コード・アメリアスに騙され、世界を彼女の手中に収められ、行方を掴めないことに落胆しているとネェル・アーガマに二つの機影が接近する。
「こんな時に敵か総員出撃「待ってくれ」どうしたイチカ?」
「今から来る機体を攻撃しないでくれ」
「何故だ?敵かもしれんのだぞ?」
「分からない。でも懐かしい感じがするんだ」
『懐かしい?』
イチカの言葉に疑問を浮かべるゼノン達の前に二機のガンダムがおり、その内の一機はよく知っているモノだった。
≪こちら、マスターフェニックスのパイロット―――コード・フェニックス。着艦許可を貰いたい≫
「どうするんだ?イチカ」
「許可してください」
「分かった。許可しよう」
≪感謝する≫
コード・フェニックスと名乗る男を着艦させ、会議室に案内した。
不死鳥を思わせる仮面をを被った青年に対しイチカ以外は警戒し、張り詰めた状況になっていた。
「お待ちください。彼は敵ではありません」
会議室のモニターに聖女を思わせる女性が現れる。
「お久しぶりです。皆さん」
「あなた...本当にアプロディアなの?」
「私は正真正銘ニューラル・ネットワーク・アプロディアです」
「もし、よかったら何があったのか教えてくれないか」
「はい。システムから消去された私は封じられました。そこで私は唯一残された端末【アービィ】を使いコード・フェニックスと接触しました」
「最初は驚いたぜ。鳥の様なモノにジェネレーションシステムを案内して欲しいって言われて行動してみればその正体がアプロディア様なんだからな」
「騙していたことには重ねて謝罪します。そして私はバルバドロを起動させました」
「ナンダッテ!!」
アプロディアの思わぬカミングアウトに一同騒然する。
「バルバドロは本来エマージェンシー用のプログラムです。バルバドロが地球を...コアを直接攻撃させようとしたのは封じられた扉を開くため......そう、全ては私を救出するためだったんです」
「なるほど、バルバドロが地球を狙った理由は分かったが、何故、奴は此方の仲間を裏切るように仕向けたのだ?」
「それ、その目的に気づいたコード・アメリアスが放たれたバルバドロに接触。そこでバルバドロを撃破しようとしたのでしょうがそこである、誤算が生まれました」
「誤算?」
「はい。彼女は自分のコードをバルバドロに奪われたのです」
「あの化け物はそんな事が出来るのか!?」
同じくコードを持っているコード・フェニックスが声を上げる。
「そして、コードを失った彼女は
「それがあの行動か......!」
「俺達はまんまと利用されたのか!!」
「ですが、そこまで悲観することはありません。バルバドロが最後に送った信号に彼女がいる場所が記されてました」
「それは何所なの!!」
一同はアプロディアが言うのを静かに待つ。
「それは...月の旧ジェネレーションシステムです」
「旧...ジェネレーションシステム?」
「遥か昔に作られた旧型のジェネレーションシステム。ニューラルネットワークで構成された地球とは違い。今は遺跡として眠っています」
「敵の在処は分かった。それでアプロディアはどうして欲しいんだ?」
「もう一度力を貸してください。この誤った世界を正しく導くために」
ゼノンはその場にいる全員の顔を見る。
「分かった。反対するものは居ない。俺達はアプロディアに協力するとしよう」
「ありがとうございます」
「まぁ、なんか有ったらこの俺とマスターフェニックスで何とかしてやるよ」
「なら、期待させてもらうよ」
イチカとコード・フェニックスを硬く握手をする。
そして、ネェル・アーガマはアプロディアの誘導に従って行動し、イチカ達もMSに搭乗しようとしていた。
「待ってイチカ」
「どうしたんだエリス?」
「受け取って」
イチカはエリスの言う通りその手にある一つのネックレスを貰う。
「これは?」
「ハウメアの護り石。最近、危なっかしいからこれで守ってもらって」
「...ありがとう。大事にするよ...!」
イチカはハウメアの護り石を着け、エリスにお礼をすると、エリスはイチカの頬にキスをする。
「後、女神の加護。ちゃんと無事に戻ってきてね」
「え、あぁ、約束する」
イチカは戸惑いながらもフェニックスガンダムに搭乗する。
「おー、おー熱いね。これが恋する乙女の行動力か?」
「いや、まだ本命のキスまで行っていない。なら私が兄さんの初キスを...」
「ラナロウ、そんなんじゃないって!!後、マドカ一体何言ってるの!?」
「必死になってる辺り怪しいね~」
「兄さんの初めては私のものだぁぁ!!」
先の行動でエリスをからかいそれを顔を赤らめながら否定し、何かに対して燃えているマドカであった。
「青春だね~」
それを呑気に見ていたコード・フェニックスだった。
「着きました。ここが旧ジェネレーションシステムです」
アプロディアのいう場所に着くとそこはまさに古代遺跡と言っても過言ではない場所だった。
「ここで悪意が生まれました」
アプロディアの言葉が言い終わると大量のレギナと赤い鳥の様な機体ガーディダンサーが現れる。
「あれは...ガーディダンサ―!?」
「知っているのか?」
「あぁ、少しな」
