ゼロの使い魔 本能の牙-extra-   作:新世界のおっさん

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ウェールズの実質最後の出番。

真の意味での選手交代ですね。



亡き王子のための鎮魂歌

 

赤い月と青い月……二つの月が浮かぶハルケギニアの夜。

それを自室で眺めながら、優しい月光を浴び、王女アンリエッタは決意を固めつつあった。

女王となり、この国を守り、より良い国にしていく。

それは今まで自分が目を逸らし、逃げてきた事柄。

国一つの重責、戦いへの恐怖、ウェールズへの想い……様々な理由で自らは逃げ、王女として生き続けいた。

だが、もうそれは止める、逃げることは止めだ。

愛していた人の遺志、立ち向かう勇気、守るべき正義……今の彼女にはそれらがあるのだから。

 

「ふふっ……ここまで来るのに、私はどこまで遠回りしていたのやら……情けない限りですが……でももう逃げたりしません……見ていてください、ウェールズ様」

 

亡きウェールズにもそれが伝わる様に、膝をつき、手を合わせ祈るアンリエッタ。

ふとベランダで何やら物音がした。

 

「ッ!」

 

ハッとして視線を向けると人影が見える。

アンリエッタは急いで、自らの杖を取り、それを向ける。

 

「何者ですか!此処がこのアンリエッタ・ド・トリステインの寝所だと知っての狼藉ですか!」

 

それを聞き、人影はゆっくりとアンリエッタの前に姿を現す。

アンリエッタはそれを見て驚愕する。

 

「ウェールズ……様……?」

 

「そうだよ、私だよアン……ウェールズ・テューダーだ」

 

そこにいたのは死んだはずのウェールズであった。

最初は驚いたものの、アンリエッタはすぐに警戒状態に戻る。

 

「……何故貴方が……死んだはずです」

 

「敵を欺くにはまず味方からと言うだろう?私は落ち延びていたんだ……死んだのは私の影武者さ」

 

そう言って昔と変わらない微笑みを浮かべるウェールズ。

確かに正しく外観はウェールズだ、だが口では何とでも言える、

アンリエッタはメインメニューを開き、今まで何度も使い慣れた動作でメールを打ち込みながら、ウェールズを見据える。

 

「証拠がありません……何より誇り高きウェールズ様が、その様な事をするはずがありません」

 

「では証拠を示そう……<風吹く夜に>……」

 

「……ッ!?」

 

ウェールズの言ったそれは、かつて二人が水の精霊が住まうと言う<ラグドリアン湖>で、逢い引きをする際に合い言葉として使ったものだ。

二人しか知らない秘密を、目の前のウェールズは知っていた。

その事態に動揺するアンリエッタ。

 

「そんな……でも……彼は確かに……!」

 

「大丈夫だよ……アン……」

 

近づいてきたウェールズに抱き締められる。

アンリエッタは心では強く拒絶していた、しかし身体が言うことを聞かない、本能がウェールズの身体を拒絶していなかったのだ。

 

「違う!貴方は死んだ!これは偽者!お願い動いて!」

 

「アン……愛している……永久(とわ)に……」

 

「んぅッ!?」

 

アンリエッタは唇を重ねられる、唐突なそれに、身体が緊張で固まりつつ、ウェールズの瞳を見る、その中には光が無く、生気が感じられなかった。

これを見て確信にいたる、目の前にいるのはウェールズの死体なのだと。

だが気がついた時には遅かった、彼の唇に睡眠薬でも塗られていたのか、意識が朦朧として来る。

 

「(助けて……騎士……さ……ま……)」

 

しかし、アンリエッタはこのまま終わらず、最後の力を振り絞りメールを送り出す。

自らを守ると誓ったイノセンスに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

一方でイノセンスはルイズと結に挟まれながら、眠っていたが、メールに反応して目を開く。

 

「(こんな時間にメールとは……ッ!なんだと!?)」

 

見たメールの送信者はアンリエッタで、余程焦っていたのか誤字も多かったが、意味は明らかにSOS、しかもウェールズが目の前にいると言う。

これは流石に異常事態だと、ルイズや結に悪いと思いつつも、起こさないようにこっそり一人で外に飛び出す。

 

