艦隊こんばっとーThe Encount of ACESー 作:緑茶軍曹
1 ご都合設定
設定に関しては曖昧な部分を敢えて多くしています。(決して手抜きではないです)
なので、なぜ?と思ってもそのままで。
ですが、明らかに矛盾していると思われた方は是非その事を教えてください。お願いしますm(_ _)m
2 エスコン、艦これ共に中途半端な登場の仕方のキャラ
今回に関してはちょっとした世界観の設定を語っているために艦娘、エース達の出番が少ないです。すいません。m(_ _;)m
3 キャラ崩壊
艦娘、エース共に自分の脳内設定、妄想等が多分に含まれているため読者の皆さんが知ってるキャラとは全く違う可能性が非常に高いです。すいませんm(_ _;;)m
以上がOKという方は内容は薄いですが是非読んでいってください。
「提督、
翔鶴達が帰ってきたわ!」
秘書艦を務める雷が執務室に飛び込んできた。
「損失は?」
それに対して聞き返す提督。
「今回も無いみたいよ。弾薬と燃料を消費しただけね」
雷が言った。
その報告を聞いて安堵の表情を見せる提督。30代前半にして海軍大佐という年齢に見合わない階級を持つ男はそのまま雷にコーヒーを淹れるように指示を出し、これから帰投報告に来るであろう翔鶴を待つために椅子に深く腰掛け、書類が散らかった机の上を整理していると不意に扉が開いた。
コーヒーを淹れてきた雷か、と思い顔を上げるとそこにはセーラー服の雷ではなく、濃緑色のパイロットスーツを着た二人の男が立っていた。
「今回の戦果報告だ」
提督と同じくらいか少し上に見える金髪の男が右手に持った報告書を乱雑に机の上に置く。
「今回は俺が46機、ピクシーが41機、だ」
続いて先程の男よりは少し若い黒髪の男が同じく机の上に報告書を置く。
その二人を見て額に指を当て考え込む提督。
「報酬はきっちりと貰うからな」
金髪の男、ピクシーが言った。
「・・・」
提督が額に指を当てながら考え込む。
今までは彼のポケットマネーから支払っていたが、あまりの高額な報酬にそろそろ払いきれなくなっていたのだ。
「悪いが報酬がなければ俺達は空を飛ばない。まぁ、妖精ちゃん達の訓練飛行には付き合ってはやるさ。それに出撃毎の報酬制じゃなくて契約制でもいいんだぜ?」
黒髪の男、サイファーがニヤニヤしながら言った。
それを聞いてますます考え込む提督。
「君たちに払う分の金の余裕が無いのはわかっているだろう。それに君の仲間達は何も求めてこないぞ。」
提督が目をつぶって苦しそうに言った。
「そんなこたぁ俺たちは知らん。あいつらはあいつら。俺達は金で戦う"傭兵"なんでな」
サイファーが言い放つ。
思わず大きな溜め息をつく提督。それと同時にノックの音が執務室に響く。
「第一艦隊旗艦、翔鶴です。入ってもよろしいでしょうか?」
透き通るような翔鶴の美しい声に提督は短く「入れ」と答えた。
「失礼します」と遠慮気味に翔鶴が入る。
「あの、お取り込み中だったのでしょうか・・・?」
遠慮気味に聞く翔鶴。
「いや、構わないさ」
「まだ話は終わってないぞ、大佐」
自分達を無視して翔鶴からの報告を聞こうとする提督に対して食って掛かるサイファー。
「すまないが後にしてくれんか。報告書を作り終わってからなら聞いてやるさ」
虫を払うかのような仕草を取る提督。
それに対して憤りを、覚えるサイファーだったが、少し戸惑っている翔鶴の様子を見て察し、落ち着きを取り戻した。
「その言葉、覚えとくからな。」
「じゃ、後でまた来るぜ。提督さん」
少し苛立つサイファーをピクシーが宥めつつ、そう言って執務室を後にした。