「ガーディダンサーもコード・アメリアスの一部。姿を見せなさい。......コード・アメリアス!!」
二匹のガーディダンサーが一番上の壇上に行くとそこに一機のMSが現れるとガーディダンサーと一体化する。
「フハハハハハハハ!アハハハハハハ!流石はニューラル・ネットワーク・アプロディア。よく、この場所が分かったものだ。その力......やはり脅威であるな!」
「コード・アメリアスのコードは「裏切り」のコード。「オーバーインパクト」を起こし、ジェネレーションシステムを暴走化。それによって私は消去され......封じられた!」
「じゃ、彼奴が全ての元凶!!」
「フハハハハハハハ!その通り!我のコードは「裏切り」光を闇に!闇を光に変えるコードだ!!ならば見せてやろう!我がコードの「力」をな!!」
コード・フェニックスに雷の様なモノが当たる。
「な...し、しまった......」
「コード・フェニックス!?」
コード・フェニックスの乗るマスターフェニックスが消えるとアメリアス側におり、そして、イチカはコード・フェニックスから禍々しいオーラを感じた。
「さぁて片っ端から片づけてやるぜ!!邪魔する奴は俺が残さずぶっ殺す!!徹底的になァ!!」
「フフフフフフフフフ......。コード・フェニックスもこの様だ。「裏切り」のコード......面白かろう?」
「やめなさい!コード・アメリアス!世界は貴女だけのモノではありません!!」
「フフフフ...世界は我の物になる。ゆっくり...確実に!!」
「ふざけるな!!」
「さぁ、戯れはここまでだ!!お望み通り終わりにしてやろう!!」
ハルファスやイチカの周りを囲むようにレギナが現れると六つの大きな空洞から大きな球体が現れる。
「あれは、ニューロボール!?ターゲットに接近し侵入者を粉砕する破滅のニューロ体!その爆発力は計り知れない!この様なモノまで制御できるとは......」
「そうとも、我は何だろうと操ってみせる!忘れたのか?この世界は既に我の物だぞ?」
そして、コード・アメリアスは宣言する。
「もう、終わりだ!アプロディア。そなたの時代は終焉を迎えたのだ!フフフフ!ハハハハハハハハハ!」
「そんな事させるかァァァ!」
「この世界は貴女のもじゃない!皆の物よ!」
「そんな事もわからずに支配しようなんざ許さねぇ!」
イチカはフェザーファンネルを使い、エリスはビームライフルを放ち、ラナロウはヒート・ロッドで横薙ぎにし、レギナを破壊。
「これでも喰らえ!!」
イチカは破壊されたレギナを掴むとニューロボールに向けて投げつけるとニューロボールは凄まじい威力の爆発を起こす。
「こんなのが至近距離で爆発したら只じゃすまない!!」
「だが、奴は行動が遅い一定の距離に近づいたら誘爆させるんだ!!」
イチカ達はレギナを相手にしながらニューロボールを相手にするがレギナの数が多く、そしてニューロボールは倒せば空洞から新たなニューロボールが出てきて此方もキリがなく各々タイミングを見計らって補給しに行った。
レギナを相手にしていた時コード・フェニックスがアプロディアに攻撃を仕掛ける。
「コード・フェニックスよ!正気を取り戻すのです!」
「へへへっ。覚悟しな!俺のコードが最も危ないことを教えてやるぜっ!」
クロスバインダーソードを砲身にして放つソード・メガビームキャノンを繰り出すがアプロディアはそれを避け、クロス・メガビームキャノンを放つ。
「チィ!舐めた真似しやがって!」
「舐めた真似をしたのはそっちだ!」
イチカは補給から戻ると二振りのGNロングブレイドを構えながらコード・フェニックスに向かう。
「お前言ったよな!大船に乗った気分で来いって!なのになんだこの様は!お前はそんなに自らの意思を乗っ取られるほど軟な奴なのかよ!!」
「無駄だ!コード・フェニックスは我のコードによって操っている。それを解くことなぞ、不可能!」
「なら、教えてやるよ!人の意思や覚悟の前に不可能なんてないってな!」
金属と金属がぶつかり合おう音が響く。
「オラァ!先までの威勢はどうした!」
「うるせぇ!」
イチカはマスターフェニックスの剣を受け止めると薄らと笑みを浮かべる。
「今だ!フェザーファンネル!」
「何!...グァァァァ!」
ロングブレイドの攻撃に集中していたコード・フェニックスは背後に現れたフェザーファンネルに気づくのが遅れ攻撃を喰らうと、
「これで目を覚ませェェェェ!!」
炎の様に燃え盛る拳をマスターフェニックスの顔面に殴りつける。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
マスターフェニックスは遺跡の壁に勢いよくぶつかり、盛大に土煙を上げた。
「ば......馬鹿な...」
起き上がったマスターフェニックスは所々でスパークしており、ダメージは相当なものだったのだろう。
「コード・フェニックスよ!ここで消えてはなりません!悪しき者の力で貴方が消える必要はないのです!」
「こ、これは...」
マスターフェニックスの周りに光が集まると燃え盛る不死鳥の紋章が浮かび上がる。
「お...俺は...!?」
そこには傷一つないマスターフェニックスと正気を取り戻したコード・フェニックスがいた。
