インフィニット・ジェネレーション   作:ハルン

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IS学園襲撃後編も終わりです。



最近、乖離性ミリオンアーサーというゲームにハマり、執筆するのが少し遅れました。


21話

IS学園での一つの戦闘が終わり、イチカはガロードと一緒にこの戦いを終わらせようとした時、上空から一機の黒いユニコーンガンダムが現れた。

「なんだあの機体?」

「恐らく、ユニコーンガンダムだ」

「ユニコーンガンダム?あれもガンダムなのか」

「あぁ、俺の知り合いに似た機体に乗る奴が居る。...恐らく、姉妹機だと思う...だが...」

イチカは目の前の機体にある違和感があった。

「あのユニコーンからは懐かしい感じがする...」

「どういう意味だ?」

「分からない...。だが、懐かしい感じがする...。 来るぞ!!」

黒いユニコーンの右腕に装備された二枚のフィンがイチカの方を向くとそこから波状のビームが放たれる。

放たれたビームを避けたイチカだがその背後にあったアリーナの観客席を破壊し、その威力に驚く。

「なんて威力だ...」

「あんな攻撃喰らったら一溜りもないぜ...」

「にしてもあの機体は何だ...」

『アレはユニコーンガンダム二号機バンシィです』

「バンシィ?」

イチカは聞きなれない機体名に首を傾げるが二号機という事から姉妹機だという事が分かる。

『ハイ。そして、先程使った武装はアームド・アーマーBSといい、その威力はビームマグナム程の威力はありませんが高い部類に入ります。そして、バンシィから生体反応を感知しました』

「やはり、此奴は無人機じゃないのか」

『イチカ・ギルオード。貴方はあの搭乗者が誰なのか気づいているのでありませんか』

「...」

アプロディアの調査報告から今まで、襲ってきた向うの機体にISコアは無く、ニューロがISコアの代わりとして使われている事が分かった。

ISコアが使われていない以上、二次形態の様な事は起きないがISコアが使われず、ニューロを使う事によって理論上男女区別もなく、人が乗らなくても使用できるとアプロディアは推察した。

そしてイチカはバンシィの搭乗者が誰なのか薄々気づいているのだがそれを認めたくない、否定したいと思っているのだ。

そんな事を考えているとバンシィは腰部からビームマグナムを取り出す。

「ガロード!!その攻撃を躱せ!! さっきの攻撃より、威力が高いんだ!!」

「チィ...」

バンシィはガロードに照準を合わせ放つとビームが通った軌道に紫電が散るがガロードは上空に回避するが第二、第三のビームがガロードに向けて放たれる。

ガロードはビームマグナムを回避しつつ、2連装ビームマシンガンの砲門を交互に放ち、応戦する。

「当たらなきゃどうという事は無いぜ」

「油断するなガロード。恐らく、あの機体は本気を出していない」

バンシィがユニコーンガンダムと同じ技術で作られているのであれば、アレ(NT-D)がある。それを使っていないという事は本気を出していない証拠だろう。

『新たな機影が複数接近します。マドカ・ギルオードと国家代表候補と一緒に所属不明機がいます。機体照合完了。トールギスⅢです』

「待たせたな。兄さん」

「たった一人の相手に苦戦してるのよ」

「所で...あそこに居る白いイチカの機体に似たのが居るけど仲間でいいのかな?」

「あぁ、そうだ」

次々とイチカの下に集まるマドカ達に少し遅れて来た機体から発せられた声はイチカにとって関わりの深い人物の声だった。

「久しぶりだな。イチカ」

「ラナロウ兄...」

「イチカ。知り合い?」

「あぁ、俺の家族だ」

マドカがこの世界に来た以上、ラナロウ達も来るのでは?という考えは少なからずイチカの頭にあったのだがこうして早い段階で再開できるとは思っていなかったのだ。

イチカがラナロウとの再会を喜んでいるとダブルオーライザーの警告が鳴り、それはマドカ達とは別方向から接近していた。

『これは...接近する機体は投入したビルゴが次々と破壊しながら接近しています』

「新たな機影が来るぞ!」

イチカの声と同時にアリーナのシールドを破り、一機の機体が現れた。

その機体は嘗て敵であるジオン公国に恐れられた人物アムロ・レイが乗っていた機体、コード・アメリアスの野望が明かされた時に見たのと同じ、淡い青と白を基調としたカラーリングと、左右対称に三つの板状のモノが配置されている。