「さて……こう言う時は、悪いが彼女の力を借りるか」

 

外壁付近まで走ってきたイノセンスは、大地を蹴り跳躍、その後壁走りで外壁を乗り越える。

そのまま近くにあるシルフィードの小屋に向かう。

シルフィードは眠っていたが、イノセンスが駆けてきたのに目を覚ました。

 

「あら?イノセンスなのネ!もしかしてあの有名な<夜這い>って奴なのネ!?」

 

「どこから仕入れたそんな知識……っと突っ込んでる余裕ない!シルフィード!王女が拐われたんだ!力を借してくれ!」

 

「えぇっ!?わ、分かったのネ!流石にそれは一大事なのネ!キュイキュイ!」

 

イノセンスの言葉に、シルフィードは起き上がり、彼を乗せる。

飛翔し、イノセンスに場所を尋ねる。

 

「場所は何処なのネ!?」

 

「マップとフレンドリストを見る限り、王宮からアルビオン方向に向かってるみたいだ、頼む!」

 

「了解なのネ!」

 

「(アンリエッタ……待ってろ、今助けてやる……)」

 

シルフィードはイノセンスの指示通りに全速力で飛び出す。

友に任された姫を救うため、イノセンスは向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でウェールズはあの後、アンリエッタを担ぎ上げ、外に待機させていたグリフォンに乗り、王宮から既に大きく離れていた。

このグリフォンは、かつてワルドを乗せていたあのグリフォンだ、主人が捕らえられ、行く宛が無かったため、現在はウェールズを主人としている。

 

「うっ……ここは……?」

 

「おや、アン……目が覚めたんだね?」

 

「あれ?……ウェールズさ……ッ!」

 

ウェールズの背中で目が覚めたアンリエッタは、段々と状況を飲み込めてきた。

そう言えば自分は今拐われていたのだと。

 

「その身体で、その声で、偽者の貴方がその呼び方をしないでください……!」

 

「怒っているのかい?アン……そんなに恐い顔をしないでおくれ」

 

強く睨みつけるアンリエッタに、ウェールズは表情を全く崩さない、常に微笑み続けている。

 

「……そう言えばもうすぐラグドリアン湖に差し掛かる……君と私の思い出の場所だね」

 

「もう、ウェールズ様は生きていません……そして貴方との思い出などありはしません」

 

アンリエッタは一見突っぱねるように冷たく切り返す。

しかしウェールズには、彼女が自分に言い聞かせ、事実を受け入れようとしている様に見受けられた。

 

「頑固だね、アンは……いや、無理をしていると言うべきかな?」

 

「……」

 

そして、ウェールズの考えは当たってもいた。

死体は死体でも、ウェールズには違いない。

かつてのアンリエッタならば、きっと四の五の言わず、彼を受け入れてしまったかもしれない。

だが、今の彼女は生前のウェールズとイノセンスに<強く生きてほしい>と言われている、故に堪えられているのだ。

 

「沈黙は肯定とみて良いのかな?ふふっ……抵抗らしい抵抗も無いしそうなのだろう……優しいな、アン……」

 

「……貴方に生前の記憶があるのならば、随分と余裕ですね……」

 

「?……まさかもう魔法衛士隊が追い付けると?最速の<ヒポグリフ隊>でもここまで離れればキツいだろう……それに万が一追い付いても……」

 

そう言ってウェールズが前を向くと、風竜に跨がったアルビオンのメイジ達が迎えにきた。

彼らもまた生気が感じられず、アンリエッタにはとても哀れに感じられた。

 

「彼らが私達を安全に逃がしてくれる、とても優秀な仲間たちだ……」

 

「そうですか……確かに魔法衛士隊は来ないでしょうね、ですが私が待っているのは、魔法衛士隊ではありませんよ」

 

「ほう……」

 

ウェールズは顎に手を当て、しばらく後に思いだし答えた。

 

「では、友である彼かな?しかし彼は今頃トリステイン魔法学院でゆったりしているだろう?」

 

