インフィニット・ジェネレーション   作:ハルン

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IS勢VSGジェネも終盤です。


クリスマスに投稿する予定でしたが、血液検査をした結果、異常が確認され、24日から
昨日まで入院していました。

いやー、とんだクリスマスプレゼントでしたね。アハハハハハハ(血涙)




24話

ラナロウの豹変?に困惑する中、イチカ達の前にラナロウが帰還してきた。

「あっ、ラナロウ兄。怪我、大丈夫?」

「Don't worry、俺は元気だぜ」

「な、ならいいんだけど」

イチカは何で英語口調なのか気になって仕方ないが、それより、ラナロウの負った傷が開いてないか気になっていた。

「にしても、雷の竜が出てきた時は驚いたな。 キッドが見たら興奮するぜ」

「アレは確か両腕にあるプラズマを生成する小型の装置を付けた事で......なんだっけ?」

「プラズマを生成する小型の装置を付けることでラナロウ兄の「雷とか撃てるようにしたい」と言う願いを聞きいて取り付けたんだ。 実戦でも使える様にしてあるけど、今回は模擬戦だからリミッターを付けた状態なんだ。 生成したプラズマを刀に流し込むことでさっきみたいなことが出来るんだ。 一応、搭乗者にはプラズマの影響を受けないように設計されてるけど、余りにも高い出力を出そうとすると搭乗者に負担が掛かるから、気をつけてくださいよ」

「マジか。因みにどれ位なんだ?」

「度合いにもよりけど...身体が少し焦げて煙が出ますね」

イチカの解説を聞いたラナロウは絶対過剰出力は出さないようにしようと心に誓った。

「で、次は誰が行く?相手はセシリアだけど」

「私が行く」

「次はマドカだな」

「あの高飛車女が兄さんに毒物を食べさせて...。どうやら、死にたいらしいな...。 クケケケケ」

「オーイ、ちょっとー」

何故、マドカがイチカがセシリアの料理(ポイズンクッキング)を食べたことを知っているのかと言うと仲のいい本音、簪、シャルロットから聞いたのだ。

その話を聞いた時のマドカの顔を見た三人曰く、「そこには般若がいた」「多分、セシリアに明日は無いと思う」「セッシーの事は忘れないよー」との事だ。

「さて...どう、料理してやろうか...。じっくり痛めつけながら恐怖を味あわせ、絶望の淵に追い込むのがいいかな...」

「オイ、イチカ。マドカが暗黒面に堕ち始めてるぞ」

「分かってるけど...なんだろう、あんまり関わりたくない。 マドカ、あんまりやり過ぎるなよ」

「...分かったよ、兄さん」

「了解を言うまでに出来た間が気になるが...まぁ、ガンバレ」

マドカは良い笑みを浮かべ、サムズアップするとケルディムを展開し、飛び出していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マドカさん、貴女は私よりもBT兵器の操作や射撃などが優れていますわ。ですが、上である、貴女を倒してイチカさんに私の実力を教えて差し上げますわ!!」

「ウダウダ言わずにさっさと構えろ。私はお前を倒したくてウズウズしているんだ」

セシリアがスターライトmkⅢを構えると試合開始の合図が鳴り、マドカの頭部を狙うがマドカはシールドビットを展開し、防ぐ。

「貴様、兄さんに暗黒物質(ポイズンクッキング)を食わせたらしいな」

「いえ、あれは...その...」

「レシピを見ながら変なモノを入れて、兄さんに臨死体験をさせたらしいじゃないか」

「えっと...あの...若気の至りと言うか...何と言うか...」

「さぁ、お前の罪を数えろ!!」

マドカは某ハーフボイルドの探偵の様な事を言いだすとGNスナイパーライフルⅡを構えると頭部、肩、胸、膝を正確に射抜く。

「相変わらずの射撃精度ですわ...。 ティアーズ!!」

「同時に操れない貴様がビット兵器で私に対抗するなど...浅はかなり。 ライフルビット!!」

セシリアがブルーティアーズを四基を射出し、マドカに向けるがマドカはライフルビットを同じく四基射出し、ブルーティアーズの迎撃に向かわせる。

セシリアとマドカでは操作技術が桁違いであり、セシリアのブルーティアーズは半分撃ち落とされると一度自分の所に戻す。

「やはり...私では力不足だというのですか...」

「機体の意味も理解できない者がその機体の全てを出しきる事など不可能だ」

マドカは腰部フロントアーマーに内蔵されているミサイルポッドからGNミサイルを四発放つとセシリアは残りの弾道型(ミサイル)のブルーティアーズを二発放つが四発の内、二発は相殺することに成功するが残りの二発がセシリアを襲う。