「...増援」

「νガンダム...」

「バンシィと同じだ...。νガンダムから懐かしい気配がする...でも、そうだとしたら...」

先の戦いで疲弊している中での増援に狼狽している最中、イチカは違う意味で狼狽していた。

 

 

 

 

 

 

現れたHi-νガンダムの六つの板状のモノが外れ、コの字になるとイチカ達の周りを駆け巡り攻撃する。

「あれは...カリスのビットと同じモノか...!」

「ですが、アレがブルーティアーズと同じなら!!」

「待て! 浅はかな考えで行動するな!!」

セシリアはもし、自分と同じような操作方法だったなら、ビットの操作中は動けまいと考え、ブルーティアーズの一点集中砲火を加える。

だが、セシリアの考えを読み取ったマドカは危険だと止めようとするが手遅れだった。

νガンダムはセシリアの攻撃を容易に躱すとフィン・ファンネルはセシリアとは、比べ物にならず、精度はνガンダムの方が上であり、どちらかの操作に集中しなければセシリアに対し、フィン・ファンネルを操作しつつ、自由に行動できるνガンダムにとって動けないセシリアは敵に当ててくださいと言っているようなものである。

セシリアの弱点に気づいた、νガンダムは三基のフィン・ファンネルをセシリアに向けて攻撃し、セシリアはそうはさせまいとブルーティアーズで攻撃するがνガンダムはビームライフルで確実にブルーティアーズを落としていく。

自らを守るようにブルーティアーズを呼び戻したが、その過程で数基落とされた。

νガンダムは右のファンネルラックに各1基ずつを装備されているビームサーベルを取り出すとセシリアに接近する。

「危ないセシリア...!!」

「待ってなさい。今、援護するから!!」

シャルロットと鈴音はセシリアの援護をしようとするが敵はそう易々援護さてくれるはずもなく、νガンダムはフィン・ファンネルを二基をシャルロット達に向け、足止めをする。

バンシィへの攻撃を躊躇うイチカを援護するマドカ、ガロードに四基のフィン・ファンネルの攻撃に踊らされる国家代表候補組と機体も肉体もまだ完全な状態ではないラナロウは国家代表候補組の援護に徹し、助けることが出来ない中、セシリアの手の届くところまで接近したνガンダムははその手に持ったビームサーベルを振りかざさそうとする。

「くっ、インターセプター!」

セシリアは唯一の近接戦闘用武器を呼び出し、迎え撃つが射撃系の攻撃に秀でているセシリアだが、その反面格闘系の攻撃は訓練をしている為、それなりに出来るが射撃に比べれば数段劣る。

それを表すかのようにビームサーベルの攻撃に付いていけず、態勢を崩された事によって出来た、隙を見逃さず追撃をしようとしたνガンダムだが、その二人の間に一人の女性が入り込み、νガンダムの攻撃を阻む。

「何とか間に合ったか」

「織斑先生...」

そこにいたのはイチカの姉であり、IS学園の一教師でありながら世界最強のIS乗りでブリュンヒルデの名を持つ織斑千冬であった。

千冬はISに乗っているがそれは打鉄やラファール・リヴァイヴの量産機とは異なるものだった。

その機体の名は『白式』といい、倉持技研が開発を進めていたが開発が頓挫して欠陥機として凍結されていたものを束がもらい受け完成させた機体であり、紅椿と同じく展開装甲の試験機として開発がされており、千冬に渡す際に千冬にあったスタイルに合わせ再調整が行われ、唯一の武器は雪片弐型という刀だけだが千冬が現役時代に使っていた暮桜の雪片の後継であり、暮桜と同じ単一仕様能力である零落白夜がある。