「・・・」
二人が出ていき、扉が閉まるのを確認した提督はふぅ、とため息をついた。
「やっと帰ってくれた・・・」
「大変ですね・・・何時もあんな感じなのですか?」
「まぁな。お陰で胃薬が手放せん」
苦笑いをしながら語る提督。
「だが、"彼ら"が来てからというもの、君たちへの損害や資源の消費がかなり減ったのも事実だ」
「そうですね。あの人達は本当によく頑張ってくれています」
彼ら。妖精の姿をしていながら、並大抵の妖精とは全く別な存在の彼ら。
実はこの鎮守府にはサイファー、ピクシーのガルム隊以外にも彼らと同じ妖精がいる。
「正直、彼らは他の妖精以上に謎だ。ああやって俺達と同じ人の姿にもなる」
それが"彼ら"が他の妖精と大きく違うものの一つだった。
「それに、あの人達一人をを載せるだけで他の艦載機一個部隊分と同じ位スペースが圧迫されてしまいますしね・・・」
「まぁ、その分、いや、それ以上に働いてくれるがな」
「ですが、それでも本当に不思議な人達です」
「はぁ。疲れたー」
自室のベッドに倒れ込む瑞鳳。
煩わしい弓道着形の戦闘服を脱ぎ捨て、下着姿でとりあえず倒れ込む。
枕に顔を埋め、大きくため息。そして顔をあげてベッドに取り付けられた本棚から漫画本とクーラーのリモコンを取り出し、空調を付けて漫画を読み出した。
窓の外では艦載機妖精達が訓練に勤しんでいる。今までは空母娘達が交代で訓練を監督していたが、今は違った。
監督をしているのは妖精・・・といってもただの妖精ではない。
ACES、と呼ばれる妖精だ。
瑞鳳の指揮下であるガルム隊の二人もACESと呼ばれる妖精であり、ガルム隊以外にも二つの隊(といっても片や四人の独立飛行小隊、片やたった一人で一個飛行中隊クラスの戦闘力を持つワンマンアーミーだが・・・)が存在する。
ラーズグリーズ隊とメビウス隊だ。
この3つの隊はなんの前触れもなく鎮守府に現れ、瞬く間に戦果を上げ、それまで弱小鎮守府と呼ばれていたここを一躍主力部隊にまで押し上げたのだ。
だが、彼らは非常に強力なユニットであるものの、他の妖精以上に謎が多い。
生まれた経緯、戦闘力、一人で一つの装備スロットを消費する、等があるからだ。
そんな彼らの中の一人、ラーズグリーズ隊の一人であるソーズマンことスノー大尉が今日は訓練の監督を務めていた。
「後続の二機!ふらつきすぎだぞ!!たかがハイGターンを3回やっただけでふらつくんじゃない!!」
無線機に怒鳴るスノー大尉。
彼が面倒を見ているのは赤城の艦載機、零式艦戦21型の妖精達だ。
「きょ、教官ー!このままじゃ吐いちゃいますー!!」
妖精の一人が泣き声で訴える。
「バカもん!この程度でへばっていたらヲ級上位種の艦載機どころかル級上位種の対空砲火にもやられるぞ!!将来死にたくなければ必死についていけ!」
そんな訓練の様子を窓をあけてタオルで上半身を隠しながら眺める瑞鳳。
(スノー大尉の訓練が実は一番楽そうなのにね・・・)
スノー大尉の訓練は主に高機動訓練と艦隊防空訓練であり艦戦隊に対する訓練が多い。
空戦の基礎的動作や防空戦闘の基礎を徹底的に叩き込む訓練ではあるものの、基礎的な動作しかしない故に動作自体はさほど難しくはなく、化物じみたACES達が行う訓練の中では比較的楽な部類だ。
逆にワンマンアーミーことメビウス1の訓練はもっとも過酷である。
それもその筈、メビウス1に一発当てるまで帰さないという物だ。
一見、たった一発だけ、それも訓練に当る部隊の全戦力を持って当てることができれば終わる為に、楽そうに見えるがその実とても難しい。
