とういことでセシリア戦開始です。
IS学園入学から数日が経ち、イチカはここ数日整備室に通っていた。
「イギ―。最近、整備室に行ってるけど何してるの?」
「イギ―って俺の事?」
イチカは呼ばれた事の無い名で呼ばれると恐らく、自分の事を呼んだ袖が余りに余った制服を着た如何にものほほんとした少女に聞く。
「そうだよー。で、イギ―は何してたの?」
「専用機の新しい武器だけど」
代表決定戦までに一つだけ武器を作っておきたかったからだ。
イチカの言葉にクラスがざわめきだす。
「専用機!?一年のこの時期に!?」
「それって政府からの支給品?」
「いいな~。私も欲しい~」
何故、クラスの女子がそこまで専用機を欲しがるのか、それはISの数に限りがあるからだ。
ISにはその中心であるコアが必要だ。このISのコアは開発者である篠ノ之束にしか製造することはできず、完全なブラックボックスとなっている。
しかも、博士はコアを現在世界中にある467機以外作ることを拒絶、行方不明となっているので、各国家、企業、組織、機関ではそれぞれ割り当てられたコアを研究している。
ISは世界最強の兵器だが大量生産できないのが弱点と言えるだろう。
その貴重なISを個人の専用機として与えられるのは一握りの、国の代表の様な立場になるような人間しかいないのだ。
だが、イチカの専用機である、フェニックスは元は15M以上の大きさを誇る機械であり、普通のISとは根本的に違う。
イチカが専用機持ちである事を知り、騒がしくなる。
「安心しましたわ。まさか訓練機で対戦しようとは思っていなかったでしょうけれど、勝負はフェアじゃあ「ゴォン!」な、なんなですの!?」
専用機の話を聞き、セシリアが何か言っていると教室に現れた、赤い金属の球体がぶつかる。
球体はそのまま跳ね、イチカの机の上に着く。
「あれ?なんでここにハロが来たんだ?」
「デキタ。デキタ」
ハロは羽を上下させて口?を開けると其処には一つのメモリーがあった。
「サンキュー、ハロ」
「ねぇ、イチカ君。それ何?」
イチカがハロに礼を言うとハロは機械の眼を点滅させるとそのまま転がり、イチカの膝の上に乗っかると一人の女子がハロについて聞く。
「此奴の名前はハロ。俺が一から作ったロボットだ」
「へぇ~。イギ―凄いねぇ~」
「イチカ君、私に触らせて!!」
「次、私が触るの!!」
「いや、私よ!!」
「ウワァァァァァ!」
ハロに興味を持った女子がハロを手に取り触り始めると我先にとハロと触れ合おうとする女子による、ハロ争奪戦が起き、その被害者であるハロは声を上げる。
「ねぇ、イギ―。ハロって何が出来るの?」
「ん~。プログラムによって変わるけど、基本人間と触れ合おうペットロボットで身の回りのお世話とか出来るな」
「イギ―。私とかんちゃんの二つ分作って~」
「かんちゃんって誰?」
「かんちゃんは私の幼馴染みなんだよ~」
「材料が無いから2つが限度かな」
イチカは現在三つの武器と装備を作っており、そのためハロを作る数も制限されているのだ。
「えぇ~。私も作ってもらおうと思ったのに」
『うんうん』
どうやら、クラスの半分以上がハロの事を気に入り、自分用に作って欲しいと思っていたらしい。
「えぇっと...のほほんさんが先に言ったからのほほんさんのは作るけど皆の分は作れない。けど、週に何回かハロを連れてくるから、それで勘弁してくれないかな...」
女子は顔を見合わせると頷き。
『分かった。その約束忘れないでね!!』
「お、おう」
女子が一斉に言い、イチカは少し気圧されているとチャイムが鳴り席に戻っていった。
なお、授業中ハロはイチカの膝の上で静かにしていた。
クラス代表決定戦当日 第3アリーナ・Aピット。
其処にはイチカ、千冬、山田先生、何故か箒がいた。
「ギルオード、準備しろ」
「了解」
イチカはフェニックスとは違う姿―――Zガンダムを纏っている。
「むっ...前回の時とは姿が違うな」
「フェニックスには複数の姿がある」
「成程、形態移行か」
「これが...一夏の専用機」
疑問に思っていた事を簡易的に説明し、イチカはカタパルトに向かう。
「機体の射出をイチカ・ギルオードに譲渡します」
「イチカ・ギルオード、Zガンダム...飛翔する!!」
機体が外に押し出され、
「ふ、
既にアリーナに出ていた青い機体、イギリスの第三世代型IS、ブルーティアーズに乗るセシリアが、見た事も無い
だが、すぐに気を取り直して、ブルーティアーズの主砲であるライフル、スターライトmkⅢをイチカに向ける。
「まさか逃げ出したのではと思いましたが、安心しましたわ!」
「俺は逃げも隠れもしない」
