Fate/deep diver ~天月の逆杯~ 作:幻想の投影物
こんなにもオリジナル臭が……くっさぁ!?
※後書きにこれまで使ったアンリの宝具の詳細、その他。ネタバレになるようなことはありませんので、ご安心を。
他の対戦者を考慮した日程合わせのために空いた二度目のブランクデイ。昨日はとんだ爆弾発言をかましていた事でキャスターに首を掴まれながら振りまわされていたが、何とか二時間後には解放してもらい、詳細をそのままの勢いで言ってしまうとまた混乱しそうなので次の日に、という流れでこの日の朝がやってきた。
台所に朝食を食べ終わった食器を置いて、洗剤も水もつけずに自分の泥に戻して霧散させると、元は皿だった物についていた汚れだけがシンクに落ちた。今朝は魚を使っていなかったので骨などを生ごみ用「プログラム:ごみ箱」に突っ込む事をしなくてよかったので、そのままシンクに水を流して溝に落とす。ざぁぁぁ…きゅっ、と蛇口をひねってエプロンを外すと、日本の誇る家族団欒の場「ちゃぶ台」の一角に体を落ち着けた。
「暇ですねぇ。ご主人様のお言葉さえなければ」
「日が空いたの初めてだね。お兄ちゃんがびっくりするような事言ったけど」
「お前らもう許してくれよ……」
「「ダ~メ♡」」
ねー、と頷き合う二人を眺めながら、一体どこでそんなに仲良くなってきたんだと小一時間ほど問い詰めたい気分になったアンリだったが、聞いたところで女の園の話は「基本精神は男」である彼にとって理解が及ぶ範囲ではないだろう。
――ま~、考えても仕方ねぇよなあ……
いつも通りの決して丁寧とは言えない口調でしょーがないしょーがないと自分を納得させた彼は、とにかく詳細をはっきり話してしまおうとどっしり腰を落ち着けた。雰囲気がそれで変わったと感じ取った二人はそれぞれに楽な座り方――正座や横座り――で上半身はアンリの方を向くと、それではと前置きを語りだした。
「まず、この聖杯戦争だが実に合理的な考えだと思ってる」
「それは私も同意です。負けたとしても所詮はそこまでの輩。そして八回の勝ち抜きでは幸運だけに頼るような真似は出来ず、実力を認めることになるのですから」
「そういうこった。死んでいった奴には悪いが、そんな中途半端な気持ちで聖杯を手にする奴がいたとするなら、地上は願望機の歪んだ結果で崩壊するだろうからな」
「しつもん!」
「はい、ありす君」
まぁ彼女には話しが難しかったのだろうなと言うアンリの想像とは裏腹な事を言った。
「優勝した人が悪い人だったら、それでも聖杯は願いを叶えてくれるの?」
「……っは、…ああ、いやすまん。まさかそんな事聞いてくるとは」
咳払いで本来の調子を取り戻すと、言葉を選んで聞かせる。
「悪い奴が聖杯を手にしても、所詮聖杯は人間が何かを言わない限りは何もしない道具と同じだな。だから例えて言うなら悪い人が銃を持っていても、それが犯罪に使われるようにな。聖杯もまた、何も逆らうことなく人のお願いを何でも聞いちまうんだ」
「そっかぁ。それじゃお兄ちゃんが使ったら大変なことになるんだねっ!」
「……まぁ、オレ自身は悪い奴を背負ってるだけなんだが…そんな感じで思っててくれ」
肝心なところで幼いながらの解釈をするありす。彼女に対する誤解はこれからゆっくり解いて行けばいいだろうと思って、一旦は話の論点を戻すことにした。
「で、そんな聖杯戦争を決めるシステムはこの際に限っては邪魔になる」
「それはまたどうしてでしょう?」
「この勝ち抜き戦自体を無くして、さっさと聖杯の間に辿り着きたいからだな。そうすりゃこのバカげた戦争も聖杯側から捜査して、マスター達をログアウト、オレはこの詰まらない電子世界からこの三人でおさらば出来るってわけだ」
「……その後の聖杯は?」
