インフィニット・ジェネレーション   作:ハルン

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IS学園襲撃後のお話です。


22話

学園祭における襲撃も収束を向かえ、此度の襲撃により、学園祭は中止となり、来場した人々は帰宅し始めていた。

その帰宅する人々の中には弾と蘭の姿があった。

「悪いな、弾。 学園祭を楽しみにしていたのにこんな事になって」

「別に良いってことよ。 俺はお前が無事なら、それだけで充分だ」

「ゴメンよ、蘭。 怖い思いをさせちゃって」

「い、いいえ。イチカさんが無事ならそれで。じゃ、私達は帰りますね。お父さんも心配してると思いますし」

そう言うと蘭は帰宅するべく、歩き始めると弾も後を追い掛けようとした時、イチカが弾を呼び止める。

「オイ、弾。 これを持っていけ」

「なんだこれは?」

イチカはズボンのポッケから髑髏の付いたネックレスを渡す。

「弾。ソイツを肌身離さず持っていろ。そして、何かあった時、強く願え。自分が一体何をしたいのか」

「?言っている意味は分からんが、まぁ、心の奥に留めておくわ」

『お兄!! 早くしないとおいて行くわよ!!』

「蘭も呼んでるし、そろそろ行くわ」

「あぁ、気をつけろよ」

イチカは弾達を見送るとIS学園の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イチカが最初に行ったのは医務室だった。

そして、イチカの目の前には一人の男性がベッドの上で横になっていた。

医師の診断から命に関わるような事は勿論、多少の擦り傷などの怪我はあるが大事に至るような傷ではないとの事で数日すれば目が覚めると言っていた。

「哀しい思いをさせてゴメン。 マーク兄を助けることが出来ても、エリスを助けることが出来なかった」

マークから邪気の様なモノはもう感じない。恐らく、裏切りのコードも解けている。

「皆で俺の事を必死に探して、戦って...。 今は休んでてくれ。後は俺がやるから」

イチカはそう言うと医務室から出て行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ、イチカ。 用事はもう済んだのか」

「あぁ。ガロードがこの世界に来た時は驚いたぞ」

イチカは整備室に向かうと其処にはマドカ、ガロード、ラナロウ、コード・フェニックスが各々、機体の整備をし、ティファはガロードの傍に立っていた。

「これが前に言っていたイチカの生まれた世界か」

「今、俺の使っているGXもISって奴なんだよな」

「そして、そのISによって女尊男卑という差別が行われるようになった」

「俺もここが俺の生まれた世界だって自信を持って言えない。女尊男卑はスペースノイドとアースノイドの対立よりも酷い物だ」

異世界組は各々、この世界に来ての感想を言うがどれも称賛というべきものは無く、イチカ自身この世界で生まれたと誇れないでいた。

「なぁ、イチカ。 なんで俺はGXを動かすことが出来たんだ? 後、GXにサテライトキャノンがついてないんだ」

「GXにはISコアの代わりにニューロと呼ばれるモノを使用することで男女関係なく、有人で無くても動かせると仮説した俺とアプロディアは試作機として二機製作した。その内の一機がガロードのGXだ。だから、女性じゃないガロードも動かせたんだよ。まぁ、元は俺の予備機として運用する予定だったんだがな」

「マジかよ。ならイチカに返した方がいいか」

「いや、GXはガロードが乗った方がその性能を発揮するだろうし、ティファを護る為の力が必要だろ。 後、サテライトキャノンが無い理由はこの世界には月のマイクロウェーブ送信施設が無いのとGXの大半のエネルギーを使えば撃てなくもないが代償として身動きが取れなくなる。使った後に攻められたら堪ったもんじゃないからな。そう考えた結果ディバイダーの方がいいと判断したんだ」

「イチカ...。分かった。GXはあり難く使わせてもらうぜ」

イチカがガロードの疑問に答えていると複数の足音が近づいて来る。

整備室の扉が開くと千冬を先頭に専用機持ちが整備室に入ってくる。

「ギルオード。今回の事について説明願おうか」

「断固拒否させてもらおう。これはお前たちが首を突っ込む様なモノじゃない」

「今回の事件でIS学園に相当な被害が出ている。こちら側も無視できない状況になった」

「だから、今回の事について詳しいイチカ君に教えてもらいたいのよ」

情報開示を求める楯無と千冬だが、イチカは素直にハイとは言わなかった。

「人が親切に進言しても払い除けた奴が一体何を言ってるんだ。...まぁ、しても構わんが...。こちらの要求に応えてくれるのなら今回出て来た敵の情報を渡そう」

「待て一夏! 何故、素直に千冬さんに渡さないんだ!!」

「逆に聞くが何故、貴重な敵の情報をましてや機密レベルのモノを渡すのに、何も対価を支払わないのは可笑しな話だと思うんだが」

「千冬さんに情報を渡せば事件は解決するはずだ!!」

「今回の襲撃を踏まえてもそのことが言えるのか。 人の話を聞かず、『設備強化したからもう大丈夫だ、織斑千冬が居るから大丈夫』と慢心した結果がこれだ。もう一度聞くがこの事を踏まえた上で言っているんだろうな。箒」

