Persona4 The StrikerS in MID-CHILDA (現在、凍結中…) 作:Neo-PSI
>・・・・・・。
>機動六課宿舎、悠の部屋・・・。
「・・・・・ん、んん。」
窓の外から差し込む日の光と小鳥たちの囀りが耳に入り、悠は目を覚ました。
〈PiPiPiPi!!〉
すると、それを見計らったように部屋に設置された時計のアラームも聞こえてきた。
もぞもぞと起き上がり、悠はアラームを止める。
「・・・・ふぅ。」
>ミッドチルダに来て2日目の「朝」だ・・・・。
>昨夜イゴールからの知らせで近々仲間の内、何人かがこちらに来るようだ。
昨夜、夢で現れたイゴールからの知らせを改めて反芻し、ベッドに座り考察する。
悠は今後何が起きてもいい様に考えを纏めようとしているようだ。
こういった問題は先に考えを纏めておくと万が一の不測の事態には、後に精神を安定へと導く重要な背骨(バックボーン)となる事もあるのだ。
早い話、心構えをしておくと言う事だ。
(何人かがこっちに来るらしいが・・・一体、誰が来るんだろうか・・・・。あと“目印”とは何なんだ?必ず分かると言っていたが・・・。)
あの時イゴールは悠の質問を有耶無耶にしてしまい、明確な答えが得られなかった。
思い返して見ると、何やら楽しそうな雰囲気を出していた。まるで悪戯を思いついた子供の様な・・・。
(・・・・・・まぁ、1つ問題も解決できたことだし、これ以上考えてもどうにもならないか・・・。)
色々と気になるが、いくら考えても明確な答えを出せるわけでもない。
故に悠は「兎に角、今日から気をつける以外にない」と言う結論を出した。
>今は待つ以外無いようだ・・・。
(そう言えば、今日から朝も訓練に参加するんだったな・・・。)
昨日の夕方から訓練に参加していたが、朝の訓練は今日が初めてだ。
悠は立ち上がって訓練を受けるための準備に取り掛かる。
運動性を重視した簡素な白いTシャツと黒っぽいズボンに着替える。
これは、機動六課の方で急遽用意して貰った、訓練を受ける際の服だ。
>今日から朝も訓練を受ける事になっている・・・・。
>訓練場に急ごう・・・。
>・・・・・。
>機動六課内、訓練場・・・・・・。
受ける訓練の内容は、体力作りを目的としたランニング等だ。
矢張り魔法を使うと言っても体力は必要とされる様だ。
ある程度体が出来上がっているスバルとティアナ、そして前衛がポジションのエリオは順調にこなしている。だが、完全な後衛、しかもフリードを使役して戦うキャロは若干動きが鈍い。
そして・・・。
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ・・・・・・」
今までの戦い、そして高校での部活動で体力はそれなりに在る悠も、順調に訓練を受けていく。
疲れ過ぎず、かと言って軽すぎない、何とも絶妙な訓練量だ。
それが終わった後は、なのは達の下でスバル、ティアナ、エリオ・キャロに別れて魔法の錬度を上げる訓練を受けている。
魔法を使えない悠は、この訓練の際は魔法に関して理解しようと、その訓練を見学している。
>スバル達と共に朝の訓練に励んだ・・・・・。
「朝」―――――→「昼休み」
>機動六課内、食堂・・・。
>朝の訓練そして午前中の仕事を終えたスバル達、そしてなのは・シャーリーと共に昼食を取りに食堂へとやってきた。
「あ~!お腹空いた~・・・。」
「僕もです・・・。」
朝の訓練の後に、昨日と同じ様に大量の料理を胃袋に納めて言ったスバルとエリオの2人が「もう倒れるぞ」と身体で表現するようにダラ~ンとしている。
「朝あれだけ食べたのに、もう空いたのか2人共・・・。」
「この2人は何時もこうですから気にしてたら身が持ちませんよ・・・。」
もう慣れたものなのか、ティアナはあっさりと言う。
だが、その表情は何処か遠い目をしている・・・。
まるで悟りを開いた様に・・・。
そんな中・・・。
「そ、そういえばさ、悠。ミッドチルダに関して色々勉強してるんだって?」
シャーリーが悠に話題を振ってきた。確かに悠は朝の訓練後もこの世界についての知識を得ようと、書物を読みあさっている。
だが、何だかシャーリーの様子が変だ。昨日の初対面の時の人懐っこそうな雰囲気が無い。
その証拠に頬がほんのり赤くなっており、声も若干強張っているように聞こえる。
「ああ、今後の活動にも必要だと思うし、何より異世界について知るのは楽しいしな。」
「じゃ、じゃあさ!わ、私が教えてあげようか?」
悠のその言葉に待ってました、と言わんばかりにシャーリーが身を乗り出して、提案する。
もうここまでくれば確定的だ。
やっぱりシャーリーの様子はおかしい。
(どうしたんだろう?何か変だね、シャーリーさん・・・。)
(エリオ君もそう思った?実は、私も・・・・・・。なのはさんは理由、分かりますか?)
