インフィニット・ジェネレーション   作:ハルン

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イチカ過去説明回は今回の話で終わりです。

ちょっと、説明不足だなという所があれば修正しますので教えてください。


37話

幾多の戦場を潜り抜けたイチカ達にとって、ガーダーシリーズやレギナの攻撃を避け、殲滅する事にそう時間は掛からないだろう。

だが、イチカ達に予想だにしない敵の増援よって、困難を極めていた。

イチカ達の目の前に現れた、黒歴史は空間跳躍や桁外れの火力を持った武器で攻撃し、攻撃しようにも空間跳躍によって逃げられ、同じ方法で近くに現れ攻撃する。

予測可能回避困難な攻撃とフェニックスを上回るナノマシンによって、例えダメージを与えたとしてもすぐ修復してしまい、無傷の状態に戻ってしまう。

「なによアレ...。チートじゃない」

「確かにチート性能だ。今まで、戦った敵の中で一番の強敵と言えるだろう」

マーク達は画面を見ると其処にはエクシアの目の前に現れた黒歴史がビームライフルを射出し、イチカは寸前で避けるが左半身とコックピットの一部を破壊され、機体制御を失ったエクシアは地面に不時着する。

「イチカは!イチカは無事なのか!?」

「落ち着け織斑千冬。ここでイチカに何かあれば、それは今のイチカにも表れている。それが無いという事はイチカは無事という事だ」

「あぁ、そうだな。私としたことがつい、感情的になってしまった」

イチカが撃墜された事に気づいた数名のパイロットがイチカを救援に向かい始め、その中にエリスとマドカの姿もあった。

ガーダーに行く手を阻まれ、思うように行動できないエリス達、左半身とコックピットの一部が融解し、融解した部分から白いパイロットスーツを着たイチカの姿が見えた。

イチカは罅が入り使い物にならなくなったヘルメットを投げ捨てるとヘルメットの破片が刺さったのか頭部から薄らと血を流していた。

黒歴史は巨大なビームサーベルで、エクシアに止めを刺そうとするが、寸前で攻撃を止めるとまるでイチカを観察するかのようにジッと見るとその場から完全に姿を消した。

何が起きたのか分からないイチカは取り敢えず、この場から離れようと操縦桿を弄るがまるで壊れたブリキの様な音を立て、動けないでいた。

そんなイチカの前にエリスとマドカが行く手を阻んでいたガーダー蹴散らし、イチカの下に辿り着くとフェニックス・ゼロがエクシアの右肩を掴み飛行するとデュナメスが後衛に付き、イチカをネェル・アーガマに帰還した。

 

 

 

 

 

 

帰還後、エクシアを整備士であるケイ・二ムロッドが診断すると修理すれば今まで通り使えるが短時間での修理は不可能だと結論を出した。

イチカは頭部の怪我以外にも何処か怪我していないか診察するために医務室に運ばれた。

医務室から戻ってきたイチカは頭部に包帯を撒いた状態で、エリス達の所に行くと「もう一度出る」と言い、そこでエリスと口論になった。

イチカの搭乗機である、エクシアは半壊で、使える状態ではなく、MSに乗る事で傷が開き、悪化する事を恐れたエリスはイチカに出撃させまいと一生懸命説得するがイチカの覚悟の籠った瞳を見た瞬間、何も言えなくなり、エリスが折れる形になったが「無理はしない」という条件付きで出撃する許可を得たイチカ。

ガーダーとレギナを殲滅したマーク達が中枢へのゲートを見つけ、事件は最終局面に向かった。

 

 

 

 

 

 

