時系列は種死の本編終了後です。
ハルファスとの戦いからイチカ達は色々な世界を回っていた。
何故、そんなことが出来るのか.
それはハルファスガンダムがここ二ヶ月現れていないからだ。
ワールド・シグナルに怯えていた人々はつかぬ間の平和を満喫していた。
それはイチカ達も例外ではない。
イチカ達は
ナチュラルとプラントの二つの勢力が戦争し、オーブは「他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない」という理念に基づき、両者との争いに関与せずにいた。
それからオーブは争の火に飲まれることがあったが立て直すことに成功し、幾度となく行われた争いは終わりを迎え、現在はナチュラル、プラント、オーブ共に争いの無い世界を作ろうとしている。
オーブの市街を歩く二人の男女。
金髪の女性はダメージジーンズに青いシャツその上に黒いパーカを着ており、少年は藍色のジーパンに赤のシャツにクリーム色のパーカを着ている。
「戦闘以外で来るのは久しぶりね」
「俺は初めてだな」
久しぶりの休暇に意気揚々とした表情で歩くエリスと始めてくる世界を見回すイチカ。
「そうね。結構良い所よここよ。それに久しぶりの休みなんだし楽しみましょ、ね」
「あ、ちょ、エリス引っ張るなよ!」
エリスはイチカの腕を引っ張ると走り出し、イチカは少し嫌そうな顔をするが何処か笑っているようにも見えた。
イチカ達が最初にやってきたのは雑貨を売っているところでイチカが来てから戦闘ばかりでイチカの部屋が殺風景極まりなく、この際に模様替えしようというのがエリスの考えなのだ。
エリスはイチカの腕を引っ張りながら入店する。
「いらっしゃいませ」
「じゃ、お買い物タイム始め!」
「いや、いきなり初めって言われても......」
「いいから、欲しいものが無いか見てくる見てくる」
イチカはその場から離れると生活必需品の所に行くが新しく買う物が特になく、強いて言うなら服が少し足りない位である。
「服は買うとして、後、何か必要かな?」
家事に関しては、クルーの女性人と一緒にやっており、その時に自分の料理作った事があったのだが、食った皆からは絶賛されたがエリスを含む複数の女性が涙を流していたことは言うまでもない。
「必要品はマーク兄やラナロウ兄達が買うからいいとして、何か無いかな...お!」
イチカが目にしたのは機械に関する本と料理の本であった。
前者の方はMS等と触れていくうちに興味を持ち、自作で小さいロボットを作ってみたいと思うようになり、後者はクルーの皆にもっと美味しい料理を食べて欲しいという気持ちがありこの二つの本と衣類を持ってエリスの所に向かった。
「エリスー!欲しい物選んできたけど...」
「もしプレゼントするならこっちの方が...(ブツブツ)」
イチカが見たのは目の前にある二つのネックレスを真剣な眼差しで見ているエリスだった。
「なにを見てるのエリス?」
「ひゃ!な、何でもないよ!っていつからそこにいたの!?いたなら声かけてよ、びっくりしたじゃない」
「今さっき、てか声かけても気付かなかったのエリスじゃん」
「あ、あはは...ごめんね。戻ってきたって事は買う物を見つけてきたってことね」
「今回、買う物」
イチカは手に持っていたカゴを指さすと其処には某中東出身のイノベイターが着ていた服やベルトがやたら多い服などがあった。
「イチカ、そのベルトが多い服と襟が大きい服はやめよう、ね」
「あ、うん。わかった」
エリスはイチカの肩を掴むと物凄いプレッシャーを放ち、イチカはこれは危険だと判断し、エリスが言った服を買うのを辞め会計を済ました。
「そういえば、エリスは何買ったの?」
「ん~、内緒」
「それって不公平じゃん」
