ファイナルハンターG   作:N_ローゼン

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灼熱下の死闘2

>ヤオザミの強固な甲殻を踏み潰し、『ドス』の名に恥じぬその登場の仕方。

>幾多のランポスを束ねるドスが、今、弱肉強食の摂理を指南するべく、その姿を現した。

>シン

>『ドスランポス…』

>ハイネ

>『切羽詰まって、ドスラン ポスの接近にも気がつか なかったみたいだな…』ドスランポスは目玉を乱回転させながら、辺りの様子をうかがっている。

>ヤオザミは微妙な後退りをしている。おかげで、ドスランポスからシンとハイネまで道が開けた。

>『グァア゛ア゛ア゛』と、ドスランポスが顔を空に向け耳を裂くような咆哮を放った。

>すると、数秒の間をおいてドスランポスの配下の者たちが一斉に駆けつけた。お分かりであろう、ランポスである。

>そして同時に、ランポスによるヤオザミの殲滅が発動された。

>シン

>『うわっ』

>ランポスとヤオザミの乱戦が始まった。それにシンとハイネも巻き込まれたのは、場の流れから自然なことであろう。

>ランポスの飛びかかり。標的はシンだ。爪と牙を突き立て前方斜め上上空から迫るランポスに、シンは受けの構えをとる。激突、双剣をクロスさせていたシンのど真ん中にランポスが飛び込んできた。直後、シンは体をそらせ、うまくランポスの攻撃を受け流した。そしてそのままランポスの勢いを利用して、ランポスの片腕をはねた。

>『ア゛ア゛ア゛』と叫び声をあげ、ランポスは急停止する。シンもまた片方の剣を持ち変え、独特のステップで180°方向転換し、ランポスに迫る。

>回転斬りでとどめ。

>シン

>『ふぅ~』

>一息つく。

>シンの背後では、ハイネが2頭のランポスを一刀両断していた。

>周りを見回せば、ランポスとヤオザミの戦闘が見受けられる。どちらかといえば、戦闘というより、戦争に見える。ランポス軍とヤオザミ軍みたいな感じで。

>ランポスは、ヤオザミの強固な甲殻に攻撃を阻まれ、なかなか致命傷を与えられないでいる。

>一方ヤオザミは、頑丈な甲殻のおかげで守りは万全だが、リーチの短いハサミでは素早いランポスになかなか攻撃をあてれない。

>やはりそんな中、圧倒的な力で戦場を制圧しているのはドスランポスであった。ドスランポスは1匹のヤオザミに目をつけた。次の瞬間、その鋭利な爪でヤオザミの甲殻を貫いた。ハイネの大剣でもヒビ一つ入らなかったヤオザミの甲殻を、一撃で貫いたのだ。

>ハイネ

>『』

>これにはハイネもただただ目を見開くしかない。

>ドスランポスはそのまま貫いたヤオザミを引き裂いた。

>シン

>『ハイネ、逃げっぞ』

>シンが叫ぶ。

>ランポスたちがヤオザミを襲っている今しか、逃げるチャンスはないと推察したのだ。

>ハイネ

>『お、おう』

>ドスランポスはさっき引き裂いたヤオザミを、殻ごと召し上がっておられる最中だ。

>2人はドスランポスに気づかれない程度の全力疾走で、戦闘区域を離脱する。数匹のランポスに追撃されたものの、それらは返り討ちにすることができた。

>

>しばらくの後、2人は洞窟へと逃げ込んでいた。

>額からしたたれ落ちる汗が洞窟の冷たい空気にさらされて、体を冷やす。

>ていうか、今思えば、外が暑いんなら最初から洞窟へ来ればよかったのではないか?ま、気にしないでおこう。

>シン

>『ハァハァ…』

>ハイネ

>『ゼェゼェ…』

>2人とも両手を両膝につけ、肩で息をしている。

>どうやらドスランポスの追撃はないようだ。ひとまず安心。まぁ、アレのおかげでランポスの討伐数を6頭増やすことができたのが、不幸中の幸いだった。

>現在、ランポスの討伐数は計16頭。残り時間はまだまだ余裕。この調子でいけば、今日中にクエストを終えることも可能だろう。

>ハイネ

>『何だかんだで、何とかな ったな』

>シン

>『ランポスも何匹か狩った しな。…アレ?今で何匹 目だっけ?』

>冗談をとぼけながら体を休める。2人はしばらくそこに居座って、体力とスタミナの回復にいそしんだ。

>その頃、さっきのドスランポス一行は、あの場のヤオザミをすべて狩りとり、お食事の真っ最中であった。ドスランポスは一個体につき、100~200頭のランポスを従え群れを形成する。それらの中から数十匹を自らに同行させ、残りをそのドスランポスの縄張りに散らせて配置さている。シンたちが狙っているのは当然、縄張り内に配置されているランポスだ。

>そのためにドスランポスの徘徊ルートを記録、確認することはとても大切なことである。

>また、そういった情報は、後に他のハンターとの情報交換や情報の売買にも使えるので、ハンターとしてモンスターの情報を獲得するのは極めて重要なことである。

>今回シンたちは、ドスランポスの徘徊ルートだけでなく、その餌場まで発見した。これは希少価値の高い情報だ。

>休憩がてら、ハイネはそのことを自前の手帳にメモしていく。何だかんだ言って、しっかりしているのだ、ハイネは。シンもそのことについて関心している。

>シン

>『さてと、ここからどっち 行く?』

>休憩終わり、と言わんばかりにシンが立ち上がった。ハイネ

>『んん~、外は暑いし、と りあえず“大空洞”の方 へ行くか』

>大空洞、それはこの密林の洞窟の中心にして最深部のことをいう。密林の洞窟の抜け道は多々あるが、すべてはこの大空洞と呼ばれる巨大な空間に繋がっているのだ。※これはこの密林に言えることであって、“奥地”の場合はまた異なる。シン

>『そうだな』

>2人は大空洞、つまり洞窟の奥へと進んでいった。

>

>

>

>ハンターA

>『依然、“クモ”の発見は ならず、捜索は難航して います』

>場所は変わって、ティーズのギルド本部のギルバートの部屋となる。

>そこには偉そうに椅子に座ったギルドマスターであるギルバートと、机をはさんだ向こう側にハンターが3人、休めの状態で直立不動していた。

>ギルバート

>『そうか…。引き続き捜索 を続けてくれ』

>3人のハンターは軽く頭をさげ、部屋を去っていった。話の内容はすでにお分かりであろう、“幻影旅団”つまりクモのことだ。

>残ったギルバートは新たに浮上した問題に頭悩ませることとなった。

>ギルバート

>『いやいや、面倒なことに なった。まさか、クルー ゼの情報提供者があのシ ン・アスカだったとは』シンは以前にクルーゼと遭遇している。ギルバートが言う情報提供者とは、そのことであろう。

>ギルバート

>『クルーゼがシン・アスカ のこと認識した上で、彼 を襲ったとしたら、状況 は最悪だ』

>ギルバートの机の上には、シン・アスカの個人データのファイルが開かれていた。

>その傍らに、彼の父キラ・ヤマトが写された写真が数枚重ねられていた。


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