「せーのっ」
『イチカ、誕生日おめでとう!』
シャルロットの合図にぱぁんぱぁん、とクラッカーの音が鳴り響く。
「おう。皆、ありがとう」
時刻は夕方五時を過ぎ、予定通り、五反田食堂でイチカの誕生日パーティが行われたのだが、大きな誤算が一つあった。
「予定を大幅に超える人数が来たな......」
今回の誕生日パーティに参加したメンバーを整理しよう。
箒、セシリア、鈴音、シャルロット、ラウラ、簪の代表候補生チーム。
弾、蘭の五反田兄妹。
楯無、本音、虚、黛の生徒会メンバー+α。
ラナロウ、ガロード、ティファ、コード・フェニックス、マドカのガンダムチーム。
以上のメンバーが参加しているのだが、この大人数の為、五反田食堂は貸し切りにしてパーティが行われている。
「あ、あのイチカさん! ケーキ焼いてきましたから!」
「サンキュ」
ココアベースのスポンジにチョコとクリームでデコレーションされたケーキを一口、口に運ぶ。
「美味いな。蘭一人で作ったのか?」
「は、はい! 皆さんの分ありますから」
『じゃ、いただきまーす』
蘭は人数分のケーキを取り出し、配るとケーキを一口サイズにし、口の中に運ぶ。
「おぉ、美味いな」
「このチョコの風味がいいな」
「ガロードはチョコケーキが好きなんですか?」
「そうだけど?」
「ガロードはチョコケーキが好き...。メモメモ」
「うっますぎるぅ!!」
食べた人から称賛が送られ、作った本人である蘭も美味しいと言われ嬉しいのだろう、蘭から笑みがこぼれる。
「イチカ、ラーメンが出来たわよ」
「お、おう。甘い物食った後に脂っこいのはな...」
「大丈夫。さっぱりして美味しいから、温かいうちに食べなさいよ」
「じゃ、遠慮なく」
鈴音のラーメンはスープが麺に絡み、海鮮メインのだし汁でさっぱりとしていた。
「イチカさん!お、お誕生日おめでとうございます。 それで、こちらを」
「何だこの箱」
「ぷ、プレゼントですわ」
「へぇ」
しっかりと梱包された紙袋を取り除き、フタを開ける。
「おぉ、ティーセットだ」
「これはイギリス王室御用達のメーカー『エインズレイ』の高級セットでしてよ。それと、私の普段愛飲している一等級茶葉もお付けしますわ」
「サンキュ。大切に使うわ」
「そ、それと今度お時間があ―――」
「イチカくーん、ちゃんと食べてる?」
背後から現れた楯無はイチカに抱き付こうとする。
「あぁー、手が滑ったー(棒)」
「!?」
「おっと、あぶね」
殺意の籠った棒読みと共に一つのフォークが飛来し、楯無は寸前で後退し、避けるがイチカは人差し指と中指に挟み止める。
「ゴメン、兄さん。
「確かにフォークに蠅が刺さっているが...もう少し、穏便に出来なかったのか?」
「今度からそうしよう」
ちょっとした超人的な光景に周りの人は開いた口が塞がらなかった。
フォークに蠅が刺さることも然り、フォークを一切見ずに止めたイチカの超人ぷっりに一同唖然とした(一部を除く)。
「あ、そういえば、ラウラが後で外に来てほしいだって」
「じゃ、今から行くわ」
最初に我に返ったシャルロットはラウラからの伝言を思い出し、イチカに伝える。
外に向かったイチカを仁王立ちしたラウラが迎え入れた。
「ようやく、来たか」
「待たして悪かったな」
「い、い、イチカ!」
「うわあっ!」
ラウラの声と同時に一つのナイフがイチカの首元に当たりそうになるが、イチカは体を半回転させ、避ける。
よく見るとナイフは先程までイチカの首があった所の直前で止まっていた。
「こ、このナイフをやろう!」
「は?」
「誕生日プレゼントだ!私が実践で使っていた物だ。切断力に長け、耐久性も高い。受け取れ!」