「これが最後ですわ! この決闘、既に私の勝利は絶対そのもの! 素直に泣いて謝るというのでしたら、まあ許して差し上げないこともございませんことよ?」
「随分と自分の力を過信しているが...それは何時か自分を滅ぼす要因になるぞ」
「この私、セシリア・オルコットにそのような事は起きませんわ!!...そして、お別れです!!」
スターライトmkⅢの銃口から一直線にZガンダムにビームが放たれると同時に試合開始の合図が鳴り、観客は皆、この一撃が確実に命中すると思った。
だが、異世界で多くの戦いに身を投じたイチカにとって、教科書通りの真っ直ぐなレーザーなど、脅威にならない。
余裕を持ってレーザーを躱したイチカはビームライフルを構える。
「は、速い!? い、いえ......たとえ速くても、それだけですわ! 踊りなさい! 私とブルーティアーズが奏でる
どうやら、セシリアは全身装甲=遅いという考えがあったらしく、Zガンダムの機動力に驚く。
「くっ、ちょこまかと...」
「そんな攻撃じゃ、俺に当てることは出来ないぞ」
セシリアの攻撃は機動力の高いZガンダムに当てることはできず、スターライトmkⅢだけでは不利だと思い、誘導兵器ブルーティアーズ4基を射出してZガンダムを追わせるが。
「動きが甘い! ビームコンフューズ!!」
「なッ!」
イチカは腰部スカートアーマーの左右のホルダーに収納されているビームサーベルを取り出し、セシリアに向けて投げつけ、ビームライフルを数発撃ちこみ、拡散させると4基のブルーティアーズを全て落とし、セシリアに急接近する。。
「掛かりましたわね! ブルーティアーズは6基ありましてよ!!」
「それがどうした!!」
セシリアの腰にあるミサイル型のブルーティアーズをWR形態に変形し上空に向かい、目標を失ったブルーティアーズはそのまま地面に着弾する。
「そんな、ISが変形するなんて...クッ!」
イチカはWR形態のまま、ビームガンとビームライフルを放つとセシリアは数発被弾する。
「まだァァ!」
「なっ!......キャァァ!」
イチカはWR形態からMS形態に変形するとイチカはビームライフルの銃口からビーム刃を形成し、セシリアに向けて投げつけ、自分の武器を投げるイチカに驚きながらも避けたセシリアだが、投げつけると同時にセシリアに向かっていたイチカはビームサーベルでセシリアを往復ビンタの様に斬りつけると回し蹴りを繰り出し、避けきれなかったセシリアはそのまま地面に叩きつけられる。
イチカの攻撃を喰らい過ぎてシールドエネルギーが残り100を切った。装甲もボロボロで、スラスターにも異常が出始めてた。
「クッ......この私が、...男性如きに...」
「その独善的な考えは自らの視野を狭くし、可能性を殺す。だから、その考えを辞めてもっと広い視野で周りを見るんだ!!」
イチカはここ最近まで作っていた武器ハイパー・メガ・ランチャーをセシリアに向けて放つ。
「きゃああああああああああっ!!!?」
その一撃によりブルーティアーズの全身の装甲と、スターライトmkⅢが破壊され、シールドエネルギーも0になってしまった。
【ブルーティアーズ、シールドエネルギーエンプティー、勝者イチカ・ギルオード】
ピットに戻ったイチカを待っていたのは千冬と箒だけで山田先生は仕事が残っているためここにはいない。
「あの機体はなんだ。ISが変形していたがどういう仕組みだ」
「
実際に人体に影響はなく、変形時に少し体に違和感があったくらいである。
「あの時、複数と言ったがあれ以外にもあるのか?」
「あるが、情報開示は出来ない」
「待て一夏!何故、千冬さんとそこまで中が悪い。それにお前はその様な名ではなく、織斑「違う!!」い、一夏!?」
「俺はギルオード...イチカ・ギルオードだ!俺の前でその名を呼ぶな!!」
イチカ嘗ての名で呼ばれるのを嫌う。
それはイチカがまだ織斑一夏だった時に助けれなかった、一人の少女の事を思いだし、その少女の無残な姿を見て泣き崩れる家族の姿が今も記憶に焼き付いている。
イチカはその時、何も出来ずに起こしてしまった、一つ惨劇を思い出し、自分自身に対し悲しみと憎しみが生まれる。
その、惨劇を目の当たりにしたからこそ戦う事を決意し、より平和な世界を望むようになり、何も出来なかった自分自身と決別するために改名したのだから。
「叫んで悪い...。だが、俺をその名で呼ばないでくれ」
イチカはピットを出る。
「一夏...一体、お前に何があったんだ...」
「千冬さん...」
二人は変わり果ててしまったイチカに困惑することしかできなかった。
1/100 ナイチンゲール 2014年9月13日発売...欲しい。
でも、金がガガガガガガ!!