ゼロの使い魔 本能の牙-extra-   作:新世界のおっさん

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ソードスキル等の伝授。

これによりタバサが強化され、ルイズもしっかり戦闘に介入出来るようになります。


世界を越えた勉学会

 

買い物から帰った後、デルフリンガーの溜まりに溜まった錆を落とすためにイノセンスはヴェストリの広場で彼を研いでいた。

 

『あ~やべぇっ、生き返るわ~!』

 

「ふふっ、おっさんくさいぞデルフ」

 

心底気持ち良さそうに言うデルフリンガーに、イノセンスは笑う。

 

『つってもよぉ、俺は大体6000年くらい生きてるんだぜ?これぐらい当然だろ!』

 

「ろ、6000年!私はまだ2年しか生きてないので、全く想像も出来ません!」

 

『えっ、嬢ちゃんまだ二才なのか?なら発育いいな!将来有望だぜ!』

 

デルフリンガーの生きてきた年数に驚愕する結に、デルフリンガーはカラカラと笑う。

 

「デルフ、お前の動く所もやりたいから、開けといてくれ」

 

『ほいきた!頼んだぜ!』

 

順調に錆を落としていると、火の塔からルイズ、タバサ、そしてシエスタがやってきた。

 

「イノセンス、暇かしら?」

 

「……力の使い方を教えてほしい」

 

「私は差し入れにサンドイッチを持ってきました!あ、その力にも少し興味がありますけど」

 

どうやら、契約の件でタバサがこちらに向かったのにルイズとシエスタが便乗した様だ。

 

「デルフを研ぎながらでなら、構わんぞ」

 

「それで良い」

 

「私もあんたの力は主人として良く知っとかないといけないからね!」

 

「私はお話を聞ければそれで……」

 

三人の了承が得られたので、軽い勉強会が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずはアイテムの実体化(リアライズ)と情報化(デジタライズ)だ……イベントリの開き方は二人とも分かるよな?」

 

「ええ、そりゃ目の前で見てたし」

 

「何度も開いた」

 

二人は空間をスライドさせて、メインメニューを開き、イベントリを選択して画面を出す。

シエスタは後ろから興味津々で見ている。

「多分今二人のイベントリは空っぽだろうから、一つも名前が無いと思う、そこで今回は……結」

 

「はい、パパ!」

 

結はルイズとタバサ、それぞれにポーションを渡す。

 

「そいつの情報化から覚えてもらう」

 

「わかったわ」

 

「了解」

 

イノセンスは二人が頷いたのを確認すると、説明を始める。

 

「まず、アイテムを軽く叩く……専門的にはタッチすると言うが、するとそれのパラメーターが表示される……それは今日見てたから出来るよな?」

 

「こ、こう?」

 

「……出た」

 

指示通りすると画面がでる。

 

「んで、画面左下あたりに三つ選択肢があると思うが……とりあえず一番上を押せばokだ」

 

「あ、出来た!」

 

「ポーションが消えて、イベントリに名前が出てきましたね!」

 

「……なるほど」

 

出来た事に感心する三人。

 

「次は実体化、イベントリからポーションを選択して、出てきた画面の左のボタンを押すんだ」

 

再び指示通りすると、二人の手にポーションが現れた。

 

「便利ねこれは……持ち運び楽々じゃない!」

 

「楽しい」

 

ポーションを眺めて驚くルイズに、出来る事が増えてなんとなく嬉しそうなタバサ。

 

「次にステータスだ、タバサは知ってるだろうが、復習がてらな」

 

「分かった」

 

「ステータス?」

 

メインメニューからステータス画面を開き、ルイズに見せるタバサ。

 

「……これ」

 

「なるほど、こうね……これは何を意味してるの?」

 

ルイズはステータス画面について聞く。

タバサはとりあえず受け売りをそのまま、伝えた。

 

「……私、タバサと比較してレベルかなり低いわね……」

 

「経験の差」

 