アプロディアの案内でシステムの中枢に到着したマーク達は一見すれば遺跡、だがその中身はどの世界の技術でも再現不可能な代物だ。

アプロディアは「ここに集まった情報を元に新しい世界が創られる」と説明すると誰もが騒然となった。

それもそのはず、自分達がいる世界が一つのシステムによって作られたものだと誰が想像できようか。

騒然とする一同に警報が鳴り響き始め、何事かと慌ただしくなるとアプロディアの身体に異変が起きた。

アプロディアは自身が消去されていると驚きの声を上げると、中枢上部から白いMSらしき機体が舞い降りてきた。

バルバトスと呼ばれる新たな機体は翼を広げると孔雀のような姿に変形し、一つ一つの羽から光を放ち始めた。

何が起きるか理解した艦長は退避命令を出すとバルバトスの羽から放っていた十二個の光が中心部に集まり、巨大なビームとなってハルファスガンダムに向けて発射され、ネェル・アーガマ改はギリギリの所で回避に成功するが、ハルファスガンダムはバルバトスのビーム砲の直撃を受ける。

バルバトスの攻撃の直撃を受けたハルファスガンダムはコクピット部分の直撃は避けられたものの、特殊機能である【ナノスキン装甲】を持っているにも拘らず、機体全体にダメージを負い爆破される。

事の元凶がバルバトスだと判断した艦長は総員に戦闘準備だと伝え、ネェル・アーガマのカタパルトからMSが次々と発進した。

バルバトスはイチカ達を敵と認識すると自身を中心に八つの巨大なニューロが現われ、その一つ一つが歪み出すと、マーク達の乗っている機体の姿をしたコピーMSが出現した。

コピーMSを相手にする部隊とバルバトスを倒す部隊の二手に分かれる事にした。

マーク、エリス、イチカのエース陣がバルバトスへ向かい、残りのラナロウ達がコピーMSの撃破し、合流すると言い行動を開始した。

バルバトスとの戦いは熾烈を極めた。

後で合流すると言ったラナロウ達も敵の増援にてこずり、合流できないと分かり、合流するまで耐えれるかというと弾薬や燃料などの問題がある為、三人で倒す事にした。

フェニックス・ゼロとフェニックスのフェザーファンネルでバルバトスを足止めするとガンダムがウェーブスライダーに変形し、バルバトスのコクピットと思われる部分に突撃する。

バルバトスのツインアイから光が消えると活動を停止、マークはラナロウにバルバトスの撃破を伝える最中、エリスは今回の戦いで一番怪我をしているイチカが先の戦いで受けた傷が悪化していないか心配の為、Zガンダムの近くまで駆け寄った。

一夏は問題ないと言い、Zガンダムを動かすとジェネレーションシステムの中枢部が突然揺れ出し、所々で爆発が起き始めた。

マーク達は母艦である、ネェル・アーガマに帰還し、最大戦速で離脱を試みた。

ジェネレーションシステムからネェル・アーガマが飛び出すと同時に、脱出口から火柱が立ち昇り、ネェル・アーガマはギリギリの所で脱出に成功した。

無事脱出できた事に歓声を上げて喜ぶブリッジクルーとMS内で待機していたマーク達は安堵の溜息をついた。

 

 

 

 

「ジェネレーションシステム暴走から四年が経ち、人類は今だ戦争を忘れる事が出来なかった」

「待て。一夏は四年もお前達の世界で過ごしたといううのか?此方では二年程しかたっていないぞ」

「恐らく、こちらの世界との間に時間差があるようだな。私達は四年程イチカと共に過ごした。これは紛れもない事実だ」

「じゃ、イチカは私達より年上って事?」

「因みに言えば私やエリス、ラナロウは22と同い年だ」

今まで同年代だと思っていたイチカが実は自分達よりも二つ年上だという事に驚き、更にマーク達の年齢が思ってたよりも上だった事にさらに驚く。

驚いた一同は視線を画面に戻すとイチカの搭乗機がZガンダムやエクシアではなく、フェニックスに変わっていた。

一人前のMS乗りとして認めたマークが自分の愛機であるフェニックスをイチカに譲ったのだ。

この頃マークはプラント最高評議会でかなり力のある、ラクスから完成してもパイロットがいない状況が続き、一度も実戦に出ることなく終戦を迎えた為、長らく倉庫で眠っていたオレンジ色のデスティニーを譲り受け、オレンジ色の部分を赤く、コックピット周りは赤から黒に変えられている。