買い物を済ませのんびり歩いている二人に突如、警戒音がオーブ全体に響く。
『オノゴロ島周辺にMSを確認。速やかにシュルターに避難してください。繰り返します―――』
市民や観光客が逃げる中イチカ達はネェル・アーガマに向かっていた。
「ゼノンさん!発進許可を!」
「あぁ、分かった。後の事は任せろ」
「了解!」
イチカは敬礼すると格納庫に向かいエクシアに搭乗し、発進する。
「イチカ。私も手伝うわよ。もうあの国を戦火に巻き込みたくないから」
「あぁ、そうだな」
エリスとイチカは戦闘が行われているであろうオノゴロ島を目指す。
「イチカ!あそこ!」
「あぁ、見つけた!」
侵攻してきたのはザフトのMS部隊だが、今ザフトは地球連邦と及びオーブと和平を結んでおり、もうあのような戦闘が起きないようにしている。
だが、それを良しとしない者が一部おり、この戦闘もおそらく、その一部の者が起こしたものと考えられる。
「クソ!なんで自分から平和を壊そうとする!」
「そうね、人は分かり合えるのになんでそんな事をしようとするんだろうね...」
イチカはエリスの言葉にどこか悲壮感が感じれた。
「ガンダムエクシア!目標を破壊する!」
イチカはGNソードで攻撃しようとするがジンは持っていた実体剣で防ぐ。
「なんでこんなことをしようとする」
『ナチュラル等との和平だと、下らん。俺達コーディネーターに劣るナチュラルと歩む事などありえん!』
「貴様ァ!」
『どうやら、お前もあの歌姫と同じ考えのようだがふざけるなァ!俺は血のバレンタインの時に家族を失った!ならナチュラルにも同じ苦しみ与えねばなるまい。俺達が味わった怒り、悲しみ、苦しみをな!』
「そんな怨念返しみたいなのをやって何になるんだよ!貴様のその行為によって新たな憎しみが生まれ、それは貴様とは関係の無いプラントの市民に跳ね返ってくるかもしれないんだぞ!こんな事をしても何にならないって分かれよ!」
『貴様の戯言なんぞ聞く耳持たん!!』
ぶつかり合う互いの思い、この男が味わった苦しみはそれ程、大きいのだろう。
だがイチカも引く気はなかった、イチカは実体剣を弾きジンの左腕を切り落とし、
「憎しみの連鎖は止めなければ永遠に続く。お前を倒しても止まらない。新しい憎しみを生むだけ。だから!」
イチカはジンの四肢を全て切り落とし、蹴りを加え、海中に落とす。
「俺はお前を殺さない。きっと分かり合える。争いの方ばかりに向けるんじゃなくて、もっと視野を広げて周りを見れば違う答えが見えるはずだ」
『だが、殺された妻や娘が報われないじゃないか!』
「きっと、殺された娘さんや奥さんは復讐なんて望んでない。もし自分がその立場ならどうなんだ?俺なら復讐なんて望まない。生き残った人の幸せと平和を望むよ」
『......』
ジンのパイロットは何も言わないがきっと分かってくれると信じ、その場を後にする。
オーブのMS部隊と共闘しているエリスの近くに行く。
「遅いわよ。イチカ」
「ゴメン。今から参戦する」
「こっちは数が多いんだから」
「よーしよーし、よく頑張ったね」
「む、何か馬鹿にされた気分」
こんな会話をしているイチカ達だが敵はちゃんと落としており、海中には落とされたMSが浮いている。
「これでラスト!」
最後にゲイツを落とし、戦闘は終了する。
『協力感謝する』
「別にいいのよ。困った時はお互い様よ」
「戦闘も終わったみたいだし撤退させてもらうよ」
イチカ達はそのままネェル・アーガマに帰還する。
イチカとエリスはオノゴロ島の浜辺にいた。
「エリスここは...」
「イチカに合わせたい人がいてね」
「会わせたい人?」
イチカは首を傾げると一人の女性の声が聞こえる。
「おーい!エリス!」
手を振って向かってくる金髪の女性に続く形で複数の男女が向かってきてた。
