Fate/deep diver ~天月の逆杯~   作:幻想の投影物

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スランプです。
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ATLAS & JEWEL

 今日はどうやら、ラニと凛の戦いであるらしい。特別という訳でもないが、まったく接点がない筈のマスターが損得勘定とは言え、手段の交換や交友を交わしていた事が珍しかったからと、聞いてもいないのに言峰神父が教えてくれた。

 

「で、どうしろと?」

「今回の件において、抑止力としてのセラフはともかくムーンセルは不干渉を示している。近年稀に見る正真正銘の神秘を行使するお前を、観察対象として認めたようだ」

「嬉しい事言ってくれるじゃないの」

 

 だからどうしたと言わんばかりに両手を広げる。アンリは観察対象に認められたからと言って、別段胴と言う感情は抱かないのだが、やはり此方の世界は電子世界でのみ奇跡の行使が可能になった、「本編」とはかけ離れた世界なのだなぁという感慨深さは覚えていた。

 それだけを伝えるために来たらしく、神父の姿は既になかった。恐らくは彼女達の対戦を案内するため、玄関の用具室…もとい決戦場への扉の前に戻って行ったのだろう。

 

「……とにかく、行動開始はもう少し先になりそうだ」

 

 やーになっちまうねぇ、という呟きと共にアンリは歩き始めた。

 今日が対戦予定の凛。彼女にこの世界からの聖杯奪取と乖離の作戦を伝えたところ、そこから帰ってきた答えはこうだった。

―――不確定要素が多すぎるわ。これ以上の犠牲者も出さない案だけど、ハーウェイは此処で潰しておいた方が現実に戻ってからがやり易いし、何より何時か敵になるような相手に手を貸せるほど余裕がある訳でもないの。

 早い話が、此方の作戦を真正面から蹴られたと言えるだろう。だが、確かにその考え方は一般的なマスターとしての思考方法である。寧ろ進んでアンリに協力してくれる三鼓綾乃は生き残ったマスターの中では有り得ない程ひょうきんで、お調子者で、アンリ並みの非常識な考え方をしているともいえる。

 だが、彼女なくしてアンリの作戦が通用しないのが痛い所。寧ろ十人十色と性格や個性があるマスターの中で、比較的甘い感情を持っている綾乃が生き残って協力してくれていると言う事は、聖杯に掛ける奇跡に近い。彼女の行動動悸が「ありす」に執着している観点からこの先の行動予定を組むなら、決して裏切りやありすを連れて失踪を行ったりはしないだろう。

 

「その辺りのさじ加減も難しい所だなぁ。…な、お前らはどう思う?」

 

 そうして語りかけるのは、己の体の中にいる百数十億の魂達。しかし、それに関して話を聞いていた者は実に数万人程度。それ以外の魂はアンリの精神世界で各々が理想とする生活を享受しており、死んだ事にさえ気づいていない憐れな道化を振舞っている。だからこそなのだろう、アンリが時々ふざけておどけた言動を取るのは。

 そうして、道化と言う役に甘んじない数万人はしばらく話し合いを続けていたが、最終的には口をそろえてこう言った。「アンタのやりたいようにやればいい」と。

 

 結局、こいつ等もオレに任せるだけじゃねーかと苦笑しつつも、アンリは苦笑交じりに足を三階へと向けた。目指すはユリウスの気配のあるところ。四日前に奴は「試合を見る事が出来れば」と言っていた。

 それはつまり、ユリウス・ベルキスク・ハーウェイという男には試合中の相手の様子を見る事が出来る裏技が存在すると言う事だ。それがどれほど規格外でセラフという管理者の怒りに触れる行為なのかは、この虚構世界で生きる全てのマスターが熟知している。それでも反則を犯すのがユリウスがハーウェイの裏の顔たる所以。凛の話しで愚痴と対応交じりに付き合ってた時に、確かに彼女はハーウェイの知られざる顔をも語ってくれた。それは図書室などでは調べられない細かな部分の話だ。

 