他にも色々、カラーリングなどが変更されている。

これを見たイチカは「なんか、弓兵みたいな感じになっている」と言っている。

そして、この時からイチカに変化が起き始めた。

それは訓練でMSの操縦をした時、イチカの空間認識や反応速度が大幅に上がっていたのだ。

「この時はイチカの実力が上がったモノだと思っていたのだが実際は違った」

「それはどういう事なの?」

「イチカはNTとは別の進化を遂げようとしていた。私達はあの後、多くの世界に行き、平和へのヒントを探していた。その時に私達は西暦世界に行った」

「西暦世界?」

「多くの世界が存在する私達の世界でのそれぞれの世界の呼称だと思えばいい。その西暦世界では枯渇した化石燃料に代わるエネルギー源として宇宙太陽光発電システムと軌道エレベーターを実用化、莫大な建造費が必要なこれらのシステムを所有しその恩恵が得られるのはユニオン、AEU、人類革新連盟の世界三大国家群のみで超大国間には全面的な対決こそ無いものの熾烈な軍備開発競争による冷戦状態が続いた。そんな中、ある組織が世界に声明を出した」

世界に向けて1つの声明が発表される。4機のMS「ガンダム」を所有する私設武装組織「ソレスタルビーイング(以下CBと表記)」は戦争・内乱など世界中のあらゆる武力紛争に同じ武力をもって介入し、戦争根絶を目指す集団であるという。それは「平和のための武力行使」という矛盾を抱える行為であった。

圧倒的な力を持つCBが武力介入を続け、戦争を根絶を目指す中、各国は圧倒的な性能を持つガンダムを手に入れようと鹵獲作戦を開始。

結果は失敗に終わったが新たに現れた三機のガンダム、「トリニティ」を名乗る新たなガンダムマイスター達が出現した。

彼らの行き過ぎた武力介入は市民から憎悪がCBに向けられ、そして世界は一つに纏まったCB壊滅という皮肉な形で。

擬似太陽炉搭載機を手に入れた各国家群は、国連軍を組織し、ガンダム殲滅作戦を決行する。CBの初期計画は破綻し、仲間を次々と失いながらも、戦いの果てに平和があると信じ、刹那達は最終決戦へと挑む。死闘の末にアレハンドロは倒されるが、CBも壊滅的な打撃を受けメンバーも離散することとなる。

 

 

各国家群は地球連邦として統一を果たし、世界は1つになりつつあった。しかしその裏では独立治安維持部隊「アロウズ」によって、反連邦主義や思想への弾圧や虐殺が行なわれており、世界は未だに歪んだままであった。

その歪んだ再生を破壊するために嘗て世界に戦争を仕掛けたCBが動き出した。

刹那達と遭遇し、刹那達と協力関係を築いたイチカ達は彼らと共に行動し、独立治安維持部隊「アロウズ」影で操っていたイノベイター」を自称するイオリアの真の計画を進めるために生み出された人工生命体「イノベイド」達であることを突き止め、彼らを倒すために動き出したイチカ達だがその矢先に起きたメメントモリによって中東の一国を滅ぼした。

イチカ達がその大量殺戮兵器を見逃すはずもなく、破壊を計画し、実行した。メメントモリ破壊からから数日後、連邦内でクーデターが起こり、市民6万人が人質にとられアフリカの軌道エレベーターが占拠された。

「無関係な民間人を巻き込んでクーデターとは軍人として無過ごせんな」

「確かにそうだ。だが、情報統制された社会にアロウズの実態を知るモノはいない。それを伝えるための行動...、人質は曲がりなりにも人間の集まりであるアロウズも手を出せないと考えてだろう。だが、その考えは浅はかだったと彼らは実感した」