それを聞いてアンリエッタは微笑する。

 

「やはり貴方はウェールズ様ではない……記憶から彼を思い出しただけで、彼に直接会ったわけではないから、彼の本質は分かっていないのです……」

 

「……本質?」

 

アンリエッタ笑って言った。

 

「イノセンスさんは、私達の常識では測れないのですよ」

 

ふと、月の光で出来た影が、上から迫る。

ウェールズはハッとして空を見ると、一匹の風竜の姿があった、そしてその背中から飛び出したのは、紛れもなくイノセンスだった。

 

「ッ!奴を撃ち落とせ!!」

 

メイジ達が一斉に魔法を放ち始める、しかしイノセンスは上手く身体を捻ってそれらを躱し、グリフォンに着地、焦ってウェールズは杖を抜くが、イノセンスはそれを蹴りあげる。

 

「あッ!」

 

その後迷うこと無くアンリエッタを抱え、飛び下りる。

綺麗に着地し、アンリエッタを見る。

 

「無事だったか、アンリエッタ」

 

「イノセンスさん、貴方を信じていました!」

 

と言いつつも不安だったのか、イノセンスに抱きつく。

ウェールズと違い彼は本物で、とても暖かく安心できた。

 

「やれやれ良かったよ、メールを見た時は冷や冷やしたからな……さてウェールズ、血迷い出たか……?」

 

イノセンスは降りたってきた、ウェールズと仲間のメイジ達を見据える。

 

「まさか君が来るとは……全く凄い男だよ君は」

 

「言ったろ?<大事な物を守るためなら、自分が思っている以上に力が出る物さ>ってな……まあ、お前に言っても意味は無さそうだが」

 

皮肉たっぷりに目の前のウェールズに言うイノセンス。

アンリエッタは今の言葉を聞き、内心喜んだ。

 

「君にアンを私から奪えとは頼んではいない、返してもらおうか……友よ」

 

「何が友だ、白々しい……俺が友と認める男は、俺とアンリエッタの中にいるウェールズだ……外側だけの偽りの魂のお前に、何故大事なこいつを引き渡すんだよ、勘違い馬鹿が」

 

イノセンスは怒っていた。

アンリエッタを拐おうとしたのはもちろんだが、あれが間違いなくウェールズの身体なのが、より怒りに拍車をかけた。

怒りに呼応し、ルーンが光りだす。

本能の牙を発動しながら、<金鵄>をウェールズに向けて構える。

 

「こいつが欲しけりゃ実力でこい、言っておくが、俺は容赦する気はさらさらないからな」

 

風が怒涛の如く巻き上がり、イノセンスとアンリエッタを包む。

暗闇の中、光輝く緑の双眸が死体達すら恐怖させた。

 

「ッ!や、やれ!怯むんじゃない!!」

 

「アンリエッタ、ここで待っていてくれ……すぐに終わらせてくる……安心しろ、風がお前を守るからな」

 

「は、はい……」

 

アンリエッタは戸惑った。

彼の慈愛に満ちた優しさ、暖かい雰囲気は正しくウェールズの様だったからだ。

それは、ウェールズとイノセンスの内面が似ていたのもあるが、彼の中に今だウェールズが生きているかの様な、そんな錯覚めいた物をアンリエッタは感じたのだ。

イノセンスは風を纏うと、一気に駆ける。

まずウェールズではなく、周囲の死体メイジから始末する。

敵が反応し、魔法を放つが、風が弾いてイノセンスには届かない。

真正面から堂々と一人ずつ斬り捨てる。

なす統べなく倒される仲間達をみて、ウェールズも恐怖を抱きだす。

気がつけばもうウェールズ一人になっていた。

 

「さて……最後はお前だウェールズ……来いよ」

 

イノセンスはゆっくりと威圧感を放ちながら、ウェールズに近づく、恐怖が増長し、拾っていた杖をイノセンスに構えるウェールズ。

 

「エア・カッター!」

 

弾かれる。

 

「エア・ハンマー!!」

 

霧消する。

 

「エア・ストーム!!!」

 