νガンダムと白式を纏った千冬はνガンダムを攻撃するが当たる事は無く、ビームライフルで牽制しながら後退する。

千冬は後退するνガンダムを追撃しようとするがバンシィと交戦していたイチカが千冬の前に出る。

「何のつもりだ」

「俺には確かめたいことがある。 もしかしたら俺がやろうとしている事でこの戦闘が終わるかもしれない」

「どういう事だ」

千冬は勿論、その場に居た殆どがイチカのやろうとしている事が分からなかったがマドカとラナロウは違った。

「まさか、対話をするのか」

「あぁ」

「...分かったよ兄さん」

「一体何をするというのだ? 一気に殲滅するつもりか」

「そんな野蛮な事はしない」

イチカのやろうとしている事が掴めない一同。

「各機攻撃を中止! 撤退しろ。 トランザムバーストで高濃度GN粒子の意識共有領域を作る」

「GN粒子ってダブルオーから放たれているのだよね...」

「そうだ。今は兄さんの言う通りに行動しろ」

イチカの命令に後退する一同を確認するとイチカはアリーナの中心に移動するとイチカの目の前に『TRANS-AM BURST』の文字が浮かび上がるとダブルオーライザーが赤く染まっていく。

それを見たバンシィとνガンダムはイチカに接近し、攻撃を仕掛けようとする。

だが、トランザムバーストを発動させたダブルオーライザーから放たれた七色の輝きを放つ膨大なGN粒子がアリーナを覆い、イチカに接近していた二機の動きが止まる。

「...見て敵の動きが」

「何なんだあの光は...あの中で一体何が起きている」

「綺麗...」

「簡単に言うなら戦わずにして分かり合う事ができるという認識を持っていればいい」

「戦わずにして分かり合うだと...そんなオカルト染みたモノが存在するはずがない!!」

「その独断と偏見はあまり好ましくないな。世の中には自分の知らない事が沢山ある。 その事を忘れるな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イチカは福音の時と同じ空間にいた。

イチカの目の前には二人の男女が座り込んでいた。

そして、イチカは目の前の二人を見て、懐かしいと感じた理由が明らかになった。

『マーク兄...エリス...』

何故、この二人がここに居るのかそれはバンシィとνガンダムの搭乗者であり、イチカは二人の気配を感じ、懐かしいと思ったのだ。

『マーク兄、エリス...何故、この世界に? ラナロウ兄と一緒に来たのか?』

イチカの声に二人は顔を上げるがイチカは二人の顔を見た瞬間、驚いた。

二人の瞳からはハイライトが消えており、特にエリスは光を感じさせない程、闇の様に深く、希望の欠片もなく、この世すべてに絶望したかのような感じだった。

『お前は誰だ?』

『俺はイチカ、イチカ・ギルオード。帰ろう、皆の所に』

『帰る? 何処に? あの人がいない場所は帰るところじゃない。...私の帰るべき場所はもうどこにもない...』

『一体何を言っているんだ?』

『奪われた...私の大切な人はいない...イチカは...もう...』

『エリス...』

イチカはエリスから滲み出る様な思いが自分が居なくなった事が原因なんだと理解すると同時にエリスとマークから黒い靄の様なモノが現れるとやがて人の形になるとイチカはその人物に見覚えがあった。

『コード・アメリアス...』

そして、イチカは理解した。 何故、エリス達が自分達を襲ったのか、その黒幕が何なんか。

コード・アメリアスから黒い光が溢れるとイチカを襲う。

『う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!』

まるでイチカという存在を拒絶するかのようにイチカはエリス達から離れていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナを覆う七色の輝きを放つGN粒子の中で動きを見せない三機の中で最初に動いたのはバンシィだった。

バンシィはイチカに接近すると左腕に装備されるナックル状の格闘兵器で殴る。

無防備だったイチカはそれを避けることが出来ず、そのままアリーナの壁に衝突する。

「大丈夫、イチカ!!」

「あぁ、大丈夫だ...」

シャルロットが近づき、イチカの安否を確認すると煙の中からダブルオーライザー出てくるが、防御も何もしなかったせのでダブルオーライザーのダメージは大きく、装甲の一部が歪んでいる。

