最近、SAO及びISのアニメに嵌っていて、思わず書いてしまい投稿しました。
すでにある同じクロスssと内容は被らないように注意しますので、よろしく願いします。
もう少しだ・・・。
深夜、とある一軒家にて一人の少年がパソコンに向かって睨めっこをしていた。
夜の部屋に、カチコチと部屋の時計の針が鳴る。しかし、彼は逸る気持ちを抑えながら右手にあるマウスを握っていた。
焦ってはだめだ、あと少し、あと少しでその時間なのだから。
そして、その時間は訪れる。その瞬間に彼は右手に握ってあったマウスをクリックする。目の前の画面が切り替わるその刹那、彼はゴクリと唾を飲んだ。
そして・・・。
「やった・・・」
彼はその結果に目を見開く。彼の希望通りの結果になったのだから。
「やったぁぁぁああああ!!!」
彼は思わず、勢いよく立ち上がり座っていた椅子も倒れてしまう。
「やった、やった!! 予約完了だぁ!!これで俺もSAOプレイ「やかましいわっ!!」げふうぅ!!?」
はしゃぐ彼を突如、彼にどこか似た女性が殴り飛ばす。
「一夏!! 貴様今何時だと思っている! 近所の迷惑も考えんか!!」
「い、いや。千冬姉も十分近所迷惑「ふん!!」げは!!?」
再度殴られ、彼は押し黙るしかなかった。
「もう夜更かしの理由は終わったのだろう。ならさっさと寝ろ。明日も学校なんだぞ」
「あい・・・」
殴られ、軽い脳震盪でも起こったのか彼はふらふらとベッドへと向かっていく。そんな彼を見て、彼の姉・千冬も安心したのか部屋を出ていった。
そして彼は、ベッドに入り布団をかぶりながら、ある事を考えながえる。
「(これで、俺もSAOプレイヤーか・・・)」
そう思い、先ほどまで睨めっこしていたパソコンへと目を向ける。
「(あ、しまった)」
そこである事に気が付いた。
「(パソコンの・・・電源・・・)」
つけたままだなぁ・・・。そんな事を考えながら彼は眠りについた。
彼の住むこの世界は二つの大きな事柄によって変革が与えられようとしていた。
一つは現実世界において、IS・・・正式名称「インフィニット・ストラトス」の存在。
一言で言うのなら、女性のみが使えるパワード・スーツ。その性能はすさまじく、既存の兵器ではほぼ太刀打ち出来ない性能を秘めている。
その存在はあまりに大きく。世の中はそのISを使える女性が偉いと、所謂女尊男卑へと変貌してしまうほどである。
そしてもう一つは、仮想世界においての存在。VR技術、つまりバーチャルリアリティ技術の発展。それにより生まれたのが、ナーヴギアと呼ばれる民生用VRマシンである。
この存在により、人々は仮想世界へのフルダイブが可能となった。
先ほどの彼が言っていたSAOとは正式名称『ソードアート・オンライン』と呼ばれる、VRMMOに分類されるゲームの事である。
その評判はあまりに高く、βテスターと呼ばれる先行プレイヤーは口々に言う。
―まるで本当に異世界に来たかのようだ―
と。
そして開発ディレクター・茅場 晶彦は言う。
『これはゲームであっても遊びではない』
この言葉を真に人々が理解するのは、このSAOが発売される初日となることを、この時はまだ誰も知らなかった。
さらに言うのであれば、先ほどの少年・織斑一夏の人生はこの二つの事柄に大きく翻弄される事になるのであるが、それも彼の知らない話であった。
《PiPiPiPiPi》
「ん、ふぁ・・・」
目覚ましの音が聞こえ、一夏は目を覚ました。
「ねむ・・・」
思わずぼんやりした頭で、そう彼はつぶやいた。
未だに鳴り続けている目覚まし時計に目をやり、その手で音を止めた。その振動によって、スリープ状態にあったパソコンの画面がつき、その視線を止めてしまった。