タバサは少し得意げに言う。

それをみて悔しそうな顔をするルイズ。

ふとシエスタがイノセンスに質問する。

 

「レベルを上げるにはどうすれば良いんですか?」

 

「とにかく戦闘をして勝ち、経験値を稼ぐだな、それにつきる……タバサのレベルが高いのは過去に戦闘経験が豊富だったからじゃないかな」

 

「なるほど……何か納得です、ミス・タバサはどこか普通の貴族な感じがしなかったですから」

 

イノセンスの話を聞き納得するシエスタ。

 

「ルイズも戦えばいずれは強くなるよ……だからこれから頑張ろう、これから」

 

「むむむ……まあ、分かったわ」

 

「じゃあ次が完全に二人とも初見のスキルについてな」

 

イノセンスはデルフリンガーの研磨を終えていた。

その姿は新品の様にピカピカだ。

 

「気分はどうだ?デルフ」

 

『最高の気分だぜ相棒!生まれ変わったみたいだ!』

 

「で、早速だが実践のために振っても構わないか?」

 

『何言ってんだい!俺はそのためにいるんだぜ?』

 

「分かった、じゃあ二人には戦闘における半ば必須のスキル、<ソードスキル>を教える」

 

デルフに許可を貰ったイノセンスはルイズとタバサに、説明を再開する。

 

「「ソードスキル?」」

 

奇しくも二人の台詞が被る。

イノセンスはクスリと笑い、デルフリンガーを逆手に持ち前に出る。

 

「ソードスキルは、システムの力を借りて、強い剣技を繰り出すための技術だ……ハルケギニアで言う魔法に相当する」

 

イノセンスが、構えをとるとデルフリンガーが光を宿す。

システムのアシストが入ると同時にそれに逆らわず動くと、イノセンスは高速で動き、剣技を見せる。

 

「「「『おー!』」」」

 

タバサを含め三人とデルフリンガーが思わず声をあげる。

 

「これがソードスキルな、種類は無数に存在し、極めるのは至難と言われる……無双の剣技だ」

 

イノセンスは笑い、デルフリンガーを優しく撫でる。

 

「どうだったデルフ、ソードスキルの感想は?」

 

『おでれぇたぜ!こんな気分初めてだ!』

 

デルフリンガーは自分があの動きをしたのだと思うと、歓喜せざるをえなかった様子だ。

 

「さて、では次は二人が実践する番だが……何を使いたい?」

 

イノセンスが聞くとタバサが、進み出る。

 

「私はこれで良い」

 

タバサは普段から持っている大きな杖を出した。

 

「分かった、恐らく両手棍に分類されているから問題はないだろう……じゃあメインメニューのスキル画面を開いて、両手棍スキルをスキルスロットに入れよう」

 

「……こう?」

 

「そうそう、流石タバサだな、飲み込みが良い」

 

「……それほどでもない」

 

手順を素早く済ませたタバサをイノセンスが誉めると、彼女は目を伏せる。

恐らく照れ隠しなのだろう。

 

「なら次はソードスキルに必須な構えだ、両手棍スキルを覚えたてだからまだ0だが、最初のスキルは0でも使えるんだ……タバサ、杖を両手で持って右肩に乗せるように構えてくれるか?」

 

「……分かった」

 

タバサは所謂野球のバッターの様な構えをとる。

すると杖が光を宿す、それを見たタバサは手に力を込める。

 

「そこ!全力で横ふり!」

 

「はあ!」

 

高速のヘヴィスウィングはブゥン!と大きな音をたて、軽く風を起こす。

 

「よし、成功だ」

 

「……これが私の力……」

 

タバサは喜びを噛み締める、自分が強くなってきているのを実感していた。

これを見ていたルイズはたまらず立ち上がる。

 

「わ、私にも早く教えなさい!!これは命令よ!!」

 

「ははっ、もう待ちきれなくなったか、ならば何の武器を使う?」

 