しかしアロウズは真実が露見する前に、密かに建造していたもう1基のメメントモリで、人質ごと軌道エレベーターを破壊し隠滅を図る。

イチカ達はメメントモリの破壊に向かうが、メメントモリの攻撃によって軌道エレベーターは崩壊し、地表には無数の破片が降り注ぐ大惨事へと発展した。

「クーデター起こした人物も自分達の行為で民間人を死なせるつもりは無かったのだろう、人質を逃がしたのだが...」

マークはそこから先の言葉が出なかった。

そこで千冬達は人質の結末を悟った――彼らは死んだのだと。

成層圏より上のピラーは大気圏の摩擦熱で燃え尽きるが、それより下のピラーは地上に降り注ぐ。

交戦中のイチカ達にスメラギは落ちてくるピラーを破壊するように空域にいる敵味方関係なく全員に頼んだ。

真っ先に動き出したのはイチカだった。

『何が独立治安部隊だ...。何が恒久和平だ...。例え全ての罪を背負うつもりだろうと目の前の命を見捨てる奴が本当の平和を作る事が出来るかァァ!!』

イチカは目の前のジンクスを蹴り飛ばすと上昇し、フェザーファンネルを全て射出し、ビームライフルと同時に乱れ撃ちピラーを破壊していく。

イチカに続く様にCBピラーの破壊を開始するがピラーの数が多く、裁ききれていない。

裁ききれなかった破片が都市部に落ち掛けた時、連邦正規軍・アロウズ・カタロン・反乱軍が協力して破片の都市部への直撃は避けられた。

後に「ブレイク・ピラー」と呼ばれるこの事件は反連邦勢力の仕業として公表され、アロウズは強硬な姿勢を強めていくが、その一方で皮肉にも人々の意思は1つとなっていた。

「ブレイク・ピラー」事件から4か月。CBは2基目のメメントモリの破壊を成功させ、アロウズ・イノベイター勢力の打倒とヴェーダ奪還のために動き出す。

 

イノベイターの本拠地を特定し、最終決戦に向けて準備をするイチカ達。

刹那達が新武装を追加されたようにイチカ達の機体も強化してもらった。

マーク達の機体を強化する中でイチカの機体だけ強化されなかった。

それはフェニックスのブラックボックスを解明することが出来ず、解明できないまま機体を弄って使えなくなってしまう可能性もある為、フェニックスはビームライフルに小型の粒子貯蔵タンクを着ける事で火力向上を図った。

マドカのデュナメスはエクシアが使っていたGNアームズを修復し、TYPE-EからTYPE-Dに改修し、火力向上などもされている。

アロウズ、そしてイノベイターとの決戦ともあり、いつになく緊張の色が見えた。

そして各機発進し、アロウズとの戦闘に入り、粒子かく乱と数の差に不利になるが駆け付けたカタロン、更に様々な事件を機に決起した連邦正規軍も加わり、アロウズ・イノベイター勢力との最終決戦が行われる。