(ん~?私にも分からないなぁ・・・。)
同じ局員であるなのは達もシャーリーの態度がおかしい事に感づいているが、如何せん“そういった方面”の知識・経験のない彼女達は首をかしげるだけだった。
「いいのか?仕事があるだろう?」
「だ、大丈夫だよ!」
悠は毎日働いている彼女の体調を機にかけるが、シャーリーは自分の体調についてまるで考えていないのか、即答する。
「だが、あまり無理をさせると悪いし・・・、そうだ。だったら1日置きで、仕事が終わってから、でどうだ?それだったら、シャーリーも体を休められるだろ。」
「う、うん。悠の都合に合わせるよ!」
「それじゃあ・・・、明日から頼めるか?」
「うん!」
何とか悠がお互い無理のない方法を考え提案すると、これまたシャーリーは即賛同した。
彼女は本当に分かって返事をしているのだろうか?
“○は盲目”とはよく言ったものだが・・・。
何と言うか・・・、シャーリーの今後が少し不安である・・・。
>そんなこんなで昼食を受け取り、悠達はまたテーブルに集まって一緒に食事を取る事にした・・・。
>賑やかな昼食になりそうだ・・・・。
「昼休み」―――――→「午後」
>機動六課、隊舎外・・・・・。
「・・・・・・・・。」
昼食を終え、悠は1人機動六課内の庭のベンチで暇を潰していた。
暇を潰すと言ってもただ空をぼんやり見ているだけだが・・・・・。
そこから見える空は悲しいぐらい真青で雲1つない快晴だ。
>午後の訓練までは、まだまだ時間がある。
以前にも記したように管理局の仕事を民間協力者は手伝う事は出来ない。
書類の作成なども機密事項なので一般人には見せられないのだ。
暇を潰すにしても今までが特に騒がしかったためか、1人でいる時間の進み具合がとても遅く感じてしまっている。
「退屈だな・・・。1人というのは・・・。」
悠が1人空に向かってそうポツリと呟くと・・・・・、
またも狙い澄ましたように異変が起こった!!
機動六課隊舎内からけたたましいアラーム音が鳴り響いたのだ!
急いで隊舎内に戻ると赤くミッドチルダの言語で「ALERT」の文字が表示されていた。
「ッ!?これは!?」
このアラーム音は、何か非常事態が起こった際に鳴らされるものだと、以前に説明を受け、そしてその際にはロングアーチへと来るようにとも言われていた。
「まさかこうも早く非常事態宣言が発令されるとはな・・・!」
少し溜息をつくと悠はロングアーチへと駆けだした!
>ロングアーチへと急ごう!