「兄さん。何か分かったのか?」

「あぁ、今まで感じていたモノの正体もそしてあの機体に乗っている奴もな」

「本当か!一体誰が乗っているんだ!?」

「...黒いユニコーンにはエリスがνガンダムにはマーク兄が乗っている」

『なんだと!?』

二人の事を知っているマドカとガロードは驚きを隠せずにいた。

「だけど、なんであの二人がこんな仲間割れみたいなことをするんだよ」

「操られているんだ二人は...」

「それは一体どういう事だ。一夏」

操られているという事がイマイチ理解できていないのがいるがマドカとラナロウ、アプロディアは似た事例を知っている。

それはあの世界で起きた事件であり、仲間割れを引き起こすという点が自分達が倒すべき存在が使う手とそっくりなのだ。

「まさか、『裏切りのコード』...」

『なら、この事件の黒幕は...』

「裏切りのコード?なんだそれは?」

「一種の洗脳だと思えばいい。 そろそろ出てきたらどうだ! コード・アメリアス!!」

上空から一つの機体がバンシィとνガンダムの前に舞い降りた。

「ほぉ、我の気配に気づくとは流石、我が野望を阻んだだけの事はある」

「何者だ。貴様!!」

「我が名はコード・アメリアス。世界を統治し、我がモノとする者だ」

「世界征服でもしようというのか...!!」

「そのふざけた事を考えるその根性を私が叩き直してやる」

「貴様の様な雑種と戯れるつもりは無い。 この人形と遊ぶがいい」

コード・アメリアスが乗る、ハルファス・ベーゼの周りに似た機体――ハルファスガンダムが二機、現れる。

二機の内、一機から鳥の羽根の様なのが放出されると、ソレは箒の周りを自由に駆け巡りながらビームで攻撃し、危険と判断した箒はその場から逃げるが箒が逃げた先にもう一機が翼の先端に二門ずつ装備された、四つある翼を前方に向けてクロス・メガビームキャノンを放つ。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

「大丈夫か? 箒」

「あぁ、何とか」

ハルファスの連携攻撃を喰らい、墜落する箒の腕を掴むラウラ

 

 

「コード・アメリアス、貴様はエリス達に『裏切りのコード』以外に何かしただろう」

「そこまで気づいていたのか。確かに小娘の方には少々、記憶に細工をさせてもらった」

そう言うとコード・アメリアスはエリスの方を向くと

「どうした。目の前に貴様の大切な人とやらを奪った張本人がいるぞ。さぁ、どうする?」

「奪った?私から大切な...あの人を...!!」

コード・アメリアスが言った言葉がキーワードだったのかバンシィの腕部、脚部、胸部。継ぎ目が割れ、先ほどまで少ししか見えなかった金色の光が露出する。

全身から金色の光。続いて胸部、フロントアーマーも展開し、バンシィの身体が一周り大きくなる。

ビームサーベルのグリップが背中から肩へ、そして頭部が特徴的な変化を始めた

頭部に屹立していた一本の角。瞳を覆うかのようなバイザー。それが変化を始めたのだ。

バイザーは収納され二つの瞳に。角が割れてV状に完全に開き金色のライオンの鬣が現れる。

「貴様がァァァ!!」

イチカ達はこれが何を意味するのかを知っている。そう、ユニコーンガンダムと同じ様にバンシィも『NT-D』を発動させたのだ。

デストロイモードになったバンシィは先程までナックル状だったモノが獣の爪のような形状に変形し、イチカを襲う。

殺人的な加速でイチカに接近し、その速度はISに搭載されているハイパーセンサーする追いつかないほどの速さで動き、アームド・アーマーVNをダブルオーライザーを捉えると、そのまま地面を引きずり反対側のアリーナの壁に叩きつける。

イチカを助けようとするがマークが乗るνガンダムとハルファスガンダムが行く手を阻む。

イチカの頭の中で光が弾けるような感覚が起こるとイチカはその場から離れる。

先程までいた所に振動するアームド・アーマーVNが横切り、イチカは微かだが頭部を掠める。

ダブルオーライザーのバイザーに罅がが入ると次第に大きくなり、右のツインアイが砕けるとそこから金色の瞳が現れ、バンシィを睨む。

イチカはバンシィを攻撃しようとGNソードⅢを横薙ぎに振ろうとした瞬間、動きが止まる。

その隙をエリスは逃さず、アームド・アーマーVNを右から左へ、左から右へと振るいダブルオーライザーを引き裂く。

一瞬の戸惑いだがその代償は大きくダブルオーライザーの装甲はボロボロになり、満身創痍となっていた。

「良いザマだな。イチカ・ギルオード。冥土の土産に記憶を改竄した内容を話てやろう。我に向けられていた憎しみを貴様に向ける様に仕向けたのだ。今、あの小娘には貴様は大切な存在を奪った憎悪の対象でしかない。 仲間に引き裂かれて朽ちるがいい。フフフ、フッハハハハハハハ!!」