敵の数が減り始めた時、NTであるイチカ達と刹那が全軍に警告を出すと巨大ビーム砲がアロウズ艦隊の大半とカタロン艦隊の一部を消滅させた。

そして、光学迷彩を解除して現れた小惑星を改造して建造された、全長15kmにも及ぶ超大型艦コロニー型外宇宙航行母艦「ソレスタルビーイング」が姿を表した。

ソレスタルビーング号にあるヴェーダの奪還、イチカ達はそのアシストをした。

ソレスタルビーング号の多数のビーム砲を破壊し、進路を確保しようとする一同に無数の同型機ガガが体当たりによる特攻を仕掛けた。

イチカ達はガガの迎撃に当たるが数が多く裁ききれずにいた。

GNフィールドを持たないネェルアーガマがあの特攻を受け続けた場合、撃沈するのは確実である為、ネェルアーガマ所属の機体は母艦の死守に専念していた。

『コイツらから、死に対する恐怖も後悔も何も感じない...。それどころか...自我というモノを感じれない!?』

『この敵に自我など無い。只、命令をこなす人間の皮を被ったマシンだ!!』

ガガのパイロットに疑問を感じるイチカにマークは同じように感じたことを言った。

苦戦を強いる中、カタロンと正規軍が援軍として駆けつけ、ソレスタルビーング号の入り口を見つけ、プトレマイオスが不時着し、作戦通り刹那達は各自母艦への侵入を試みる。

イチカはプトレマイオスとネェル・アーガマに敵が取りつかれないようにフェザーファンネルを半分ずつに分け、敵を落としている。

不意を突かれたエリスにガガ特攻を仕掛け、被弾した。

イチカは被弾したエリスに呼び掛けると応答があるが何処か苦しそうな声を上げるが気絶しているようだ。

無数のガガが動けないエリスに攻撃を仕掛けようとする。

このままではエリスを守ることを出来ないと考えたイチカはフェニックスを変形させるとフェザーファンネル展開すると赤いオーラ状のエネルギーを纏いガガの大群に特攻する。

バーニングファイアとフェザーファンネルの同時使用により、次々と敵の数が減っていく。

『クソッ!エネルギーが...。機体修復に回しているナノマシン全面カット。全部攻撃とエネルギーに回せ!』

奮闘するイチカだが変わらない戦況と残りエネルギーの低下などが積み重なり、イチカ達の戦意が低下している時だった。

イチカ達の周辺に七色の輝きを放つ膨大なGN粒子が当たりを覆う。

『温かくも激しい...刹那の思いの籠った命の輝き...』

このGN粒子によってガガ達の動きが一気に鈍る中、イチカは七色の輝きを放つ膨大なGN粒子を放っているであろう機体がある場所に手を伸ばすと、それを掴むような動作をすると強く握りしめる。この時、イチカの黒い瞳は金色に変わっていた。

先程まで諦めかけていた眼ではなく覚悟の籠った眼付になる。

イチカはフェザーファンネルをフェニックスの周りに配置するとビームライフル、メガビームキャノンを一斉発射するとすかさず、バーニングファイアで敵を倒していくと急にガガの動きが止まりだす。

それは刹那達がヴェーダ奪還した合図でもあった。

ガガが行動不能となった為、これ以上留まる必要は無く、マークはイチカに刹那達の援護に行くように言うとイチカはその場で頷き、離れた。

刹那の援護に向かったイチカの目に入ったのは脚部を破壊されたダブルオーライザーの姿だった。

フェザーファンネルを展開しながら、目の前の悪人顔したガンダムにビームサーベルで斬り合いなるがパワー負けし、弾かれる。

其処にガデッサとガラッゾが乱入し、連携攻撃に苦戦しているとアリオスといつ撃墜されてもおかしくないケルディムが援軍として来た。

ガラッゾにはアリオス、ガデッサにはケルディムが相手をする形となり、イチカは刹那と一緒にリボンズとの戦闘を開始するとものの数分でアリオスが敵を撃破し、応援に駆け付けるがリボーンズガンダムのGNファングにより撃破されされる。

イチカにもGNファングが襲い掛かるがイチカは辛うじて避けているとリボーンズガンダムが死角からビームサーベルで攻撃し、左腕と右脚部を切り落とされるとGNファングが追い打ちを掛ける。

辛うじて避けてたが頭部と胸部に被弾、コックピット直撃は免れたが被弾した場所が爆発し、それはコックピットまで起きると小さな破片が刺さり口から血を流していた。

『悪い...刹那...。後は...た...んだ...』

ここでイチカは気を失い、映像が切り替わりプトレマイオスのブリッジが映った。

其処には私服のイチカが居たが所々に包帯が見える。

そして、ヴェーダとリンクしたティエリアがCBの真の目的と刹那とイチカの身に起きたことを説明した。

「ねぇ、純粋種のイノベイターって何?」

「CBの創設者イオリアが予見していた、進化した人類を指す言葉で該当する人物は刹那とイチカだ。イノベイターや超兵、イノベイドは脳量子波と呼ばれるモノが使え、脳量子波を用いて他者と表層意識を共有し、驚異的な反射神経と細胞の活性化によって常人の倍近い寿命を持つために老化速度も遅く、50年なら25才年を取るというような違いがある」

「何でイチカはイノベイターになったの?」

「刹那が乗るダブルオーライザーから放たれたトランザムバーストによって放たれた虹色のGN粒子を浴びたことがイノベイター化を促したというれている。この二つの力によってイチカは私達から少しずつ距離を置き始めた」

