キャラによっては性格や発言に違和感があるかもしれませんがそこは優しい眼で見てください。
第1話
女性にしか扱えない世界最強のパワードスーツ「インフィニット・ストラトス」通称IS
ISが世界に広まり劇的に世界は変わっていった。
今までの戦車や戦闘機等の兵器は一気に旧式化して男女の地位が逆転、女尊男卑が当たり前になった。
そんな世界に一人の少年がいた。その少年の名は織斑一夏。
一夏は人よりは運動が出来るが自分の姉に比べれば低いが彼は誰よりも努力をして決して何事も諦めない強い心の持ち主だった。
そして彼には自慢の姉がいた。その姉の名は織斑千冬は第一回ISによる世界大会《モンド・グロッソ》の総合優勝及び格闘部門においての優勝者である。
ブリュンヒルデと呼ばれた彼女は一夏にとって憧れだった。
そんな姉に一歩でも近づくため彼は人一倍努力してきた。だがそれは世間からは認めてもらえなかった。
テストで悪い点を取れば『なんであんな出来が悪いのかしら』『織斑千冬の恥さらし』と言われテストでいい点を取っても『織斑千冬の弟なのだから当然』と言われその努力を認めてもらえなかった。
だが彼の心は決して折れることはなかった。何故なら"自分には千冬姉がいる""千冬姉は俺を見てくれる""千冬姉は俺を見捨てたりなんかしない"、と少年は心に言い聞かせることで己の心を守って来た。
第二回モンドグロッソに出場した千冬を観客席から応援し、千冬は順調に勝ち進み決勝戦まで進み後一歩で優勝という所まで来ていた。
だが、決勝戦開始前に一夏は突如現れた黒服の男達によって連れ去れていた。
連れ去られた一夏は手足を縄で拘束させられ身動きが取れないでいた。
黒服の男達は一夏の誘拐が成功したことにより、自分達の依頼である、織斑千冬の優勝阻止という、依頼はたった一人の肉親である一夏を誘拐したことにより成功したも同然だった。
男達は嬉々とした表情でお互いに成功を祝福していたが、それは一人の男によって打ち砕かれる。
「おいッ!コレを見ろよ!」
「良い所にきた!お前も来いよ!これから一杯飲みあおうぜ!」
「イイからこれを見ろ!!」
男達は言われた通り男の手にあった小型のテレビを見る。
そこに映っていたのは決勝戦に出場し、戦っている千冬の姿だった。
「オイオイ、マジかよ...」
「おいッ!ちゃんと伝えたんだよな!」
「あぁ、弟を誘拐したことは伝えてある。...まさか弟より名誉を選んだのか」
「そ、そんな。千冬姉が俺を見捨てた...」
「こうなったらコイツを殺して逃g...なんだこれはッ!!」
一人の男が懐から拳銃を取り出し、構えようとした瞬間、突如目の前の空間が歪み始める。
「な、なんだ...これ」
「空間が歪むなんてあり得ねぇ...」
「ここから逃げよう...早く!早く!!」
男達は逃げることに賛同すると我先にと逃げ始める。
「待ってくれ!俺も助けてくれ!!頼む!!!」
「知るかよ!逃げるなら自分の力で逃げるんだな!!」
身動きが取れない一夏は自分を誘拐した男達に救いを求めるが、男はそれを払いのけその場から去っていった。
空間の歪みは次第に大きくり、一夏を呑み込み始める。
「う、うぁぁぁぁぁ!!」
宇宙を移動する一隻の白い戦艦ネェル・アーガマのブリッジで複数の男女が談話していた。
「それにしても最近何も起きないね」
「確かに暇だな。このままだと腕が鈍っちまいそうだ」
「だが、何も起きないという事は世界が平和だという事だ。戦いがしたいのなら傭兵にでもなればいい」
短い金髪の整った顔立ちをした少女『エリス・クロード』は言うと賛同する迷彩柄のバンダナを巻いた青年『ラナロウ・シェイド』に対し傭兵になることを勧める『マーク・ギルダー』だが、艦内に警報が鳴る。
通信担当の『ラ・ミラ・ルナ』今起きたことを艦内に通信を送る。
『艦内に通達!艦内に異常なエネルギーを確認!!総員は直ちにMS格納庫に行き確認を。繰り返す―――』
「え、なに?!」
「分からん!取り敢えず格納庫に向かうぞ!」
「了解!」
マーク達がMS格納庫に向かうと先に来ていた褐色肌の少女『レイチェル・ラムサス』と長い銀髪の女性『エターナ・フレイル』がおり、マーク達が来てから格納庫に艦内放送が響く。
『エネルギーが収束しています!気をつけてください!!』
「な、なによあれ...」
「私も...分からない」
「取り敢えず警戒は怠らないようにしましょ」
「急に光が...」
格納庫が歪み始めてから少しすると歪みが大きくなり、眩い光が出始め、マーク達は余りの眩しさに直視出来ずにいたが光が次第に収まり始め、完全に収まると其処には一人の少年が横たわっていた。
「見て子供が倒れているわ」
「あんな子...いた?」
「疑問は後にして取り敢えず、行ってみるか」
「あぁ、ここに居てはなにも始まらないからな」
マーク達は少年の元に行くと身体に異常はないか、息をしているか、心臓が動いているか確認する。
「...うん。心臓も動いてる、呼吸もしている。命の別状はないけど、医務室に連れて精密な検査をして貰おう」
