インフィニット・ジェネレーション   作:ハルン

22 / 52
いつの間にか通算UA5万を超え、評価バーが灯った...だと...。

こんな、駄文だらけの作品を評価並びに愛読していただきありがとうございます。


13話

ラウラが目を覚ました時、時刻はあの戦いから数時間が経ち、太陽は地平線へとその姿を沈めようとしていた。

痛む体を強引に起こし周囲を確認する。部屋を仕切るカーテンと何台かのベッド、壁際の戸棚に収納されている薬品の入った瓶からここが医務室だというのが分かる。

「こ、ここは...うッ...!」

ラウラはイチカと戦っていた途中までの記憶はあるがそれ以降の記憶はあやふやで思い出そうとする頭痛が襲う。

「漸く気がついたか」

「っ! 教官! ...っ!」

その言葉でラウラは、自分に割り当てられたベッドの脇に座る人間の存在に気づき、そしてそれが自分の恩師であることに酷く驚く。慌てて姿勢を正そうとするラウラだが、その身体を鈍い痛みが走る。無理をするな、と千冬はラウラを寝かせつかせる。

「筋肉疲労で暫くは動けん。大人しく寝ていろ」

「...一体何があったのですか?」

「説明してやるから、大人しくしていろ」

千冬は持っていたファイルから一枚のプリントを取り出した。

「一応重要案件である上に、機密事項なのだがな。VTシステムは知っているな?」

「ヴァルキリー・トレース・システム......過去の世界大会の部門受賞者の動きをトレースするシステム......」

搭乗者を触媒にし、プログラムされたISの動きをするシステムなのだがこれには欠点がある。

使用者に多大な負担を掛け最悪、死に至る代物であり、媒体となる人間は唯の消耗品と言っても過言ではない。

「そうだ、現在はIS条約で禁止されている代物だ。それがお前のISに搭載されていた。操縦者の精神状態、機体の蓄積ダメージ、そして何より操縦者の意志......いや、願望か。それらが揃うと発動するようになっていたらしい」

「私が望んだから、ですね......強さを求めたから......」

「そう言う事だ。ラウラ・ボーデヴィッヒお前は誰だ?」

「......」

答えないラウラに対して千冬が言う。

「3年間と言う時間の中でそれを見つけろ、お前にきちんと教えることの出来なかった私にも責任はある。もし見つからないのなら私の所に来い、協力してやる。いいな?」

そうして千冬は医務室から出て行き、保健室にはラウラ一人だけが残されていたが千冬が出てから数分後、医務室に一人の人物が入ってくる。

「き、貴様は!!」

「やぁ。怪我はどうだ?」

入ってきたのはイチカであり、その手にフルーツの詰め合わせがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

イチカが医務室に入ってから静寂が支配している中、イチカは持ってきたフルーツの中から林檎を取ると果物ナイフでウサギ型に切ると皿に並べていた。

先に静寂を破ったのはラウラだった。

「何しに来た。ただ、お見舞いに来ただけというわけではないだろう」

「お見舞いの為に来たんだがな...。まぁ、そう警戒するな」

ラウラは一夏が剥いた林檎を口に運び、シャキシャキとした食感と噛めば噛む程口の中に酸味と甘みが満たされる。

「何故、貴様は強い。どうしたら、そこまで強くなれる」

「逆に聞くが何故、そこまで強さを...力を望む」

力を求める理由は人それぞれだが、イチカは何故、ラウラが力を求める理由が分からない。

力を求める理由は大きく分けて二つあり、一つは私利私欲の為、もう一つは何かを護る為である。

私利私欲の為に力を求める者は大抵、世界の歪みと言ってもいい存在になり、何かを護る為に力を求める者は世界を正し、導く事が多い。

イチカが護る為に力を求めたの対し、ラウラは護るという訳でもなく、私利私欲にしては少し違うとイチカは思っている。

「力を求める理由か...私は嘗て、軍の中で最強と呼ばれる程の力を身に付けたがIS適合性を高める為に埋め込まれた、ナノマシンに適合しきれなかった私は出来損ないの【烙印】を押された」

「そんな、お前に織斑千冬は手を差し伸ばした」

「そうだ。出来損ないの私を教官は私を一年で部隊最強まで育ててくれた」

この時ラウラは力があれば認められる、力があれば存在できると力こそが全てなのだと理解した。

「だが、力を求めた結果がこれだ...。教官は自分を見つけろと言うが...私には...力以外ないんだ!! 力以外の存在意義が見つからないんだ!!」

力こそが全てだと思っていたがそれは目の前の少年にによって打ち砕かれ、それ以外知らない、分からないから他の道を見つけられない。それ故の苦しみ。

「確かに自分を見つけることは難しいだろうな。だが、お前は一人じゃない」

「......え?」

「悔しい時、悲しい時、心が折れそうな時...お前を支え続けた人がいるはずだ。違うか」

「...あぁ...そうだ。彼女達はいつも私の事を気遣ってくれた、励ましてくれた...。大切な仲間だ」

イチカの言葉を聞き、力に囚われてもいつも自分の為に一生懸命に頑張ってくれた部隊の姿を思い出した。

「人は決して一人では生きていけない、誰かに支えて貰って生きている。なら、その支えてくれた人の為に生きる、守るという事もいいんじゃないか」

「フフフ...確かに悪くないな...」

「それが全てじゃない。他にもあるだろう。お前の人生はお前のだ。 お前が自由に決め、自由に生きろ」

そういうとイチカは医務室を出て行き、ラウラだけが残るが千冬が出て行った時よりも表情は明るく、吹っ切れた感じだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

保健室から出たイチカとバッタリであった山田先生により、大浴場が解禁された事を知り、シャルルを先に大浴場に行かせ、交代で大浴場を満喫した。

 

次の日、シャルルは自らが男性ではなく女性であることと本当の名前はシャルルではなくシャルロット・デュノアであることを告げたが、一組のメンバーはいつも通りに彼女を受け入れた。

そして、ラウラの『嫁宣言』により、一部の女子が問題を起こしたが一人の教師によって鎮圧された。

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。