「誰もアクセスできないようにロックを掛ける。下手に人類に使われないようにダイブそのものを出来ないようにするつもりだ」
その操作方法は判明していないが、おそらくはハッカーの使っている投影キーボードへの手動入力が主な方法なのだろう。だが、アンリはその術を知らないのは全員が理解している。ならばどうやってその難解な方法を使うかと言う事になるが、彼はそれに関しても対策を講じてあったようだ。
「だから、後一回戦だけ勝ち抜いた後に、もしくはこの予定調整日の間に他のマスターから方法を教わって、さっさと聖杯にアクセスできる場所へ行く」
「…成程、ご主人様の“悪意を吸い取る”宝具なら、相手は嫌がることなく教えてくれるように思考誘導も可能ですからね。しかしそれだと、聖杯へ到達する道をどうやって開くか、という事になるのですが」
「それが、昨日からやってる校舎に手を埋め込む作業だ。あの中には百人分の魂から抽出した魔力を凝縮したものを埋め込んで、何もしないという“空白のバグ”として留まってもらっている。ああして大穴開けたところに、協力者のウィザードの手を入れるってわけだ。本当はキャスターに頼もうかと思ったが、スキルを見る限り“内面型”だろ?」
「…恥ずかしながら、私の呪術では他のマスターの様な干渉プログラムは組めませんからねぇ。魔術との違いがここで仇になるとは…申し訳ありません」
「その面オレのメンタルと我儘に付き合ってくれる甲斐性があるだろ? それで十分さね」
「そうだよ、お姉ちゃんは頑張り過ぎたらダメ。あたしは余裕がないお姉ちゃんは何か違うと思ってるよ」
「…心に沁み入りますぅ。ご主人様ぁぁああ!」
「ハリセンっ」
ガバッと抱きつこうとした彼女を迎撃すると、頭から煙を上げる彼女を無視して彼は話を進めて行った。
「ま、こんな行き当たりばったりの作戦だが、協力者候補としては遠坂嬢、ラニ、ユリウス辺りに絞られるな」
「うぅ……って、あれ? あのいけすかない橙色の少年はどうなんですか?」
キャスターの言い分はごもっとも。レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ。あの少年は今回の優勝候補と言っても過言ではない程の実力を持っており、その名を知っている全ての参加者から一目置かれている程の存在だ。円卓の騎士最高クラスの「ガウェイン卿」を引いた事も含め、あのダン・ブラックモア卿までもが称賛するという事は、よほどの実力者であると言う事が伺える。だが、今回はその完璧さが逆に仇となってしまうのだ。
「ありゃ駄目だ。ハーウェイの言いなりってわけでもないが、本気で心情を曲げる要素が見つからん」
お手上げとはこう言う事なのだと語るアンリの姿は、完全に彼に対しての勧誘を諦めている様子だった。だが、別に嫌いと言う訳でもない。ひたすらに一つの目標に打ち込んで己の考えを曲げない意志の強さは好ましい所だが、絶対に目標を同じくする者以外とは道を交える筈もないと言う事を表している。時折差しいれにお菓子を上げて腹から懐柔しようとはしていたが、それでも感情のぶれは一切見当たらない。
アンリの事は、対等な好敵手としてしか認識していないようなのだ。
「そんな感じで、対等に見られるのは嬉しい限りなんだがなぁ。あんな精神がナイロンザイルより図太い奴、どうやって意志を曲げろっつうんだよ。つうかまずこの戦争自体が馬鹿馬鹿しい証じゃねえのかああそうだよなじゃねぇとこれ作った奴自体が頭おかしい事は確定してるから嫌になるどころの話じゃねぇってのあーもー何でこんな世界にぶち込まれたんだありすとかキャスターに会った事は嬉しいが仕組んだ奴だけは本当ぶっ殺してやりてえわここまで個人に対して殺意が湧いたのも久しぶりだっつのマジ死ね大会運営者氏ねじゃなくて死ね」
