イチカは入学前に嘗ての親友である五反田 弾に会いに行き、数年ぶりの会話を楽しんだ。
弾達との再会から日が過ぎ、入学当日。
「全員そろってますねー。それじゃあSHRはじめますよー」
教室の中でイチカは困り果てていた。何故なら、自分以外全員女性なのだ。
教室だけではなく、廊下からもイチカを一目見ようと殺到していた。
その視線は興味や歓喜、そして、敵意や嫌悪等と言った感情もあった。
(はぁー、鬱だ。帰りたい)
1年1組の教室で自己紹介の真っ最中なのだが殆どの人がその自己紹介を聞いていなかった。
「イチカ君。イチカ・ギルオードくん!」
「はい」
「あっ、あの、お、大声出しちゃってごめんなさい。今、『あ』が終わって『い』なので自己紹介をして...欲しいな、と」
山田先生はだんだん、涙目になっていく。それはイチカの最初の行動が原因だが当の本人は後悔も反省もしてない。
イチカは壇上に上がると周りを見渡すと知っている顔があったが気にせず、自己紹介をする。
「イチカ・ギルオードだ。趣味は鍛錬とロボット作り。特技は家事全般で特に料理には自信がある。気になる奴は後で俺に聞きに来てくれ」
「どうやら、少しは真面な自己紹介は出来るようだな」
教室に千冬が入ってくるとイチカの頭の中で何かが閃き咄嗟に耳を塞ぐ。
「「「「「「「「「「キャーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」」」」」」」」」
(耳塞いだのに...響く...!)
両手で耳を塞ぎ超音波攻撃を防いだつもりだったが効果は無く、イチカにダイレクトダメージを与えた。
「千冬様、本物の千冬様よ!!」
「ずっとファンでした!!」
「私、お姉様にこの学園に来たんです!北九州から!!」
「...よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。関心させられる。それとも何か?私のクラスにだけ馬鹿者を集中させてるのか?」
千冬の熱狂的なファンからのアプローチに当の本人は頭を抱えてる様だ。
その後、クラス全員が自己紹介した所でHRは終わり休み時間にイチカに接触する人物は特におらず、女子達はお互いに譲り合いをして現在に至り、アメリアスがいつ来てもいいように武装面は充実させたいイチカは自分が居た世界で武装が作れるか聞く。
『アプロディア。フェニックスの武装って増やせそう?この世界の武器は論外ね』
『私が持っているデータを元にすれば作ることは可能でしょう』
「少しいいか?」
この世界の武装は貧弱な為アメリアスのあの硬い装甲を削るのは不可能と考えたイチカなのだ。
『クィーンアメリアスのあの装甲は脅威だからな。サテライトキャノンとかツインバスターライフルとか使えば行けるか?』
『試してみなければ分かりませんが、恐らく少し傷をつけるのが背一杯かと。それにエネルギーを多く消費しますので、長期戦を視野に入れるのであれば止めておいた方がいいと思われます』
「お、おい!聞いているのか!一夏!」
サテライトキャノンやツインバスターライフルは火力面では優れているがエネルギー面を考えるのであればやめた方がいいとアプロディアは打診する。
『後はシステム面か。質量を持った残像やゼロシステムみたいなシステムを使うか?だが。質量を持った残像はまだしも他のシステムはデメリットがな...』
『はい。実際にTRANS-AMは機体性能が落ち、ゼロシステムは精神力が弱ければ最悪、死に至ってしまいます』
「グスン...。モッピー知ってるよ。こういうの...虐めっていうんだよ」
先程から声を掛けていた少女はシカトし続けた結果、薄らと涙を浮かべ始める。
『些か手遅れな気がしますが。其方の女性を構わなくてよろしいのですか?』
『出来れば、このまま無視したかった』
「で、俺に何の用?」
イチカは泣き始めた少女に声を掛けると涙顔から一瞬で笑顔になり、キリッとした表情になる。
この一連の動きは顔芸と言っても過言ではない。
「うむ!少し話があr『キーンコーンカーンコーン』クッ!また後で来る!!」
「もう二度と来なくていいからー」
『イチカ・ギルオード。最初っからこれを狙ってたのですか?』
「フッ。計画通り」
この時、イチカの顔が某新世界の神の様な顔をしていたとか。
「ではここまでで質問のある人?」
一通り授業が済んだところで、山田先生がわからない人がいないかを確認するために聞いてきた。
イチカは一週間前に渡された電話帳と見間違える程の厚さ参考書を三日で覚えた。
向うの世界では世界によってMSの操縦が異なり、機体によっては癖が強いのもあり、それらを把握することに比べれば此方の方が楽である。
そして、山田先生の質問に対し、誰一人上げることは無かった。
「イチカ君もちゃんと覚えて来たんですね」
「はい、やれと言われたことはちゃんとやる主義なので」
「ちゃんと覚えてきて先生は嬉しいです。次は12Pを開いてください」
山田先生は嬉しそうに頷くと授業を再開する。
そして、再び休み時間が訪れ、イチカは今後、何らかの戦闘の時を考えていた。
(フェニックスを使うにもアレはこの世界じゃ、オーバーテクノロジーだよな)
フェニックスに搭載されているナノスキン装甲は勿論バーニングファイアは翼から出す特殊な金属によって繰り出すがこの世界にそんなものは存在しない。
もし、これらの情報が世界に漏れた場合、フェニックスを狙う者は更に増え、イチカ自身に危険が及ぶ。
(フェニックスの能力を封印状態にするか...出来ればそんなことしたくないんだがな...)
