Persona4 The StrikerS in MID-CHILDA (現在、凍結中…)   作:Neo-PSI

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第10話『隊長陣』

>・・・・・・。

 

 

>機動六課隊舎内のとある一室・・・。

 

 

 

 

外を一望できる広い間取りにベッドだけの簡素な一室で1人横たわっている青年がいる。

 

そう、悠だ。

 

「う、ん・・・。」

 

 

部屋に取り付けられた窓から聞こえる小鳥の鳴き声、そして太陽の日差しが照りつける事によって彼の意識は目覚めた。

 

 

>異世界にやって来て最初の朝だ・・・。

 

 

 

昨日は疲れきっていて、ベッドに横になって、ものの数分で眠りに落ちるほどだった。まあ、無理もないが・・・。

だが、その疲労も今は全く感じない。一夜で回復できたようだ。

 

 

 

>今日は確か部隊長室で事情聴取が行われる・・・。高町さんが来る前に用意を整えよう・・・。

 

 

 

 

>・・・・・。

 

 

>用意が整い、数分後・・・・・。

 

〈ビィー!〉

 

チャイムの音が部屋に鳴り響いた。

 

 

「鳴上君、起きてる?」

 

 

扉の向こうから高町なのはの声が聞こえる。迎えに来てくれたようだ。

 

 

「はい。おはようございます。」

 

 

悠がなのはの問いに答えると扉が開きなのはが、中に入って来た。

 

 

「フフ、早起きだね。準備の方は大丈夫?」

 

「はい。何時でも行けます。」

 

「それじゃあ早速行こうか。」

 

「分かりました。」

 

 

>高町なのはと合流した・・・。

 

>機動六課の部隊長室へ向かおう・・・・・。

 

 

 

 

>・・・・・。

 

 

>機動六課内、廊下・・・。

 

 

 

 

 

現在なのはの案内で部隊長室に向かっている。

歩きながら悠はこれからについて模索していた。

 

 

(機動六課、部隊長・・・。高町さんの上官に当たる人。どんな人だろうか・・・。)

 

 

なのはが自分に対する警戒を解いてくれたとは言え、上官である部隊長が危険と判断すれば、なのはは命令に従うしかない。つまり、まだまだ気の抜けない状況に悠は立たされているのだ。

 

 

(理解のある人だと良いが・・・。)

 

 

 

悠が部隊長について考えていると・・・。

 

 

「心配しなくても大丈夫だよ。部隊長って言っても、私の幼馴染だから。」

 

 

なのはからそれについての答えが返ってきた。どうやら何を考えているか、顔に出てしまっていたらしい。

 

 

>なのはからの優しさを感じる・・・。

 

 

 

なのはの気遣いに悠の表情は柔らかくなっていった。

 

 

 

「そうなんですか。とても仲が良いみたいですね。」

 

「にゃははは。だからさ、心配いらないよ。」

 

「すみません。気を遣わせてしまった様で・・・。」

 

「ううん、気にしないで。」

 

 

 

そんな微笑ましい会話をしていると、なのはが歩くのをやめた。

如何やら目的地に着いた様だ。

 

 

 

>部隊長室前・・・・・。

 

 

 

〈ビィー!〉

 

 

「失礼します。」

 

「どうぞ。」

 

チャイムを鳴らし、なのはが先に部屋へと入る。

 

相手が幼馴染でも、形式では上司。入室する前の挨拶はしっかりと敬語で、彼女が真面目な人だ、と言う所が滲み出ている。

 

 

「失礼します。」

 

 

 

そして続いて悠も部屋へと入る。

 

 

 

入室して周りを見ると部隊長室には、数人の女性が待っていた。

中央に茶髪のボブカットのなのはと同じ年くらいの女性が大きな机の後ろに腰掛けており、その手前にはイスも用意されている。恐らくこの人が部隊長だと悠は瞬時に理解した。

 

 

そして、向かってイスの右側に金髪ロングヘアーのこれまたなのはと同い年ぐらいの女性が控えている。

 

 

そしてピンクのポニーテールの女性と赤毛で髪を三つ編みにした少女のが部隊長を護るように、彼女の左右に寄り添っている。

 

どうやら護衛役のようだ。鋭い視線でこちらを伺っている。

周りの状況を分析した直後・・・

 

 

「初めまして、私は“時空管理局本局 古代遺物管理部 機動六課”の部隊長、「八神 はやて」と言います。」

 

 

機動六課の部隊長「八神 はやて」は優しい声色で挨拶してきた。

 

 

「どうも、初めまして。鳴上 悠と言います」

 

 

それに対し悠も丁寧に挨拶する。何事も最初が肝心だ。無礼の無いようにしなければ・・・。

 

 

「同じく“機動六課”ライトニング分隊隊長、「フェイト・T・ハラオウン」です。」

 

「同じく“機動六課”ライトニング分隊副隊長、「シグナム」だ・・・。」

 

「同じく、“機動六課”スターズ分隊副隊長「ヴィータ」・・・。」

 

 

 

悠が挨拶をしたのを皮切りに金髪、ピンク、赤髪の女性が順に自己紹介をした。

やはり、シグナムとヴィータは警戒をしている様だ。少々声に棘が見えた。

 

 

 

「朝早くからすみませんが、色々御話を聞かせてもらえますか?」

 

「はい、分かりました。」

 

 

 

はやてがそう断りを入れ、詳しい話が始まった。

だが、この一連の動きだけで既に、悠が何者なのかが吟味されていた。

 

 

 

(ふむ、確かに協力的な姿勢を見せとるなぁ・・・。)

 

(そうでしょ?)