「本当に予約できたんだなぁ・・・」
彼はパソコンの電源を落としながらも、そのにやけた顔を抑えることができなかった。
「弾と鈴の奴は買えたかなぁ・・・」
彼は、一緒に購入を約束をしていた二人の友人の名を口にしながら学校の制服をクローゼットから取り出し着替えていく。
彼は学校の制服に着替えると、自室から出てリビングへと向かい朝食の準備を始める。姉の千冬は家事が苦手な事もあり、大抵の家事関係は彼が行っていた。
とは言え、昨晩は寝るのが遅かったこともあり、彼は今日はいつもよりも遅く起きていた。そのため、簡単に朝食の準備をしてた。
「む、ちゃんと起きれたか」
「あ、おはよう千冬姉」
ちょうど準備が終わったころにスーツ姿の千冬がリビングへと入ってきた。
「毎度思っているんだけどさ、千冬姉って一体何の仕事をしてるんだよ?」
「ただの公務員だ。気にするな」
時たま、彼はその質問を投げかけるが、彼女は決まって同じ答えを出す。彼はその答えに納得していないが、それ以上の質問はせず準備した朝食を姉を一緒に食べ始めた。
ふとテーブルの上に置いてる新聞へと目をやる。取ったはいいが中身を見ていなかったのを思い出し、トーストを口にくわえながらそれを広げた。
「お?」
「行儀が悪いぞ、一夏」
「ごめん。いや、でも見てみなって千冬姉」
そう言い、彼は新聞を千冬へと渡す。
「ほう、篠ノ之の奴。県大会ベスト4か」
「あぁ、俺と同じで中1のはずなのに。やるよな、箒の奴」
篠ノ之箒とは、数年前に離れ離れになった彼の幼馴染である。成長したが、変わらないその面影を新聞越しとは言え見ることができ、彼は嬉しくなった。
「転校の繰り返しって聞いてたから、心配だったけど元気そうでよかった」
「まぁ、健康状態は悪くないようだが・・・」
写真のしかめ面が気になる。そう思う千冬であった。とは言え、何もできないし、押し黙ることしかしなかったが。
「ん”ん”、それよりもだ。一夏」
「ん? なに」
千冬は話を切り替えるためにか、少し咳払いをして話題を切り出した。
「お前が昨晩予約したゲームについてだが」
「SAO・・・ソードアート・オンラインの事?」
「あぁ、中学の入学祝もまだな訳だ、買ってやるのは吝かでもないが・・・」
「え? いや、ちゃんと自分で買うよ。そのために金貯めてたんだしさ」
「そのため小遣いは誰からもらったものだ?」
「・・・千冬姉です」
中学に上がったばかりの彼が金を稼ぐのは土台無理な話であった。
「子供がそんな事を気にするな。私が良いと言っているんだ」
それよりも、と彼女はコーヒーを手に取りながら本題に入る。
「分かっていると思うが、成績が下がるようならば・・・」
「分かってるって。ちゃんと勉強のほうも頑張るさ」
「言ったな、男に二言は許されないぞ」
そう言いながら、千冬は食後のコーヒーを飲み干す。
「さて、そろそろ家を出ねばな」
「あ、もうそんな時間?」
一夏はトーストを乗せた皿と、中身のなくなったマグカップをキッチンへと置き軽く水で流す。
「(洗い物は帰ってからにするか)」
そう思いながら、彼は玄関まで歩いていた千冬を追いかける。
「鍵は持ったか? 今日も私は遅くなるが?」
「了解。夕飯は?」
「それには間に合うように帰る」
一見、夫婦のようにも感じる会話であるが、それも彼らには両親がおらず今まで二人で生活してきた所以かもしれない。
彼にとっては、それが当たり前の日常であった。これからはそれに加わり、SAOと言う期待に満ちた世界も待っている。現実世界に支障をきたさない程度に楽しみ、もう少し大きくなればバイトをして家計を少しでも助けたい。そう彼は考えていた。
