ゼロの使い魔 本能の牙-extra-   作:新世界のおっさん

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宝探しの冒険その一。

ここでは本編に登場しなかった、没オリジナルフロアボスを出して行きます。

そして、シエスタ戦闘加入&ケティ強化回、加えて最後に後々のフラグに重要なアイテムを得ます。



虚無の歌
深淵の怪物


 

今日は虚無の曜日。

トリステイン魔法学院にもゆったりとした空気がながれている。

最近は慌ただしかったため、イノセンスは静かな時間を堪能していたのだが、その静寂が破られた。

 

「イノセンス!姫様が女王になられるそうよ!あのマザリーニ卿に一喝して認めさせたんですって!素晴らしいわ!」

 

ルイズはアンリエッタが女王になる事を大層喜んでいる。

普段説教を良くしてくる、枢機卿マザリーニを黙らせたのもあり、良い気味よと鼻で笑っていた。

 

「そうか、まあだろうな……んでその本は?」

 

イノセンスからすれば、彼女が既に決意していたのを知っていた為に、特に驚いたり喜んだりはしなかったが、ルイズの手にある謎の白い本が気になった。

 

「これ?これは姫様の女王就任式典で私が巫女に選ばれてね、その時に詔をするんだけど、その際にこの<始祖の祈祷書>を手に持ってするの!」

 

「……中どうなってるんだ?」

 

自慢気に言う彼女から始祖の祈祷書を受け取り、中を見ると真っ白だった。

イノセンスは首をかしげる。

 

「……炙り出しか何かか?」

 

「……実はそれについては詳しくは知らないわ……でもそれが国宝なのは確かよ!」

 

「ふむ……なら、丁重に扱わなきゃな、ほい返す」

 

ルイズに白紙の祈祷書を返すと、大事そうに胸に抱える。

するとまた別の誰かがやってくる。

 

「あ、いたいた、イノセンス暇ならこれから宝探ししないかい?僕の父親が知り合いからこれを貰ったらしいんだけど……」

 

「……宝探しとな?興味はある……行かせて貰おうかな」

 

今度やってきたのはギーシュで、この虚無の曜日を利用して、宝探しをしようと言う、手には古ぼけたいかにもな地図が握られていた。

イノセンスは確かに暇だったし、<宝>に興味があったので、二つ返事で着いていく事を決めた。

 

「なら良かった、もちろんルイズも行くよね?」

 

「……詔考えてたんだけど、そっちに興味が湧いたから行くわ」

 

ルイズは、イノセンスが行く様子だったので、着いていく事にした、詔なら後でも考えられるからだ。

 

「じゃあ行こうか、既にケティやタバサ、キュルケは誘って置いてるからね」

 

「準備が早いこと、ならば結も素材集めから呼び戻して行こうかね」

 

結は基本的にポーションなどの消耗品や、自分用の矢などの素材集めをせっせと行っている。

たまにイノセンスと居たいときは、大体一緒にいる。

彼女をメールで呼び出しておき、みんながいると言うヴェストリの広場へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広場に集まったメンツは、イノセンス、ルイズ、結、タバサ、キュルケ、ケティ、ギーシュ、そこにシエスタも加わってきた。

 

「あ、あの……実はイノセンスさんにお話があるので、私も加えていただけたらなぁ……と思いまして」

 

大分遠慮がちに聞く彼女に、イノセンスは当然OKを出す。

ルイズは洗濯物を洗ってもらっているし、ケティは以前助けてもらい、ギーシュは決闘騒ぎで迷惑をかけたりしたので、より彼女が加わる事に周りから反対はなかった。

そうすると、彼女は喜び仲間に加わった。

ギーシュの地図を頼りに、いよいよ出発することになったが……実はイノセンスはグリフォン、タバサはシルフィードに乗り、それぞれ仲間を乗せると言う話題で一悶着あった。

やはり誰がグリフォンに乗るかでなのだが、様々な協議の結果として、主のルイズ、娘の結、話があるシエスタの三人がグリフォン組、それ以外のメンバーがシルフィード組になった。

先導はギーシュが乗っているシルフィードがすることとなった。

 

「それで、話ってのは?」

 

「珍しいわよね、貴女からイノセンスにって」

 

「今回は特別な話なので、実は私近々長めの休暇を頂ける事になりまして……それで折角なので故郷に帰ろうと思ったのですが、イノセンスさんもご一緒にいかがかなと……」

 

