変わった様子はないな・・・。)

 

 

このほんの少しのやり取りを見た限りでは、矢張り完二に対して違和感はない。

益々キャロの相談事の内容が理解できなくなってきてしまった。

 

 

「(キャロにああ言ったが、俺も落ち着いた方が良いな・・・。) そうだ、完二。こっちの生活には慣れたか?」

 

 

悠は前々から気がかりだった事を質問して、気分を変えてみる事にした。

 

 

「ああ、今んところ、大丈夫っス!色々と俺なりに今後の事考えましたし!」

 

 

タフな精神も持ち合わせている完二は今の状況に問題なく適応しているようで生き生きとした表情で話している。

 

 

「ただ・・・」

 

「?」

 

 

と思ったら、今度は見る見るうちに表情が曇って行く。一体どうしたのだろうか。

 

 

「こっちの文字って英語に似てんのはいんだけど、読めないんスよね・・・。」

 

「ああ、成程・・・。」

 

 

異世界“ミッドチルダ”の文字は殆どが英語と同じで悠には問題にはならなかったが、赤点常連の完二には少々厳しい様だ。

 

完二らしい悩みに、悠はフッと笑顔を見せる。

 

 

「それだったら直斗に教えて貰ったらどうだ?」

 

「えっ!?な、直斗にッスか!?」

 

 

直斗の名前が出たら今度は完二の顔が徐々に赤くなっていく。何ともコロコロと表情が変わるものだ。

 

 

「ああ、直斗に1対1でしっかり教えてもらえればすぐに分かる様になる筈だ。」

 

「直斗と・・・、1体1・・・で?」

 

 

女性に対して余り免疫のなく、ましてや気になる存在である直斗と2人きりと言う状況を想像したからか、完二の鼻から血が垂れ始め、それに気付くと慌てて血を拭っている。

 

 

>・・・・・・・。

 

 

>完二と他愛のない話をして過ごした・・・。


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