「何故その様な事をする?寧ろ誇るものではないのか。特別な力があるというのは」

「その考えは危険だ。人は強大な力があるとその力を私利私欲の為に使い、それは争いの火種になる事がある。NTという存在が戦場にいると言うだけで兵士に対する心理的な負担は大きい。そのNTの力を人工的に引き出そうと取り組みがされたのだが...。それは非人道的と言っても過言ではない」

マークは昔に出会った強化人間の少年の事を思い出した。

「強化人間は被験者に対し、薬物投与や強迫観念を植え付ける等のマインドコントロールといった、人体にとっては過酷な過程が必要な事もあり、対象となった人間は精神的な障害や情緒不安定な状態を引き起こすことがある。これはNTの発現要因の一つとされている強いストレスが原因だろう。そして強化人間達は悲惨な運命をたどっていった...」

「強いストレス?」

「そうだ。私達NTは何かしらの強いストレスを受けている。目の前で友人や家族を失った者、目の前で人を助けることが出来なかった者、自分という存在を認められなかった者、皆強いストレスを抱えている。力があればそれを我が物にしようとするのは人間の傲慢さの表れだ」

「酷い話ね...。でも、それがイチカ君が距離を置く理由にならないんじゃないかしら」

「スマン、少し話がそれた。イチカが距離を置いた理由はNTとイノベイターという二つの周りとは違う力による、周りに態度の変化とイチカ自身の自分の特異さに受け入れる事が出来なかった。怖かったんだアイツは...自分の周りから皆が離れていくんじゃないか、とアイツの心は怯えていたよ」

「だから、私達はNTでもイノベイターじゃない。一人の人間として接し続けたわ。イチカは周りの変わらない態度と心に少しずつ、距離を縮めたわ。元の状態に戻って少し経った時に事件が起きたの」

アプロディアがダークサイドに堕ちた様な姿のアプロディアが新たな敵であるバルバドロによって世界は戦火に飲まれると言いイチカ達はアプロディアと共に戦った。

だが、その戦いの最中不可思議な事が起きた。

一緒に戦った仲間が急に手の平を返し襲ってきたのだ。

イチカ達は共に戦場を駆け巡った仲間を撃つ事が出来ず、無力化することで彼らを正気に戻していった。

アプロディアの言う事を真に受ける仲間たちだが、イチカは何処か疑いの眼でアプロディア見ていた。

地球コーティングが剥がされた状態のシステムに特攻しようとしていたバルバドロに各世界から仲間が駆け付けた。

キラ、アスラン、シン、バナージ、アムロと言った豪華な面子で最終決戦に臨んだ。

各々、敵の大将と交戦している中、イチカはサーシェスと戦っていた。

バスターソードとビームサーベルの斬り合いの最中、周りではフェザーファンネルとファングがお互いを攻撃している。

戦いの最中、イチカはサーシェスが本人では無いことに気づく。

本物のサーシェスはロックオン・ストラトス(ライル)によって殺されているのにここに居るのは余りにも不可解だからだ。

辿り着いた答えはアリー・アル・サーシェスの全てをコピーしたニューロだとイチカは気づいた。

そうなるとシン達と戦っている御大将もコピーニューロという事になる。

生身の人間ではないと分かったイチカはフェニックスのバーニングファイアを使いアルケーに突撃し、撃破する。

地球に衝突しようとするバルバドロに全員がありったけの火力で攻撃するとモノアイから光が消え機能停止する。

だが、戦い終わっておらず、最後の力を使い小惑星アクシズを地球に落とそうとした。

「あんなものが落ちたら地球は只ではすまんぞ?!」

「どうなるかは容易に想像できた。だが、あそこまでの質量を持った惑星を短時間で壊すのは無理に近い」

その場にいた全員が落胆していた時、黒歴史が現れるとIフィールド・メガビームライフルをアクシズに向け放ち、Iフィールド・メガビームサーベルでアクシズを両断すると姿を消す。