「ご、ご主人様落ちついて! ハイライト消えかかってますから! ……でも、会えてうれしいって言うのは共感できますぅ……」
「お兄ちゃん怖いよう……」
頭を押さえてありすはガタガタと震えているが、それにも気付かず溜りに溜った鬱憤を吐き散らかし始めたアンリは、一切止まる様子を見せない。何故か同様にトリップし始めたキャスターもまたありすの恐怖感を募らせてしまい、あの優しかった筈の二人がここまで豹変するなんて思いもしなかった。とこの二人に助けてもらった事を少し後悔した。
だが、このままずっと震え続けても仕方がないだろうと思ったありすは部屋を出て、また時間が経ってから戻ってこようと言う判断を下す。ならば早速と呪詛を吐き続けているアンリの懐から端末を取り出すと、持ち前のワープを使って部屋から脱出したのだった。
「…っと」
着地、ウサギから逃げて辿り着いた穴の先では、不思議の国は別に広がっていなかった。適当に場所も指定せずに転移したのは良いが、訪れる事になったのは校舎から出て来た弓道場近くの運動場。三回戦の時にここもかくれんぼに使えばよかったかなぁ、と言う事を思いつつも、一度も入った事の無い弓道場へと足を踏み入れた。
彼女が入った瞬間、タンっと小気味のいい音が響く。その音源の方を見てみると、ほぼ的のど真ん中に命中した矢が小さく振動しながら突き刺さっており、それもしばらくするとプログラムの破片となって消えて行く様子が見えた。突き刺さった的も修復されているのか、矢が刺さった穴の様な物は見受けられない。
ありすが一連の流れを見ている事に気付いたのか、一人の人間が無防備な彼女に向かって歩いてくる。それは彼女の後ろに忍び寄る様に近付くと、一気に両手を広げて―――
「生きてたんだ、よかったぁ~!」
「ふわぁっ!?」
ありすを抱きしめた。
突然の拘束にびっくりして抵抗しようとジタバタもがいたが、ありすの非力な力では
「きゃぁあああああああ!」
「あ、あれ選択誤った!? ちょ、お願いだから落ちついてー!」
ようやく我に返った彼女が叫ぶありすを収めようと慌て始めたが、一度感情の爆発を起した子供と言うのは、鳴きやむために要するものが言葉ではなく一定以上の時間に置き換わる。まったくそう言った事には対処した事が無かったのか、ただ慌てることしかできなかった。
「…何をしているのだ、マスター」
「アーチャー、勝手に出てきちゃ……」
「いつもの硬い口調が崩れておるぞ。この童子が無事と分かって喜んでおるのは分かるが、少しは慎みを持てぬのか」
「今時の日本女子なんてこんなもんだって。それより、油断されないようにってあの硬い口調はかなりキツイの!」
「…まったく。…そこな幼子、儂のマスターの非礼は詫びよう。いい加減に落ちついてもらいたいのだが」
弓道場で弓を引いていた女生徒のサーヴァント、アーチャーはそう言ってありすを泣きやませる為に正面から向き合った。彼女の目線と同じ高さにまで腰をおろし、対等に見つめる様子は出会いたてのアンリのしていた対応によく似ている。そして目の前の見知らぬサーヴァントの中にアンリの面影を思いだしたありすは、ようやく我を取り戻していた。
「……あ、あの、ごめんなさい」
「よいよい。幼子には笑顔が良く似合うものであるからな。我がマスターは少々元気が過ぎるようだが」
「さっきはごめんねー」
ありすの頭を優しく撫でまわし、女生徒はなんとか彼女の機嫌を取ることに成功した。そうしてやっと話のできる相手になったと感じると、彼女は座り込んでいるありすに手を指し伸ばす。
「アタシは
「先の紹介の通り、儂は此度の聖杯戦争、アーチャーとして現界した者だ」
「あたし、ありす。さっきは驚いちゃってごめんね、綾乃お姉ちゃん」
「…あれ、いきなり名前呼び!?」