「俺は...奴のコードに惑わされたのか......!コード使いがコードに惑わされるなんてまったくかっこ悪い話だぜ......!」
「どうやら目が覚めたみたいだな」
「あぁ、もう大丈夫だ!イチカ中々良い拳だったぜ!」
「そりゃ、どうも」
コード・フェニックスはアメリアスに視線を移し、
「この借りはたっぷりと返してやるぜ!覚悟しな、コード・アメリアス!」
「コード・アメリアス。貴方のコード消去させてもらいます」
「できるものならやってみるがいい!我はの力は全ての世界を制御している!」
「やってやるぜ!」
イチカ、コード・フェニックス、アプロディアはアメリアスに対し各々の武器を構える。
「喰らえ!」
イチカはロングブレイドでクィーンアメリアスに斬りかかるが数回斬るとGNロングブレイドが刃こぼれする。
「脆いな」
「なんて硬さだ...」
「任せろイチカ!」
コード・フェニックスは二振りの剣をを一つにし、大剣の様にすると斬りかかる。
「これで!」
「何ッ!?」
コード・フェニックスが数回斬ると上空に飛び、視線を追っていたら、眼前にハルファスがバード形態になり、バーニング・フレアをしながら突撃をしていた。
「クッ!」
ハルファスがクィーンアメリアスから退けるとガーディアンドレスに傷が出来ていた。
「まさか、このガーディアンドレスに傷がつくとは...だが!」
クィーンアメリアスからガーディアンドレスが取れ、ガーディダンサが姿を現すとハルファスとマスターフェニックスに接近し、その強靭な爪で攻撃してきた。
「こ、これは!」
「しまった!」
「アプロディア!」
クィーンアメリアスはフェニックスが相手し、マスターフェニックスが相手していたガーディダンサがマスターフェニックスかハルファスにターゲットを変えガーディダンサが連携攻撃をし、ハルファスに甚大なダメージを与える。
「よそ見をする暇があるのか!!」
「うぁぁぁ!」
「イチカ!」
イチカはクィーンアメリアスのビームウィップを喰らいハルファスと同じ方向に飛ばされる。
「イテテッ!...そうだアプロディア! どうなった!」
『私...は...ここです...』
イチカは声のした方を向くとガーディダンサの攻撃を喰らい大破したハルファスが視界に映る。
「大丈夫か!!」
『どうにか...ですが......しかし...ハルファス…ガンダムの...機能の...一部が...停止...しようと...して...います...このまま...では...何処かの...端末に...私を...』
「ならフェニックスの中に!そうすれば...」
イチカはフェニックスから数本コード抜き取るとハルファスに向かう。
「コード・フェニックス!今からアプロディアを救出する!だから少しの間、時間を稼いでくれ!」
「分かった!ウォォォォ!」
クィーンアメリアスをコード・フェニックスに頼み、イチカはハルファスにコードを刺しアプロディアがフェニックスに移動できるようにする。
「ありがとうございます。おかげで九死に一生を得ました」
フェニックスからアプロディアの声が聞こえるとコードを抜きフェニックスに搭乗する。
「すまない。遅れた!」
「いいってことよ。それよりアプロディアは?」
『私ならここです』
コード・フェニックスはフェニックスからアプロディアの声を聞くと安心する。
「なら、次は俺の頼みを聞いてくれ」
「どうした?......これは...」
イチカはマスターフェニックスに視線を移すと機体の一部が欠損し、スパークしていた。
「俺のフェニックスは動くのが困難だ。だから」
コード・フェニックスは自分の武器であるクロスバインダーソードを渡す。
「代わりにアイツを倒してくれ」
「あぁ」
イチカはクロスバインダーソードを受け取る。
「行くぞ!アメリアス!!」
「人間風情が小賢しい!」
イチカはクロスバインダーソードでクィーンアメリアスを攻撃する。
「行け!ファンネル!」
「見えているんだよ!!」
「何ッ!」
イチカはガーディダンサを躱し、サーヴァントファンネルだけを破壊する。
クィーンアメリアスはガーディダンサを戻しガーディアンドレスにするがクロスバインダーソードの連結を解き、二刀流でガーディドレスのある一点集中攻撃する。
それはコード・フェニックスとアプロディアによって付けられた傷を集中攻撃することでガーディアンドレスを破壊。
「これで止め!!」
「クゥ!」
イチカがクィーンアメリアスに止めを刺そうとした時、警告音が鳴る。
『これは...空間が歪んでいる!? イチカ・ギルオード、すぐここから離れるのです!!』
「え?...うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「な!...あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
アプロディアの警告も虚しくイチカとアメリアスは空間の歪みに飲み込まれ、世界から姿を消した。
「イチカァァァァァァ!」
「兄さん!!」
「イチカ、アービィ!」
仲間を呼ぶ声は虚空の彼方に消えていった。
次回からIS編です