ゼロの使い魔 本能の牙-extra-   作:新世界のおっさん

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ソードアート・オンライン 本能の牙-instincts-の第一章アインクラッドラストから分岐。

初見の方はそちらを見てから、こちらをご覧になるとスッキリします。

ではどうぞ。


剣の世界の使い魔
伝説開始


「君は彼らとともに生きたまえ……私のようにはなるなよ」

 

世の中にはもしかしたらと考える事があるだろう。

 

「茅場!あんたは!?」

 

幾重にも巡らされる可能性があって。

 

「私は、今更帰る場所もない……彼のもとへ行くとしようか」

 

選ばれることのない可能性もある。

 

「ふ、ふざけるな!!あんたどこまで勝手なんだ!」

 

だから、これは……そんな可能性の話。

 

「私たちの理想を君に託す……<また会おう>」

 

もしかしたらで起きた、別世界に行った英雄の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<ハルケギニア>……。

 

そこは現実世界とはちがう……所謂魔法が一般的なものとなっているファンタジーな世界。

 

魔法を扱うものはメイジと呼ばれ、王族や王家に仕える貴族の血筋のみがそれになれるのだ。

そのメイジを育てる学校<トリステイン魔法学院>、ここでは二年生への進級のための儀式として使い魔召喚<サモン・サーヴァント>、使い魔契約<コントラクト・サーヴァント>を執り行う決まりになっている。

そして、今日がその日であり……数多の生徒達が成功している中で、今だ出来ていない生徒がいた。

 

名を<ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール>と言った。

 

「今度こそ……決める!」

 

『無理だ、諦めろゼロ!』

 

『時間の浪費だ!実家に帰れよゼロ!』

 

本人は至ってヤル気満々なのだが、全く上手くいかず周りからヤジが飛んでくる。

 

「ミス・ヴァリエール……頑張っているのは私もよくわかりますが、これ以上は……」

 

「ミスタ・コルベール!お願いします!もう一度だけチャンスを!」

 

流石にこれ以上やっても彼女の傷を広げるだけかと、教師のコルベールが止めようとしたが、ルイズは最後のチャンスを要求する。

 

「……次が最後ですよ」

 

「! はい!」

 

許しを得たルイズは、呪文の詠唱の準備に入る。

そしてそれを見つめる赤髪褐色の美女<キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー>とその友人であり水色の髪に眼鏡をかけた美少女<タバサ>。

 

「ヴァリエールもしぶといわね」

 

「さっきので19回目……」

 

「ま、その根性だけは認めましょうか……」

 

そう言って、彼女を見守るキュルケ。

タバサは特に興味が無さそうに本を読んでいた。

 

ためにためたルイズは唱える。

 

「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ!神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!私は心より求め、訴える!我が導きに応えよ!!」

 

そうして杖を振ると20回目の爆発が起こってしまった。

 

『やっぱりゼロはゼロだな!!』

 

「そ、そんなぁ……あ!」

 

絶望にうちひしがれるルイズ、しかしよく見ると煙に影が見えていた。

 

「やった!成功した……わ?」

 

喜んだのも束の間で、そこにいたのは……。

真紅のローブを見に纏った謎の怪人だったのだから。

 

「だ、だれ!?」

 

怪人はしばらく制止していたが……今気がついたかの様にはっとし、周りを見渡す。

 

「……一体どうなってんだ?こりゃ……クリアしたと思ったらフェイクで実はここからが本番だとか言い出さないよな……?」

 

怪人はため息をつく。

 

「ちょっと!無視するんじゃないわよ!」

 

怪人が叫び声に反応すると、ピンクブロンドの髪の少女が立っていた。

キョトンとする怪人。

 

「誰だ?」

 

「それはこっちの台詞よ!あんたは何者なの!?」

 

「(……今までに会ったことないタイプだな、この娘は……素直に名前と素顔を晒すのが最善かな)」

 

ルイズがかなり喚くため、フードを外して名前を告げる。

 

「イノセンスだ……お嬢さん」

 

「……人間……?」

 

「? 当たり前だろ」

 

「じゃあ、貴族……?」

 

「自慢じゃないが、一般庶民だな」

 

ルイズの質問に当然の様に返すイノセンス。

その瞬間周りからドッと笑いが起こる。

 

『ぎゃはははは!!ゼロが平民を召喚しやがった!』

 

『末代までの恥だぜこりゃ!』

 

「ーーーーっ!」

 

周囲のヤジに顔を真っ赤にしながら、拳を握りわなわなさせるルイズ。

彼女は急いでコルベールに掛け合う。

 

「ミスタ・コルベール!再召喚の許可を!」

 

「それは許可できません、ミス・ヴァリエール……貴女は彼を召喚した以上責任を持ってください、そしてあれは最後のチャンスと言いましたよ?」

 

「うっ!それは…………分かりました」

 

コルベールはルイズを睨み、彼女の痛いところ突く。

 

ルイズは渋々引き下がり、イノセンスの前にやってくる。

 

「感謝しなさいよ!普通なら絶対絶ッ対!ありえない名誉なんだから!」

 

「? 良く分からないが……まあ分かった」

 

ルイズの言葉の意味は理解出来なかったが、とりあえず頷いた。

ルイズはいざコントラクト・サーヴァント……っと思ったが、イノセンスの身長が高く、届かない。

 

「……ちょっと、屈むか、膝まづきなさいよ」

 

「……こうか?」

 

イノセンスは、ルイズの前で片膝をつく。

すると、イノセンスはルイズに突然キスをされた。

 

「んむ!?」

 

「ん……これで契約成立」

 

イノセンスは突然の事にかなり驚いていた。

 

「(契約とか言っていたが、大して躊躇もなくしやがった……)」

 

そして、何故かイノセンスの前には<ハラスメント警告>が出ていたりしたが……。

 

「(……何か事情あるみたいだしNoで)」

 

すぐに消した。

 

ふと何となく左手に気持ち悪い違和感と音がしたので見ると、焼き印が刻まれていた。

 

「これが契約とやらの証か?」

 

「ほう、それは珍しいルーンですね」

 

コルベールが近づきルーンのメモをとる。

イノセンスは彼なら問題なく聞けると思い、質問する。

 

「なあ、契約って何の契約なんだ?」

 

「おや、聞かなかったんですか?貴方はそこのミス・ヴァリエールと使い魔契約を結んだんですよ」

 

「……え、使い魔!?」

 

「はい」

 

イノセンスの驚きの声に、コルベールは頷く。

 

「良くわからん内に、とんでもないことに巻き込まれたのかも知れんなぁ……」

 

イノセンスは、今後の展開に嫌な予感が満載だった。

ルイズがイノセンスの前にやってきてこう告げた。

 

「さあ、今日からキリキリ働きなさい!犬!」

 

こうしてSAOを解放した英雄が、ハルケギニアで新たな英雄になるまでの物語が始まったのだ。

 




と言うわけで書いてしまいました。

SAOを書いている時から、これをやる構想があったのですが。
本編でこれはアカンやろと思い、お蔵入りにした新規小説を引っ張り出して書き直しました。

もしかしたらIFなら許されると思って……(ウワナニスルヤメ

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