インフィニット・ジェネレーション   作:ハルン

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自分が書いている他の作品の内容が浮かばない・・・。

寧ろ、新作のネタが思いつく。

因みに作品はISですが書くか書かないかは気分次第です。


10話

箒達と昼飯を食べ終え、午後の授業も無事終わり、イチカは整備室に向かい最後の武装を完成させていた。

武装の最終調整を済ませ、寮に戻る途中、山田先生と遭遇する。

「イチカ君。少しいいですか?」

「別に構わないですけど」

何か用なのかと聞くと、驚くべきことを口にする。

「実はイチカ君の部屋に新しく一人加わることになりまして...」

「え?」

「デュノア君が転校してきたので部屋の都合上と同じ男性という事で同室になって貰おう事になりました。女性と相部屋になって問題が起きては遅いので」

「...分かりました。ですが、五分ほど時間を貰いますよ」

そんな話をしていると自室に到着する。

「分かりました。では、終わったら教えてください」

山田先生は外で待機し、イチカは部屋に入ると外に聞こえないように小声で喋る。

「アプロディア。部屋にある端末のデータをハロに移して、念のためにフェニックスへのアクセスは俺以外拒否してくれ」

『分かりました』

作業が終わり、部屋の外にいる山田先生に教えてから少し経つと部屋に入ってくる者が居た。

今回、新しくイチカと同室になる転校生、シャルル・デュノアだ。シャルルは部屋に入ってくるなりベッドの上で複数のコードをハロに繋ぎ、端末を弄るイチカを見つけると、その隣まで来て挨拶をする。

「今日から同室だね。よろしく」

「おう、よろしく」

「うん!......ところで、何してるの?」

「うん?これか......ちょいとな」

シャルルが端末の画面に目を向けると、何やら難しいプログラムが組まれている途中だった。

「ハロに新しい機能を追加しようとしてな。あ、ハロって言うのはこの赤い球体のロボットの事な」

「へぇー、でもこんなロボット見たことないよ」

「そりゃ、そうだ。このハロは俺が一人で作ったんだからな」

「えぇ!?」

ISに関わっている以上こういった内部の構造についても少なからず知っている。

プログラムは一つの構文のミスで連鎖的に問題が起きれば、内容によっては処理速度の向上も出来る。

イチカはある世界で見つけたハロを元に自作のハロを作るようになり、その創作意欲は次第にMSの方に向き、MSの整備や手伝いをするようになった。

その為こういった作業はお手の物である。

経緯を知らないにしろ、シャルルは一人で一つのロボットを作るイチカが凄いと思った。

「ねぇ、僕にも教えてくれるかな?」

「良いけど、これを理解しないとキツイぞ」

イチカは二冊の分厚い本を渡す。

「プログラム言語はいけるけど......電気工学理論とか絶対読んでも僕じゃ理解出来なさそう」

試しに本を手にとって開いてみたのだが、思った通り1ページ読んだだけで降参してしまった。

「そうか?」

「無理無理。僕には到底理解出来ない内容だよ。イチカはこれを理解しているの?」

「じゃなきゃ、こんなの出来ないよ」

イチカはMSの整備をしていた為、一切苦を感じず、世界によってはプログラムのコードやプログラムに使う言語が違う事があり、それを理解するよりは楽である。

「イチカはIS学園を卒業したらIS操縦者になるの?」

「俺はそんな事に興味はないよ」

「でも、世界初の男性IS操縦者なんだから、絶対周りが許してくれないんじゃないかな?」

イチカは作業を一端辞めるとシャルルの方を見る。

「逆に聞くけど、IS操縦者になって戦ってなにになるんだ? 確かにモンドグロッソで優勝すれば名誉だろうし、国の貢献できる。一つ聞くけど、モンドグロッソで優勝して嬉しいのは誰だ?」

「だ、誰って...それは国全体が嬉しいんじゃないの...」

「確かに自分の国の代表が優勝すればそりゃ、確かに嬉しいさ。でもな、それで本当に美味しい思いをしているのは極一部の人間だけだ。俺は国の様な団体の為ではなく、尊い命を守るために戦う。それに俺の人生を誰かにとやかく言われる筋合いはない。周りの思惑なんか知らない、俺の人生は俺が決める」