二つに分断されたアクシズだが、その後部は地球の引力に引かれて落ちる事が分かるとアムロはアクシズに接近するとなんと、押し出そうとしたのだ。

「馬鹿な。一機ではどうにもならんぞ」

「一人では限界がある。だが、奴は一人ではない」

アムロに続き、数機のMSが近づくとアムロと同じように押し始める。

それはイチカ達だった。

アクシズが落ちる様子を見逃す事が出来なかったイチカ達はアムロと一緒にアクシズを押し出そうとしたのだ。

イチカ達がアムロに加勢するが押し切れずにいると次々とアクシズの岩璧にバルバドロ迎撃に向かっていた連邦軍のMSが張り付く。

遂には敵対していたジオンMSまでもが参加するが一機のMSが爆発する。

「皮肉なモノだな。つい先程まで敵として戦っていた者が同じ目的で共闘するとは」

「そうだな。だが、私はこれは人が分かり合えるという証明だと思っている。お互いに殺意を出し合っていた者同士が手を取り合い分かり合えると」

『違う!人は戦争や世直しをしなくても手と手を取り合い分かり合える!だから俺は、俺達は示さなければならない。フェニックス! 人と人が分かりあう為に俺に力を貸してくれ!!』

『イチカさんの言う通り人は分かり合える!! だから......!』

イチカ達を中心に現れた虹色のオーラアクシズを覆い始める。

すると、アクシズは少しずつ地球から離れていき、落下から免れると其処には力なく宇宙を漂う、MSの中にはフェニックスやユニコーンそしてνガンダムの姿があった。

「あれはあの時と同じ光...」

「私達も正確には分からないがあれはサイコフレームと人々の思いが起こす現象だと思う」

「それもNTの勘かい?」

「近場で体験して感じた感想だ」

一難去ってまた一難とはこの事を言うのであろう。

イチカ達の前にアプロディアと名乗り、イチカ達を騙していた女性、コード・アメリアスが本性を現した。

 

 

 

 

 

「私達はその後、コード・フェニックスと本物のアプロディアと合流し、コード・アメリアスを倒すために動いた」

「アプロディアは今までどうしてたの?」

「システムから消去された私は封じられました。そこで私は唯一残された端末【アービィ】を使いコード・フェニックスと接触し、バルバドロを起動させ、私自身を助け出そうとしました。その事に気づいたコード・アメリアスはバルバドロの破壊を企てますが自分のコードをバルバドロに奪われ、奪われたコードを取り戻すためバルバドロ破壊を企てたのです」

「コード・アメリアスの居場所を特定した私達は月の旧ジェネレーションシステムに向かった。そこでコード・アメリアスと熾烈な戦いの中、コード・フェニックスがコード・アメリアスの「裏切りのコード」によって彼女の手駒となるがイチカの呼びかけによって正気を取り戻し、後はコード・アプロディアを倒すのみという時だった」

「イチカとコード・アメリアスの前に空間の歪みに飲み込まれ、私達の前から姿を消したわ。私はイチカが居なくなった事で塞ぎこんだけど、イチカが生きているという信じてMIAになったイチカを探してたら私達も同じように歪みに飲み込まれて、近くにいたコード・アメリアスと戦闘...。負けた私達はコード・フェニックスと同じように彼女の操り人形になったわ」

「後は君達の知っての通りだ。何か気になった事があれば答えれる限り、答えよう」

イチカの過去を一通り説明すると質問タイムに移る。

「イチカは私と同じように頭に遺言が聞こえるアレは...」

「確かNTとかいってたね~」

「NTとは宇宙空間で生活するようになった人類が、それに対応するために進化していったものであるとされている。元々はジオン・ズム・ダイクンが提唱した概念の一つであり、宇宙という広大な生活圏を手に入れた人類は洞察力、認識能力が拡大し、肉体的、精神的にあらゆる物事を理解することができ、それが全人類に広がった時にかつてなしえなかった相互理解が可能となるというモノだ。並外れた動物的直感や空間認識能力を持ち、サイコウェーブサイコウェーブと呼ばれる独特の脳波を発し、離れていても他者やその状況を正確に認識し、意思疎通をする。後に開発されたサイコミュと呼ばれる脳波と兵器を連動させる機器を扱う能力があり、敵を視認することなく「気配」で探知し、さらにその機動を先読みして攻撃、一方では敵の攻撃を察知して回避など出来る。先程も言ったようにNTは強いストレスに素質だが、素質に関しては誰にでもある」