シエスタの言葉にふむ……と考えた後、ルイズを見るイノセンス。

 

「俺は構わないんだが……ルイズ、お前の許可が欲しい」

 

「……場所によるわね、後私が着いていくのは前提条件」

 

イノセンスに返答した後、シエスタをジロッと見るルイズ。

それに対しシエスタは苦笑した。

彼女も分かってはいたが、多少二人きりを期待したのはゆるされるはず。

 

「も、もちろんですとも……それで私の故郷は<タルブ>と言う、国境にある小さな村です」

 

「タルブ?タルブなら丁度宝の在処の一つだよ」

 

シエスタの言葉にギーシュが答える。

 

「なら、良いわ、行きましょう」

 

「! ありがとうございます!」

 

ルイズが許可してくれたので、彼女とフォローをくれたギーシュに礼をするシエスタ。

ギーシュは紳士的に、僕は困っている女性の味方さ、とドヤ顔で語っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギーシュの案内で一行が着いたのは、トリスタニアから馬を3日飛ばせば着く距離にある、<ドーヴィル>と言うかつて人が住んでいたが、30年前に虐殺があってから、誰もいない廃墟と化していた寂れた町であった。

 

「……ねぇ、こんな所に本当にあるんでしょうね?」

「大丈夫、地図の通りならば……もっと海岸線に行かないと行けないみたいだね」

 

ルイズは時間が経つ毎に胡散臭く感じており、あまり乗り気ではなさそうだ。

しかし、ギーシュがどんどん突き進むので、皆に合わせて仕方なくついてきている。

 

「海岸線か……ダンジョンの可能性がかなり高まったな、シエスタ、武器を見繕うよ」

 

「え?私もですか?」

 

「ああ、もしもの備えは必要だからな……使うとしたら何がいい?」

 

イノセンスは、今回の宝の在処がダンジョンだと直感的に察知し、シエスタに聞く。

彼女は少し考えてこう言った。

 

「……槍が良いです」

 

「! それは……」

 

シエスタの答えにイノセンスは反応する。

以前彼女に<サチ>の話をしたが、恐らくそれがシエスタの今の答えに直結しているからだ。

 

「はい、イノセンスさんのお友達の勇気を、お借りしたいなって……」

 

「やっぱりそうか……だが確かに君にはピッタリな装備だと思うよ……はい、多分君が持てる範囲での一番の槍と、防具だ」

 

イノセンスは、シエスタに槍の<パイク>と<レザーアーマー>等の革鎧をトレードで渡す。

シエスタが装備してみると、中々様になっており、かつてのサチを彷彿とさせた。

 

「い、いかがでしょう……?」

 

「……ああ、似合ってるよ」

 

シエスタの質問に、懐かしさと切なさを感じながら、イノセンスはそう答えた。

彼女は今頃どうしているのか……元気でいることを祈るばかりであった。

 

「……イノセンスさん……」

 

シエスタはイノセンスの手を握る。

彼の切なげな表情を見て、心配になったからだ。

 

「……大丈夫だよ……すまない、心配をかけさせて……」

 

「謝る事なんてありません……貴方は私の恩人で英雄なんですから、むしろ私なんかでも出来る事があるなら、イノセンスさんになんだってしてあげたいです……」

 

そう言って真剣な眼差しをイノセンスに向けるシエスタは、かつて自らを常に案じてくれていた、彼女と重なっていた。

 

「……シエスタ」

 

「そこまでよ!」

 

「ストップ、フリーズ」

 

「お、おう?」

 

と、ここで妨害が入ってきた。

ルイズとタバサである。

 

「二人の世界作ってるんじゃないわよ!第一アンタは私の使い魔!!よそさまにポンポン尻尾振るんじゃないわ!!」

 

「それは別にいいとしても、もうすぐ着く、話は一旦切り上げ」

 

タバサの言葉にえっ?と言った表情になるルイズをスルーし、タバサはイノセンスの手を握り、先に連れていく。

それを見て残念そうな表情のシエスタと怒りの形相になるルイズ。

 

「タバサ、アンタもか!勝手に連れていくんじゃないわ!待ちなさいってば!!」

 

「イヤだ」

 

「うぅ……何か良い雰囲気でしたのに……無念です」

 

「し、シエスタさん、チャンスはまだまだありますよ!」

 

「わたくしと共にイノセンス様を支えていきましょう!」

 

