>ハイネ
>『スティングさん』
>突如として襲来した毒怪鳥ゲリョスを追い払ってくれた3人のハンターたち。それはシンとハイネが初めてのクエストに発つ時にいっしょになったスティング、ステラ、アウルだった。
>スティング
>『お前たち…、なぜここに ?』
>スティングはシンとハイネの顔を見て、すぐにあの時のガキどもと思い出した。確かスティングたちは、セルケトを討伐する上位クエストを受けていたはず。
>※ケネスとヴァニラが討伐したセルケトとは当然、別物。
>アウル
>『お~い、スティング~』崖の上から矢を放っていた青い髪の青年が、崖を滑って降りてくる。
>この状況から推察するに、スティングたちはセルケトを狩り終えたようだ。
>アウル
>『アレ、キミら、あん時の ルーキーくん?なんでこ こに?』
>その質問はさっきスティングがしてくれたからもういいです。
>シン
>『オレたち、クロノスの帰 りなんですよ』
>ステラ
>『クロノス?砂漠?』
>スティング
>『…』
>さっきのスティングとアウルの『お前たち、なぜここにいる?』という質問の真意は二つある。
>一つは、この“密林奥地”になぜルーキーのシンとハイネがいるのかということ。以前も言った通り、密林奥地は上位ハンター以上しか入れないエリアなのだ。二つ目は、なぜシンとハイネがこの気球に乗っているのかということだ。
>ゼノン
>『おう、誰かと思えば、ロ アノークのパシリどもか 』
>ゼノンがシンとハイネの後ろから現れる。
>ロアノークって誰?また今度出てくるので。
>スティング
>『ゼノンさんじゃ、やは りこの気球はゼノンさん の…』
>シンたちに合流する前のスティングたちは、セルケトを狩り終えてティーズへの帰還下にあった。その時、目の前で見覚えのある気球が不時着しようとしていた。それがゼノンの気球だったわけだ。そして、『嵐の中帰るのもめんどいし、ゼノンさんの気球に乗せてもらおう♪』というアウルのクソみたいな提案で、気球に近づいてみたらなんとゲリョスに襲われているではないか。なんて恩を売りやすいシチュエーション、と思ったのはアウルだけ。3人は、ピンチをむかえていたゼノンたちをカッコよく助け、そして今に至るわけだ。
>と、スティングは解説してみせた。
>アウル
>『今のスティングの説明に 、ちょっと納得いかない 点があったのはオレだけ か?』
>ステラ
>『ん、アウルだけ』
>金髪の少女はアウルの質問をさらっと受け流す。
>無表情にそんなこと言われたら、ちょっと本気で効くな…。
>ハイネ
>『ゼノンさんとスティング さんたちって、お知り合 いなんですか?』
>さっきの話聞いてたのかよ?明らかに知り合い前提の話だっただろうが。ってことは誰も言わない。みんな優しいから。
>スティング
>『まぁな。どっちかってい うと、オレたちが一方的 に知ってるぐらいだ』
>アウル
>『ゼノンさん、有名だから な。オレたちも一回だけ ゼノンさんの気球に乗せ てもらっただけだから。 ゼノンさんがオレたちを 覚えてるかどうか』
>ゼノン
>『何を言う。ワシの気球に 乗せた者は、アイルーの 顔すら覚えているわ』
>ゼノンは運び屋の代名詞に言われるぐらい有名な運び屋なのだ。スティングたちですら一度しか乗せてもらったことがないらしい。
>そのゼノンの気球に、なんでルーキーのシンとハイネが乗ってんだよ?というのがさっきのスティングとアウルの質問の真意だ。
>ゼノン
>『何はともあれ、さっきは おかげで助かったわい。 ロアノークにお前たちの 評価をあげるように言っ ておいてやる』
>スティング
>『師匠も、ゼノンさんには 頭があがらないですから ね』
>ここで字数かせぎのためにスティングたちの簡単なステータスでも紹介させてもらいます
>スティング・オークレー
>→緑の髪を角刈りにした、やや目付きの悪い青年。見た目はこんなんだが、面倒見がよく、アウル、ステラの中でもリーダー格の頼れるアニキ。
>年齢は21。
>HRは6。
>武器はガンランス、ヒデゥンガンランス。
>
>ステラ・ルーシェ