なにせ彼はたった一人で"一個飛行中隊"、並大抵の飛び方では捕捉は愚か、視界内に入れることすら困難だ。
それ故に全員で協力しなければならないし、一人一人の練度も重要となる。
メビウス1本人は「暇つぶしに飛んでいる」そうだが、とてもそうには見えず、彼が監督に当たった妖精達は皆絶望する。
しかし幸いか、メビウス1が撃ってこないことだけが救いだった。
「でもメビウスさんのお陰で私の艦戦隊もつよくなったしなぁ」
メビウス1に弄ばれる自分の艦戦隊を思い出しながら呟く瑞鳳。
そう思っている間も赤城の艦戦隊は美しく飛び回っていた。
ただ、終わる頃には訓練を受けた妖精全員が吐くことにはなるが。
こうしてこの鎮守府の妖精達は鍛えられていくのだ。
「お疲れ様です、スノー大尉」
訓練監督を終えて宿舎の娯楽室に戻ってきたスノー大尉をアーチャーことグリム少尉が迎えた。
「いつも通り、怒鳴り散らすだけだったが、やはり疲れるものだな」
椅子に座ってもたれかかりながら呟くスノー大尉。
「ソーズマン、知っているか?実はお前の訓練が一番楽、って妖精達からいわれているんだぞ?」
そう言った男の方に振り向くスノー大尉。
男は20代半ばくらいで、少し焦げ茶が混じった黒髪に、無駄の無い筋肉をアピールするかの如く白のタンクトップを着こなしていた。
「本当かブレイズ?」
ブレイズと呼ばれたその男こそラーズグリーズ隊隊長だった。
「あぁ。この前、翔鶴の艦戦隊の娘が話してた。」
それを聞いて項垂れるスノー大尉。
「まぁそう気を落とさないの。はい、アイスティー」
項垂れるスノー大尉にアイスティーを運んできたのはラーズグリーズ隊どころかACES唯一の女性隊員であるナガセ大尉だ。
唯一の女性であり、そして強く美しいということもあり、妖精からの人気も高い。
「こりゃあ見直さなきゃいかんな。俺も甘くなっちまったもんだ・・・」
アイスティーを飲みながら呟くスノー大尉。
昔は飛行隊長を務めていたこともあり、その頃の自分に比べるとやはり甘くなったと思うのだ。
「基礎動作に重きを置きすぎなんじゃないですか?」
そう聞くのは最年少のグリムだ。
グリム自身、基礎動作訓練を終えた直後に初陣を飾っておりその後の実戦やブレイズたちの飛び方を見たりして飛行のノウハウを学んでいた。
「実戦的な訓練の方が身につくと思いますよ」
「だがな、基礎が無くては応用は効かんのだ。俺の部下がそうだった。」
スノー大尉の部下たちはブレイズほどではなかったが優秀なパイロットたちだった。
だが、普段の訓練をしっかり受けていなかった故に実戦の場で次々と墜ちていった。
「私もそう思います」
温かみを持ちつつ透き通る様な声に一同が反応する。
「お疲れのところ、申し訳ありません。提督から伝言を預かった為お持ちしました。」
声の主は軽空母鳳翔だった。
「恐らく、次の作戦のことかと。一度目を通しておいてくださいね」
ブレイズがそれを受け取ると鳳翔は軽くお辞儀をしてその場を去った。
「北方海域攻略、か 」
そこに記されていたのは北方海域攻略に関する編成表だった。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
本当はラーズグリーズ隊に戦わせるつもりでしたが設定の整理などを小説に入れているうちに書く気力が・・・
そして私情により次回の投稿はいつになるかわからないです。一ヶ月以内にふっきするよていですが、それも怪しいです・・・
ですが必ず戻るので待っていてください。
次はラーズグリーズ隊の戦いです。北方海域、AC5の北方海域ではリムファクシと激戦を繰り広げた彼らですが今回の相手は・・・?