落ち込むシエスタを結とケティは形や立場は違えど、彼女を励ました。

 

 

 

 

 

 

 

地図に描いてあった場所は、浜辺にあった岩壁に出来た横穴から地下へと続くダンジョンへの入口だった。

あちら此方に骨が転がっている不気味な場所の様だ。

 

「行け!ワルキューレ!」

 

辺りに存在するスケルトンを相手に、ギーシュは複数体のワルキューレによる人海戦術で一方的な戦いを見せる。

立ち回りをイノセンスに享受してもらったお陰で、擬似的なパーティープレイを再現している。

 

「せい!……えい!」

 

一方で、レベルがこの中で最低なシエスタは、後ろからちょいちょい攻撃する。

初めての戦い、しかも見た目的に普通の女の子には恐ろしいスケルトンが相手でしっかり攻撃出来てる時点でかなりマシであり、これがSAOにおける初期の槍の正しい姿なので、致し方ない。

しかし、意外と飲み込みが良いシエスタは、敵のHPがギリギリだと分かると即座にソードスキル<ツイン・スラスト>を発動する。

 

「そこぉ!!」

 

二連続の高速突きで、スケルトンは撃破された。

ふぅ……と息を吐く彼女は達成感に満ちていた。

 

「凄いなシエスタは、初戦でこれだけ戦えるなんて」

 

「い、いえ……他の皆さんがいるから安心して戦えてるだけですよ、きっと一人だったら今頃泣いちゃってます」

 

少し照れ臭そうな彼女を見ながら、イノセンスは微笑む。

 

「よし、このままどんどん進もう……隊列は崩さないように」

 

そう言って、イノセンスは視線を睨み合っているルイズとタバサ、それを宥めようとしているキュルケに向ける。

 

「あんたとは共に戦ってきた実績があるし、私は一番の戦友だと思ってる、でもね人の使い魔を取ろうと言う魂胆は認めない、断じて……!」

 

「私はこれでも遠慮してきた……彼と貴女の仲を出来るだけ邪魔はしていなかった、でもそろそろその仲も使い魔としては十分な領域なはず……だから私も攻めに出ただけ」

 

「ふ、二人ともそこまでにしましょ?今はダンジョン攻略が先決なんだから?ね?ね?」

 

これには流石に止めなくてはとイノセンスが動いた時。

 

「キャアッ!!」

 

「ケティ!」

 

「ケティさん!」

 

ケティの悲鳴と、ギーシュと結の叫びが耳に入った。

即座に後ろを見ると、ポッカリ開いた穴をギーシュが覗きこんでいた。

 

「ッ!トラップか!?」

 

「どうやらそうらしい!何てこった、全く底が見えない!」

 

イノセンスも駆け寄り、中を覗くと真っ暗な深淵が広がっていた。

 

「……いや、これなら寧ろ生きてる可能性が高い、急がなきゃ行けないのは変わらないが、すまんがギーシュ、皆を頼む」

 

「まさか行くのかい?」

 

「彼女は俺を慕い、今までついてきた娘だ、絶対に死なせるものか!」

 

この場をギーシュに任せ、イノセンスは迷いなく穴に飛び込んだ。

後ろからルイズ達の叫びが聞こえたが、段々と遠のいていく。

彼は深い闇に飲まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「う……わたくし何処まで落ちたんでしょう……真っ暗で何も見えません……」

 

ケティは穴に落ちた後、起き上がると周りは暗闇で何も見えなかった。

 

「こう言う時は、<ライト>を使えば……」

 

コモン・マジックであるライトを使い、光源を生み出し、暗闇を照らし出す。

すると徐々に周囲がどう言う状況か分かってきた、そしてケティはある意味後悔した。

 

「……え?嘘……ですよね……?」

 

周りには死体があちこちに転がっており、その奥には奇怪な面を被った巨大な猿の怪物がいた。

 

「ヴギイィィィィィ!!!」

 

怪物が唐突に叫び声を上げると、周囲の死体たちが、起き上がる、新たな獲物の血肉を求めて。

 

「ひ、ひいぃぃぃぃッ!!助けてェ!!イノセンス様ァ!!!」

 

思わず悲鳴を上げ、イノセンスに助けを求めるケティ。

迫る死体達に、流石に自分の無惨な最後を幻視したが。

彼はちゃんと彼女の呼ぶ声に答えてみせた。

 