「決まったら善は急げってな!」
確認したエリスは医務室に連れて行くことを提案するとラナロウは少年を肩で担ぐと医務室まだ連れて行った。
目が覚めた一夏が目にしたのは絶え間なくな鳴る機械音と点滴と知らない天井であった。
「ミーちゃん!気が付いたよ!」
「...ミーちゃん言うの止めて......マーク達呼んでくるね」
ピンク色の髪をした少女が一夏が目覚めたことに気が付くと茶髪のサイドアップの少女が部屋から出て行くのが確認できた。
「......こ、ここは...どこだ...痛ッ!」
一夏は身体を起こそうとすると身体全体からとてつもない痛みが襲い横になっていたベットに倒れる。
「無理しちゃ、駄目だよ。今、ミーちゃんがマーク達を呼んでるからジッとしてて」
「いや、大丈b「怪我人は無理をするな」だ、誰!」
一夏は声がした方を向くとそこにはマークを先頭にエリス、ラナロウ達そして先程出ていった、『シス・ミットヴィル』がいた。
「自己紹介がまだだったな。私の名はマーク・ギルダー。フェニックスガンダムのパイロットをしている」
「私はエリス・クロード。大体フェニックス・ゼロに搭乗するね」
「......シス...シス・ミットヴィル」
「駄目だよミーちゃん。ちゃんと自己紹介しなちゃ。私はカチュア、カチュア・リィスだよ!」
「俺はラナロウ・シェイド。お前、名前は?」
「...一夏です」
一夏は何処か分からない場所で知らない人がいる現状に警戒していた。
「そう、警戒するな。俺達はお前を取って食おうってわけじゃない。どうしてMSの格納庫に居たのか、あの空間の歪みがなんなのか知りたいだけなんだ」
激戦を潜り抜けてきた老兵をイメージさせる男『ゼノン・ディーゲル』が一夏に敵意は無いと言い一夏は警戒を弱める。
「此方から質問する。答えるか答えないか警戒し、黙秘をしても構わない」
ゼノンは一夏にそういうと質問始める。
「一つ目お前は何所の出身だ?二つ目お前の名は?三つ目歳はいくつだ?四つ目何故手足を拘束されていた?五つ目あの空間の歪みはなんだ?」
他にも聞きたいことがあるが今、一夏について知る必要があるがあるのだ。
ゼノンが質問してから少しの間沈黙が続くがそれはすぐ破られる。
「俺は...日本出身です」
「おっ」
一夏の返答は彼らにとっては大きな進展だった。
「日本というと君は地球出身か?」
「...ハイ。俺は日本で生まれ、......世界最強のIS乗りブリュンヒルデの織斑千冬の弟です」
一つ目の問に関する答えだが、マーク達は一夏の返答に疑問があった。
「ISといったな、それは新しいMSかMAの名称か?」
「もびるすーつ?もびるあーま?なんですかそれは?」
両者の間に沈黙が流れる。
「お互いに知っている情報を共有しよう。まずはそれからだ」
「わかりました」
一夏は自分が覚えている限りの事を話した。
家族の事、篠ノ之束がISを作った事、白騎士事件の事、自分が何故手足を拘束されていたのか、出来る限り話した。
同じようにマーク達は自分の知っていることを話した。
「成程、大体理解した。ISがどういう物なのか分かったし、それによって世界女尊男卑になったのも分かった。だが俺達の知っている限りそんな事は起きていない」
「私の予想が正しければ一夏君。君は異世界、パラレルワールドから来た可能性がある」
「え?」
「私達はMSは知れどISなどという物は知らない。それに君の姉織斑千冬という人物も知らない。記憶の食い違いかと思ったが恐らくそれはないだろう。そして私達は君を元居た世界に帰す術を知らない」
一夏に言いようのない絶望感が襲う。
生まれた世界では罵られ、織斑千冬の決勝辞退の為に人質され、自分の姉に見捨てられ気が付けば知らない所に居てそして帰る術が無い、抗えない絶望を感じていた一夏の目の前に一つの手が差し延ばされていた。
「こういうのもなんだけど、君はここに来てよかったと思うよ」
「え?」
「もし、君がそのままだったら死んでいたかもしれない。もし助かったとしても君に対する環境は変わらず、悪くなるかもしれない。ならここで新たな人生を始めてもいいとも思うんだ。だから私達の仲間にならない?」
手を差し伸べたエリは笑顔で微笑み、一夏の中で何かが変わった気がした。
「そうだね。私は良いと思うよ、ミーちゃんはどうなの?」
「...だからミーちゃん言うのやめて...私もそれでいい」
「俺も賛成だ」
「私は構わない」
「そうだな。俺もこういう奴を見捨てておけないし、仲間にするんなら大歓迎だ」
「皆さん...」
「だがこれは君の人生であり、どうするかは君が決めるといい。私達はその意見を尊重するだけだ」
一夏は今まで感じたことない程嬉しかった。
今までは織斑千冬のオプションとしか見てくれず、自分を一人の人間として見てくれ人物は手で数える位しかいなかった。
一夏はその差し伸べられた手を握ると笑顔で言った。
「ハイ。よろしくお願いします。皆さん」
もう一話投稿します