着替えも装備画面でが基本です。
だから前回あのようになったわけで……。
そう考えるとやはりシステムは強いですね(確信)
因みに結も同様です(笑)
洗濯物を干したあと、イノセンスと結は部屋に戻って来てルイズを起こし始める。
「ご主人ー!起きろー!」
「朝ですよ!」
「すぅ……すぅ……」
しかし、ぐっすりなのか全く起きないルイズ。
「致し方ない、<目覚めの針>を使うから結はルイズを着替えさせてくれ」
「分かりました!」
イノセンスがメインメニューを操作している間に、結はルイズのメインメニューを操作して畳んで置いてあった制服などを着替えさせる。
それでも起きないルイズに、イノセンスは<目覚めの針>を持って近づく。
因みに目覚めの針とは、<睡眠>の状態異常を確実に治すアイテムであり、耐久度が設定されている独特なアイテムでもある。
「そいっ」
「ヒギィッ!」
イノセンスがルイズに針を刺すとチクリと言う音がなり、ルイズが跳ね起きた。
「おはよう、ご主人」
「おはようございます!」
「おはようじゃないわよ!あんたら何者よ!?」
挨拶をする二人に、ルイズは激怒する。
「いやいやご主人、まだ寝ぼけてるのか?俺だよ、使い魔のイノセンス」
「えっ?……ああ、そっか……私召喚したんだったわね」
ルイズは頭をかき、昨日の事を思い出しながら意識をしっかりさせる。
しかし、ハッとしたように結の方を見る。
「……って危うく見逃すとこだった、この子は?」
ルイズが結を指差してイノセンスに聞くと、彼はありのままで答えた。
「俺の娘の結だ、今後は俺と共にご主人の世話になる」
「よろしくお願いします!」
イノセンスの紹介に結は元気に挨拶をする。
「あ、あ、あ、あんたは!!どうなってんのよおぉぉぉぉ!!!」
ルイズの二回目の激怒の声が火の塔に響き渡った。
あの後、三人は一緒に並びながら歩き、食堂へ向かっている。
ルイズは今だに不機嫌そうな表情だ。
周囲ではゼロが使い魔と子供を作った等と言う妙な噂まで飛び交い、たまにそれでヤジを飛ばすものもいたので、仕方ないと言えば仕方ない。
「どうして、こうなるのよ……私はただ使い魔を召喚して契約しただけなのに!」
彼女の言葉にイノセンスと結は苦笑する、これらの原因は自分達のために特にかけられる言葉が見つからないからだ。
ふと、廊下の先を見ると赤い髪に褐色肌の美人が待ち構えていた。
ルイズの永遠の天敵キュルケである。
「ハロー、ヴァリエール……相変わらずチンチクリンねぇ」
「キュルケ!誰がチンチクリンですって!」
ルイズはキュルケに近づき、二人は互いにメンチを切る。
「あんたに言ったに決まってるじゃない、もしかして言葉が分からないの?」
「嘗めるんじゃないわよ!と言うか通行の邪魔よその乳!退きなさいよ!」
互いに火花を散らす二人。
イノセンスは、二人の喧騒から目を離してキュルケの影にいたサラマンダーに着目した。
「可愛らしいサラマンダーだな」
SAOのサラマンダーはかなりデカイ上に狂暴だったので、キュルケのサラマンダーはとても可愛らしく感じた。
イノセンスはサラマンダーに近づき顎の下を撫でてやると、ゴロゴロと音をたて気持ち良く感じているようだ。
「あら、フレイムがお気にめしたの?ルイズの使い魔は分かってるじゃない!」
キュルケはイノセンスに近づいてくる。
どうも彼女は褐色肌のイノセンスにシンパシーを感じている様だ。
「キュルケよ、もしかして貴方ゲルマニア人?」
「イノセンスだ、残念だが違うよ……だがあんたとは仲良くなれそうな気がするよ」
二人は握手を交わす。
それに対してルイズは怒り出す。
「キュルケ!人の使い魔に馴れ馴れしくしないで!あんたも何キュルケに尻尾をふってんのよ!この犬!」
ルイズは怒りに任せ、鞭を振るう。
イノセンスはキュルケを押して、巻き添えを回避し、自分は甘んじて受ける。
痛みは全くないが衝撃だけ受け、怯み、イノセンスの前に<アンチクリミナルコード圏内>と表記される。
どうやら、学院内は圏内と判断されダメージを受けないようだ。
「ヴァリエール!あんたやり過ぎよ、大丈夫?」
「気にしないでくれ、衝撃受けただけで痛みは全くないから」
「そ、そうなの?不思議な身体ね貴方」
心配そうな顔をしていたが、彼の答えを聞き微笑むキュルケ。