「ソラアァァァァァ!!!」

 

デルフリンガーと金鵄の二刀流で、迫ってきた死体を回転斬りで一掃、その後ケティを抱え急いで囲みから翔んで、抜け出す。

 

「イノセンス様!」

 

「ギリギリセーフだったみたいだな、大きな怪我はないか?」

 

「はい!」

 

イノセンスが来てくれた事に、とても感激しているケティ。

彼女は今まさに、自分が書いている作品のヒロイン達と同じ立場にあるのだと感じていた。

 

「さて……まさかお前がいたとはな、<ネクロマンス・ザ・ダークネス・エイプ>」

 

二人が対峙しているこのボスは、SAO48層フロアボスである<ネクロマンス・ザ・ダークネス・エイプ>と言う、周囲を暗闇にし、アンデッド系モンスターを使役して襲わせるかなり嫌らしいボスモンスターだ。

その分耐久力はボスとしては低いため、真正面からやり合えばそこまで強いわけではない。

だがSAO時は灯りが松明だけであり、しかもそれで片手が塞がるため、かなりの苦戦を強いられた相手だった。

 

「だが、こちとらお前に対して有利な条件が揃ってる、あっさり殺らせてもらう……ケティ、灯りとトドメ頼む、俺の背中に乗って」

 

「え?は、はい!仰せとあらば!し、失礼しま~す……」

 

イノセンスの頼みに、ケティは緊張しながら彼の背中に身を預け、腕を前に回す。

 

「(こ、これはヤバいです!色んな意味でッ!)」

 

彼の背中の広さ、固さ、暖かさに思わず鼓動が高鳴る。

今まで会った男性にこんな逞しさは無かった。

 

「(ああ……わたくし、幸せです~!)」

 

ケティが酔いしれていると、突然イノセンスが地面を蹴って飛び上がる、それで一瞬で現実に引き戻る。

イノセンスはエイプを見据え、一撃目で腕を弾き、二撃目で身体を斬り裂く。

悲鳴を上げるエイプ、その声は辺りに響き渡る。

 

「何!?何の声……ってイノセンス!」

 

「ああ!待った待った、周り動く死体だらけ!」

 

「うぅ……死体はちょっと……」

 

「ヒッ!オバケイヤ!」

 

「あらあら、タバサは無理そうね、スケルトンは大丈夫だったのに、よしよし」

 

「パパ!こっちはやっておきます!ボスを確実にお願いします!」

 

「了解、任せとけ」

 

どうやら、他メンバーも急いで駆けつけてくれたらしい、周囲の死体処理を担当してくれる様だ、何人かは無理そうだが。

イノセンスは完全にエイプ一辺倒に集中する。

着実にダメージを与えていき、HPが半分を切った。

するとエイプの仮面が割れ、一つ目の顔が露にある。

 

「う、恐いですッ!」

 

「大丈夫、君は絶対に守るから」

 

怖がるケティの頭を撫でてやる。

するとすぐに落ち着いた。

エイプは面が割れると、棍棒を持ち、積極的に攻撃を仕掛けてくる、その素早さと攻撃力は馬鹿に出来ないが、イノセンスからすればその方がやり易かった。

棍棒を金鵄で弾き、二刀流(裏)ソードスキル<轟天>を発動。

金鵄とデルフリンガーが赤く輝き、軌跡を描きながらエイプに接近、六連続で斬りつけ、右手のデルフリンガーで切り上げながら自らも飛び上がる、体勢を崩すエイプにそのまま二つの刃で兜割りを決めて、頭をかち割る。

 

「いまだ!ケティ!」

 

「! はい!」

 

轟天に見とれていたケティだったが、イノセンスの声に反応し、ファイアーボールを唱える。

INTを鍛えていたため、普通のファイアーボールよりも密度があり、高い温度のそれをエイプに放った。

倒れもがいていたエイプは、火が燃え上がり、絶叫したあと爆散した。

それと同時に、死体達も動かなくなった。

 

「イノセンス!大丈夫だった!?」

 

「ああ、ノーダメージだよ、皆のお陰でな」

 

抱きついてきたルイズを受け止め、頭を撫でるイノセンス。

他の皆も集まってきた。

 

「君が無事だとは思ってたけど、ケティは大丈夫だったのかい?」

 

「間一髪だった、危うく彼女がゾンビの生け贄になるとこだったよ……」

 

