インフィニット・ジェネレーション   作:ハルン

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14話

「海だーーー!」

「待ちに待った時が来たのだ。多くの英霊達(生徒)が無駄死にではなかった事の証明の為に。再び私達の青春を謳歌させるために!海よ、私は帰ってきたっ!」

 

 

バスの中にソロモンの悪夢がいたのは気のせいだろう。

 

 

 

 

 

 

バスが旅館の近くに止まり、生徒はそれぞれ荷物をバスから降ろし、もちろんイチカも荷物を降ろし、自分の部屋に向かう。

部屋は一人部屋であり、イチカは荷物を置くと水着と複数のタオルを持ち、更衣室に向かう。

そして海に着くと、それぞれ更衣室に向かい水着に着替え、他の生徒が居る場所に向かうとすでにみんなそれぞれ自由に過ごしていた。

 

特にやることのないイチカは釣りでもしようかと考える。

近くに釣竿と餌を有料だが提供してくれるところがあり、そこへ行こうとすると

「イーチーカー!」

大声でイチカを呼ぶ声が聞こえるとイチカは頭の中で何かが閃くと体一つ分右へずれると小さい影が物凄い勢いで海へ飛び込んだ。

「ちょっとイチカ!何避けてるのよ!」

「いや、なんか嫌な気配がしたから避けた」

小さい影――鈴音は頭に海藻を乗っけた状態で海から出てくる。

鈴音はギャーギャー騒いでいたがセシリアにオイルを塗ってもらうよう頼むと鈴音は引き受ける。

その後、色々悪ふざけをした鈴音がセシリアに怒らたとか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一体なんの用だ?」

イチカは釣竿と餌を借り、釣りをしていると背後から誰かが近づてくるのを感じた。

「何でわかったの?」

「別に気配でだな。で? 何の用だ簪?」

イチカは近づいてきた簪に尋ねる。

「少し、話があって」

「話?」

「うん」

簪はちょこんとイチカの隣に座る。

「イチカのおかげで二式は完成した。 ありがとう」

「そうか。なら今度はお姉さんとの仲直りだな」

「うん。イチカのおかげで自分に少しだけど、自信が持てるようになってきた」

「そう。もし、辛くなったら教えてくれ。 俺が何時でも助けてやる」

「その時はお願い」

ウキが何回か沈みだし、タイミングを合わせ竿を引く。

「キター!」

「おめでとう」

イチカが釣ったのは30cmのクロダイで簪が来る前に釣れたカサゴが4匹とセイゴが3匹を釣っており、イチカはクーラーボックスに入れると竿に餌を付けると投げ入れる。

「簪も何かしてくると良いぜ。 それにほら」

イチカがある一点を指差すと其処にはキツネの着ぐるみ?姿の本音がおり、イチカ達に向けて手を振っていた。

「のほほんさん達と遊んでくるといい。俺も後から合流するから」

「分かった。絶対来てね」

そう言うと簪は立ち上がり、本音の所に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

その後、イチカは簪達と合流するとビーチバレーをすることになった。

途中から千冬が参戦し、イチカと千冬の人外アタックが飛び交い、それを見た生徒たちの感想は一つだった。

 

 

『アレは規格外の規格外による、規格外の戦いだった』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方には風呂に入ってのんびりとして、夜の夕食では大宴会場に集まって豪華な食事が振舞われている。

目の前には豪華に並べられた刺身と味噌汁がある。

「ねぇ、イチカ。この緑色の山みたいなの何?」

「あぁ、本わさだな。まぁ食うか食わないかは人それぞれだな」

「へぇー」

シャルロットはワサビの塊を口の中に運ぶ。

「っ~~~~~~~!?」

「だ、大丈夫か!?」

「ら...らいひょうふ。ふ、風味があっへおいひいね...」

「無理するなよ。ホレ、水」

「ありがとう」

イチカはシャルロットに水を上げる。

「所でセシリア。顔真っ青だけど...どうした?」

「だ...ぃ...ょうぶ...です...わ...」

顔色が優れない向かいに座っているセシリアに声をかける。

「無理するなよ」

「はい...」

かすれた声での返答だが、これはただ晩御飯を食べてるだけなのであしからず。

 

 

 

 

 

 

 

 

