インフィニット・ジェネレーション   作:ハルン

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最近発売されたスマブラにハマっている今日この頃


8話

簪を助けた次の日、授業は無事終わりイチカは特に行く当てもなく、外を歩いているがイチカは入学してから常に誰かに見られており、それは監視と言っても過言ではない。

ニュータイプである、イチカは相手の『気配』を察知する事が出来る。

「いい加減、俺をつけるのは辞めてもらえますか?」

イチカはZガンダムを部分展開し、ビームライフルを木陰に向けて構える。

「あら、物騒な物を乙女に向けるものじゃないわよ? イチカ・ギルオード君」

木陰から出て来たのは水色の髪の少女、その手には扇子を持っており、開かれたそこには『無断使用禁止』の文字が書かれている。

「それで? 何でつけ回してた」

「あら、私は生徒会長よ? なら今注目の男子生徒について確りと把握する義務があるのは当然よ」

「生徒会長?」

「ええ、生徒会長の更識楯無、学園最強を名乗らせてもらってるわ」

(こいつが...)

一度閉じられた扇子を再度開いた楯無、そこには先ほどの『無断使用禁止』ではなく『最強♪』の文字があった。

「最強、ね...それって教員も含めてってことか?」

「え?」

「学園最強を名乗るってことはブリュンヒルデの織斑先生より強いって事だろ?」

「い、いや~...織斑先生(規格外)に勝てるほど強くはないかな~......」

この世界ではISに乗れば最強で生身も規格外の千冬だが、イチカは生身でそれよりも規格外な人物を知っている...彼らがISに乗ったら「ISは拘束具」とか言いそうである。

「成程、自称最強(笑)か」

「な、なによ! その自称最強(笑)は!!」

「いや、織斑先生にも勝てず、俺にも気配を感ずかれた貴女にぴったしだなと」

「ぐぬぬぬ」

一部を除けば最強だが、生憎ここにはその例外が二人存在するので実際はNO.3っと言ったところだろう。

「まぁ、何故俺を付け回す本当の理由も大方、分かっているので別にどうこう言うつもりはありませんよ。―――対暗部用暗部の「更識家」の当主さん」

「!?」

楯無は自分の素性がこうも簡単にばれた事に驚きを隠せずにいた。

「...何処でその情報を手に入れたのかしら。出来ればお姉さんに教えて欲しいな」

色々詳しい人(アプロディア)がいるのでね。別に護衛だろうと好きにして構いませんが...気配や殺気くらいは消してくださいね」

「あら、何でかしら?」

「外敵と間違えて撃墜なんてされたくないでしょ」

「外敵って...」

と言ってもニュータイプであるイチカは感じてしまうのであんまり意味はないが殺意や悪意を感じられない分、敵か味方の判別はしやすくなる。

「えぇ、次からそうするわ」

「一々、殺気を放つのも面倒なのでそうしてください」

イチカはそう言うと行く当てもなく歩き始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

あれから時間は過ぎ、クラス対抗リーグ戦初日、第一試合は一夏が代表を務める1組と、鈴音が代表を務める2組の試合となった。

既にアリーナに出ていたイチカはZガンダムを纏い、ビームライフルを構え、中国第三世代型IS甲龍(シェエンロン)を纏った鈴音が青竜刀型武装、双天牙月を構えて向かい合っている。

「いくわよ一夏、あんたがいない間に付けた力を見せてあげるわ!」

「その力を誤った方向に使わないことを願うよ」

試合開始の合図と共に鈴音が動いた。

双天牙月を振り上げ、一気にイチカへと突っ込んできて渾身の力を持ってして肉厚で巨大な刃を振り下ろす。

しかし、大振りの攻撃などイチカにとってみれば見慣れたもの、多くの戦いに身を投じたイチカからすれば、大量の誘導兵器やどこぞの黒歴史を相手にするよりは何百倍も楽である。