強風同士がぶつかり、弾け飛ぶ。

しかし、イノセンスは微動だにしない。

ウェールズは絶望した、自らの力が全く及ばないと言うよりも、イノセンスと自分が<次元が違う>事を見せつけられたからだ。

彼の前にイノセンスが立つと、<金鵄>をウェールズの前に構える、怯むウェールズを見ながら、イノセンスは口を開く。

 

「頼む、<金鵄>……救ってやってくれ」

 

イノセンスの言葉に<金鵄>が光って答え、次の瞬間、辺りを猛烈な光と爆音が包む。

 

「う、うおおおおおお!!この光はァッ!!!」

 

神々しい光に飲まれ、ウェールズから何かが吹き飛んだ。

イノセンスは近より、倒れ込むウェールズを支える。

 

「い、今のは一体……?」

 

アンリエッタは風が守っていたとは言え、光を完全に防ぐ事が出来ず視界が曖昧になっていた。

段々と明瞭になっていく、視界に映ったのは、イノセンスとウェールズが向かい合って立っている姿だった。

 

「……目は覚めたか?」

 

「イノセンス?……アン?私は何をしていたのだ?」

 

かなり戸惑っている様子のウェールズ、どうやらあの偽者の人格は、既に彼の中から消えたらしい、ここにいるのは正真正銘のウェールズ・テューダーだったのだ。

 

「う、ウェールズ様ァ!!」

 

「アン!!」

 

二人は強く抱き合う、互いの存在を確かめるように。

ウェールズの瞳には光が宿り、生気が満ちていた。

 

「これは奇跡なのですか!?貴方にまた会えるなんて!」

 

「ああ、そうだよ!きっと友が起こしてくれたんだ!君はやはり英雄だよ!」

 

「まあ、礼ならこいつにも言っといてくれ、俺もこいつにキスしてやりたい心境だしな」

 

そう言うと<金鵄>が点滅する、どういう反応かは不明だが、リアクションをしてる事は分かった。

金鵄を一旦納めた後、イノセンスも二人の間に加わる。

 

「会いたかったぜ、ウェールズ……また話したかった」

 

「私もだ、あの後が気がかりだし、ゆっくりと話したいところなのだが……あまり時間が無いのが残念だ」

 

「えっ?」

 

ウェールズは分かっていた、段々と自分が元に戻っていっている事に、人格を消し飛ばす程の魔力を身体から吹き飛ばしたのだ、残りの魔力は僅かで、生きた死体でいられるのも僅かなのだ。

 

「ウェールズ様……」

 

「やっぱそう都合良くは行かなかったか……まあ、今話せるだけマシだな」

 

「ああ、十分奇跡さ……アン、ここはもしかしてあそこの近くじゃないか?」

 

「……ええ、そうですわ」

 

ウェールズの質問に察して、アンリエッタは答える。

彼は微笑み、手を差し伸べる。

 

「では行こうか、<ラグドリアン湖>へ……真の意味で決着をつけよう」

 

「……はい」

 

アンリエッタはかなり躊躇したが、それではウェールズが安心して逝けない事は分かっていたため、頷き手をとった。

イノセンスはそれを黙って見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラグドリアン湖の前まで来たアンリエッタとウェールズは、互いに手を合わせる、二人は今かつてここで永久(とわ)の愛を誓った時と同じ状態であった。

 

 

「私はあなたを愛しております、ウェールズ様」

 

「うん、私も……愛していたよ」

 

<愛していた>……それは既に死んでいる故のウェールズの言葉、アンリエッタを想うがための愛ある言葉。

アンリエッタはその言葉を、胸に、心に、深く刻み込む。

 

「私は……その言葉を永久に抱き、貴方の分まで<強く生きます>……ウェールズさま」

 

「ありがとう、アン……これで私も安心できる」

 

アンリエッタの言葉に満足し、ウェールズはイノセンスを見る。

 

「ついでに永久(とわ)の友情の誓いもしておくかい?」

 

「要らないだろ、俺らにはそんなもん」

 

ウェールズの問いに、イノセンスはさも当然と言った感じで言い放つ、それにはウェールズも同意見だったのか、言うと思ったよと微笑む。

 