 大きな組織には必ず黒い影が付いて回る。そうしなければいとも容易く会社どころかそこで動く人間さえ潰れて行くのが現在の地上の常識であり、その中でも一部大陸そのものの統治者として君臨しているハーウェイ財団は影が無ければ逆におかしい組織とも言えるだろう。

 

「その影の部分を一手に引き受けてんのがユリウスってか。…キャスター」

≪お傍に≫

 

 アンリが呼べば、確かに霊体化してもそこに居なかった筈の彼女がすぐさまアンリの横に付き従うように現れた。

 

「ありすは?」

愛の巣(マイルーム)でお昼寝中です≫

「ならよかった」

 

 英霊のステータスで言うなら「スルー:A」位のスルースキルを行使したアンリは、ありすの安全性が保障されるとほっと息をついた。校舎内でのルールブレイクを澄まし顔で行って見せるあのユリウスにとって、無防備で身体能力は見た目相応しかないありすを連れ浚い、自分達の人質として捕えることなど造作もない事だろう。

 だからこそ、守るべき人物が安全だと分かった途端にアンリは無茶をし始める。その一歩間違えば死んでしまうような事をキャスターとしてはして欲しくないのだが、そう簡単に「死」が訪れず、それでいて死の恐怖を何よりも理解しているアンリに向かってそう強く言う事も出来ない。アンリは悪感情を吸い取って身にかかる危険を減らすだけでなく、本当に危ない時の引き際は十分に心得ているのだから。

 だから、彼が考える計画に直接の参加は出来なくとも、自分にやれるだけの事はしたい。所詮は心の底から認めた主以外の人物がどうなろうと知った事ではないが、他の人物の為に粉骨砕身、時には道化や悪役さえ演じようとするこの主に使える事が出来るのなら、彼女は精一杯の援助をする心がけだった。

 

≪あの男は三階の視聴覚室だと思います。いやな魔力の乱れがビンビン伝わってきてますから…確証はありませんが、この薄気味の悪さはおそらく≫

「サンキュー。こっからが本当の作戦開始だな」

 

 そうしてアンリは視聴覚室前に辿り着いた。

 なるほど、確かにこの中からは魔術に携わる者ならすぐに理解できる異様な魔力が漂っているらしい。しかも、その質は通常の魔術師なら近づくことすら嫌悪するほどの異様な気配だ。

 既に対戦は始まっているのか、この辺りにいる筈のラニの姿はなかったが、この際は気にするべき問題でもないだろう。どう突入すべきかを迷っていると、当所目の前の扉が開き、中から出て来たユリウスとアンリの視線がぶつかり合う。

 

「…貴様は」

「よ、お目当ての映像は見れたかい?」

 

 臆することなく、アンリは正面からジャブに見せかける事もしないストレートを放つ。

 その言葉で不快そうに顔をゆがめたユリウスは、次の瞬間にはどうでもいいだろうと言う顔つきに変わり、結局は不可能だった事、後は好きにすると良いと言ってその場から離れて行った。

 流石の彼と言えど疲労した状態を敵に見せる程油断していなかったようだが、試合の様子を覗く為にどれほどの労力を費やしたのか、アンリには手に取るようにユリウスの魔力の消耗具合が理解できた。

 その手柄や手段をこれから奪おうと言う訳だが、そう考えて少しばかりの罪悪感が込み上げてくる。

 

「使えるかどうかは別なんですけどね」

「それを言っちゃあお終いだろうよ。まぁ普通の魔術師とはかけ離れたマスターだから仕方ねえかも、だが」

 

 そうは言いつつも、ここまで来て止めましたでは話にもならない。アンリは扉に手を掛けて視聴覚室の中に入ると、カタカタと音は立ていても実質起動していない映写機が目に入った。

 その映写機はおおよそ近未来でも実現し得ない仮想現実の中にある物体としてはどうにも古臭く、パソコンとつなぐタイプではなくフィルムを回して映像を投影するタイプの様に見える。それがカラカラと無限に減らないフィルムを回し続けているようすは、いささか滑稽なようにも見える。