GNミサイルの爆炎の中から落下するセシリアはマドカが言った『機体の意味を理解していない』という言葉について考えると心の中に青い雫が水面に落ち、波紋を広げた。

(あぁ、そうでしたの。ブルーティアーズとは、つまり――)

落下から姿勢を立て直したセシリアはブルーティアーズを放つがマドカはそれを難なく避け、セシリアに視線を移すとセシリアが人差し指と親指を立てピストルの形にするとマドカに向ける。

「バーン」

マドカはセシリアの行動の意味を理解できずにいると背後から二発のビームが左肩に命中する。

マドカは何が起きたのか分からず背後を振り向くが其処には何もなく、マドカは先程、放ったビームがレグナントの様に曲がったのだと推測し、それがどういうモノなのかマドカは心当たりがあった。

偏向射撃(フレキシブル)をこの土壇場で取得したのか...。だが...!!」

「なッ!?」

セシリアは偏向射撃と通常のビームを混ぜて、攻撃するがマドカはそれを全て避ける。

「な、なぜ当たりませんの!?」

「これより高出力のビームを曲げる機体と交戦したことがあるからな...。 どうとでもなる。 だが、中々面白い物を見せてもらった。 どれ、少し本気を出してやろう」

そう言うとマドカはTRANS-AMを発動させ、赤く染まるとセシリアに接近する。

「!?」

「よく、勘違いされるが、私は遠距離射撃も得意だがそれよりも近接射撃の方が得意なんだよ」

マドカはTRANS-AMを解除するとGNピストルⅡを二挺取り出すとブルーティアーズに押し付ける。

「兄さんの苦しみ...受け取れェ!!」

「グッ...!? キャァァァァァァァ!!」

マドカはGNピストルⅡを連射し、装甲を破壊しつつ、SEを削っていく。

マドカはGNピストルⅡのグリップを可動させ、ハンドアックスの様に形になるとセシリアの左腹部に叩きつけるとそのまま、腹部に飛び蹴りをする。

「クッ!」

「GAMEOVERだ!!」

マドカはもう一度、TRANS-AMを発動させると開閉式の頭部ガンカメラが開き、照準用フォロスクリーンが頭部前面に展開される。

照準用フォロスクリーンには膨大な情報を高速演算処理し敵機の動きを予測することで、驚異的な命中精度を発揮すると言う射撃性能をさらに強化する機能がある。

シールドビットを四基を格子状に配置し、ライフルビットをセシリアの周りに配置し、全方位からのビーム攻撃をお見舞いする。

ブルーティアーズから爆炎が立ち上る中、爆炎から一つのビームがケルディムの黄色いV字アンテナの一部を破壊する。

「一矢報いえましたわ...」

試合終了の合図が鳴ると爆炎の中から落下する、セシリアはどんなに訓練しても会得できなかった偏向射撃を会得できた事と、鉄壁と言っても過言ではないマドカのシールドビットを抜け、ケルディムに傷を負わせた事に嬉しかったのかセシリアは負けた筈なのに笑みを浮かべていた。

落下するセシリアの腕をマドカは掴む。

「最後の最後でやってくれたものだな」

「あら、褒めてくださいますの?」

「偏向射撃を取得したことで貴様は強くなった。だが、同時行動が出来ない限り、貴様はまだ、未熟だ。そして、その弱点を克服することが出来ない限り、貴様は兄さんと共に戦う事は不可能だ」

「上げて落とすのが得意ですわね...」

「悔しかったら、精進することだな」

マドカはセシリアを迎えに来た、シャルロットにセシリアを渡すとAピットに戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄さーん!! 勝ったよー!!」

「聖術・鳳凰結界」

「ゑ? グハァ!?」

何が起きたのか説明しよう。

マドカがAピットに戻る際にケルディムを加速させ、ケルディムを解除し、イチカに抱き付こうとするがイチカの頭の中で光が弾けると近くにいたコード・フェニックスを楯にし、マドカの体当たりを防ぐ。

マドカはもう一度、イチカに抱き付こうとするがイチカのアイアンクローによって阻止される。

「何の真似だ。マドカ」

「いや、兄さんに勝利の激励として熱いハグをして貰おうと。ついでに既成事実でも作ろうと思って」

「少し...頭冷やすか?」

「グギャァァァ!!」

マドカの発言に熱くなっていた頭が急に冷め、無表情、無機質、無感情な何も感じさせない顔になるとマドカを掴んでいた腕に更に力を入れた。

「悪魔も顔真っ青だな」

「魔王だ...。魔王が居るぞ」

「...ハイ。今のイチカからは怒りも悲しみも、憎しみすら感じません。正しく無そのものです」

「マドカの行動にとうとう、キレたか...」

この光景を見た四人はイチカだけはキレさせてじゃいけないと心から誓った。

「じゃ、最後は俺が行くわ」

「お、おう...。 頑張れよ」

「行こう。フェニックス」

イチカはフェニックスを展開するとアリーナへ、飛び出していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イチカがAピットを出てから間もなく、紅椿を纏う箒と白式を纏う千冬が現れた。

