学園祭当日。生徒たちのボルテージは最高潮に達していた。
「うそ!?一組でギルオード君の接待を受けられるの!?」
「それに開催されているゲームに勝ったら写真を撮ってくれるんだって!!」
「(イチカと仲良くなれる)この時を! この瞬間を待っていたんだー!!」
学園祭という事もあり、いつも以上に活気だがその中で特に活気あふれていたのは1年一組の『ご奉仕喫茶』であった。
イチカ達は朝から大忙しであった。がしかし、実際のところはイチカがメインで動いており、ほかのクラスメイトはそれを楽しそうに眺める構図になっている。
「いらっしゃいませ、こちらへどうぞお嬢様♪」
そう言いながらシャルロットも人を中へと案内していく。
接客は彼女以外にもセシリア、箒、ラウラ、イチカ他、クラス生徒複数である。
イチカの格好は燕尾服(付け髪はついてない)であり彼は念のために服の中に布と麻酔針を仕込んでいる。
イチカが接客をし、客を相手にしているのだがその客は妙に頬を赤めており、その光景に不機嫌になる人物が複数いる中、厨房では...。
イチカに料理を教えてもらったマドカは厨房で発注された料理を作り続けているのだが周りの生徒はその光景が怖かった。
何故、ならマドカが濁った眼でイチカを見ながら呪詛の様なモノを呟きながら食材を切っているのだ。
「あ、あのマドカさん」
「何だ」
「ヒィ!?」
キラーン、と手に持っていた包丁が太陽の光に反射し、(鶏肉の)血が着いたが包丁が光る。
そこにいた生徒は厨房に居たはずなのに何故か殺人現場に居合わせた様な気分だった。
「せ、せ、生徒会の出し物に参加するんですか?」
思わず、敬語で話してしまった生徒A。
「勿論だ。何せ、報酬がな...。誰にも渡さない...ナニをしてでも守ってみせる。 ウフフフ」
この時、調理場の生徒の心は一つだった。
『早くここから逃げたい』だった。
自由時間になったイチカはある人物との集合場所に向かっていた。
イチカはこの学園祭に友人である弾を呼んでいたのだがもう、マドカが誘う人がいなとの事で一人呼んでいる。
「おう、イチカ元気か」
「お久しぶりです。イチカさん」
「久し振りだな。弾それに蘭も」
弾とはこの世界に戻った時に再開し、それ以来、よく連絡を取っている。
「なぁ、イチカ。さっき校門にいた女の人って知らない?めっちゃ美人だったんだけど」
「特徴は?」
「眼鏡をかけてたなぁ後は...なんというかすごいしっかりとした雰囲気の人だったぞ」
イチカは誰なのか考えるとつい先日にあった生徒会会計の布仏虚が思い浮かんだ。
「一人心当りあるけど...どうした一目ぼれでもしたのか?」
「一目ぼれっか...言われればそうかもなぁ...」
彼らはそんなやり取りをしながら学園の敷地内を歩いていく。途中で蘭が『お兄にも春が来たか』と言っていたがイチカは言っている意味が分からずにいた。
そうしていると彼らはたまたま近くにあった美術部のクラスに入る。ここでの出し物は爆弾解体ゲームだ。とはいえこの爆弾は作り物である。するとそれを見た弾は
「IS学園ってこんなこともやるの?」
「希望者を集めての特別授業だな。ちなみに専用機持ちは強制受講だ」
「へぇ、大変なんだなぁ」
「そう言う事、おっ、次でラストか」
彼は話している間にも器用に解体を進めていくといよいよ最後の段階までたどり着く。内容はよくある『青を切るか赤を切るか』と言うものだ。専門の道具があればいけるのだが体験の為、そんなモノは無い為自力で解体している。
「どうするかな...。二人ともどっちがいいと思う?気楽に考えていいぞ」
「そこで俺に振るのかよ!?青か赤か...」
「い、イチカさんに任せます」
弾は必死に考えているようだがイチカはふとある質問をする。
「なぁ、彗星と巨星どっちが好きだ?」
「なんだ、その質問?俺は巨星かな」
「私は彗星ですね。すごく綺麗ですから」
「そうか、なら青だな」
そう言いイチカは青い配線を切るするとブザーが鳴る。どうやら失敗したようだ
結果、彼らは参加賞である飴玉を貰う。
「残念、失敗だ」
「あぁ~、なんかゴメン...」
「何故、謝る? 別に本物と違って人が死ぬわけじゃないんだからさ。そうだ、せっかくだし鈴のクラスにでも行くか」
「あぁ、そうだなアイツに会うのも久しぶりだな」
「後、飴玉だけどあげる」
「いえ、ありがとうございます」
そう言うとイチカは蘭に飴玉を渡すとイチカの携帯が鳴る。相手はシャルロットであった。
『もしもしイチカ、イチカはどこだってクレームがすごいからすぐに戻って来て』
「分かった。今戻る。悪い弾、急用が出来た。後は二人で回ってくれ。時間が出来たら一緒に回ろうぜ」
「あぁ、頑張れよ」
「頑張ってください。イチカさん」
彼女の声にはかなり焦りの色が含まれていた為、イチカはいそいで教室に戻るのだった。
IS学園から離れた上空に二機の機体が待機していた。
「にしても私達に与えられた。任務があの小娘の援護とは」
「不満かい?兄さん」
「そう言う訳ではない。奴らには助けて貰った恩がある。その分の仕事はするさ」
「そうだね。だけど、あいつ等の下に付くつもりは無いんでしょ」
「勿論だとも」
モノアイの蟹の様な巨大な二つのハサミが特徴の機体の上に赤い悪魔を思わせる機体がIS学園を捉えていた。
「前の世界じゃ、アイツらのせいで僕達の野望は叶わなかった」
「だが、どういう因果か私達はこうして生きている。なら、もう一度私達の手で世界を掴もうではないか―――オルバよ」
「そうだね。兄さん」
IS学園付近に二人の男女がいた。
「本当にここにアイツがいるのか?」
「ハイ...。ここに彼がいます」
「だけどよ...。さっき入ろうとしたら追い出されちまったぜ」
「ですが、私達には彼の協力が必要です」
はぁ、と溜め息をつく少年。
「ここは俺様の力で入るとしますか。どこか安全な所で待っていてくれ」
「いいえ、私も行きます。ガロードだけに無理はさせません。それに何かあってもガロードが護ってくれる」
「勿論だって、この炎のMS乗りガロード様に任せなって」
「行きましょう。 イチカの元に」
「そうだな。アイツなら今、俺達に起きている事も知っているかもしれないしな」
そういうとガロードと呼ばれた少年は少女のの手を取り行動を開始した。
最近、忙しくて書く時間がないよー(涙)