インフィニット・ジェネレーション   作:ハルン

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あの二人の出番です。



9話

件の所属不明機は現在学園地下にある解析室に運ばれて、解析が行われている。

現状、解析を進めて判った事は所属不明機が無人機である事と、そのコアが467個あるどのコアとも一致しない未登録ナンバー...つまり、468個目のコアである事だ。

「こちらの無人機から未登録のコアが見つかりましたが...こちらの無人機からはコアは見つかりませんでした」

「何だと!」

山田先生の報告に千冬が驚くの可笑しくない。

何故ならジ・OやバーザムからISの心臓と言っても過言ではない部分が見つからなかったのだ。

「まさか...だが、もう片方は誰が...」

「織斑先生は心当たりがあるんですか?」

「いや、まだ...な」

二人の後ろにあるディスプレイに聖母を思わせる女性が真剣な眼差しで二人の会話を聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

クラス対抗戦が終わった翌週の中頃、箒も独房から出されて授業に復帰した。

今まで通りにHRが行われて授業になるはずだったのが、この日だけは違った。何故なら教室に山田先生と千冬の後ろから、更に二人の少女が一緒に入ってきたのだから。

片方は小柄な銀髪の少女。眼帯をしていて、片方の目しか見えないものの、その目付きの鋭さが印象的な少女だ。

そして、もう片方は明らかに異色と言える。金色の長い髪を一つに束ねた中性的......よりやや女性的な顔の少年。

「え~、今日は皆さんに転校生を紹介します」

山田先生の言葉の後で一歩前に出たのは少年の方だった。

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。皆さん、どうぞよろしくお願いしますね」

「お、男、のこ?」

「はい、同じ境遇の方が此処に居るという事なので、僕も転校して来ることになりました」

(......あ、ヤバい...)

シャルルが男だという事に、教室が割れるほどの歓声が湧いたのは、言うまでも無い。

その歓声(物理)により、数名が被害に合うがイチカはどこぞの狩りゲーに出て来るような耳栓を付ける事で難を凌いだ。

それから、もう一人。銀髪のドイツ人少女の自己紹介がまだだ。

「自己紹介くらいしろ、ボーデヴィッヒ」

「はい、教官」

「私はもう教官ではない。ここでは織斑先生と呼べ」

ボーデヴィッヒと呼ばれた少女が千冬を教官と呼んだ。イチカは自分が居なくなってからの千冬の事を思い出した。

千冬はイチカの情報提供したドイツに恩返しという形で教官生活をしていたことがあるとのことで、恐らく彼女はその時の千冬の教え子なのだろう。

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

名前だけの簡素な自己紹介にクラス中が困惑するが、当のラウラは一度、クラスを見渡すとイチカと目が合おうとイチカの前まで歩み寄ってきた。

「貴様がイチカ・ギルオードか」

「あぁ、そうだが」

ラウラの問にイチカを肯定するとラウラは一度睨むと教室の一番後ろにある席に向かい、その席に座った。

だが、この時イチカはラウラに対してある疑問があった。

(ラウラからマドカと似た感じがする...)

ラウラと自分の妹であるマドカと似た感じがするが一体何が似ているのかイチカには分からなかった。

ラウラの雰囲気なのかそれともラウラを構成するナニかが似ているのか分からないが今後、調べて明らかにするつもりだ。

シャルルもその隣の席に座った事で漸く落ち着いたのか、千冬が教卓の前に立ち、残りのHRを進める。

「それでは、1時限目は2組と合同でISの実習だ。着替えてグラウンドに集合しろ」

これにてHRは終わり、生徒達は急ぎ更衣室まで行かなければならない。IS実習は千冬が担当する授業、遅れれば待っているのは鉄拳制裁だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギルオード、デュノアの面倒を見てやれ、同じ男子だからな」

千冬の指示を受けるまでもなく、イチカはそのつもりだった。

この学園で今までイチカ一人男性という肩身狭い思いしてきたのだが、イチカはある疑問があった。

(コイツ...本当に男か?)

シャルルを見て思った感想だが、それはいつでも確認出来るので置いておく。

「君がギルオード君? よろしくね、僕は...」

「ハイハイ。自己紹介は後、後。織斑先生の授業なら遅刻はマズイから急いで更衣室に行くぞ」

シャルルを連れて教室を出ると更衣室に向かって急ぐ。

イチカだけならある程度ゆっくり出来るのだがシャルルも一緒となると少し早く行動した方がいいのだ。

「あ! ギルオード君みっけ!」

「噂の転校生男子も一緒よ!」

イチカ達が廊下を歩いていると女子生徒の群れが廊下を塞ぐ。

「はぁ...メンドイ」

「え、え? 一体何を、おおおおおおお!? ちょ、きゃあああああああああああ!!!?」

イチカはすぐ近くの窓を開けるとイチカはシャルルをお姫様抱っこすると窓の枠に足を掛けて、そのまま外に飛び出す。

因みに、現在一夏達が居るのは2階であり、窓から外に飛び出れば待っているのは落下という結果なのだが、世界一恥ずかしい告白をした男に鍛えられたイチカは木から木へと飛び移りながら更衣室を目指す。