「そ、それは...」

「...その対価とはなんだ?」

「今回、撃破した機体の中にあるハルファスガンダムの譲渡、自由に動ける部隊の編成、こちらがやることに一切口出ししない並びに行動規制を掛けるような真似はしない、マーク・ギルダーの身柄をこちらに渡してもらう」

イチカの出す条件に千冬は不満そうな表情をする。

「その条件ではそっちが有利になっていると思うのだが」

「何か勘違いしているようだが今から渡すデータは全て現存する全てのISを上回る物ばかりだ。寧ろ、こちら側が譲歩しているんだが」

イチカはポッケからメモリーカードを取り出すと千冬に渡そうとするが渡す寸前でイチカの腕が止まる。

「忠告しておくがさっき言った条件の侵害と渡したデータの悪用をした場合、俺はIS学園から姿を消す」

「そんな事したら全世界から狙われることになるわよ」

「例え全てのIS軍が俺の敵になったとしても大した障害じゃない。俺は世界を敵に回してでもやり遂げなければいけない事がある」

「貴様の戯言はさておき、ギルオードの出した条件は護るとしよう」

千冬はイチカからメモリーカードを受け取ると早速、整備室にある端末に繋げると千冬の表情が変わる。

「なんだ...この性能は...」

そこに映っていた機体のデータは既存のISを大きく上回り、それは第四世代の紅椿すら、超えていた。

この様なデータは開示するべきモノではないがイチカは『この世界の技術力では到底再現することはできない』と判断したからだ。

保険として監視用ニューロと呼ばれるモノで開示したデータを監視し、先程の条件を破った場合、データや接続した端末内のデータを全て消去するようになっている。

「分かったか。今、お前たちが相手にしようとしているのはお前達の常識を超える強さと性能の持ち主なんだ。新米兵士にも劣る貴様らが束で掛かっても到底倒すことが出来ない」

「貴様らは奴を倒すことが出来るというのか!!」

「俺達はそういった敵と何度も戦ってきた」

「それに出来るか出来ないかじゃなく、やるんだ。 俺達の手でアイツを倒す」

千冬はメモリーカードを端末から取り外し、整備室を出ようとした時、何かを思い出したのか一度立ち止まり、ガロード達に顔を向ける。

「一つ忘れていたがそこの三人がISを動かした事により、三人を保護する為にIS学園に在籍してもらう事になった。其処の二人は入学という形になる」

「「「ふぁ!?」」」

「オイオイ、マジかよ...」

いつの間にか在籍することになった三人は驚きの声を上げ、イチカは何処か呆れた様子だった。

「はぁ!?何で俺が入学することになってんだよ!!」

「確かにここなら衣食住付いてくるし、設備もある程度整ってるから拠点としては問題ないだろうけど...。てか、コード・フェニックスはどうするんだよ!!コイツ仮面被ってるし、服装もこの中で一番奇抜だし、色々、アウトだろ」

「聞いていたら好き放題言いやがって!! 俺のこの服装は俺のいた所だと正装なんだよ!!」

「変態仮面は用務員としてIS学園で働いてもらう事になっている」

「なんで俺だけ学生じゃないんだよ!! てか俺は変態仮面じゃねえ!!」

「貴様達の部屋のカギは此処に置いておくぞ」

ギャーギャー騒ぐ、コード・フェニックスだが言いたいことを言った千冬はその場をから立ち去る。

「まずはGXに慣れてもらうのが先決かな。 まぁ、順応力の高いガロードなら問題ないだろう」

「こんなの朝飯前だぜ!」

「後、部隊編成だけど今の所――俺、マドカ、ラナロウ、ガロード、コード・フェニックスだな」

「何故、私達がその部隊に入っていない!! そこのポッと出てきた奴が入って私達が入らないのは可笑しいだろ!!」

「それはお前たちが弱いのとガロード達の方が上手く連携できるからだ。 ガロードは実戦経験が豊富で感覚を掴んだらお前たちより、強くなるだろう」

イチカの発言が癪に障ったのか箒の身体が震えるとガロードを指さす。

「そこまで言うのなら私達と勝負だ!!」

「何か面倒な事になったな...」

こうしてガロード達と箒達の勝負が幕を開けるのだった。

 

 

 




自分で言うのもなんですが今回手抜き感が凄いな。


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