「あの時言ったはずだ。これ以上、口出しするなと関わるなと警告したのに......。何故だ」

「私はお前を護りたいのだ!!」

「私はただ、昔のお前に戻って欲しい...。ただそれだけだ」

「それは無理な話だよ...千冬姉」

イチカの呟きと同時に試合開始の合図が鳴るとイチカはビームライフルを千冬に向けて放つが千冬はビームを避けると、イチカはフェザーファンネルを展開し、攻撃するが千冬はギリギリで避ける。

「昔の貴方なら、もう少し、余裕を持って回避できたろうに」

「ハァァァァァ!!」

「奇襲をするなら、声を出さない事だな。 敵に気づかれるぞ」

セシリアのブルーティアーズの様に操作に意識を集中する必要があると考えた箒はフェザーファンネルが千冬に向けられ、攻撃している隙に背後からの奇襲により、ダメージを与え、千冬を救援しようと考えていたが、イチカがクロスバインダーソードを取り出し、鍔迫り合いが起こる。

「少なからず、フェザーファンネルに意識が集中すると考えての行動なんだろうが、悪いが認識能力は高い方でね。 俺はセシリアの様にはならない。 それに相手の『気配』を認識するのが得意でね」

「クッ! 読みが外れたか...。だが、その発言はまるで自分が特別な存在だと言っているみたいだな」

「...俺は人間だ。何処まで行っても俺は人間だ。人間で十分だ」

イチカは両手に持っているクロスバインダーソードが鍔迫り合いにより、塞がれている。

好機と思った箒は脚部の展開装甲を起動させ、右脚をエネルギーソードに切り替えると回し蹴りの要領でイチカの腹部を斬り込む。

紅椿の展開装甲は両の腕肩脚部と背部に装備され、その一つ一つが自動支援プログラムによるエネルギーソード、エネルギーシールド、スラスターへの切り替えが可能なのだ。

「そんな攻撃...。効くかよ!!」

「グワァァ!!」

イチカはクロスバインダーソードから手を離すと蹴ろうとした右脚を掴み、そのまま地面に叩きつける。

「篠ノ之!!」

「フェザーファンネルの攻撃から抜け出せたか...」

千冬は雪片弐型を上段でから振り下ろすがイチカは右腕から布状のビームが現れるとその先端を持ち、そのまま両手を広げ、防ぐ。

「これならばどうだ。 零落白夜!!」

千冬は白式の単一仕様能力である、零落白夜を発動させ、斬りこもうとするがフェニックスの右手が燃え上がり、零落白夜を起動させた雪片弐型を掴もうとする。

先程まで燃え上がっていたフェニックスの右手が雪片弐型に触れた途端、消滅したのだ。

「お前の武器の大半はビーム兵器で構成されている。 なら、この白式は貴様にとって相性最悪だ。 何故だか分かるか?」

「零落白夜か...」

零落白夜とは対象のエネルギーをすべてを消滅させる白式の単一仕様能力である。

千冬が述べた通り、フェニックスの主武装はビーム兵器が殆どであり、バーニングファイアも機体全体をエネルギー体で覆う技であり、フェニックスの武器の大半は効かない事にになるがイチカにとって些細な問題でしかない。

「ハァ!」

「グゥ!?」

フェニックスの武装の大半を封じたと思った千冬は一度距離を置き、もう一度、斬りこもうとするが寸前でイチカの拳が鳩尾にめり込み、余りの衝撃に腹部を抑える千冬。

「来いよ、世界最強。 お前らに力の差を教えてやる」

イチカはフェザーファンネルを回収し、武闘家の様な構えを取る。

「行くぞ!!」

「クゥ!」

イチカはステップを踏みながら接近すると残像が見える程の速さで千冬を殴り始める。

「千冬さん!!」

「セイヤァ!!」

「ガハッ!?」

「十二王方牌大車併!!」

イチカは千冬を蹴り飛ばすとイチカは掌を前面に突き出し、大きく円を描くように動かしながら梵字を出現させると、そこから小型のフェニックスが多数、現れると箒を攻撃し始める。