「それは笑えないわね、タバサ、もうオバケはいないわよ?」

 

「……知ってる」

 

タバサは涙目で答え、三人は苦笑する。

するとケティが走ってきた。

 

「イノセンス様、これはあの有名なラストアタックボーナスですか!?」

 

「ああ、あいつはフロアボスだからな」

 

「おお、では早速装備を……」

 

メインメニューを操作し、何が出たかを確認するケティ。

 

「名前は<ウリエル>……装備カテゴリー<具足>って初めて聞きますが……」

 

「<具足>……また随分マイナーな物を……」

 

具足とは、SAOで初期から存在する武器の一種だが、それは格闘攻撃の火力を高める効能を持つ。

防御力も上がるため攻防一体の装備だが、売られている物の性能はあまりパッとしなく、しかも格闘にはソードスキルは無い、それに相当する体術スキルは修得難易度が高く、余程拘りがなければ選ぶメリットの無い武器である。

 

「……だが性能が鬼みたいに高いな、流石ユニーク装備……ただ要求値がINTとMNDだが、MNDが足りてないな……」

 

「なら今までのポイントMNDに極振りで!!」

 

「思いきり良いな!!」

 

ケティは要求値までMND極振りし、残りをSTRに振る。

それから装備すると、銀の炎の装飾が入った白い具足が両手足に現れた。

 

「す、素晴らしいです!!」

 

ケティが手足を振るうと、それに合わせ白い炎のようなエフェクトが出る。

これには全員が見いってしまう、白い炎など見たこともないからだ。

 

「まあ、大事に使うと良い……間違いなく強い武器だからな」

 

「はい!よろしくお願いいたします!ウリエル!」

 

ウリエルは炎を瞬かせ、ケティは微笑む。

 

「所で肝心の宝は何処よ?」

 

「おお、忘れてたよ!確かここであってるはずだけど……」

 

辺りを<ディティクトマジック>で調べていると、奥に他の壁と違う怪しい壁を見つけた。

 

「この壁魔法がかかっていない、壊せそう……」

 

「あ、でしたら任せてください!」

 

タバサの言葉にケティがやって来て、ウリエルで、思いっきり壁を殴る。

すると、あっさり壁はこわれた。

 

「老朽化してたのもあるでしょうけど……あれで殴られるのは勘弁願うわね」

 

そう言ってルイズは、壊れた壁をまじまじと見る。

全員が奥に進むと、宝箱があった。

 

「ミミックの可能性があるから、俺が開ける……結、一応警戒頼む」

 

「はい!お任せあれ!」

 

そのセリフに若干不安を覚えたが、深くは気にせず、宝箱を開ける。

どうやらミミックでは無かったらしく、中には様々な財宝と、<笛>が入っていた、イノセンスはそれを手に取る。

 

「……?」

 

「おお、凄い!一攫千金だぁ!」

 

「これは流石に興奮するわね!」

 

「ああ……眩すぎます!平民の私にはこれは毒すぎますぅ!」

 

他の仲間達が財宝に目を奪われる中、イノセンスは明らかに異質だった<笛>を調べる。

 

「……<歌精の魔笛>……これ……なんだか……覚えが……?」

 

「どうしたのイノセンス?」

 

「パパ……?」

 

ルイズと結はイノセンスの様子が気になり、声をかけるが彼には聞こえていない。

ふとルーンが光り、頭に流れ込んでくる……ユウキ、リーファ、サクヤ、アリシャ……見知らぬ名前に姿、場面……イノセンスは頭を抑える。

 

「くっ……!」

 

「ッ!イノセンス!」

 

ルイズが寄り添う、すると少しずつ頭痛が治まってきた。

 

「……ふぅ……もう心配ない、治まったみたいだ」

 

「本当?」

 

「ああ」

 

それを聞いてルイズが安堵する。

 

「何があったの?これに何かあるの?」

 

「みたいだ……まだ正直分からんが、俺に関係あるんだと思う」

 

ルイズにそう答え、歌精の魔笛を見る。

 

「(歌精……歌の妖精か……)」

 

イノセンスはこれに不思議な因果を感じながら、イベントリに納めた。

 





ウリエルは神の光、神の炎と称される最高位の天使の一柱です。
ユニーク能力として、圧倒的なSTRブーストと呪いに耐性を得れます。
これで下手な呪殺や洗脳に悩まされず、思いっきりグーパン出来ます(笑)

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