 

「ご主人様、気を付けて。この映写機、見た目はただの古臭い年代モノですけど、使われている術式はかなり複雑です」

「…みたいだな。ここは慎重に―――触るか」

「え」

 

 そう言って、アンリは映写機の様子を直に感じるためにその一部に触れた。瞬間、かなりの容量を持っている筈の脳をデータでパンクさせるほどの負の概念が襲いかかってきた。世界一高い山の雪崩のように、この世の人間全ての悪感情が流れ込んでくる。後に精神発狂や廃人化は免れないだろうメンタル面においてのデストラップは、容赦なく泥の塊であるアンリに付随する精神を直撃した。

 しかし、哀しいかな。彼と言う自我は悪神と言う前提のもとに構成されている。彼自身に向かって剥かれた悪意の牙は、その身を象牙と変化させてアンリと言う個人を補強するための魔力へ還元、吸収されてしまった。

 それら全ての工程が内部で行われた事で、一度彼の人間を模した体は存在がぶれたように震えてキャスターに不安を抱かせたが、その現象もすぐさま収まる事になった。

 

「ちょっと頭痛ぇ。今のは生身の体を直接容量オーバーさせる罠だ、ってか」

「ご無事で何よりです。そう言えば、ご主人様は異世界からの参戦でしたから此方の世界に生身もないんでしたよね?」

「幾ら負を喰らうと言っても、正真正銘人間の体でこっちにアクセスしてたら生身がやられてたな。つくづく体の方は人外で良かったもんだ」

 

 そして、そのトラップに耐えきった褒美をつかわすと言わんばかりに映写機がキィィィィ! と甲高い音を立てて高速回転を始め、目の前のスクリーンに映像を投影し始めた。その中に映っていたのは、自分の誘いをもっともな理由で断った遠坂凛と、ダンの時に手を貸してくれたラニ=Ⅷという二人の少女。

 イメージカラーが紅白と対照的な二人だが、この戦いに臨む点においては決してどちらも譲らないと言う共通点を持っている。熱意的でヤル気に溢れた凛と、達観的で冷静なラニ。一触即発の状況下であるというのは、本来ありえない第三者視点で見ているアンリ達にも容易に理解する事ができた。

 

「遠坂嬢のは赤い槍にルーンの加護(もじ)が籠ったイヤリング付けたランサー辺りか。どう考えてもケルトの大英雄クーフーリンだな。同じ“りん”繋がりってか、笑い話にもなりゃしねぇ」

「もう一方のサーヴァントはバーサーカーのようですね。理性の無い瞳で一目瞭然です。……正体は、なんでしょうか? 中華系の鎧を着こなす武人の様ですが……」

「お、双方動くぞ」

 

 アンリの言葉と共に、血を蹴ったかと思えば次の瞬間にはバーサーカーの懐に槍を突き出していた。最速のクラスであるランサーの名を濁さぬ俊敏な一撃、それは狙い違わずバーサーカーの鎧を打ち据え、しかし、一部を抉り取って弾かれる事になる。

 その反動さえ感じさせぬ連続刺突を繰り出したランサーに対してバーサーカーは為すすべなく固まっているだけかと思われたが、その手に握った弓の様な巨大な武器が組み換わり、番えた矢が穂先となって槍へと変貌した。そうして剛腕を以って振るわれた一撃に、身の危険を感じたランサーが攻撃を受ける事はせず、凛の指示で受け流して後退する。その際には力負けしそうになって、彼の表情が強張っていた瞬間がアンリ達には見えていた。

 

「一進一退。実力が拮抗している状態か――――」

『砕け、中つ槍!』

 