「そんな、酷い...」

「この屑野郎!!」

エリスは振動するアームド・アーマーVNを満身創痍のダブルオーライザーに振り下ろそうとする。今のダブルオーライザーが喰らえば只では済まさず、搭乗者であるイチカに危険が及ぶのは明らかだった。

アームド・アーマーVNを振り下ろす瞬間、バンシィに二つの巨大なビームが放たれるがそれを後退することで回避する。

イチカ達は攻撃のした方に視線を向けると其処に居たのはクロスバインダーソードを二つに分けその剣先をバンシィに向けているマスターフェニックスがいた。

「コード・フェニックス...」

「イチカ、お前は大切な人を護る為に力を振るうだろ。なら何故、躊躇う必要がある。お前は何も出来ない臆病者か? 違うだろ。大切な仲間を救う為に力を使うんだったら、今使わないでいつ使うんだ!!」

「好き放題言いやがる...。 心のどこかでもし、エリス達を傷つけてしまったらってビビッていたのかもしれない。多少、エリス達を傷つけることになっても助けて見せる! あの時の様に笑って過ごすために俺は戦う!!」

イチカが自らの決意を言うとダブルオーライザーが炎に包まれる。

「ダブルオーライザーが燃えている...」

「な、なんだ!?一体何が起きているのだ」

突然の事態に驚く箒達を余所にダブルオーライザーを包む炎が大きくなると其処から一機の機体が舞い上がる。

マスターフェニックスやハルファスガンダムに似た形状の機体であり、不死鳥の名を冠する機体――フェニックスガンダム。

だが、フェニックスの細部が以前と異なっていた。

フェニックスの背中にはマスタフェニックスと同じクロスバインダーソードが二つに割れた状態で変形の邪魔にならないようにバインダーに収められ、機体の各所からグレーのラインが見える。

「フェニックス、俺は大切な仲間を護りたい、救いたい...。 だから、俺に力を貸してくれ!!」

フェニックスのツインアイが輝くとハルファス同様に赤と白の羽根の様なモノが放出される。

「行け、フェザーファンネル!!」

フェザーファンネルはハルファスとバンシィの二手に分かれて攻撃し、ハルファスのフェザーファンネルを破壊していく。

『イチカ・ギルオード。可能であればハルファスガンダムを一機確保して欲しいのです』

「何故?」

『新たな戦力として使います』

「最善を尽くす」

『感謝します』

そう言うとイチカはハルファスに近づくとフェニックスの右手が燃え上がる。

それは自らの師匠であるドモン・カッシュの代名詞とも言っては過言ではない技を自分なりに編み出したモノ。

「バァァニングッ!...フィンガァァァァ!!」

イチカはハルファスのコクピット部を掴むと徐々に潰れ始めるとそのままコクピットを握りつぶす。

「ハアアァァァ!!」

「チィ...」

エリスはアームド・アーマーVNで攻撃しようとするがイチカはクロスバインダーソードを取り出し、交差させることで防ぐ。

「止めてくれ、エリス!!俺とお前がこうして戦う必要は無いんだ!!」

「お前は私の敵だッ!! 私から光を奪ったお前がフザケタ事を言うなァァァァ!!」

「お願いだもうやめてくれ!! エリス!!」

「グゥ...お前の声が頭に...心に響く...!!」

アームド・アーマーVNをクロスバインダーソードで防ぎ時折、カウンターで攻撃しているとエリスは頭を抑えながら苦しみ始める。

「アァァァァ!! 頭が...痛い...!! 助...け..て...イチカ......」

「エリス...お前...」

苦しみだしたエリスの口から出た助けてというイチカに向けて言った言葉。

イチカはエリスがまだ完全にコード・アメリアスに支配されてないのか自力で解き始めたのか分からないがエリスの意識が出てきているという事はこのまま呼びかければ元に戻る可能性があるという事だ。