「...無茶苦茶だよぉ」

「ああ、でもしないと撒けないからなぁ」

前後を挟まれたのだから、出来るのは窓からの脱出しか無かった...というか基本的に窓から飛び降りることが多い。理由は先程の出来事が起きるからである。

漸く更衣室に着いた頃には授業開始5分前になっており、着替えも急がねばならないので、イチカはシャルルに好きなロッカーを使うよう指示する。

「俺は着替え終わったから先行くぜ」

「え!?もう、着替え終えたの!」

「あぁ」

「ちょ、待ってよ!」

戦闘に出遅れた結果、救える命を助けることが出来なかった等という結果にしたくないイチカは全ての作業において早めの行動を心がけている。

ISスーツ越しでも分る無駄のない肉体、細身なのに引き締まった身体は芸術と言っても過言ではなく、女性であれば見惚れてしまうだろう。

シャルルはイチカの身体に見惚れていたが視線を逸らし着替えを再会し、イチカの後を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、鈴音とセシリアが山田先生と模擬線をしたが2人のコンビネーションは最悪と言っても過言では無いほど酷く、それに対し山田先生は2人の行動に適切な対応をし、2人同時に倒した。

「まぁ、今の奴らではこんなものか。諸君もこれで教員の実力は理解出来ただろう。以後は敬意を持って接するように」

模擬戦が終わった後は実際に訓練機を用いての歩行訓練に移る。

各専用機持ちがリーダーとなって一般生徒の訓練を見るという形になり、イチカ、セシリア、鈴音、シャルル、ラウラの五人が用意された打鉄2機とラファール・リヴァイヴ3機から機選んで担当する生徒達に順番で搭乗、歩行まで行ってもらうのだ。

「という事で、各自自由に専用機持ちの所へ行けと言ったがな......ちゃんと均等に分かれんか貴様等!!」

自由に、と千冬が言ったのも原因だろう。

イチカ、シャルルの周囲に殆どの生徒が集まってしまったので、千冬の渇が入り、今度はちゃんと均等に分かれて訓練が始まった。

「んじゃ、やるか......えっと、じゃあ相川さんから出席番号順にやるから」

「は~い」

イチカの所では打鉄を使っての訓練となり、生徒達が出席番号順に並んで順番に打鉄への搭乗、歩行を行っている。

順調に訓練が進み、次は箒の番になった。

「次は箒か、じゃあ乗ってくれ」

「ああ......だが、どうやって乗れば良い?」

「へ? あ......」

「あ、ごめんねギルオード君! 打鉄、前屈みにさせておくの忘れてた」

どうやら降りる際に次の人が乗り易いよう前屈みの状態にさせるのを忘れていたため、このままでは乗る事が出来ない状態になっているようだ。

イチカは打鉄に飛び移って打鉄を前屈みにしてから降りて箒に搭乗するよう促す。

「皆も降りるときは必ず次の人が乗り易いように前屈みにしておくのを忘れないでくれ」

皆が頷くのを確認すると、イチカは引き続き訓練を見ていく。

他の班でも特に問題が起きる事無く訓練が進み(他の生徒を無視しているラウラの班は進みが若干遅かったが)、授業を無事終えた。

授業が終わると直ぐにイチカは訓練機を片付ける作業に入り、他の生徒達は着替えて教室に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室に戻るとイチカは箒に一緒に昼飯を食べないかと言われ、断る理由が無いので一緒に食う事になった。

「...どういうことだ?」

「いやっ、どういうことっていわれてもな~?」

そして、屋上にはイチカ、箒、シャルル、セシリア、鈴がいる。

イチカが屋上に行くと其処には箒がおり、イチカはまだIS学園に来て間もないシャルルの学園案内とい理由で連れてきた事に対し箒は許したが...少し、時間が経つと鈴音とセシリアが来た為、5人で一緒に食べる事になると思われたのだが、