 アンリが呟いた瞬間、魔力を槍に回したランサーが体勢から独特の力の込め方によって威力を増した刺突を跳びこみながら繰り出していた。バーサーカーは先ほど通りに受けるのかと思いきや、ラニの手がすっと動いた瞬間に鈍重な見た目にそぐわぬ速度でその槍を回避する。一直線に向かった槍は地面に突き刺さるが、何の抵抗もないかのように土を捲り上げながらランサーが槍を引き抜き、振り返りざまにバーサーカーへ攻撃を加える。やりに変形したままの状態で攻撃を受け止めた狂戦士は、雄たけびを上げながら鬱陶しい子ハエを払うが如く槍を周囲に薙ぎ払った。バーサーカーの攻撃には巻き込まれた風が波濤となって追従し、必死に射程範囲外へ後退したランサーを襲う。避け切れなかった彼は吹き飛ばされると、凛が立つ後方の壁へ吹き飛ばされ、当然のように激突した。

 

『くっそ…やりやがる。面白くなってきたじゃねえか』

『無駄口叩いてる暇があるなら、さっさと攻勢に戻る! ―――Anfang』

 

 凛が魔術を施し、ランサーの体が赤い光に包まれる。慎二が使っていたプログラム付加とはまた違った、魔術らしい魔術。其れを受けたランサーは確かめるようにバーサーカーへ向かうと、正面から向かっていた筈の体を後方へ移動させ、バックアタックを決めていた。

 

「…これは、あの遠坂凛のサーヴァントが勝ちますね」

「だな。ラニには悪いが、バーサーカー側は定石(マニュアル)通り過ぎる指示。対する遠坂嬢は状況を独自の方法で対処して次の手に繋げる機会をうかがってるな。ラニのサーヴァントはバーサーカーらしく圧倒的な地力で戦局を運んで行ったんだろうが……」

「あちらも相手があれでは対処しやすいことこの上ないでしょうね。あーあ、何ですかこの出来レース」

 

 再び画面を見つめれば、ランサーの速度が上がっている事が分かる。英霊となって身体能力が向上したからよかったものの、生身だった頃であれば軌跡を追う事さえも億劫だっただろう。それほどの速度で振るわれる、二つの暴力。ランサーとバーサーカーの見立て通りと言ったところか。凛のランサーは手数で勝るが、ラニのバーサーカーに自力で劣る。ラニのバーサーカーは一撃が重いが、凛のランサーに一歩追いつけない。だが、凛はそれから状況を十分に覆せるだけの作戦を練っていた。

 だからだろうか、既にラニの瞳には敗北の色が色濃く表れていて―――覚悟を決める。

 途端に画面越しでも伝わる魔力の波動が強まった。その大源(マナ)が消費される感覚は宝具を使う時の状況に似ているが、明らかに違うと判断できるのは目の前の光景が証拠を映し出しているからだろうか。

 

『……申し訳ありません、師よ。あなたにいただいた筐体(からだ)と命を、お返しします。―――全高速思考、乗速、無制限。北点に舵を(モード・オシリス)

 

 普通の音声とは別に、鼓動の音が響き渡った。

 心臓の音を想起させる連続音の発信源は、当然ながら不可思議な魔術詠唱を行っているラニという少女その物から聞こえてくる。

 

「…これの被害はどう見るよ? キャスター」

「……むむむ、あの魔力量だと、瞬間的に収束、開放してもあのアリーナで対戦相手諸共自壊が関の山でしょうね。多分、セラフはあの空間ごと切り捨てる事で他への被害を抑えるでしょう。アリーナがその都度造り変えられる事と同じく、電脳空間なんて幾らでも作りようがありますから」

 

 キャスターの言葉に、それが妥当なのだろうなと冷静な瞳で二人を見つめる。

 確かに、正に命を投げ出して収束させる大量の魔力があればどんな大魔術でも人のみで行えそうな錯覚さえ覚えるが、生憎と魔術の世界はそんな御伽噺(ファンタジー)な物ではなく、現実的な等価交換の世界だ。対面している凛は絶体絶命に感じる程の魔力は、確かに驚異的だろう。

 だが、それだけだ。ラニの命がけの自爆は、所詮「一人分の魂」しか使用されない。本当に大魔術を使用する魔術師と言うものは数十人、もしくは街一つの一般人と言う材料を使って根源に至る為の非道と呼ばれる手段を用いる。それでさえ被害は一つの機関の手に負えてしまう程度の規模なのだから性質が悪い。