「待っていろエリス。 今、助ける!!」

「まさか...自力で我がコードを破ろうとしているのか...。 イチカ・ギルオードの力なのかあの小娘の力なのか分からぬが不快だな」

コード・アメリアスがそう言うとエリスの周りに赤い鳥の様な機体が二つ現れるとエリスを左右から挟むとそのまま移動し始める。

「エリスを離せ!!」

「折角、始まった舞台を終わらせるわけにはいかないのでな...ここは退かせてさせてもらうぞ」

「舞台とか知らないエリスを今すぐ返してもらうぞ!!」

「ここで終わらせるわけにはいかないと言ったはずだ。我の代わりにこやつ等の相手でもするといい」

コード・アメリアスからエリスを奪還しようとするイチカの前にνガンダムとハルファスが立ち塞がる。

「其処を退いてくれマーク兄!!」

「ターゲットを確認...。排除開始」

「やるしか...ないのか...!」

イチカがクロスバインダーソードを構えるとマークは接近し、ビームサーベルで攻撃するがイチカはクロスバインダーソードで受け止める。

「一夏! 援護するぞ!!」

「待ってなさいイチカ!! 今、そいつをギッタギタにしてやるから!!」

「待て! 今、無暗に兄さんに近づいたら寧ろ足手纏いになるだけだ」

「だけど、イチカ一人だとキツイと思うけど...」

「相手は一人じゃない。 あの黒い機体は今、ここに居るイチカ以外の俺達全員で相手しなちゃいけない敵なんだよ。 あっちはイチカに任せて俺達は残りの方をやる。いいな、お嬢ちゃんたち」

ラナロウ、マドカ、コード・フェニックスはハルファスの性能を知っている。

だが、ハルファスの性能を知らない専用気持ち達は何故、一機の無人機に集中しなければいけないのか分からなかった。

「何故、イチカの援護をせずに無人機に人を集中させなければいけない」

「そうよ。あんなへんてこな機体なんか私達で十分よ」

「鈴の言っている事は置いておいて、何であの機体に多勢で攻めないといけないのか教えて欲しいな」

シャルロットは何故、ハルファスに人を集中させなければいけないのかラナロウに聞くとラナロウはトールギスⅢの右肩アタッチメントに懸架される大型ビーム砲であるメガキャノンをハルファスの頭部に向けて放つ。

ハルファスはラナロウの攻撃に防御もせずに立ち止まっているとハルファスの右頭部に被弾するがここで驚愕の光景が目に入る。

「なっ!?」

「そ、そんな...。破壊された頭部が直ってる...」

「どういう事だよ...」

「これがハルファスを兄さん以外の全員で倒す理由だ。 ハルファスにはナノスキン装甲という自己修復能力がある」

マドカは目の前で起きた現象について簡単に説明する。

マドカ達がハルファスに人を集中させた理由の一つなのだ。

実戦不足やイチカへの配慮など多くの事を考えた結果の判断である。

「近距離はコード・フェニックスが務め、中距離はガロードと俺、遠距離からの援護はマドカでいいか?」

「おう! 任せておけ」

「了解」

「問題ない」

「ちょっと待ちなさいよ!!何で私達が蚊帳の外みたいになっているのよ!!」

各々役割を確認し、行動を開始しようとした時、鈴音が不満を露わにする。

「実戦と訓練は違う。 死闘を命のやり取りを知らないお前たちが来ても足手纏いにしかならん。 命を刈り取る覚悟のない者が戦いに出ようという事自体が腹立たしい」

「命を刈り取るって...ISには絶対防御がありますのよ。 ISに乗っている限り人が死ぬなんてことは起きませんわ」

「絶対防御があるから大丈夫、死なないと過信、依存している時点で問題外だ。 命のやり取りをしている時点で絶対なんて事はあり得ない。それにお前たちのSE(シールドエネルギー)の大半を使い切っている、疲弊しているのも明らかだ。 そんな奴が前線に出ても邪魔なだけだ」

「奴さんが動き始めたぞ」

マドカ達はハルファスからフェザーファンネルが放出されるのを確認すると各々の役割をこなす為に行動を確認する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マドカ達がハルファスと本格的に交戦し始めている中、アリーナ上空ではイチカとマークはビームサーベル同士により鍔迫り合いをし、大剣の状態になっているクロスバインダーソードが地面に突き刺さっている。