紙一重で避けて見せたイチカは回し蹴りをし、ビームライフルを放つ。

「クッ!」

鈴音はすぐ態勢を立て直すがすぐそこまで迫っていたビームを避けきれずに何発か当たる。

「これならどう!」

「ッ!!」

「嘘!?」

鈴音はまだ、隠しておこうと思っていた切り札を切らざるを得ないと判断し、使ってみたがイチカはそれを難なく躱す。

「何で避けれるの!?【龍砲】の弾丸は見えないハズなのに!!」

その後も鈴音は見えない弾丸――龍砲を連射するがイチカに掠ることすらできずにいた。

イチカは自分の直感や相手の目線等で見えない弾丸の着弾地点を予測し躱す。

「「!?」」

イチカは鈴音に接近しようとした時、二人の間に一筋のレーザーが振り、何かがシールドをぶち破ってアリーナに落下してきた。

落下物はアリーナの地面に激突して大きく土煙を昇らせ、その姿を隠してしまうが、Zガンダムと甲龍は未確認の反応を捕らえていた。

「侵入者か?」

「煙が晴れるわよ!」

土煙が晴れて、姿を現したのはISだった。

イチカのISと同じく全身装甲で大きな腕が特徴的な機械兵士という言葉が似合いそうな姿だ。

「何者よアンタ! どこの所属!?」

所属不明ISからの応答は無い。代わりに腕を上げて掌をイチカ達に向けたかと思うと、そこからレーザーを放ってきた。

イチカは鈴音の前に出るとビームサーベルでレーザーを斬る。

「イ、イチカ。 アンタ今!?」

「こんなもん誰でも出来るぞ」

「出来るわけないでしょ!!」

身の回りの人物の大半はビームを斬るという事が出来たがそんな事が出来る人物はそうはいない。

もし、この世界で出来るとしたらイチカと千冬、そしてコード・アメリアスだろう。

『ギルオードさん! 凰さん! 今すぐ避難してください!』

山田先生から通信が入ったが、正直避難は難しそうだ。

既に所属不明機は動き出し、レーザーを連射してきていて、イチカは余裕だが鈴音は避けるのに精一杯といった感じだ。

未だ避難が終わって居ない観客席を見れば、自分達で避難誘導が終わるまでの時間を稼がなければ危険だという事を理解している。

そして、イチカはこの後、何か(・・)が来るという確信があった。それはニュータイプ故かそれとも長年戦って培ってきた勘か分からないが事態がこれで終息するとは思えなかった。

「山田先生! 避難誘導が終わるまで俺達は逃げられませんよ。此奴の相手は俺がする!」

イチカはビームライフルを所属不明機に向けて構える。

『なっ!? 駄目ですよ!? もう直ぐ先生方が到着しますから、生徒のお二人に危険な事をさせる訳には...』

「今、そんな悠長な事を言える状態じゃないでしょ! 入学時の条件忘れたのか!!」

イチカは山田先生からの通信を強制的に切る。

「さて、恐らく来るであろう、増援が来る前に片を付けるか」

「片を付けるってどうするのよ」

「どうする?こうするんだよ!」

イチカはビームライフルの銃口にビーム刃を展開するとそのまま投げると同時に移動する。

不明機はビームライフルを撃ち落とすが同時に行動したイチカに反応できず、接近を許す。

「ソコォ!」

イチカはビームサーベルで不明機の両腕を切断し、至近距離からハイパー・メガ・ランチャー を放ち不明機を撃破する。

「ちょっと! イチカ何やってるのよ!!」

「何って敵を倒しただけだが」

「倒したって...何も腕とか切り落とさなくてもいいじゃない!!」

「鈴...コイツは無人機だ」

「え?」

鈴音はイチカの言った意味が分からず、不明機の方を見ると其処には切断された所から銅線が見え、オイルが流れ、所々スパークしていた。

「でも...ISは人が乗らないと動かないはず...」

「自分の持つ情報が必ず正解という事はないんだ。鈴...それと今すぐここら退避しろ」

「ど、どういう事よ!所属不明機は倒したんだし、事件は解決したはずよ!!」

「いや...如何やら本番これからの様だ」

イチカが警戒を高めると何もない所(・・・・・)から複数のISが現れる。

全身が黄色く大型・重装甲が特徴の機体とそれに続く形で猛禽類の翼を思わせる鶏冠状のブレード・アンテナと巨大なモノアイを持つ頭部を持つ機体が何の前兆もなく現れ、イチカはこの機体に見覚えがあった。

ネェル・アーガマの過去の資料に該当する機体があった事を思い出し、記憶の中から該当するデータを思い出す。

「バーザムに...ジ・Oか...」

一年戦争後に地球連邦軍の中にジオン残党狩りを目的とした精鋭特殊部隊が設立された。

これが「ティターンズ」である。

そのティターンズはその後、多くのMS開発し、その中にはこの二機がある。

「バーザムは何とかなるが...問題はジ・Oか」

「あのISに心当りでもあるのイチカ?」

「あぁ、ある。だから俺一人でやる。お前は早く撤退しろ」

「アンタを置いて行けるわけないじゃない。それにあっちは私も標的にしてるみたいだしね。私も手伝うわ」

イチカは少し考え込み、決断する。

「分かった。どうせ何を言って退かないんだろうし、そっちの猛禽類みたいなのをやれ。数は俺が減らしておく」

そういうとイチカはバーザムを三機をビームサーベルで斬り、ビームライフルを連発し、ハイパー・メガ・ランチャー を放ち倒すと残り二機になる。

「ジ・Oは俺が倒す」

イチカはジ・Oに向けてビームライフルを放つがその外見とは裏腹に高い機動性を有しており、イチカのビームライフルを躱す。

「チィ!」

ビームライフルからビーム刃を展開するとそのまま斬りかかるがジ・Oに搭載されている隠し腕から出たビーサーベルを交差させ、受け止めるとイチカにビームライフルを向けると放つ。

