極上生徒会 極上な戦い 作:レジェンド二世
「悪いが先に寮へ戻っててくれ。妹の件は俺がなんとかする。」
「分かりました。」
各自、俺の指示に従い、寮へと戻って行く。そして、俺はりのに質問をしようとしたのだが……。
「お兄ちゃん……」
「りの…?」
りのは、泣きながら、俺に抱きつく。そうか。そんなに俺に会いたかったのか…。俺は優しくりのの頭を優しく撫でる。
「うわぁーん!もうお腹空いて、住む予定だったアパートも無くなってるし、だから、あの宮神学園を目指してたんだけど、道に迷っちゃって、そしたら、お兄ちゃん達を見つけて、でも、弱い者苛めをしてて……。」
俺は言葉を失う。そうだ。これが俺の妹、蘭堂りのなのだ。いつも、その行動が空回りして、さらに厄介事を抱えてくる。というか、弱い者苛めって…。強盗に対して失礼だろう。でもこれで、りのがここに来た理由が分かった。
「すまないな。迷惑かけて」
「ははは……。構わない。これがりのだからな、逆に安心したよ。」
人形のプッチャンが喋る。ちなみに言っておくが、プッチャンはりのが腹話術しているのではない。プッチャン自身が喋っている。意思を持った人形だ。というか、これで女にモテるんだぜ?人形なのに……。
「安心しろ。学園の近くにホテルがある。今日はそこで泊まるといい。もちろん、お金は無料だ。」
そういうと、さっきまで、泣いていたりのの顔が、満開の笑顔に変わる。そして、りのを学園近くのホテルまで送り届けた。
「お兄ちゃん!ありがとう!」
「おう。これ学校の制服だから、明日はこれに着替えて学校に来い」
俺はりのに、制服を渡し、ホテルを後にした。そして現時刻は夜の19時。そういえば、夜食を食っていない……。早く極上寮に戻って、管理人さんの手料理が食べたい。俺の頭の中はそれでいっぱいであった。猛スピードで寮に帰宅する俺だが、玄関先で隠密の二人がそこに立っていた。
「おかえりなさーい!」
「(面倒な奴らに会ってしまった……)」
桂聖奈。高校三年生。隠密部に所属している、たまにリーダーのポジションに立つこともあるが、普段は、伝令の仕事や工作作業などの事をメインに行う。購買部では、部長であるため、商品の事など色々と取り仕切っており、生徒に優しく接する。いつもニコニコしていて、表裏が分からない奴だ。コンビ相手は、竹中淳。
「強盗の件は残念でしたね。香さん達から報告は受けています。例の子の件の報告をお願いします。後で会長に報告しますので」
竹中淳。高校三年生。隠密部に所属していて、主に策を練り上げる事や罠や兵器の開発などを取り行っている。優しい顔立ちのせいか、女子の人気も高いらしい。コンビ相手は桂聖奈。
「俺は腹が減っている。飯の後でも良いだろう?」
俺がそう言い、横切ろうとすると聖奈達は、道を阻むように俺の前に立ち塞がる。どうやら、ここで報告するしかないようだ。
「どうやら、アパートが無くなってて、とりあえず、宮神学園を目指そうとしたところ、道に迷い、その時に、俺らと合流したらしい。勿論、ちゃんと学園近くのホテルに送ったよ。無事も確認してるし、制服も渡して明日は万全だ。報告は以上」
「ごめんなさいね。じゃあその事を会長に報告してきますので、本当にお疲れ様でーす!」
やっと解放された俺は、早くに食堂へ向かった。そこには、俺の料理と管理人さんこと久川まあちが待っていた。だが、こんな時間までに待ってくれたとなると、罪悪感を持ってしまう。
「管理人さん。申し訳ない。こんな時間まで待たせてしまって……」
「いえ、隊長さんもお仕事でお疲れですから、ゆっくり食べていって下さい」
久川まあち。小学5年生。この極上寮の管理人さんで俺達極上メンバーも大いにお世話になっている人物だ。極上寮の家事は全て管理人さんが行っている。さらには料理も作ってくれて、まるで大人のような子供だ。
「本当にありがとう。では、いただきます!」
俺は管理人さんの料理を食べ終え、一礼をしてから浴場へと向かった。その後自室に戻って、21時にはすぐにベッドに入り就寝した。明日は、忙しくなりそうだからな……。