「お、おう」
ナイフと付属の鞘を渡されるイチカだが、どんな渡し方だよ、と一歩間違えれば警察沙汰になっていたかもしれない先のラウラの行動にツッコミを入れる。
「ありがとうな、ラウラ」
「!!」
ラウラは耳まだでカーッと赤くなるとフンっと鼻を鳴らし、その場から立ち去りイチカも食堂に戻ろうとした時、弾と虚が連絡先を交換しているのが目に入った。
食堂に戻るとイチカは箒から、着物を貰い、簪からはアニメのDVDや原作などを貰った。
「お、よかった。まだ売り切れてない」
五反田食堂から最寄りの自動販売機で足りなくなった飲み物を補給するために20本程買っていた。
イチカは飲みそうな物を買い、数が数なのでビニール袋に入れ、戻ろうとした時、背後に突如、現れた気配に振り向くと其処には見知った顔があった。
「久しぶりだな、イチカ・ギルオード」
「コード・アメリアス...!」
イチカは目の前に現れた宿敵といっても過言ではない存在に警戒心を最大限まで高め、左腕を部分展開し、左腕にあった白いシールドに内蔵されている二挺のビームマシンガンを向ける。
「何の用だ...」
「今日は貴様に用事があってな。我、自ら赴いたわけだ」
「俺の誕生日に参加しに来たわけでも、エリスを返しに来たわけでもないだろ」
「半分正解、半分不正解と言った所だな。我は貴様にある事を伝えに来たのだよ」
「なんだと...」
イチカはコード・アメリアスの発言に眉を顰める。
「余興として本日未明に大量の敵をそちらに送ることにした。場所は太平洋南部だ」
「俺達を惑わせる作戦か、弾薬や体力を消費させる作戦か...。どちらにせよ、何故、敵である俺に教える」
「余興と言っただろう。平和などに浸かりきって我との戦いの時に腑抜けた貴様を倒しても意味がなかろう。信じるかどうかは貴様達次第だ」
そう言うとコード・アメリアスは悠然とその場から消えていった。
「アプロディア、今の話を皆に伝えてくれ」
『その必要はありません。先程の会話はジェネレーション部隊のみリアルタイムで流していました』
「真偽を確かめるために本日未明に日本海南部に行くぞ。何もなければいいんだがな...」
コード・アメリアスの会話を思い出しながら、イチカは五反田食堂に戻り、先程の会話の事を一端忘れ、一時の平和を満喫するのだった。
誕生日パーティは終わり、イチカ達はコード・アメリアスの真偽を確かめるために沿岸部に居た。
「何かあってからじゃ、遅いからな早く確かめに行こうぜ」
「あぁ、そうだな」
「イチカ。その機体を使った実戦は初めてだ。無理をするなよ」
「問題ないよ、ラナロウ兄。そっちこそトールギス治ったからって無理しないでよね」
「兄さんだけは私が絶対護る!!」
「俺以外も護って欲しいんですがね...」
イチカは一端話を切り上げる。
「行くぞ!皆!!」
『おう!!』
イチカ達は各々の愛機を掲げる。
「マドカ・ギルオード、ケルディム...目標狙い撃つ!」
「ラナロウ・シェイド、トールギスⅢ...行くぜぇ!」
「ガロード・ラン、GX...行くぜ!」
「コード・フェニックス、マスターフェニックス...行くぞ!」
「イチカ・ギルオード、ユニコーンガンダム...飛翔する!!」
愛機を身に纏ったイチカ達は五つの軌跡を描き、空彼方へと飛び立って行った。
イチカの予備機考えたら真っ先にユニコーンガンダムが思いついた。
ユニコーンガンダムとイチカだと凄いしっくりくるんですよ。
まだ小学生の従弟と一緒に仮面ライダーシリーズ観ました。
見たのは仮面ライダーWでした。
自分はクウガ世代なんですけどあのリアル出血は当時はトラウマでしたね。