>・・・・・・。
>機動六課、“ロングアーチ”・・・。
厳戒態勢が敷かれているこの場の雰囲気は、まるでSF映画で見るような緊張感に包まれている。薄暗い部屋の中で凄まじい速さでタイピング音が聞こえてくる。
「何かあったんですか!?」
悠がロングアーチに駆けこむと、そこには既にはやてとシャーリーの姿があった。
スバル達、そしてなのは達隊長陣の姿もある。
「ああ、悠君!実は“次元震”が起こってな・・・。」
部屋全体を見渡せる一番高い位置に、ロングアーチの部隊長を務めているはやてが座っている。
「“次元震”って、あの?」
「うん!悠君がいた場所の近くでも確認された・・・。」
聞いたところによると“次元震”は規模によっては世界1つを崩壊させるものにもなる、非常に危険な自然災害らしい。
これは、隊長であるなのはが何故1人で自分がいた所に来たのか、後々気になって聞いた際に色々説明してくれた。
「ここ最近はあまり観測されとらんかったのに・・・。」
はやては苦い顔をして机の上で腕を組んでいる。
ロングアーチの面々も焦りの色が見える顔で情報解析を行っている。
「震源地が特定できました!」
流石、職務中なだけあってシャーリーも凛々しい声と姿でこの非常事態に臨んでいる。
「場所は!?」
「・・・ッ!?こ、これは!?」
測定された内容を見てシャーリーの顔が困惑に染まる・・・。
「ど、どないしたんや!?」
「お、おい!しっかりしろ!場所はどこなんだ!?」
ヴィータが固まってしまったシャーリーに喝を入れ、情報を聞き出そうとする。
すると、彼女の口から発せられたのは信じられない内容だった
「ここ・・・、です・・・。」
「ハァ!?」
「こ、ここ・・・・・って、ま、まさか!?」
信じられない言葉に、フェイトは聞き間違いじゃないのか再度尋ねる。
だが、何度聞いても聞き間違いではなかった。
シャーリーから告げられた内容は確かなものだった。
「は、はい!機動六課です!」
「「「「ええっ!?」」」」
予想だにしない内容に固まっていたスバル達は漸く理解し驚きの声を上げる。
「こ、こんな所で発生するなんて・・・、ど、どうするんですか、なのはさん!?」
「落ち付きなさいスバル!まだ分からない事だらけよ!混乱させちゃダメ!」
ワタワタと慌てながら、頭を抱えるスバルに相方のティアナが落ちつくよう喝を入れる。
「あ・・・う、うん!そうだね!」
ティアナの言葉で落ち着いたのかスバルは慌てる素振りが小さくなっている。
エリオとキャロも冷や汗を流しながらも、更なる解析を待っている。
それは隊長陣も同じの様で食い入るようにモニターを見つめている・・・・。
だがこの時、唯一モニターを見ていない者がいた・・・。
悠だ。
発生した次元震についてを冷静に考えて見ると何やら見落としている様な気がしたのだ。
(はやてさんはここ最近次元震は発生していないと言っていた・・・・。そして、一番最近起こったのは俺がこちらに来た時・・・・・。)
すると、悠はバラバラになっていた歯車が合わさっていく様な感覚を覚えた。
それから数秒後・・・、遂に歯車はカチャリと音を立てて合わさった!
「(・・・もしかして!)シャーリー!」
「ふえ!?な、何!?」
「詳しい発生場所は!?」
「え、ええっと・・・、機動六課隊舎、屋上・・・ヘリポート!」
「屋上か・・・!」
シャーリーに詰め寄って詳しい情報を聞き出すと悠は集まっていた機動六課の皆をかき分けてロングアーチを飛び出した。
「ちょ、ちょっと悠!?どうする気?」
「こ、こら、シャーリー!どこ行くねん!?」
悠が突然出て行った事が心配になったシャーリーも、持ち場を離れて悠を追いかけて行ってしまった。
シャーリーが突然持ち場を離れた事にはやては驚き、何とか止めようと叫ぶがもう聞こえない所へ行ってしまったようだ。
「くぅ!皆、私達も行くよ!」
「「「「は、はい!」」」」
「う、うん!」
「お、おう!」
「ああ!」
そして、それを更に追ってなのはとスバル達、フェイト・ヴィータ・シグナムも部屋を飛び出していった・・・・・。