極上生徒会 極上な戦い 作:レジェンド二世
気づけばもう夕方。俺は屋上を後にしようとした。
その時、俺の携帯に一本の電話が鳴る。
「ん?聖奈?」
どうやら相手は聖奈らしい。だが、今日は俺の休暇だ。仕事の話かと思うと出たくない気持ちの方が大きい。まぁ、後々、面倒なので電話に出る事にした。
「念のために……」
「仕事でーす」
こいつは心を読む能力でもあるのだろうか?まぁ、それはどうでもいいとして……。
「で…?仕事の内容は何だ…」
俺はそのまま話を進めた。聖奈が仕事の話を持ち掛けるなどよっぽどの事なのだろう。俺は黙って、仕事の内容に耳を傾ける。
「例の強盗さんが学園付近に出て来ちゃいました。遊撃の皆さんと共に即刻退治しちゃって下さーい」
最近、この宮神で、噂になっている強盗。その被害件数が上がっていくので、隠密がマークしていたのだ。学園付近という事はすぐ近くだな……。
「分かったよ…今屋上にいるから、遊撃と連携して、退治する」
「お願いしまーす」
俺は渋々言い、電話を切った。そして、屋上から強盗がいる場所を見渡した。すると、遊撃と争っている強盗を発見した。
俺は、それが分かると、その場から消えるように、移動をした。
〜学園付近〜
学園付近では、ポニーテールの女の子と短髪の男の子が、強盗を追い詰めていた。
「さあ!もう観念しなさい!もう逃げ場はないわ!」
和泉香。中学二年生、遊撃の中では最年少メンバーでもある。仕事熱心で努力家でもあり、とても一生懸命な奴だ。武器となるものはないが、その鍛えた武術で相手を倒していく。コンビ相手は福島太一。
「いい加減にお縄を頂戴しろ!」
この男は、福島太一。中学二年生。熱い部分もあるが、真面目な一面も持っている。香と同じく、武術を主体として敵を倒していく。たまに香と口喧嘩になる事がある。コンビ相手は和泉香。
「ガキ程度に俺様が捕まってたまるか!」
強盗は、抵抗するようにポケットからナイフを取り出し、そのまま香達に突撃し、右手でナイフを突き出す。だが、太一は強盗の突き出した手を持ち、そのまま背負い投げのモーションに入った。さすがの強盗も驚いている。
「香、太一。ご苦労だったな。」
俺もちょうど香達と合流をした。俺を見ると、香達の顔は笑顔に変わった。久々に会ったから、嬉しいのだろうか。だが、拘束した時であった。強盗は、煙玉を使用したのだ。香達は急な事だったので、驚いていた。その隙に強盗は森の奥へと逃げていく。
「しまった!」
「落ち着いて太一。遊撃は私達だけじゃないでしょ?」
香の言う通り。遊撃のメンバーはこれだけじゃない。遊撃は伊達ではないということだ。
〜森の中〜
「何だあの連中は!?取りあえず逃げねぇと!」
強盗は逃げる。取りあえず、ひたすら逃げまくる。とにかく外に出るため、走りまくる。だが、突然強盗の前に小さい子供?と背の高い男が現れる。
「逮捕!拘束!お縄に頂戴しちゃって!」
角元れいん。中学三年生。遊撃のメンバーであり、ギャンブル好きで、イカサマもたまにやる。武器は主にトランプなどのカード類。コンビ相手は加藤雅人。
「おじさん。ここから先は通行止めだ。」
加藤雅人。中学三年生。遊撃のメンバーであり、武器は銃器など。狙った獲物は逃がさない。だが、女の子大好きで、あちこっちの女の子にナンパをして、振られている模様。
強盗は制服を見て、さっきの連中の仲間だと悟り、別の方向へと逃げる。だがその先にも、眼鏡っ娘と右目に刀傷のある男が立ち塞がる。
「もう逃げ場はない」
飛田小百合。中学三年生。遊撃のメンバーであり、飛田活生流の使い手だ。木刀は体の一部として、常に持ち歩いている。周りの生徒からは恐れられているが、素は優しい人間だ。たまに俺が稽古をつける事があるが、いつもは和宏と稽古をしている。コンビ相手は石田和宏。
「観念してもらおう」
石田和宏。中学三年生。遊撃のメンバーであり、七型居合流の使い手だ。居合に関してはスペシャリストであり、小百合も居合に関しては、勝てないと言うほどだ。義理堅い男で、約束は必ず守る。コンビ相手は飛田小百合。
「さっきの奴らの仲間か……」
四方から囲まれた強盗。強盗は逃げたいが、香達の実力もあって迂闊に手を出せない状態。そうこうしてる内に、俺達もその場所に到着する。
「隊長!遊撃隊長!亮隊長!来てくれて感激です!」
こいつの三拍子を聞くのも久々な気がする。でも、今はそれどころではないな。おや、強盗も今の現状を見て意気消沈してるな。
「れいん。今は目の前の事に集中しろ」
俺は強盗から、ナイフと煙玉などを没収し、強盗を拘束しようとした…。その時だった。森の奥から、聞き覚えのある女の子の声が森全体に響き渡る。
「ダメです!集団で苛めはいけませーん!」
「ちょ…おま…!」
そう叫びながら、俺に向かって突撃してくる右手に人形をはめた女の子。俺もいきなりの事なので、反応しきれなかった。
「うわあ!」
そのまま激突してしまう俺と女の子。周りの者も驚きの出来事だ。その隙に強盗も森の奥へと逃げて行ってしまった。追跡するにも、気づいた時には、もう姿が見えなくなっていた。
「あなた!どういうつもりよ!強盗犯を取り逃がしちゃったじゃない!」
香が激怒している。まぁ、気持ちは分からなくもないがな……。
「香。落ち着こうぜ。取りあえず、名前を教えてくれ」
太一が人形の女の子に名前を聞こうとする。
「わ…私は蘭堂りの…です」
みんな「蘭堂」という単語で、一斉に俺の方を見る。俺もため息を一回吐き、答える事にした。
「りのは俺の妹だ」
「えぇー!?」
驚くのも無理はない。特定の人以外に話していないのだから。これがりのとの出会いだ。そして、この先ハチャメチャな毎日になりそうだ。