「何だ、この小さいのは?!」

「俺の師匠(ドモン)のそのまた師匠(東方不敗)が使っていた技だ。 俺はその人の技を少し、身に付けている」

ドモンとの修業以外でも自主的に鍛えており、その中でドモンの師匠である、東方不敗について調べ、編み出した技の幾つかを取得している。

十二王方牌大車併とは気で使用者の小型の分身を多数作り出し、対象に攻撃を仕掛けるもので攻撃後、分身を帰還させる「帰山笑紅塵(きざんしょうこうじん)」を使用する事で、気の消費を抑えることができる。

分身を帰還させ、気の消費を最小限に抑えると右腕から布状のビームで箒の腕を絡めるとそのまま引き寄せると、バーニングフィンガーと同じ状態にし、気を練りりその気を引き寄せた箒に放つ。

バーニングショット――東方不敗やドモンが似たような技をを使い、自分の射撃武器が無くなった時、使えたら便利という、考えから編み出した技。

フェニックスのバーニングファイアを掌部限定で発動させたバーニングフィンガーのエネルギーを練った気に纏わせ放つのがこのバーニングショットなのだ。

箒の腕を掴むとイチカに攻撃態勢で接近していた千冬に向け、投げつけると千冬は攻撃態勢を解き、箒を受け止める。

「大丈夫か、篠ノ之」

「は、はい。SEが少し、削られましたが、行けます」

千冬は箒の状態を確認するとイチカに視線を向けると其処には荒ぶる鷹の様なポーズをしたイチカが眼に映った。

「超級覇王電影弾ッ!」

頭部以外の全身を気弾で渦巻き状に包み、箒達に接近する。

「回避しろ、篠ノ之!!」

「クッ!!」

左右二手に分かれた千冬と箒だが、気弾の渦を纏ったイチカは箒に向け突撃し、箒は気の渦に巻き込まれ、アリーナの壁に弾き飛ばされる。

「ハァァァァァ!!」

「グッ...クッ...!」

千冬は雪片弐型でイチカの拳を防ぐが、残像を残すほどの速さで打ち込んでくる、イチカの拳を完全に防ぐことは出来ず、零落白夜を使用していることにより、SEは加速的に減っていた。

何故、SEが加速的に減っているのか。それは零落白夜が自らのSEを消費して発動する為、白式のSEは発動中、常に減っていることになる。

雪片弐型に亀裂が生じ、SEが底を尽き始めたのか、零落白夜が解除された。

「まだ、続けるつもりか。頼みの綱はもう、消えた」

「まだだ、まだ私の戦意は消えてはいない!!」

イチカはバーニングフィンガーで止めを刺そうとした時、イチカの頭の中で光が弾けるとその場から飛び出すと一つのエネルギー刃が先程までイチカがいた所を通り過ぎる。

「千冬さん。受け取ってください」

「こ、これは...」

展開装甲から黄金色の粒子を放出し、金色に輝く箒が白式に触れると千冬は目の前で起きている事に眼を見開く。

何故なら、白式のSEがフル状態まで回復したのだから。

絢爛舞踏―――エネルギーを増幅することができる紅椿の単一仕様能力。

エネルギーを増幅して一気にフル状態にしたり、従来は事前準備が必要でコア同士のシンクロなど非常な困難が伴う他のISとのエネルギー交換を、機体に接触するだけで即時実行出来る。

「行きましょう。千冬さん」

「あぁ、行くぞ。篠ノ之」

「なんで...。なんで、自分から戦火に身を投じようとするんだ!!」

「そう言うお前こそ、こちら側(日常)に戻ってこい!!」

「もう、戻れないよ...。俺は争いによって、何が起きるのか、視た、聞いた、体験し、感じた。だから、俺は戻れない」

イチカは四年間で多くの事を多くの事を覚え、理解した。 そして、世界の醜さをその眼に焼き付けてきた。

「一夏ァ! お前が戦う必要なんてない!!」

「俺は多くの戦友を失い、命を奪った...。 俺は多くの戦士達の命を吸って生きている...」

「なら、忘れればいい!! アイツらとの縁を切り、争いなどと言う愚行はやりたい奴だけにやらせればいい!! お前が助けようとしている女の事も全部、忘れて平穏な日常に戻ればいい!!」

「なん...だと...」

イチカは箒の発言に唖然とした。

自分の事を助け、家族同然に接してくれたクルー(ネェルアーガマ)の皆を、あの時、助けることが出来なかった少女を、少女の死によって悲しむ遺族や友人の事も、散って逝った戦士達の事を、自分が姿を消してしまった事により、深い闇に追い込んでしまった、大切な家族(エリス)の事を忘れる事など不可能だ。