「クッ!」

イチカはその場から離れることで回避し、前腕部に搭載されてる二連装グレネードランチャーとビームライフルを放つ。

ジ・Oはビームライフルでグレネードランチャを撃ち落とすがビームは完全に避けることが出来ず、数発当たる。

それを確認した、イチカは再びジ・Oに接近し、ビームサーベルで斬りかかろうとするが先ほどと同じく隠し腕によって防がれる。

「今だッ!」

イチカは残った二連装グレネードランチャーを隠し腕に向けて放つと防ぐモノを無い状態の隠し腕は直撃し、破壊する。

隠し腕を破壊した時、アリーナ内一杯に放送を使った声が響き渡った。

『一夏ぁあああああああ!』

「ほ、箒!? あのバカ!」

『一夏! 男なら、男ならその程度の障害を乗り越えずしてどうする!!』

「何してんだ「キャァァァァァァァァァ!!」鈴!!」

イチカは声のした方を見るとバーザムに追い詰められた鈴音の姿があった。

如何やら、先程の箒の行動に意識が向いた瞬間、バーザムの集中攻撃を喰らったようだ。

鈴音のISである甲龍は装甲と片方のスラスターが破壊され、所々スパークしている。

一機のバーザムが鈴音に対してビームサーベルを振り下ろそうとした。

今、鈴音にビームサーベルが直撃した場合、ただでは済まない事は明らかだ。

消えない傷、何かしらの後遺症が残る可能性や最悪、命を落としかねない。

「辞めろォォォォ!!」

イチカの咆哮と共にZガンダムがオーラの様なモノを纏うと肥大化したビームサーベルを横薙ぎにし、その場にいたバーザムを二機撃破する。

「い、イチカ...?」

鈴音は最初、Zガンダムが纏うオーラの様なモノが単一仕様能力だと思ったが本能的にアレはそんな生易しい物ではないと理解する。

イチカはWR形態になるとそのままジ・Oに向かって突撃する。

「ここから居なくなれぇぇ!!」

それに対しジ・Oはビームライフルで応戦するがオーラによって弾かれ、これでは、埒が明かないと判断したジ・Oはビームサーベルを構え攻撃する。

イチカはジ・Oのビームサーベルを避けるが完全には避けきれず、フライングアーマーの一部を溶断されてしまうがイチカはそのまま突撃し、コクピット部に直撃し、ジ・Oは活動を停止した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、イチカ達は生徒指導室へと呼び出された。

イチカは入学する際の交渉で特に罰は無いが鈴音は教師の指示を無視した為、期限付きで反省文を書くことになった。

千冬はイチカ達の隣にいた生徒に鋭い視線を送る。その生徒とは、

「篠ノ之」

「は、はい...」

「お前には反省文提出と、一週間の自室謹慎を言い渡す。異論はないな」

「っ!...はい」

箒だ。

はっきり言ってあの状況でアリーナにISも纏わずに入り込むなんて自殺行為に等しい。

そして、あの場には箒によって気絶させられた生徒もいたのだ。

一歩間違えていれば、命を落としていてもおかしくは無かった。

むしろ生き残っていたことが奇跡と言えるだろう。

それだけ危険な行為を犯したのだ。

「箒...一つ言いたいことがある」

「なんだ一夏?」

「歯ァ食いしばれ!!」

「グッフ!」

イチカは箒の目の前に行くと振りかぶった拳で箒の顔面を殴る。

「???!!!」

箒は何故、殴られたのか理解出来ずにいた。

「何故、私を殴った。 一夏!」

「殴られた理由が分からないのか! じゃ、聞くが何であんな行動をした」

「私は只、一夏の応援を...」

「それだ! その応援が理由だ! その身勝手な行動の為に気絶させられた生徒は危険に晒され、命を落とすかもしれないんだぞ! もう少し後先考えて行動しろ。その身勝手な行動が無駄な犠牲を増やし、それによって多くの悲しみが生まれそれは憎しみに変わり、お前やその家族に襲い掛かってくるんだぞ!!」

「......」

「少しでも他人を思う気持ちがあるのなら二度とあんな行動をするな」

そこまで言うとイチカはイスから立ち上がり入口へと足を運ぶ。

「アイツの言ったことは正しい。篠ノ之、お前の行動によってどの様な事態が起きるか、考えて行動しろ」

千冬箒に一言、言うと指導室から出ていき山田先生、鈴音も続く形で出ていく。

「...私の一体...何処に間違いが...あったの言うのだ...」

箒の呟きを答える者はその場に誰もいない。

 

 

 




クロスボーンガンダムアニメ化しないかな~

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