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~会長室~
翌日、俺は会長に呼び出された。俺が会長室に入るとそこには、副会長の金城奈々穂と前田英介。同じく副会長の銀河久遠と黒田和馬。そして俺の双子の妹、蘭堂玲子の姿もあった。
「久しぶりね。亮。元気にしてたかしら?」
「見た通りだよ。お前も元気そうで何よりだ。隠密の隊長殿」
そう。蘭堂玲子は隠密のトップ。つまりは俺と同じ隊長だ。俺が遊撃と隠密を取り仕切ってくれと玲子に言われたが、こいつが居たから俺は遊撃の隊長だけを推薦した。正直、面倒くさいからな。
だから現在は、俺と玲子で遊撃と隠密を取り仕切っている。俺達が居ない時は、久遠と奈々穂達がまとめる形となる。
「それはどうも。いい加減な遊撃の隊長さん」
相変わらず一言多い奴め。まぁ、これが俺達の挨拶みたいなものだ。他にも挨拶しなくてはならないが、今は本題に集中しよう。
「会長。全員揃いました。それで、本題に入りますが、今、聖奈さんが例の生徒をここへ連れてきています」
「ありがとう。副会長。こうやって皆が集まるのも久しぶりね」
奏がそう言うと、皆の顔が少し和らいだのか、自然と笑顔になる。ここ最近、トップの者同士での集まりは滅多にない。あるとすれば、会長自身が招集させる時しか、集まることはないのだ。
「そうですね。久々に集まれて、俺も嬉しいですよ。会長」
「少し日焼けなされました?玲子さん」
「ええ。今回はハワイでの仕事だったから…」
「フン……」
そうこうしている内に、聖奈が来たようだ。聖奈が会長室前で、例の子を連れて来た事を報告すると、俺達は、左右の壁際に整列する。準備が出来た事で、奏がどうぞと入室の許可がくだされた。
「失礼します。蘭堂りのさんを連れてきました。どうぞ」
「し……失礼します……」
戸惑いながら入ってくるりの。当然の反応だ。本人は何故呼び出されたか見当も付かないだろう。あ……こいつ俺と玲子を見て手を振ってる……。緊張感のない奴だ……。
「あなたが蘭堂りのさん?」
「はい……」
「蘭堂。別にお前が悪い事をした訳ではないんだ。もう少しリラックスしていい」
英介が優しくりのを落ち着かせる。りのは落ち着いたのか、少しずつ顔に笑が戻っていった。落ち着いたところで話を続ける
「蘭堂りのさん。あなたを極上生徒会の書記に任命します。」
「え……っと? 極上……?」
りのは何が何だかわからない状況にあった。いきなり連れて来られて、生徒会の書記に任命すると言われても、理解する方が難しい。
「どういう訳だ。書記に任命って」
途中で人形のプッチャンが会話に交ざる。俺と玲子以外は人形を見て、唖然としていたが、奏はそんな事をスルーし、説明を続ける。
「昨晩、あなた方のアパートが無くなった件について、報告は受けています。ですから、極上生徒会の書記として、入りませんか?」
「生徒会に入れば、極上寮という、生徒会のメンバー専用の寮を無料で住めますし、学費など免除されます。」
「どうするんだ? りの」
久遠が粗方の説明をするとりのは考えた。プッチャンもりのに相談する。そして、りのは俺達を見て問いだした。
「お兄ちゃん達もここにいるの?」
「ああ。俺も玲子もここにいる」
「後は、あなたが決めなさい。りの」
「じゃあ!書記になります!生徒会に入ります!」
簡単に決めたな……。だが、満開な笑みで答えるりの。その答えと同時に俺達もりのに拍手を送る。簡単な返事だったが、そんな事はどうでもいい事だ。ただ新たな家族が増えた事に対しての拍手。今はそれだけでいい。
「歓迎するわ。りの、極上へようこそ」
「はい!」
かくして、極上生徒会、書記の蘭堂りのが誕生した。りのも嬉しくなったのか、俺と玲子の方に来て、抱きつく。久々に会ったからな。甘えん坊な所は、昔と変わらないが……。
「(お袋……。とうとうこの日が来たぜ……。約束は果たすからな……。だが、今はこの喜びを分かち合おう)」
時間が掛かって申し訳ないです。感想などお待ちしております