「フザケルナァァァ!!」

「「ビクッ」」

空間そのものが揺れていると思う程の叫び、そして、イチカの身体からオーラが滲み出るとやがて、不死鳥の様な形になるとその鋭い眼光で箒達を射抜く。

「い、一夏...」

「忘れろだと...。そんな事、出来るはずがないだろ!! 俺はお前たちの知らない間に多くの事を体験した。 俺は何度も命のやり取りをした。 戦った奴には何かしらの信念を持って戦っている奴だっている。逝った奴らにだって明日の予定や来週の予定...。大切な人と過ごす予定だってあったのかもしれない...。 俺はそいつらから明日を奪ったんだよ!! そんな俺が、そいつらの事を忘れてノウノウと平穏な日常を過ごすのはアイツらを...消えていった命を否定しているようなものだ!!」

箒達はイチカが一体、何を視て、何を体験したのか分からない。だが、想像を絶することなのだという事は理解出来た。

「そんな俺でも、至福と言うモノを味わえると言うのなら...」

イチカの頭に笑顔で笑い合っているネェルアーガマの皆の姿が思い浮かぶ。

「皆の笑顔を護りたい...。皆の笑顔が俺にとっての幸せだから...。 一人も欠けずに笑う為に俺は...!!」

そして、イチカは心を鎮める。ドモンに言われた「荒んだ心では無く、清らかな心を持て」と言う言葉に従い、箒の発言によって生まれた荒んだ心を清らかにする。

「ハァァァァァ......」

すると、イチカの身体から出ていたフェニックスの姿が消え、変わりにフェニックスが金色の輝きを放ち始める。

明鏡止水――怒りに囚われていたドモンがシュバルツのアドバイスによって、会得し、真のスーパーモードを発動させ、ドモンは窮地を脱した。

「なんだ...。先程までの荒々しさを感じない...」

「千冬さん!!」

「行くぞ!!」

「な、グァァァ!!」

怒りの念を越えた武道家としての最高の境地。今、この場でイチカは明鏡止水の境地に達したのだ。

明鏡止水を発動させたイチカの拳は先程までとは威力もその覚悟の重さも段違いだった。

「師匠...。アンタの技使わせてもらうぞ!!」

そう言うとイチカは両手にエネルギーを送り込むと其処から赤い巨大な剣が姿を現す。

「バァァァァニング...フィンガァァァァソォォォドッ!!」

「機体が金色に変わったからどうした!!」

明鏡止水を知らない箒達からすれば機体のカラーリングが変わっただけに見えるかもしれないが、実際は違う。

箒はエネルギー刃やレーザーを放出するが接近するイチカは全て、切り払い、箒の目の前まで接近すると剣を振り上げる。

「メン!メェェン!メェェェェンッ!」

イチカは箒に面を三回打ち込むと巨大な剣を消し、先の攻撃で態勢を崩した箒の首筋に手刀を叩きこみ、意識を刈り取る。

「昔のお前はもっと、優しかった。一体、お前に何があった!!」

「世界と視てきたからこそ、俺は変わった!! 俺はもう、目の前に命を見捨てたりはしない!! 二度とあんな、悲しみを味あわせたくないから俺は戦う!!」

「一夏ッ!!」

「俺には護りたいモノがあるんだァァァ!!」

互いの事を思う二人の道は一体、どこで二人の道はすれ違ったのだろう。それは誰にも分からない。 

「私も同じだ!! お前に一体何が起きたのか分からない...。どれ程お前が悲惨な思いをしたのか、私は知らない。 だからこそ、私はお前に戻ってきて欲しんだ!! これ以上、お前がそんな思いをしない為に!!」

「...お前らも俺が護りたい人の一人なんだよ!! 俺はお前らに戦争なんて体験して欲しくない...。 千冬姉達の笑顔は俺達が護るッ! だから、平穏な日常で幸せに生きてくれ! それが俺の思いだッ!!」

互いの事を思う思いが込められた拳と剣がぶつかり合う。

「アッ...!」

「これで!!」

イチカの思いが勝ったのか、雪片弐型は刀身から砕け散り、千冬はその光景に目を見開く。

「しゃぁぁくねつぅ...。バァァァァニングッ...フィンガァァァァ!!」

「グゥ!」

イチカは千冬の腹部を掴むと、更に力を入れる。

「ヒートッ...エンドォ!!」

頼みの綱である、雪片弐型を折られ、相方である、箒は戦闘不能になり、白式のSEもゼロになり、イチカ達の勝利によって幕を閉じた




早くスパロボやりたーい。


2014年も終わり、新たな年が明けましたね。


ということで、あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

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