それは仕方がない。ありすにとっての「お姉ちゃん」は既にキャスターで埋まっているのだ。それを伝える事も思いつかなかったため、彼女――三鼓綾乃はそんなに自分で軽く見えるかなあ、と自問自答し始めそうになっていたが。
「とにかく生き残ってたんだね。対戦相手はあの見るからに素行の悪そうな全身刺青男だっけ? 怖かったよねー。殴られたりしなかった? 絶対あの男って見た目的にも最悪の奴で――」
「お兄ちゃんはそんな人じゃないもん!」
当たり前のことだが、どうやらアンリは見た目通りの不良っぽく見られているようで、こうした常識的感性を持っている人物にとってはそんな最悪の印象を持たれているらしい。だが、それを引き合いにして気がかりだった女の子が何とか生き残れた事に対して褒めて話しを繋げようとした彼女の企みは、本当のアンリの姿を知るありすの鶴の一言によって砕け散った。
彼女は真実を知らないので、とにかくあの男の話題はタブーだという認識と共にうっかり本音の一部を口にしてしまう。
「あちゃ、また地雷踏んだ」
「…あれほど儂があの男を見た目で判断するなと言っておったと言うに……」
「いっけね、失敗失敗」
「……綾乃お姉ちゃんはありすになんのようなの」
そして、ありすが親しい人物を口悪く言った相手に対して警戒心を張るのは当然の結果とも言える。そんな近寄らないでオーラを放出している彼女へ今度こそどう言う話題を繋げようかと思案している綾乃の感情をパスで受け取ったアーチャーが、溜息まじりにありすへ声を掛けた。
「ありす、と言ったか。ヌシは先の戦いをどうやって勝ち抜いたのだ?」
「ううん、ありすは負けたよ」
「…何?」
「え、じゃあなんで生きてんの!?」
「マスター、少し話しを聞きたいなら黙っておれ」
それにしても、これは奇怪な事を言う。目の前の少女が途端に疑わしい者として認識したアーチャーは、心の中でそんな考えを持つに至る。負けたのなら、本来はセラフが消去してしまい、ただのデータの残骸へと分解するのが此処の決まり。だというのに、敗者である筈の彼女は此処にいると言い張っているのだ。
「お兄ちゃんが殺して、
「…与一、何言ってるか分かる?」
「どうにも。それよりマスター、真名で呼ぶなと何度言えば分かるのだ」
「いっけね」
正直なところ、事情を知らない者にとってはありすは対外的には電波ちゃんとして扱われる運命である。それは制作側も電波少女として公式発言…げふんげふん。それはともかく、事情が呑み込めないこの主従は自分たちなりに解釈を行ってみたところ、以下のようになった。
曰く、彼女は確かに負けたが、何らかの方法で助け出されて現界に至る。連呼していた
上記の彼女らの予想はあながち間違っていないが、それでも真相には至っていない無難なところであるとも言えるだろう。
「まぁ、大変だったってことかな?」
「……そうだよ。大変、かな?」
「どちらなのだ…」
与一、と呼ばれたアーチャーは頭が痛いと額を覆った。
彼女と会話するには精神汚染B位のスキルが必要ではないかと自分たちの頭を疑い出した時、ありすには悩んでいる彼女の身体的特徴に興味を引く点があった。そんな好奇心に満ちた視線を感じ取った三鼓綾乃が視線をたどった先に会ったのは、自分が握っている弓。弓道の練習を付けている最中に彼女が訪ねて来た事で有耶無耶になってしまっていたが、本来の彼女らはここで弓道の練習をしていたのだ。
「……触ってみる?」
「うん!」
この世界、ムーンセルの管理はどこまで行き届いているのかは知らないが、彼女が普通のハッカーのようにカタカタと投影キーボードを叩いて道具引き出しをオーダーすると、ありすに見合った大きさの弓が出現した。それを彼女に握らせると、アーチャーに目配せして二人っきりでしばらくの時間を過ごす。ありすは、そんな初対面の相手を前にして面食らったところはある物の、少なくともアンリ達が落ちつくまでは楽しい時間を過ごしていたようだった。