「アン……君はこれからが大変だろう……だから自分を支える信頼できる人を側に置くと良い……そして幸せになってくれ」

 

そう言ったウェールズは一瞬チラリとイノセンスを見る。

それに気づいたイノセンスは困った様に苦笑した。

 

「はい、ウェールズ様が安心できるよう努力します……そして、より良い国を作っていきます」

 

「うん……これで大丈夫だ……アンは強くなるよ……絶対ね……」

 

段々と弱々しくなるウェールズの声、しかしなおも微笑む彼に、アンリエッタも微笑みを絶やさなかった。

 

「私は……幸せ者だ……愛した者と……信じる者に……見送られながら……逝けるのだから……」

 

イノセンスも近寄り、ウェールズの手を握る。

 

「頼んだ……友よ……」

 

「ああ、守ってみせるさ、安心しろよ……」

 

「ありが……とう……ふたり……とも……さよ……な……ら……」

 

ウェールズの手が、力なく落ちて、彼は二度目の永久の眠りについた。

その顔は安らぎに満ち、とても美しかった。

ふと見ると、アンリエッタは俯き、涙を堪えていた。

どうやら彼が死ぬまでは微笑んでいようと、頑張っていたようだ。

イノセンスがフッと微笑むと、彼女の頭を撫でる。

 

「頑張ったな……もう良いぜ泣いても、泣いたら人は強くなるんだ……これから強く生きるなら、今の内に思いっきり泣いとけ」

 

彼の言葉に、アンリエッタは顔をあげ、一気に涙腺が崩壊した。

イノセンスは自分に抱きつき、泣き叫ぶ彼女を抱き締め返し、ずっと頭を優しく撫でた。

泣き止むまで、ずっと、ずっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウェールズの遺体はラグドリアン湖の水底に沈めた。

ここなら誰にも彼の眠りを邪魔されないだろうと、考えての事だ。

シルフィードを呼び、落ち着いたアンリエッタと帰ろうとしたら、後ろから何やら着いてきていた。

それはあのワルドからウェールズへと渡り歩いたグリフォンだった。

疑問に思い、システム名を確認すると黄色に変わっていた。

イノセンスが肉をやると<テイミングに成功しました>とハルケギニア語で表示された。

どうやら巡りめぐってようやく真の主人を得たらしい。

イノセンスはグリフォンも連れ、トリステインに向かった。

王宮に戻る途中、遅れてきたヒポグリフ隊に会い、二人は事情を説明した。

かなり大部隊で、王宮に帰還し、帰り際に。

 

「またお会いしましょう、<イノセンス様>」

 

と言って彼女は去っていった。

これに対しシルフィードは。

 

「イノセンスは一夫多妻でもいけるのネ?」

 

と発言し、イノセンスを再び噴き出させた。

学院に着く頃には完全に朝になっていた。

シルフィードと別れ、グリフォンはこの近辺で自由にしてろと命じて、火の塔に戻ってきた。

するとルイズの部屋が、やたら騒がしかったので、もしやと思い走って中に突入すると、明らかに取り乱した様子のルイズがいた。

 

「イノセンス!!どこいってたのよ!!?心配したじゃないの!!バカァ!!!」

 

ルイズはそう叫んで、抱きつき、叩き、蹴ってきた。

とにかく必死に謝りながら彼女を抱き寄せて、落ち着かせた。

しばらく時間が経ち、落ち着いたルイズに事情を話すと、納得いったらしく、安堵していた。

てっきり元の世界に帰ったのかと思ったらしい。

 

「ところでイノセンス……あんたから姫様と同じ匂いがするのはどうしてなのかしらねぇ……ね!?」

 

そして別件で彼女に問いつめられながら、イノセンスは昔の生活を思い出し、ここもあっちも女性は怒らせると恐いと、染々思ったそうな……。

 





原作ではもっと後の出来事ですが、この作品では先にやりました、この方が今後アンリエッタが登場させやすくなるなぁと。

選手交代、グリフォン入手、ルイズの嫉妬……羨ましいですね(笑)

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