その世界によって戦いの原因が違う。

人種差別や能力的格差、中には私利私欲の為に戦う者もいる。

その身勝手な理由で戦いに巻き込まれ、多くの命が消えていくのを経験している。

そんな理不尽な理由で消えていい命はない。命の灯を消さない為に戦うそれがイチカの戦う理由の一つだ。

確固たる意思を感じて、シャルルは何も言えなくなった。

確かに、イチカの人生を決めて良いのはイチカ本人だけだろう。他の誰かが強要して良いものではない。

「...そうだね。 あ、明日僕と模擬戦してくれないかな?」

「別に構わないが...」

「じゃ、明日の放課後に第三アリーナに集合だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、授業は終わり放課後にイチカは第三アリーナに来ていた。

シャルルとの模擬戦をする為である。

アリーナには鈴音とセシリアがおり、二人はイチカとシャルルの模擬戦を観戦していた。

繰り広げられるビームと実弾の嵐。

ビームライフルを主体に攻撃するイチカだが時折、放つビームコンフューズと変形に苦戦していた。

「とどめぇ!」

「しまった...!」

イチカはビームライフルを数発放ち、回避に専念していたシャルルは急接近していたイチカに気づくのが遅れ、ビームサーベルの連撃を喰らい、模擬戦はイチカの勝利で終わった。

「イチカ強いね...。手も足も出なかったよ...」

「いや、シャルルの射撃能力が高くてヒヤヒヤしたぞ」

「その割には...僕の銃弾を斬ったり、撃ち落としたり、回避して全然当たって無かったよね...」

イチカとシャルルは鈴音の所に行くと先の模擬戦について話しているとイチカは悪意を感じるとした方を見るとるとそこには黒いISを装着したラウラが立っていた。

「あれっ、あのISってまだテスト段階じゃなかったの?」

「完成したからそのテストの意味も含めてここに来たのかしら?」

そんな疑問をラウラはよそにイチカに声をかける

「おい、貴様も専用機持ちなら私と戦え」

「俺にはお前と戦う理由がない。それに俺は無益な戦いはしたくないんだ」

「世界初の男性操縦者の力...私が見定めてやる!」

「それはお前の理由だろ、俺がお前の相手をする理由にはならないんだが」

「そうか、ならば嫌でも戦わせてやる!!」

そうすると彼女は突然、レールカノンをイチカに狙いをつけると、そのままイチカ目掛けて射出しようとするが、

「うわぁぁ!」

ラウラのレールカノンが突如、爆発したのだ。

ラウラは原因を探ると足元に一つの金属棒があり、視線をイチカの方を向けるとそこには振りかぶったイチカの姿があった。

イチカはラウラがレールカノンを放つ前にビームサーベルを投擲し、そのままビームサーベルはレールカノンに入り、装填された弾丸と接触し、内部爆発を起こしたのだ。

そうしてイチカとラウラは一触即発の雰囲気になるが鈴とセシリアはイチカをシャルルはラウラを止める。

「このバカ!!少し落ち着きなさいよ、ここで騒ぎを起こしてあんたまで謹慎食らいたいわけ」

「そうですわ、イチカさん気持ちは分かりますが落ち着いてくださいまし」

「ボーデヴィッヒさんも、自国に泥を塗るつもりなの?」

そんな騒ぎに発展するとアリーナのスピーカーから

「そこのお前たち、これはいったい何事だ!!」

その声で彼女は興がそがれたのかISを解除してアリーナから出て行き、それを確認したイチカもISを解除する。さすがにこのまま特訓を続けても意味がないと全員が思い、今日はそのまま解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解散後、イチカは少し寄り道をしながら部屋に戻ると先に戻っていたシャルルがシャワー室に入っていたのか水の音が聞こえる。

「あ、そういえば...ボディーソープが切れそうだったな」

イチカは替えのボディソープを持ちシャワー室に向かう。

『イチカ・ギルオード。今、ある事が分かりました』

『え、何が分かったの?』

『ハイ。シャルル・デュノアは―――』

アプロディアが言っている最中にイチカはシャワー室のドアに手を掛ける。

「「あ!」」

『女性であることが分かりました』

そこには金髪ロングのスタイル抜群の女性がいた。

そして、少し遅くアプロディアの言葉の意味を理解するイチカだった。

「////!!」

「あ~。ボディソープ切れていたから、持ってきたんだが...」

「え!?あ、うん。ありがとう」

シャルは、ガラス戸を閉め、イチカは、シャワー室を出る。

 