「皆、来たみたいだね」
「エリスさんと久しぶりにお会いになられるとお聞きして」
「あぁ、ここ最近連絡してこなかったからな」
「よく、心配してたからなカガリは」
「元気そうだな。エリス」
今の話を聞く限りエリスの友人だという事が理解できるがイチカは誰なのか知らない。
「エリス。この人たち誰?」
「始めまして。私はラクス・クラインと申します」
「私はカガリ。カガリ・ユア・アスハだ」
「俺はアスラン・ザラだ。間違ってもズラなんて言うなよ」
「俺はシン・アスカ。よろしくな」
「始めまして。僕はキラ・ヤマト」
イチカは彼らの名前を聞くと大物だという事に気づき、緊張しながら自己紹介をする。
「お、俺はイチカ・ギルオード」
「そんなに緊張しなくていいよ、イチカ君。君はゼノンさんの艦にいるのかな?」
「ハイ!雑用をしていましたが最近はMSに乗って戦っています」
「ほぉ、驚いたな。こんな小さい子供がパイロットをしているとは」
キラの質問に素直に答えるとアスランが少し驚き、興味を持ったイチカにシンが質問する。
「へぇ、どんな、機体に乗っているんだ?」
「さっきの戦闘で粒子みたいなのを出している機体です」
「増々驚きだな。その年であれほどの腕とは将来良いパイロットになるかもしれん」
「シン何かあっという間に抜かすんじゃないか?」
「ちょ、代表!ひどいですよ!」
「イチカ君少しいいかな?」
「ハイ。なんでしょうか」
キラが真面目な表情でイチカに問いかける。
「君は一体何のためにその力を振るうの?意志なき力はただの暴力でしかないって理解しているかい」
楽しい会話は一転して緊張した空間になり、イチカはキラが何を言いたいの理解し、答える。
「はい。俺は数か月前までMSにすら乗った事なんかなかった。戦闘が起きれば避難誘導をしていました。いつも戦闘を見ながら何故、戦争を争いを辞めないのか不思議でした。でも俺にはできないと思い出来ることを精一杯やりました。
ですがある時、俺は一人の少女を助けること出来ず、頭の中にその少女の悲痛な叫びが聞こえました。俺はあの時、決意したんです。争いの無い世界にするために戦う。そして人が手と手を取り合い分かり合うことが出来る世の中にしたいと思ったんです」
「君はそれだけの覚悟があるんだね」
「はい」
「人を殺す覚悟も、報いを受ける覚悟も?」
「ハイ。報いは受けます。戦争を無くしてから」
アスラン達はこんな幼い子供が理想を覚悟が有ることに驚き言葉が出なかった。
「そう、なら僕はイチカ君の夢を応援するよ。皆も応援するよね」
「そうですわね。こんな幼い子供がこれほどの決意を持つことは素晴らしいことですわ」
「あぁ、全くだ」
「こんな子供が此処まで言うとは正直驚いた」
「大したこと言うじゃないか。コノ、コノ」
「あ、ちょ、シンさん!」
アスラン達は賛同し、シンはイチカとじゃれ合っているとラクスがエリスに近づく。
「エリスさんの思い人は立派な覚悟をお持ちの様ですわね」
「とうとう、エリスにも春が来たか」
「え、ちょ何言ってるのよ!!イチカは只の後輩で弟子よ!!そんな思い人とかじゃないから!!」
「そうやって必死になってる辺り怪しいがな」
「それにイチカ君の事を見てる表情が恋する乙女って感じだったよ」
「キラ、アスランまで!!」
エリスは顔を赤く染めながら否定する。
「あっ、でもイチカがまだ十三位だから、エリスはショタコンって事になるのか」
「シィィィン!!今すぐイチカから離れなさい!!一発お見舞いしてあげる!!」
「うわぁ、エリスがキレた!」
「今日も平和ですわね」
「そうだね、ラクス」
鬼の様な表情でシンを追いかけるエリスを見ながら笑う一行だった。
久しぶりにガンプラ買いたい