 

(それにしても・・・落ちついてるね、彼。)

 

(ああ、いくら抑えているとはいえ、私とヴィータの威圧に動じる様子がない・・・。)

 

(何なんだ?こいつ・・・。)

 

 

 

この部屋にいる悠以外の者が“ある手段”で会話し、考えを巡らせる事を悠は知る由もない。そんな中、遂に話が切り出された。

 

 

「では、最初に・・・・・。」

 

 

〈ブゥン!〉

 

 

はやてと悠の間に画像が映し出される。破壊されたガジェットだ。

中々鮮明に映し出されている。

 

 

 

「単刀直入に聞きますが、これらのガジェットを破壊したのは本当にあなたですか?」

 

 

これが、一番彼女たちが疑問に思っていた事だ。特に持ち物がない彼が破壊したとはどうしても思えなかったのだ。

 

だが・・・・・

 

「はい、間違いありません。」

 

 

 

はやての質問に悠は改めて即答した。それは、気持ち良いくらいに堂々とした返答だった。はやて達もなのはの時と同様に面喰らっている。

 

 

 

「ほ、本当に君が?」

 

「はい。」

 

 

金髪の女性、フェイトが声からもはっきり分かるほど驚愕しながら確認をしている。

 

 

「てめぇ・・・、嘘付いてもろくなことにはならねぇぞ・・・?」

 

 

>どうにも信じて貰えていない様だ・・・。

 

赤毛の少女、ヴィータの機嫌が悪くなっていく・・・。どうやら相当短気な様子・・・。

 

 

「いや、決して嘘では・・・。」

 

 

 

悠はどう説明するか考えるが、このままだと雰囲気は悪化する一方だ。

 

すると!

 

 

 

「ヴィータちゃん、いきなり嘘吐き扱いは良くないよ!」

 

「ヴィータ。ちょっと落ちつきなさい。」

 

 

状況を見かねて、同僚のなのは、上官のはやてがヴィータに注意した。

 

 

「う!ううう・・・。」

 

 

 

流石にこの2人の言葉は素直に聞く様で、ヴィータはしゅんとして、少々俯いている。

 

 

「だが、ヴィータの言うように、お前が破壊したとはとても信じられん。」

 

 

 

シグナムがヴィータの行いをフォローする様に発言する。彼女もヴィータ程ではないが悠の言葉が虚言ではないかと疑っている様だ。

 

 

>この質問の答えを明らかにしなければ、話が進みそうにない・・・。

 

そこで悠は手っ取り早く示すため、行動を起こす事にした・・・。

 

 

 

「分かりました。それでしたら、その方法をお見せします。」

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

実際に口で説明するより、やってみた方が理解してもらえる筈だ。

百聞は一見に如かず、ってやつだ。

 

 

 

 

 

「では・・・。」

 

 

 

悠はイスから立ち上がり、彼女達から少し離れる。

 

 

 

その際、シグナムとヴィータが身構えた。同然だ。ガジェットを破壊した方法を使って危害を加えてくると言う可能性があるのだから。はやてとフェイトも緊張した表情をしている。

 

 

 

そんな中、なのはだけは落ち着いた様子で悠を見ていた。彼が自分達に危害を加える様な人ではないと、本当に悠を信用してくれているのが見て取れる。

 

そんななのはの優しい目に悠は自然と微笑みを浮かべ、肩の力が抜けるのを感じた。

 

 

そして、リラックスした状態で発動の為の動作に移った。

悠の頭上、足元に青白く光るカードと魔方陣が現れる。

 

 

 

 

(ふぇ!?な、何あれ?タロットカード!?)

 

(ど、何処から出てきたの!?)

 

(あのカードで倒したっちゅうんか!?とゆうか、足元で光っとるんは何や!?)

 

(何だあれは!?魔方陣!?あんなもの見た事がない!)

 

(な、何する気なんだ!?あの野郎!?)

 

 

 

突然現れたカードと魔方陣に、はやて達となのはも驚いている。

そして、遂に悠はその力を彼女達の前で使った。

 

 

 

「『ペルソナ!!』」

 

 

 

〈パキィィィン!!〉

 

 

 

カードを握りつぶすと、悠の背後に青白い炎のようなものが上がった。

そして、その中から“ペルソナ『イザナギ』”が姿を現した。

 

 

 

「ふ、ふぇぇぇぇぇぇ!?」

 

「お、おおおおお・・・・。」

 

「な、何だ!?」

 

「・・・・・・。(放心中)」

 

「・・・・・・・。(同じく放心中)」

 

 

 

現れた『イザナギ』に各々様々なリアクションをする。

なのは、はやて、シグナムは驚きの声を上げ、フェイト、ヴィータの2人は余りの出来事に言葉が出ない。

そんな中、悠が沈黙を破った・・・。

 

 

 

「これが・・・、俺の力・・・『ペルソナ』です。」

 

 

言葉ではたったそれだけの説明だが、それは異常な程、部屋の中に響き渡った。

 


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