 

 

 

それから数分後。

「あ、上がったよ」

「おう」

背中越しに掛けられた声に頷き、イチカはゆっくりと振り返ると其処には紛れもない女性がいた。

「あんまり驚かないんだね...」

「始めて見た時に本当に男性か?って疑問があったからな。まぁ...さっきので確信に変わったんだけどな」

「アハハハ......最初からバレていたんだね」

イチカはシャルルが男性だという事に対して半信半疑であり、身近に似たような人がいる為、確信が持てずにいた。

「どうして性別を偽ってここに入学した?まぁ、予想はつくけど出来ればシャルルの口から言って欲しい」

「...うん」

シャルルはイチカの言う通り入学までの経緯を話した。

デュノア社の社長との間に出来た愛人の子供であり、母親の死後引き取られ、適性が高いという事でそのままテストパイロットをすることになった事。

デュノア社は第3世代型のISを開発していたが、データも時間も不足しており、次のトライアルで選ばれなかったらISの開発許可を剥奪するという事になった事。

IS開発許可の剥奪を阻止するための策としてイチカのISデータを入手するよう命令された事。

シャルルは包み隠さず話し、それに対してイチカはシャルルが諦めている事に気づく。

「それで、お前はこれからどうするつもりだ?」

「...もう男装の事がばれちゃったから、データを盗むのは失敗、たぶん僕は本国へ呼び戻されて牢屋行きになると思う。...なんだか話したらすっきりしたよ。今まで嘘をついていてごめんね」

この時イチカはシャルルがマーク達と出会う前の自分と重なって見えた。

自分を自分として見てくれず、只のオプション、道具としか見ない自分と重なったのだ。

それが、イチカの心を動かした。

「お前は諦めるのか?」

「えっ?」

「お前はここで諦めるのか、と聞いているんだ。抵抗せずに運命を受け入れるのか?」

「...仕方ないよ、僕にはもう誰も手を差し伸べて―――」

くれない、と言う前にイチカが彼女の前にスッ、と手を刺し延ばした。

「差し伸ばしてくれる手が誰もいないのなら俺がお前に救いの手を差し伸べてやる」

「で、でもどうやって...」

「お前が救われる方法は複数ある」

そう言うとイチカは人差し指を立てる。

「一つ目、俺のデータを渡す...これは今やろうとしている事と変わらない。二つ目はIS学園に通う三年間は本人の同意なく外部からの介入が無い為、その間に自分の行く末を決める。三つ目は知り合い(アプロディア)に頼んでデュノア社の汚点を世間にばらす事で自由を手に入れることが出来るが何かしらのペナルティがあると思う。そして最後は――」

最後の一つを言うとするがイチカはその先が出ない。

それは無関係なシャルルを戦いに巻き込み最悪、この世界の土を二度と踏むことが出来ないからだ。

「...もうひとつはあんまりお勧めしないが...俺達と一緒に行動する。具体的にどういう内容かは今は話せないがこの選択肢の中で一番自由を得ることが出来ると同時に危険という事をだけ頭に入れてくれ」

「でも...」

「諦めが人を殺す。だが、最後まで諦めずに一つの光を掴むために努力した時、...無限の力を秘めた可能性という内なる神が宿る」

彼女が驚きのあまりに目を見開いた。

自分と同い年の筈の彼が此処まで言えるのは自分とは比べ物にならない様な体験をし、それは自分よりつらい体験だと容易に想像できた。

しかし彼を見る限りそれをまるで苦痛にも思っていない。

「希望や平和などと言ったモノは誰かに与えてもらうのではなく自分の力で掴み取らなと意味が無いんだ。俺はお前に希望を見せた。その希望を掴み自由を手に入れるのかそれとも払い除けるのかはお前次第だ」

その一言、彼の言った一言がシャルルにとって救いの言葉となった。

「そうだね...。僕は明日を掴むためにもう少し頑張ってみるよ。だけど少しだけ考える時間を頂戴」

「時間はある。後悔をしないように考えればいい」

イチカはあの時、自分に手を差し伸べた彼女の様にイチカもまた、手を差し伸べるのだった。

 

 

 




イチカにラッキースケベが無いと、思っていたのか?

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