「もうやめてくれ! 消えたと思った仲間(イチカ)は目の前で生きている。 もう戦う必要は無いんだ!」

「私は多くの仲間を失った...。そして、また...私の前から...」

「マーク兄...」

エリスの心がイチカを失った事に悲しんでいるようにマークの心も同様に悲しんでいるのだ。

「マーク兄...。俺はもう、貴方達の前から消えない。だから...!」

フェニックスのグレーのラインが緑色に輝き始める。

『これは...サイコフレームの共振...』

「いつものマーク兄に戻ってくれ!!」

暗い闇に囚われていたマークに温かく優しい光が霞んで何も見えない世界を照らすのを感じていると同時にイチカの頭にフェニックスに乗り戦い、目の前で仲間が死んでいき、その死んだ仲間の遺品を手に悲しむ姿、二度と大切な仲間を失わないように努力するマークの姿が流れ込んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マドカ達の戦闘許可が下りず、SEも心許ない専用機持ちは観戦することしかできず、マドカ達の戦闘を見ながら隙あらば一つ文句を言いながら参戦しようと考えていたがそれは出来ずにいた。

だが、マドカ達にその隙は無く、各々自分のポジションと役割をこなし、ハルファスが変形し、全身から炎の様なエネルギー体を纏い突撃したがその威力を知っているマドカ達は回避し、自分達とは比べ物にならないほど強いと実感した。

マドカ達はハルファスのナノスキン装甲を利用し完全には破壊せずに部分的に破壊することで深刻な資材不足を補おうと考え地面には切断、撃ち落とされたハルファスの部品が転がっている。

「そろそろ、止めと行くか」

「ガロードの意見に賛成だ」

「分かった。 なら一気に攻めるとするか!!」

ガロードの意見に賛同したマドカ達。

「ハモニカブレード!!」

「行け! ライフルビット!!」

マドカがライフルビットを使いハルファスを誘導し、ガロードが誘導した先にハモニカブレードを射出し脚部を溶断する。

「まだまだ!!」

ラナロウはシールドに搭載されているヒートロッドでハルファスの右腕を捉えるとそのまま、上空に放り投げるとメガキャノンで頭部を破壊する。

「これでラストォォ!!」

コード・フェニックスが深紅の炎を纏ったクロスバインダーソードで一気にコクピットを斬り裂く。

マドカ達はハルファスのツインアイが消え、活動を停止したのを確認する。

「終わったな...」

「後はイチカだけだな」

マドカ達はイチカの居る方を向くと其処には先程までグレーのラインだった部分が緑色に光っていた。

「おい、あれはなんだ!!」

「あれはサイコフレームの輝き...」

「サイコフレーム?」

「兄さんのフェニックスや今、兄さんと交戦していた機体に搭載されいる物だ。サイコフレームは兄さんの能力を最大限に引き出すことができる」

「あれもNT(ニュータイプ)の力なのか...」

「...なんだろう。あの光が温かく感じる」

フェニックスから放たれるサイコフレームの輝きから簪は温かく感じると言うがそれは体感としてではなく内面的なモノ――心が温かいと感じたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴメンマーク兄。 マーク兄がどれだけ俺の事を思い、悲しんだのか今、分かった...。だから俺はもう、そんな思いをしないでいい様にする。 だから...!!」

イチカはビームサーベルを払いのけるとバード形態に変形し、一気にアリーナのシールドが張られているギリギリまで飛びあがるとそのままマーク目掛けて急降下する。

傍から見れば相討ち覚悟の特攻だが実際は違った。

フェニックスから赤いオーラ状のエネルギーを纏い、その姿は不死鳥を沸騰させる姿になるとそのままマークに突撃する。

「バァァニングッファイヤァァァ!!」

フェニックスと由来する技であり、フェニックスの最大奥義。

フェニックスのバーニングファイアはνガンダムのコクピットに当たるが本来なら貫通するまで攻撃するのだがマークにも危害を加えることになる。

イチカは軌道を少し変えると翼部がνガンダムに当たりつつ、そのままνガンダムの後方に出る。

フェニックスは通常のMS形態に戻るとνガンダムに視線を移すと機体がスパークし、小規模な爆発が起きるとνガンダムが解除され、マークが空中に放り投げられ、そのまま垂直落下し始める。

「マーク兄ィィィ!!」

イチカはフェニックスの出せる最大速度でマークに接近し、腕を掴むと自分の元に引き寄せ、抱き抱えると地面に着陸する。

イチカの腕に抱き抱えられているマークの表情は先程までの暗いモノではなく、何処か微笑んでいるように見えた。

 

 

 




という訳でIS学園襲撃終了でーす。


ふっと気になったんですが今の文字数で読みやすいですか?

戦闘メインは8000から10000超えますが日常はその半分くらいですがどうですか?


後、文章力無くてすいません。


感想、意見、誤字脱字質問など、待ってます。

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