「その条件をクリアすれば私達もNTになれるのか?」

「いや、なれる可能性があるだけだ。必ずしも、なれるという訳では無い」

「じゃ、NTと一緒に出て来たサイコフレームって何?束さん興味津々なんだよー」

「サイコミュの基礎機能を持つコンピューター・チップを、金属粒子レベルで鋳込んだMS用の構造部材だ。チップ単体では実効的な効果を持たないが、コアとなる高出力のメイン・プロセッサを配置することで、非常に高効率かつ高密度なサイコミュ・システムとして機能する。サイコフレームが共鳴する事で智を超えた数々の不思議な現象を引き起こす発光現象のオーロラ状に広がる光が観測されているが詳細なメカニズムは不明だ」

サイコミュ関連の事はイチカ達もアプロディアも分かっていないのだ。

「ガロード達はいつ頃、イチカと出会ったの?」

「んー、俺達の世界でもよ、戦争があってよ。そのせいで人類の殆どが死滅、悲惨なもんだぜ。俺はMS売りさばいたり、ジャンク屋として生計を立ててよ。まぁ、色々あってティファ達がいるフリーデンって所で生活するようになって、ある場所を探してた時にエリスの機体が接触不良を起こして、イチカが出した救難信号を見つけたのがきっかけだな」

その後、イチカはガロードと一緒に行動し、DX強奪や月のサテライトシステム、D.O.M.E.との出会いまで共に行動した。

「僕達はガロード達の敵として戦ったね」

「そうだな。DXのツインサテライトキャノンを喰らった私達は死んだと思っていたが...。どういう訳かこの世界に辿り着き、亡国企業のスコール達に拾われ、私達なりに前の世界の罪滅ぼしをしようと行動し、彼女達を裏切り、ここに居る」

「!? そう...。今、亡国企業はどうなってるのか教えてくれるかしら?」

「潰したよ。僕達の情報が漏れないように徹底的に潰しておいたよ。スコール達と交戦したけど、運が良かったら助かってると思うよ」

シャギア達の発言に不信感を持つ千冬達にシャギア達は肩を竦める。

マークが他に質問が無いか周りを見渡すと特に質問は無かった。

するとラウラに一つの通信が入ると深刻そうな顔をする。

「我がドイツに未確認のISが攻め込んできた。我が祖国から帰還命令が下った」

「なら、私達も同行しよう。援軍はあった方がいいだろう」

「スマン。恩に着る」

「困った時はお互い様よ。確か人数分のベースジャバーが在ったはず」

「で?全員で行くのかい?それは無いと思うけど」

マークは少し考え込むと

「IS学園は私達の拠点と言っても過言じゃない。拠点防衛とドイツに向く部隊に分けよう。マドカ、ガロード、エリス、私がドイツ」

「分かった」

「任せておけって」

「了解」

「防衛はフロスト兄弟、ラナロウ、コード・フェニックスだ。弾君は自宅に帰って家族の所に行って護るといい。イチカもその為にその力(クロスボーン)を与えたはずだ。IS組は好きにしたまえ。何が起きても私達は保証はできんからな」

「問題ない」

「了解したよ」

「任せな」

「合点招致!」

「はい!」

箒達の行動を止める方法は無いと結論を出したマーク。

恐らく、自分達と一緒に来る考えた通り同行すると言いだした。

時間が惜しいマークは深く言及はせず、アリーナ整備室にあるベースジャバーに乗り行動を開始するのだった。




終わりも近いのでアンケで取った新作をIS×カンピオーネを投稿したいと思ってます。

今月中には新しく投稿する予定です。

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