イチカがそんな事を考えていると一人の人物が接近する。
「少し、よろしくて?」
「何?」
イチカは声のした方を向くとくと縦ロールのある長い金髪に透き通った碧眼を持つ如何にもお嬢様という女子がいた。
「まぁ? なんですのそのお返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄ですのだから、それ相応の態度というものがあるのではないかしら?」
そして、イチカはこの女子からある事を感じる、それはこの世界に充満しているモノだった。
(コイツも女尊男卑という世界の歪みに囚われた人物か)
さも、自分は有名人ですよ、というがここ最近まで異世界にいたイチカにとっては知らないも同然である。
『彼女の名はセシリア・オルコット。イギリスの代表候補生です』
『ふぅん、代表候補ね。威張るなら国家代表になってから威張れよ。てかなんでそんな事知ってるんだ?』
『今後の為にこの世界の情報を集めていた時、彼女の情報を見つけました』
それってハッキングじゃ、と言いたかったがここでは言わず、まずはアプロディアの情報を使いこの場を収める。
「ハイハイ。イギリスの代表候補生のセシリア・オルコットが何用で?」
「その通り、私はイギリスの代表候補生。つまり、エリート中のエリートですわ!!」
(うわぁ...コイツ...メンドクサイ部類だ)
「わたくしは優秀ですからあなた方のような人間にも優しくしてあげますわよ。わからないことがあればまぁ、泣いて頼めば教えて差し上げてもよろしくてよ。なにせわたくしは入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから!!」
「倒したねぇ...。一応、俺も倒したんだがな」
「なっ!」
イチカは弾との再開後、自室に戻ると次の日、詳しいデータを取るため、学園内で実力のある教師と戦わされたがフェザーファンネルとビームサーベルの連撃ですぐ沈めた。
「......わたくしだけと聞きましたが!?」
「女子だけの話ってオチだろ?まぁ、落ち着け」
「これが落ち着いていられ――――『キーンコーンカーンコーン』......話の続きはあらためて、よろしいですわね!!」
そう言ってセシリア・オルコットは去って言った
「それでは実践に向けての授業を始めたいと思います」
山田先生は授業の内容を説明し始める。
と、授業を始める前に千冬が教壇に立つ。
「授業を始める前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決める。自薦他薦は問わない」
この時、イチカは嫌な予感した。
「じゃ、ギルオード君を推薦します」
「私もイチカ君を推薦します」
「イギ―でいいと思うよー」
「デスヨネー」
一人がイチカを推薦すると次々とイチカを推薦し始める。
イチカはアメリアスの事もあり、無駄な時間を過ごしたくないので拒否しようとすると一人の女子が待ったを掛ける。
「納得できませんわ!!」
イチカは突如、叫び出したセシリアに意識を向けるが話が長くなりそうなので静かに聞く。
「このような選出は認められません!!大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとって耐えがたい苦痛で「ふざけるなよ」なんですって!!」
「お前の様な、自己中心的で身勝手な奴がどれだけ世界に歪ませているのか分かっているのか」
「身勝手?一体何をおっしゃってますの。今の社会を作ってきたのは女性ですわ!!所詮、男性なんて子孫を残すことにしか能がない存在ですわ」
「セシリアさん。それは言いすぎじゃ...」
「オルコットさん。不用意な発言はやめてください!!」
セシリアの発言は威厳も尊厳も人権もない家畜同然の扱いに流石のクラスの女子や教師が止めに入る。
「何をおっしゃいますか。私は事実を述べたまでですわ」
「自分の考えを改めるつもりは無いのか」
「えぇ、勿論ですわ。そして私はイチカ・ギルオードに決闘を申し込みますわ。男性がISに乗ろうが何も変わらない事を証明してあげますわ」
「あぁ、その決闘受けて立つ。俺は貴様のその歪みを破壊する」
イチカがそう言うと、織斑先生は手をパンと叩き。
「さてと、話は纏まったな。それでは勝負は1週間後の月曜、放課後第3アリーナで行う、ギルオードとオルコットの各々は準備をしておけ。それでは授業を始める」
(アメリアスとの決着と...この世界の歪みを正す必要がある...)
この前家庭版フルブにバンシィ・ノルンが追加されましたね。
自分はノルンを購入しました。