夕方頃、烏の疑似的な鳴き声が弓道場の外から聞こえてくる。集中していた二人は気付かなかったが、いつの間にか夕方にまでなっていたようだ。そのことに気付いた綾乃は弓をおろし、あららとつぶやいた。
「あちゃー、昨日勝ち抜いたから対戦相手は決まってないけど、まさかこうして過ごす日が来るとはねぇ」
「綾乃お姉ちゃん、四回目も出るの?」
「まーね。意外とお姉ちゃんは強いんだぞー?」
その言葉に偽りはない。彼女は中々に面倒臭がりながらも練習や鍛錬は好きと言う矛盾した性格で、相手の情報を集めないままにこれまでの三つの戦いを勝ち抜いて来ていた。つまり、サーヴァント含め自分の実力のみで此処まで勝ち抜いてきたという猛者である。情報に頼る真似はせず、臨機応変に闘った事で敵の嘘の情報に踊らされる事もなく――正確には情報など最初から信じず――勝利を収めて来ている。彼女が戦った相手は確かに殺した事になるのだが、綾乃はそれを自覚したうえで死を悼みながらに勝ち抜いてきた。そんな油断の無い相手だから、もしアンリが彼女と闘う事になれば、英霊としてのスペックを使っても負けてしまう可能性は高い。あくまで「英霊としてのスペック」を使った場合に限るだろうが。
「うん、そろそろ帰った方がいいかもね。ほんとの夜に出歩くマスターもいないし、寂しいかもしれないから」
「……ねぇ、綾乃お姉ちゃん」
「なにかなー」
「さっき、あたしに弓くれる時にカタカタしてたよね」
「ハッカーなら常識だよ。結構アタシは得意な方だけどさ」
「……そっか! また会おうね!」
ありすは良いものを見つけた、と言わんばかりに目を輝かせると、端末を握りしめていつものように突如ワープを使った。そんな不可思議な現象を起こしたありすに対して、やはり一般のマスターとして驚くべき点は見たものの、彼女が元気そうならいいかと綾乃は道具を片付け始める。着々と帰り自宅が進んで行く中、彼女はアーチャー、と呼びかけた。
「どうしたのだ、マスター」
「あの子が生きてて良かった、って思うのは人としてあってるよね?」
「あのような幼子が聖杯戦争に参加していることこそ、嘆かわしい事だろう」
「だよねー。……うん、また会ったら、本格的に弓の腕を教えんじゃおっと! 帰るよ、与一!」
「だから真名で呼ぶなと何度言えば―――」
彼女たちも、また自分の人生と言う名の主人公なのだ。
自分たちの未来がどんなものかは分からないが、とにかく今を生きている事には違いない。そんな希望を胸に抱いて、今日もマスター達は数を減らしていくのだった。
名前はもちろん、ステイナイトから「美綴綾子」を拝借。彼女をもっとラフにして面倒見を良くしたキャラクターですね。今までの無なしに、勝手ながら名前をつけて話を展開していきたいと思います。アンリ達の再起動は次回をお待ちください。
これから下は簡易的なキャラクター設定になります。
設定が混乱してきた方(作者含め)は閲覧をどうぞ。
少しだけネタバレがありますが、その辺りもご注意を。
展開につながるものはありませんがね。
巴・M・アンリ
――種族:英霊
――得意技:変身
人型がベースの英霊だが、その本体は人々の悪意によってできた『泥』そのもの。
容姿は生前の形をとっているが、人体構造も完全に模倣した泥であり、彼自身の本質は英霊とも言えず、生物と分類するのも難しいかもしれない。だが血液に限っては血の代わりに黒い靄―――人々の悪意――が体に流れている。その点だけが人と違って見える場所であり、性交渉は一応可能。キャスターに狙われている。ナニをとは言わないが。