「かんちゃ~ん、屋上で食べよ」

「本音...もう、屋上に着いてる...」

屋上に新たに二人の人物が向かってきた。

「あれ、のほほんさんに簪じゃん」

「あ! イギ―だ!」

「...ギルオード君...」

「のほほんさんも屋上で食べるなら一緒に食べようぜ。大勢で食べた方が美味しいだろうし」

「うん!」

「...おじゃまします...」

更に二人増え、両手に花どころか全身に花である。もし、世界中の男子がこの光景を見たら、世界中の嫉妬という膨大なプレッシャーがイチカを襲うだろう。

「何故...こんな事に...」

「アンタだけに良い思いさせないわよ」

「抜け駆け許しませんこと」

三人はお互いを見て火花を散らす。

「え~っと本当に僕も同席してよかったのかな?」

「別に問題ないだろ。それより飯食べようぜ」

「そうだね。でも、これだけ人がいるんならお互いの料理を交換するってどうかな?」

「...それ...ナイスアイディア」

シャルルの提案に簪が同意し、箒達も特に意を唱えることなく、シャルルの提案は通った。

各々、持っていたおかずを並べると其処には酢豚、から揚げ、肉じゃが、サンドイッチ、パンケーキが出て来た。

「ほら、イチカも出しなさいよ」

「ほぉーい」

イチカは少し大きめの弁当箱を取り出し、蓋を開けると其処にはこんがり狐色のエビフライとコロッケがあった。

「じゃ、皆の料理も出たし食べようぜ」

『いただきまーす』

各々が作った料理を取り、食べる。

「この肉じゃが、美味しいわね」

「酢豚も中々ですわ」

「...このから揚げ...美味しい」

「日本食もいいがこういう甘い料理もいいものだな」

「イギ―のエビフライ衣がサクサクして美味しいー」

「へぇー、私もそのエビフライもらうわ」

「では、私はこのコロッケを」

食べた料理の感想を言う中、本音の感想を聞いた鈴音達はイチカの料理を食べた瞬間、その場に両手を地面に付ける。

「...な、何よ...この美味さ...」

「...この衣とエビの食感が...絶妙なハーモニーを奏でてますわ...」

「...こんなの...勝てるはずがない...」

「な、なんだ? 不味かったか?」

イチカは自分の料理が不味かったのでは、と思い不安になる。

「不味くはないよ。寧ろ美味しいよ」

「...でも...その美味しさは...女性として悔しい...」

「??」

イチカはシャルル達が言った意味を理解できず、首を傾げる。

「そ、そうですわ! イチカさん、是非、私の料理を食べてください」

「じゃ、遠慮なく」

イチカはまだ一度も食べてないセシリアの料理を食べることにし、鈴音達もまだ、食べてないのでイチカの感想を聞いてから食べようとした。

「いただきm―――」

イチカはセシリアの作ったサンドイッチを口に運ぼうとした瞬間、ニュータイプ故かそれとも本能か、イチカはセシリアの料理を『食べてはいけない』と感づき食べるのを辞めようとするがセシリアの期待の眼差しを見てしまい、一口だけ食べる。

「ひゅ!?」

『?』

イチカはセシリアの料理を一口食べた瞬間、変な声を上げた事に周りは首を傾げるがイチカは理解する。

この料理は決して人が食べれるものではないと、

「え?い、イチカさん!?」

この料理を食べさせてはいけないと思い、イチカはセシリアの料理の料理が入ったバスケットを手の届きやすい所に運ぶと、

「イチカ・ギルオード...逝きますッ!」

イチカはセシリアの料理?を物凄い勢いで食べるが残り一つを残してその場に倒れる。

「え!?イチカ大丈夫!!」

「しっかりしろ一夏! 一夏!」

「あぁ、刻が見える...」

「誰か!保険医、保険医を呼んで!!」

イチカが倒れたことにより、周りは混乱し始める。

「ちょっとセシリア!アンタ、料理に何入れたのよ!!」

「レシピに少し違う物を入れただけですが...」

「それが原因よ! 何変なアレンジしてるのよ! イチカしっかりしなさい!」

鈴音はセシリアに原因を聞きだし、簪やシャルルがイチカの身体を揺すってる。

「...うぅん」

「...意識が戻った...?」

「イギ―、大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ――――あの、戦艦に乗ればいいんだろ?」

『大丈夫じゃなかった!?』

イチカが意識を取り戻した事に安心するがイチカの発言により、重症であることが判明する。

「色々、ツッコミたいけど...渡っちゃだめよイチカ!」

「何?戦艦を攻撃する奴がいるから倒してくれ? 報酬として只で乗せるだと...その依頼受けよう」

「その、依頼受けちゃだめだよ!!」

「迷惑野郎はお前か。お前の機体は見飽き...ハッ!」

シャルルや簪、本音がイチカの体を揺らし続けるとイチカの意識が完全に戻る。

「よかったな一夏。あと少しで黄泉の国に行くとこだったぞ」

「アレが三途の川?あれは海だろ広さ的に...まぁ、三途の川なら彼奴がいても可笑しくはないな」

イチカは一人でウンウンと首を縦に振りながら納得しているとある事に気づく。

「アレ? セシリアと鈴は?」

「あぁ、セッシーなら鬼みたいな顔をしたリンリンに連れてかれたよー」

「そう...なら残り食べようぜ。セシリア以外の」

イチカ達が昼飯を再開してから数分が経つと鈴音とセシリアが戻って来るとセシリアが「次回からレシピ通り作る」と約束した。

 

 

 

 

 

 

 




モンハン4Gの予約せねば。

後半は完全に深夜テンションで書いてしまったので可笑しな感じになってたらすいません。

(追記)内容を一部変えました。2014/9/24

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