>→ヴァニラとは少し感じの違う金髪をショートカットにした少女。会話の中では文ではなく単語で話すので、初対面ではなかなかに理解しづらい不思議ちゃん。年齢は20(スティングいわく)。
>HRは6。
>武器は双剣、ドス・ディオサス(ケンくんオリジナル)。
>
>アウル・ニーダ
>→チビ
>
>
>だけって言ったら、このキャラのモデルになってくれた『つ○え』が怒りそうなので、もう少し説明を。
>
>青い髪を無造作ヘアーにしたチビ。そのくせに変に運動神経がいい。チームの後方支援を担う。
>年齢は19。
>HRは6。
>武器は弓矢、ツララ(ケンくんオリジナル)。
>そうして一同は、嵐の夜を共にゼノンの気球で過ごした。
>シンとハイネはすぐに眠りに落ちた。思えば、今日一日は大変だった。夜が明ける前から砂漠に飛び出しクエストに勤しみ、今は亡きハイネの一族ヴェステンフルス一族の墓に参って、クロノス村に立ち寄ってハイネのドロドロした過去にけじめをつけ、最後は嵐で立ち往生。疲れていても無理はない。
>嵐は一晩中弱まることなく荒れ狂った。夜が明けても風雨はやや弱まったものの以前として、空には分厚い雲が太陽の光をさえぎるように停滞している。
>ハイネ
>『夜が明けたのか、あんま りわかんねぇな』
>空には灰色の雲。雨はジト~と降り、空も気分も晴れない一日が始まった。
>シン
>『湿度高っ』
>雨が降っているので湿度はやたらに高い。おまけにこの地域は常夏という環境。蒸し暑いのだ。
>ゼノン
>『さっさと帰るぞ。準備し ろ』
>ゼノンもこの環境に嫌気がさしたらしい。
>昨日のアウルの策略もあって、スティングたちもゼノンの気球に乗って帰ることになった。
>今からみんなで気球の整備と、発進の準備にかかる。ステラ
>『早く、お風呂入りたい』アウル
>『オレも』
>ステラ
>『いっしょに入る?』
>アウル
>『入るか』
>そういえば、この人たちもシンやハイネと大した年齢差はないのだ。
>優秀なハンターは若い頃からその実力を開花させるというが、それは本当のようだ。
>ゼノン
>『では行くぞ』
>ゼノンの一声でココがバルーンに熱を送り込む。ゆっくりと気球が上昇し始める。
>ハイネ
>『なんか、かなりティーズ を離れてたみたいだな』シン
>『ホントに。なんか久しぶ りって感じ』
>ティーズはもう目と鼻の先だ。この天気だったらなんとかなるだろう。
>ま、この後、どうにもならなくなる展開があるのが小説である。
>
> 『ウォォオーー』
>
>耳を裂くような遠吠え。
>ゼノン、スティングたち
>『』
>皆、一斉に声のする方を見た。
>シン
>『何だ、今の声?』
>ハイネ
>『近いぞ』
>と、その時、背後に何かの気配が…。
>スティング
>『後ろだ』
>上空にいるはずの気球に、遠吠えの方角とは真逆の方向から白い狼が迫っていた。
>アウル
>『どいて』
>アウルがシンとハイネを押し退けて、弓を開く。スティングとステラも一瞬遅れて武器を手にする。
>アウルは迫り来る白い狼に向かって矢を放つ。
>狼は牙と爪でアウルの矢をはじくが、勢いを失って気球までとどかなかった。
>スティング
>『ヴェルガンデ。つーこと は…、もう1匹いるぞ』さっきの遠吠えの方向から、もう一体のヴェルガンデが下方向から迫る。
>スティング
>『チィッ』
>スティングが気球から飛び降りた。そしてガンランスの盾を構えて、飛び上がってくるヴェルガンデに激突した。
>ハイネ
>『スティングさん』
>すぐさまアウルとステラも飛び降りる。3人ともスキル“着地術”があるので、高い場所からの着地も一応は大丈夫である。
>スティング
>『ゼノンさん、コイツらは オレたちがおさえます。 早く行ってください』
>一方のヴェルガンデにスティングが、もう一方のヴェルガンデにはステラとアウルがつく。
>シン
>『ゼノンさん』
>ゼノン
>『ヴェルガンデは響狼と呼 ばれていてな、オスとメ スが対になって獲物を襲 う牙獣種だ。ヤツの異常 なまでの脚力はこの高度 くらいなら余裕で届く。 今はアイツらの足止めが 必要だ。ココ』
>ココ
>『はいニャ』
>ココは火を吹いて、バルーンに熱を送る。
>シンとハイネは残ったスティングたちを見送ることしかできなかった。
>