彼自身は壊れた聖杯をその供給源、貯蓄源にしており、そこにある泥が無くならない限りは彼の体がいくら傷つけられようとも、代わりのパーツを形成する。
肉体としての死を迎えるためには、頭部の内部にある霊核が詰まった箇所を直接破壊せねばならず、そこを破壊したとしても、後述する宝具『虚偽する穢神』を凌がなければならない。つまり、『死なない』という点においては最高のポテンシャルを持っているとも言える。
宝具は複数。簡易的な説明は下記。
壱・『
傷つけられた相手へ、自分の傷をそっくりそのまま返す。傷の範囲は、肉体的にアンリが傷ついた場所なので、この宝具を発動させてから自分を修復し、後はゆっくり仕留めることも可能。彼だからこそ、本来のアヴェンジャーよりも使いやすい宝具になっているともいえる。
弐・『
彼の体を構成している『泥』を補給するだけの宝具。この宝具によって彼はすでにほぼ不死と無限の魔力を持つに至っているが、最強ではない。あとは真名を解放することで、絶望の淵に陥った人間の心から絶望を吸いつくすことも可能。だが、それをされた人間はしばらくの間虚無感にさいなまれることになる。これを通じてある程度の相手の感情も読み取れる。
参・『
彼の体を変え、泥を自在に操るだけの宝具、というより本体。壊れた聖杯から、悪意の泥を持ちだし、自由に形成することが出来る―――言わば、“粘土宝具”。彼の体を2Dの薄さから3Dの形。彼が喰らった魂と意識を表面に出し、その人物になりきることも可能であり、簡単に言う“メタモン”が近い。
同時に、喰らった概念武装なども概念のみを出現させたりするので、わりと吸収系チート。だが、武器を作った際の宝具ランクは必ずD~D-ランク。簡単に英霊の宝具で打ち砕かれるだろう。
肆・『
世界の修正力そのものに嘘をつき、アンリの目の前で起こった直前の事象を無かった事にする宝具。アンリ自身か、それとも触れているモノ限定なので、効果範囲は狭い。だが、死人が簡単に生き帰ったりするので、ある意味一番凶悪。
“肉体を持ったアンリ”の生命線となる宝具でもある。しかし、発動させても事象が起こらなかったら、宝具の効果はそのまま反転して使用者へ跳ね返る。使いどころを見極めなければ世界につぶされる宝具。
キャスター
勝ち抜くごとにその正体―――ゴホン、その実力が底なしに見えてきている、現在のアンリの
その実力は折り紙つきで、アンリが前衛をやっていれば、強力な魔術の一撃で相手を葬り去る事が出来るという最高の戦力であり、魔力ならステータスはEX手前のA。キャスターなのに力押しなのは気にしない。ご主人様が第一。ご主人様ラブ! の性格。
宝具
壱・『
「乙女のヒミツは探っちゃ駄目ですよ?」
ありす
アリス(サーヴァントの方)が最後に約束したように、ナーサリーライムとしての最期の一片。『鏡の国のアリス』としての力を全てありすに託したせいで、彼女……
固有結界、使えます。
まぁ、ぶっちゃけとあるキャラとの決戦用のキャラクターに出来ました。彼女自身のワープ能力もあり、さらにはキャスターに劣らずの魔術の数々(三月兎の狂乱・冬の野の白き詩が追加された)。こちらも、アンリが前線を張っていればかなり厄介な相手になる。
戦うこと自体、セラフからの条件で皆無に等しいので宝の持ち腐れでもある。(当初の設定:まどマギ世界から来たシャルの代わりとしての癒し要因&みんな大好きロリ要員)
「この、へんたいどもめ!」
壱・『
ありすが謳うと発動する、固有結界型宝具。この宝具を展開すると、ありす曰く“お友達”である『ジャバウォック』や『名無しの森』を召喚できる。ありす自身の魔力量が半端ではない為、ほぼ「永久機関」の名の通りに恒久的に発動させることが出来る。
ありすを傷つけるものは容赦しない。そんな、