興奮するルイズにイノセンスが聞く。

ルイズは間髪入れずに言った。

 

「レイピアよ!貴族と言えばやはりレイピア!」

 

「ふむ、レイピアならば細剣だな……結」

 

「はい、ルイズさん!」

 

結からルイズに<アイアンレイピア>が渡される。

 

「それがルイズのステータスでも装備出来る最良の細剣だ……俺と結には不要だからルイズにやる」

 

「こ、これ貰っても良いのね?結構造り良いから高そうなのに」

 

「ああ、必要な人に使われてこそ武器も喜ぶ」

 

『俺が相棒に使われて嬉しいようにな!』

 

ルイズは、剣の感触を確かめ振るう。

やはりこう言うものを直に持つと気分が高揚する。

 

「さぁ!教えて!ソードスキル!」

 

「ああ、細剣のソードスキル<リニアー>は剣を下段に、身体を前傾姿勢に構えて……正面を見据える」

 

「……分かった!」

 

息を整え、構えをとるルイズ。

アイアンレイピアに光が迸ると、自分が興奮しているのがはっきり分かった。

 

「そこだルイズ!」

 

「イヤアァァァァ!!」

 

高速の突き技<リニアー>を放つ。

空気をつん裂き、振動させる。

ルイズは自分がこれを放ったのだと、感動にうち震えた。

 

「キャッホォウ!爽快!」

 

「はははっ、楽しんでるなぁ……何か昔の自分見てるみたいだよ」

 

イノセンスは飛び上がるルイズと、何度も実践するタバサをみて、まだデスゲームだと知らずにSAOのベータテストに参加していた自分が重なって見えた。

 

「よし、最後に他のスキルについてだが……これはソードスキル同様だ、スキルスロットに入れてそれに該当する事をすると、そのスキルが上がり、出来る事が増える……地味だが重要なスキル達だ」

 

「何か見た限り滅茶苦茶あるわね」

 

「……料理や釣りもある」

 

「な、何か私もそこ見ると欲しくなっちゃいました」

 

どうやら、戦闘以外のスキルはシエスタも気になっているようだ。

 

「ならシエスタもしようぜ、フレンド登録……特にデメリットはないはずだからな」

 

「えっ?よろしいんですか?」

 

「当たり前さ、フレンドは友達って意味だ……それともシエスタは俺と友達になるのは嫌か?」

 

シエスタが遠慮がちに聞くために、イノセンスは悲しげなニュアンスで聞く。

 

「めっ!滅相もありません!」

 

「よし!ならシエスタもフレンドな」

 

「……あれ?何だか乗せられちゃった気が……ってそこまで気にする必要ありませんね」

 

笑うシエスタに、フレンド申請を送り、登録する。

これで、シエスタも仲間である。

 

「よし、私は料理スキルを完璧にして!この世界一料理上手のお嫁さんになって見せます!」

 

「お~夢はでっかくが一番だ、そう言うのも良いんじゃないか?」

 

意気込むシエスタに、イノセンスは微笑む。

 

「ええ、いつかその時が来たら、最初に私の料理を食べてください!」

 

そう言って彼女は笑い、彼を見つめる。

その笑顔はとても眩しくて、いつかの日を思い出す。

 

「サチ……」

 

「? イノセンスさん?」

 

『相棒……』

 

疑問符を浮かべるシエスタと、何だか心配そうな声を出すデルフリンガー。

イノセンス頭を振るい、意識を戻す。

 

「何でもない……サンドイッチでも食べようか」

 

「あっ、はい!」

 

「わ~い!ご飯です!」

 

「あ、私も食べるわ!」

 

「……もらう」

 

今は目の前に集中しよう、皆で集まり、ご飯を食べて……今を生きよう。

イノセンスはそう心に決めたのだ。

 




イノセンスもたまにはホームシックになります。
彼も完璧超人って訳ではないので。

戦闘においては人の域を超えてますがね(笑)

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