この時は、それができると信じていた。
「え!? なに、一夏。あんた、SAO予約できたの?」
「まじかよ!?」
「え? なんだよその反応。二人して」
授業が終わって、一息つける休み時間。彼は、共にSAOを買おうと約束していた親しい友人と会話をしていた。
一人は小柄な少女・凰 鈴音。愛称『鈴』
もう一人は、一夏の悪友ともいえる存在・五反田 弾である。
「まさか、二人とも予約できなかったのか?」
「あたし達どころか、クラスの誰も予約できてないわよ」
「学校でも、片手で数えるぐらいじゃねぇのか?」
「SAO初回プレイ出来るのは、この中じゃ俺だけか・・・」
友人とプレイできるのを楽しみにしていた一夏であったが、その結果に残念に感じていた。
「あとは発売日前日から、店に並ぶしか・・・」
「やめとけって、俺等中学生だぜ。補導されるのがオチだ」
「もしくは、お爺さんに殴られるのがオチよ」
中学生にあるまじき発言をする弾であったが、二人の言葉に首を垂らすしかなかった。
「だよなぁ・・・。だから、深夜まで起きてネット予約しようってことになったんだよな」
「大体、初回ロット1万本だけってのがおかしいのよ!!」
「確かに、あんだけ話題性があるのになぁ・・・」
「ネットじゃ、初の本格的なVRMMOだから対応に混乱を生じさせないためとか言ってたけど、実際の所どうなんだろうな?」
「けどやっぱり、10万ぐらい出荷すべきじゃない?」
「実際、それでも売り切れそうだよな。一昔前のモンハンだって100万ぐらい売り上げ出てたんだろ?」
「オンラインゲームじゃないのだけどね」
彼らは口々にSAOに関する話で盛り上がる。
「ま、買えなかったのが仕方ないし。一夏、次の出荷の時は絶対あたしも買うんだからね! しっかりレベル上げて、あたしのサポートしなさいよ!!」
「おう、任せろ」
「あと、ネカマしたら潰すわよ?」
「しねぇよ!!」
「あ、でも一夏って千冬さん似のアバター作ってそうじゃね?」
「だから、しねぇって言ってんだろ!?」
「怪しいな」
「怪しいわね」
「いい加減にしろよ!?」
買えなかった腹いせなのか、ここぞとばかりに一夏をいじる二人であった。
そして月日は流れる。
発売日当日。一夏は玄関にて宅配で届いたそれを手に持ち、感動を覚えていた。
「おぉ、本当に届いたぜ」
SAO(ナーヴギアセット込)がとうとう彼の家に届いたのだ。
「千冬姉には悪いけど、夕飯は作り置きを電子レンジで温めてもらおう」
そう思い、彼はメールを姉へと送る。
「明日は休みだし、今日は徹夜だな!」
ウキウキするその心を隠し切れず、彼はにやけ面で自室へと駆け上がっていく。
「(キャラネームはどうしよっかな~。迷うぜ)」
彼はヘルメット型のVR機であるナーヴギアを頭にかぶりながらあれこれと考えを膨らませていく。
「(え~と、説明書、説明書)」
未だにダンボールに入っている説明書を片手に取り、その指示通りにナーヴギアの設定を行う。
「(なんでペタペタ体触らないといけないんだろ? しかも結構重たいなこれ。ベッドで横になるのを推奨するわけだ)」
若干面倒に思いながらも、それさえ彼は楽しくしていた。ほどなくして、すべての項目が終了し・・・。
「おし、終わりだ」
そう言い、彼はベッドへと横たわる。
「さて、いくぜ」
そして、彼は・・・。
「リンク」
その言葉を・・・。
「スタート!」
口にした。
そして、この日より彼の意識がこの部屋まで戻ってくるのは、実に2年以上の月日を必要とする事となる。
どうだってでしょうか。自分はどちらの作品もアニメでしか知らない、にわかファンですが楽しんでいけたら幸いです。また次回もよろしくお願いします。