本来はこの様に優しい人なのだろうとイノセンスは感じた。
「じゃあ、私は行くわね……またねイノセンス、ヴァリエールに疲れたら私が引き取ってあげてもいいわよ、そっちの子も含めてね♪」
そう言ってキュルケは立ち去る。
「そんなことさせるもんですか!べー!……たく、あの色情魔」
ルイズは舌をだして去り行くキュルケに悪態をつく。
「仲悪いんだな、何か因縁でもあるのかご主人?」
ルイズに対してイノセンスが訊ねる。
「私の家とアイツの家は昔っから天敵同士なのよ、特に色恋沙汰で!」
「ああ、なるほど……そりゃ厄介な話だ」
昔から続く家絡み、しかも恋愛ともなれば遺恨も強くなるかとイノセンスは苦笑する。
「まあ、今はとにかく食堂に向かうわ!ほらいくわよ!」
ルイズはまたも不機嫌そうに歩いていく。
イノセンスと結は複雑な人間関係を憂いながら、彼女の後を追った。
ルイズがご機嫌斜めだったため、食事は質素なパンとスープのみだった。
あっという間に食べ終わり、暇になった二人は広場に出ると、竜が外に待機していた。
「お、ドラゴンか……」
「キュイ?」
竜はイノセンスの言葉に反応する。
青い鱗に綺麗な輝く瞳をしている。
言葉に反応したあたり知性も高いのかもしれない。
「さぞ優秀なご主人さまが召喚したんだろうな」
「少なくとも今まで見てきた使い魔たちでは、この子が一番群を抜いて強いでしょうね」
素直に竜を褒めちぎる二人。
それに対してかなり嬉しそうな竜。
ふと竜にとって不意打ちとも言える言葉が飛んでくる。
「にしても、イルククゥなんて不思議な名前だな……種族特有なのか?」
「! なんで知ってるのネ!?」
突然本名を言われ、驚いて思わず喋るイルククゥ。
「! お前喋れるのか、マジで知能高いな!」
「ハッ!やっちゃったのネ!!」
「凄いですね!人語を解する竜は初めてみます!」
二人はカルチャーショックで興奮し、イルククゥは墓穴を掘った事に絶望した。
「な~んだ、使い魔なら問題ないのネ……いや、でも人間だからアウトかもなのネ……」
「大丈夫だ、秘密にしとくから気にするなよ」
「そうですよ、貴女の秘密は守り抜きますよ」
「なら、良いのネ……とりあえずシルフィはシルフィードっておねえさまに名付けられたからそう呼んでほしいのネ」
イルククゥ改めシルフィードはどうやら主に自らが、喋れる風韻竜であることをバレない様に言付けられていたらしく、二人に秘密にするように頼んだ。
「分かった……んじゃシルフィード改めてよろしく、イノセンスだ」
「結と言います、よろしくお願いします!」
「よろしくなのネ!」
シルフィードは元気に挨拶する。
「何か色々悪かったな、何か欲しいものあるか?詫びにやるよ」
「え、欲しいもの?……お肉が欲しいのネ!」
イノセンスが彼女に質問をすると、シルフィードは好物の肉を欲した。
「肉か、ならばこれとかどうかな?」
イノセンスはメインメニューを操作し、イベントリから<ユニコーンの肉>を実体化して彼女にあげた。
シルフィードはそれを食べるとシルフィードはとても喜んだ。
「美味しいのネ!あんまり変な癖とか無くて美味なのネ!キュイッ」
「そりゃよかった」
彼女の様子を見て安堵するイノセンス。
「イノセンス、良い人なのネ!結ちゃんも良い子なのネ!シルフィは良い人大好きなのネ!だから、困ったことがあったら相談にのってあげるのネ!キュイッキュイッ」
「あははっ、ありがとな……本当に何かあったら頼むよ」
「頼りにします!」
「任せてなのネ!」
こうして二人と一匹は友好を深めた。
ふと鐘がなる、どうやらもう時間のようだ。
「じゃあ、またなシルフィード」
「今度はもっとお肉持ってきますね!」
「バイバイなのネ~キュイッ」
二人が手を振り去るのをシルフィードは見送った。
その後少しして、入れ替わりでシルフィードの主人タバサがやって来た。
随分と機嫌が良さそうなシルフィードに事情を聞くと、ルイズの使い魔であるイノセンスに肉を貰った話をした(一部脚色が入っているが)
すると、タバサは少し興味深そうにしたあと再び本に目を移す。
「人間の使い魔……変な人……」
そう言って彼女は次のページを捲った。
目覚めの針はオリジナルアイテムです、原作にあるわけではありませんのであしからず。
とは言っても装備もオリジナルなので今更って話ですが(笑)