 

『ランサー、令呪において命ずる。あの子の心臓を穿ちなさい!』

『得意分野ってトコか。にしても日の国のカミカゼって奴をしてみるのもまた一興!』

『ちょ、あんたピンチなの理解してる!?』

『だからこそ燃えてくるってものだろ? さぁーて、お手並み拝見…!』

 

 思考にふけっている間に、凛は決死の覚悟を決めていた。

 令呪まで使用して命じた内容は、ランサー…クーフーリン十八番の心臓を穿つと言う行動。宝具の絶対性をより確かな物にする、それでいてランサー自身のモチベーションを最高潮にまで引き上げるその行動に応えるためギチギチィッ! とランサーの足の筋肉が軋みを上げる。やり取りを聞いていたバーサーカーは理性が無い筈でありながら、ランサーの邪魔をしようと一直線に走って行ったのだが―――緊急事態が発生する

 

 ―――WARNING!WARNING! ムーンセルへの直接攻撃が認められました_システム強制ダウンします_システム強制ダウンします_……

 

『はぁ!? 何よソレ―――!』

『…チッ、つまらねえ真似しやがって』

 

 絶句する凛の隣で、盛大な舌打ちをする事で興が削がれたとランサーが表現する。ランサーが駆け抜けようとした先では、セラフが張った強制シャットダウン用の障壁がラニ側に敷かれ、凛側では勝者としてエレベーターの扉が開かれているらしい。

 だが、いくら納得のいかない結果になったにしても凛が勝利したと言う事実は変えられない。彼女はラニ側から消去され始めたアリーナに何時までもいる事は出来ないだろうと早々に結論を下し、渋るランサーを霊体化させて勝者のエレベーターに乗り込んで行った。

 

「…こんな結果とはなぁ」

「おや、あの人形みたいなのに興味があったんじゃなかったんですか? ドライっていうのは聖杯戦争に生き残るために必須な技能ですけど、ご主人様がそのような反応をなさるとは少々予想外ですね」

「良く判ってるじゃねえか。…だがな、絶対に手を伸ばせない事に消費する、なんてのはどうしても出来ねえ。この体がオレだけなら良かったが、下手に魔力を恐ろしく使うような真似をすると、中の魂が輪廻に戻る前に擦れて無くなっちまう」

「なるほど、文字通り“身内”を取ると言う事ですか。……それならば仕方ないでしょうね。私とて、有象無象の人々と愛する人を天秤にかけるなら、当然ご主人様を取りますから」

「ただの喰人鬼に有難いお言葉どーも」

 

 だが、こうしてふざけが混じっていても、自分と言う存在を肯定してくれるキャスターにありす。二人は幾多の世界を渡ってきたアンリにとって支えでもあった。

 これ以上この場にいてはラニ側の視点と繋がったモニターを介してラニの自爆の余波が襲いかかってきそうなので、生き残った凛の情報も十分だと言う事で撤退を選択。せめて映写機を止めて被害を抑えようと停止させる手順に入ろうとした時、ふとアンリの視線はスクリーンから感じる違和感を捕えていた。

 

 そこには、確実に此方を見つめる、ラニの姿が。

 

「―――ッ! キャスター、防護結界をはれぇぇぇええええ!!」

「な――――」

 

 ラニの手は発光している。そして、霊体化しているのか目には見えないが、スクリーンから伝わってくる明らかな重圧(プレッシャー)。それはつまり、サーヴァントに令呪という奇跡を用いた命令を下したということの証明に他ならない。

 

 QED.証明終了の符号がアンリの頭の中で浮かんだ瞬間、スクリーンは目を開けていられない程の光に包まれ、視聴覚室には最大級の爆音が響いたのだった。

 




急展開はお手の物。
だってこの先書きやすいんだもの みちゅぉ

fateっぽい言い回しを日々研究してますが、無理です。
このままずっと面白おかしく道化のようにみんなで書いていきます。

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