インフィニット・ジェネレーション   作:ハルン

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ラウラ戦の開始です。


12話

クラス対抗タックマッチ戦当日。

イチカとシャルルは待機場所で自分たちの初戦の相手を見ており、その初戦の相手が誰なのか確認していた。

「まさか初戦でラウラ・ボーデヴィッヒと当たることになるとは」

「うん、でも油断しないでね。彼女は1年の中じゃトップクラスだからね」

初戦の相手はラウラ・箒ペアだという事を確認したイチカとシャルルは開始時間までに今回の作戦の再確認をしていた。

 

 

 

そして、イチカ達は試合開始の時刻が近づいてきたのでシャルルとともにアリーナに出るとそこにはシュヴァルツェア・レーゲンを装着したラウラと打鉄を装着した箒が立っていた。

「まさか初戦で当たるとはな、余計な手間が省けたというものだ」

「確かにこれ以上余計なけが人が出る前に当たってよかったよ」

イチカとラウラが一言づつ言うとアリーナのスピーカーから試合開始の声があげられるのと同時にイチカとラウラは格闘武器で戦い、シャルルと箒は各々武器を構え戦闘に持ち込んだ。

そうしてその試合の様子をアリーナの管制室では千冬や山田先生がその様子を見ていた。

「イチカ君の姿また変わりましたね」

「あぁ、今までのが高機動型(Zガンダム)だったの対し今回は格闘型で出て来たな」

「そうですね。にしてもイチカ君とデュノア君、コンビネーション抜群ですね」

「ふん、だがギルオードは時折、決定打を与えるチャンスを逃している。まだ未熟な証拠だ。そう見えるのは単にデュノアが合わせているだけだ」

「それでもあそこまで戦えるのは凄いと思いますよ」

確かに試合はシャルルがイチカに合わせて戦っているだけなのだが、それだけお互いを信用していると言う事なのだ。ペアを組む場合で重要なのは個人の強さではなく、お互いの連携であると山田先生は考えているし、千冬は個人でどれだけ対応できるかを見ているので評価が違うのだ。

本来はイチカがシャルルに合わせるのだが、イチカはエクシアをこの世界に来て始めて使用している為、まだ不慣れであり、慣れるのに時間が掛かっているのである。

 

 

 

「感覚も癖も大方把握した。少しギアを上げるぞ!」

「クッ!!」

イチカはGNソードをライフルモード変え、射撃で攻撃するのに対しラウラは回避行動をするが躱しきれなかったビームはワイヤーブレードで弾いている。

「うぉぉぉ!!」

「チィ!」

「しまった...」

イチカはGNソードをソードモードに変え、突き出すように構えると直進するがラウラがイチカの動きをAIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)、慣性停止結界によって止める。

「これで!!」

「油断大敵だ!」

「ナニィ!!」

ラウラはプラズマ手刀で身動きが取れないイチカを攻撃しようとしたが突如、腹部の当たりに衝撃が起きたことによって意識が逸れるとイチカを拘束していたAICを解除してしまう。

ここでイチカはある事に気づく。

「そうか、お前のAICは停止させるのに多大な集中力が必要なんだ。対象に意識を集中しなければいけないけど何か予想外な出来事が起き、意識が逸れるとその拘束は上手く発動できないんだ」

「!?」

現に先程、イチカはAICに身動きを取れなくなり、ラウラがプラズマ手刀で攻撃しようとした時にイチカは外側前腕部に1門ずつ固定装備されたGNバルカンで応戦した結果、解けた事が何よりの証拠だ。

イチカはチラッとシャルルの方を見ると其処にはシールドエネルギーが切れ、膝をついた箒がおり、イチカの視線に気づいたシャルルはイチカのいる方に向かう。

「イチカ大丈夫?」

「問題ない」

イチカはGNロングブレイドを二つ構えるとラウラに向かって直進するのに対し、ラウラはイチカが近づいた瞬間、AICで止めようとしていた。

「ふん、なら正面から叩き潰してやる!!」

「セイッ!!」

イチカはGNロングブレイドを二本とも投擲するとラウラはワイヤーブレードで弾くがGNビームサーベルを二本持ち、接近したイチカはワイヤーブレードを溶断しながらラウラの目の前まで接近する。