夕食後、箒、セシリア、鈴音、シャルロット、ラウラ、簪が千冬の自室に呼ばれていた。

「どうした。いつもの馬鹿騒ぎはどうした?」

六人は正坐して怒られているような錯覚に陥っている。

「なんというか、織斑先生とこうして話すのは初めてなもんで」

シャルロットが先程覚えた愛想笑いでごまかす。千冬はそれを見なが缶ビールを飲み乾した。

「くぅ~~~!!それで?お前らアイツのどこがいいんだ?」

その言葉に全員が固まった。

「アイツと言って分からんお前らではあるまい」

千冬の言う通り、彼女たちにとってアイツとは一人しかいない―――イチカだ。

「わ、わたしはただ腐れ縁なだけだし...」

「私はクラス代表として相応しい様に...」

「ふむ、そうか。では次だ」

「「ちょっと―!」」

セシリアの話を聞き終るとシャルルを指差し言う。

「僕は...優しい所、です」

「そうか。だが奴は誰にでも優しいぞ」

「そこは少し悔しいかな...アハハ」

照れ笑いをしながら熱くなった頬を煽ぐシャルロット。

「次、更識妹」

「わ、私はまだこの気持ちが好意なのか分かりません。ただ、イチカといると凄く温かくて安心できるんです」

この気持ちが親友としてなのかそれとも異性としてなのか今の簪は分からないでいた。

「所で教官。一つ聞いて宜しいでしょうか?」

「なんだ、ラウラ?」

「イチカ・ギルオードは教官の実の弟―――織斑一夏ではないんでしょうか」

一部を除くその場に者がラウラの発言に驚く。

「ラウラさん。それはどういうことですか!!」

「ふむ、私の部隊に頼んで嫁の髪の毛や指紋等を秘密裏に採取し、鑑定に出したのだ」

「...なんでそんな事を?」

簪は何故、ラウラがその様な事をしたのか理解できずにいた。

「入学前に嫁について調べたのだが、戸籍はおろか、家族構成、その経歴全てが分からなかった。一度、嫁のプレッシャーを感じたことがある奴ならわかると思うがあれは一般人が出せるものではない。軍属の私だから言えるがアレは戦いに身を置いていた者が発するものだ」

その場に居た、セシリア、シャルロット、千冬はどれ程のモノか理解している。

その場に居なかった箒と簪、気絶していた鈴音は何を言っているか分からなかった。

「あの時のイチカさんには恐怖しましたわ」

「そうだね。イチカの背後にフェニックスの様なモノが見えたしね...」

「教えてください。教官!」

千冬は持っていたビール缶を飲み干すと

「ラウラ。お前言う通り、イチカ・ギルオードは私の弟...織斑一夏だ」

肯定する千冬。

「じゃ、イチカがあそこまで強いのって...」

「いや、昔の一夏はあそこまで強くはなかった」

「一夏に一体何があったんですか!千冬さん!!」

「分からない。 只、アイツは自分のせいで悲劇を起こし、自分の手を血に染めたと言っていた...。自分達が起こした戦いに巻き込みたくないと言い私では力になれないと言った。一夏が戦う元凶も何のために戦うのか分からない......一夏かがあそこまで変わってしまったのか、私には分からないんだ!!」

千冬は分からないのだ一夏が劇的と言っていいほど変わってしまった理由が、自分の知っている一夏はいない。

あの頃の一夏を思い出すと自然と涙が出てくる。

両手で顔を覆い時折、聞こえる悲しみの声。

普段見せることの無い千冬の姿にその場に居た全員はどうすればいいのか分からないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イチカ達が泊まった旅館から離れた所に位置する無人島に一人の少女がいた。

「奴から何も連絡は無い」

少女は持っていた通信機を砂浜に置くと一つの雑誌を取り出すとある一面を見る。

「この世界にはあの人がいる。なら、恐らくアイツがいるはずだ」

少女が見ていた一面には【世界初の男性操縦者現る!】と大きく書かれていた。

「まずは辺りを隈なく探そう。 あの人とアイツを探さなければいけないし、帰る(・・・・)手段も探さなければいけないしな」

そう言うと少女は光に包まれると機械的な姿になり、その姿は深緑の狙撃手と言う表現が合う姿だった。

少女はイチカが乗るエクシアと同じ淡い緑色の粒子を放出しながらその場から立ち去るのだった。

 

 

 

 

 


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