ラウラがAICを発動するより早くGNソードで突き出された右手を攻撃する。

「なっ!? 馬鹿なっ!?」

完全に右腕を破壊され、AICを発動出来なくなったラウラは慌ててイチカに一撃入れようと左手のプラズマ手刀を展開し、叩き込もうとしたが

「オリャ!」

イチカは右腕を破壊した途端、すぐさま跳躍しラウラの攻撃を躱すとそのままラウラのシュヴァルツェア・レーゲンを踏み台にする。

「わ、私を踏み台にした!?」

お決まりの発言をするラウラに対し、イチカは持っていたGNビームサーベルを投擲すると二つの非固定装備(アンロックユニット)に刺さる。

「クッ!...この程度......!!」

ラウラは背後にいるイチカにの方を向くと其処にはGNソードを大きく振りかぶったイチカが目に映った。

「これで終わりだ!!」

攻撃を喰らい、吹き飛ばされて地面に叩きつけられる。もはやシュバルツェア・レーゲンのシールドエネルギーは極僅か。しかもダメージレベルはDという状態である。

この状態から逆転する術はな無い。ラウラに待っているのは敗北しかないのだ。

イチカはこれ以上の戦闘は出来ないと判断し、降伏するよう呼びかけようとした瞬間、突然ラウラが悲鳴を上げる。

「がああああああうぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

 

 

 

 

「な、なんだ!?」

「一夏、いったん下がって様子がおかしい」

そう彼女が悲鳴を上げた後、彼女を黒い泥のようなものが包み込み、そして一人の人物を形作っていく。

「織斑千冬...だと...」

ラウラを包み込んだ泥は千冬の形になると、イチカめがけて雪片で攻撃する。

「遅い斬撃だな」

イチカは難なくそれを回避するとシャルルと共に箒をつれ安全な距離まで離れる、どうやらあれはある一定の距離内にある対象を無差別に攻撃するのだとイチカ達は認識する。

イチカはラウラのISが姿を変えたのは隠された能力では?と考えたがその考えはすぐ消えた。

何故なら、イチカはラウラでは無い別の『何か』に囚われていると感じたからだ。

『アレはValkyrie Trase System(ヴァルキリー・トレース・システム)通称VTシステムと呼ばれるものです。過去のモンド・グロッソの優勝選手のデータをそのまま再現するシステムですが搭乗者に対して危険性があることが判明し、開発が禁止されたモノです』

アプロディアの話を聞いたイチカはVTシステムの所に向かい始める。

「何をするつもりだ。一夏!!」

「何って...ラウラ・ボーデヴィッヒを助けに行くんだよ」

イチカはそう言うとVTシステムの近くに行く。

イチカを認識し、すぐに剣撃を繰り出してくるがイチカはそれをGNシールドで受け止め、弾くと後退し距離をとる。

(たすけて)

突如、頭の中にラウラの声が響く。

(この声は...ラウラか...)

イチカは今起きた現象に驚くが以前に似た体験をした事を思い出し、それと似た現象だと考える。

(どうしてお前は強いんだ)

(俺は強くない。たった一人の少女すら助けることが出来なかった俺が強いはずがない)

VTシステムは突き出した両腕から何十本にも及ぶそれぞれが触手の様に伸びイチカを襲う。

イチカはGNロングブレイドとGNビームサーベルで切り裂く。

(たすけて!)

再びラウラの声が脳内に響く。

エクシアの装甲が徐々に赤くなっていく。

(私は誰だ)

(お前はお前だ)

(私は教官みたいにはなれないのか?)

(なれるわけないだろう)

(怖い、嫌だ!ならば私はだれなんだ!誰になればいい!?)

エクシアの装甲が完全に真紅に染まるとVTシステムの目の前に一瞬で移動する。

「お前はお前だ!織斑千冬でもない、ましてや他の誰でもない。お前自身だ! なら誰かを真似るんじゃなく、一人の人間として自分らしく生きろ!!」

イチカが叫ぶとGNソードで中央の部分を切り裂くと切り裂かれた所から眼帯がとれ、片目が金色の瞳のラウラが出てくるとイチカはそれを受け止める。

エクシアは既に真紅の光から元の色に戻っており、イチカは駆けつけた教員にラウラを引き渡した。

VTシステムは活動を停止し、黒い織斑千冬は再び泥状になり、元のシュヴァルツェア・レーゲンへと戻って行った。

 

 

 

そして学年別トーナメントは公式にはラウラの機体の暴走と発表され、さらにはトーナメントは中止で参加者のデータを集めるため1回戦のみ行うという事になった 。

 

 

 

 

 

 

 




後、一、二話やったら臨海学校編に入りたいと思います

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