サク
>『おかえりなさい。お疲れ 様でした』
>やはり帰ってきて、一番最初に出迎えてくれるのはサクの笑顔だった。
>シン
>『ただいま』
>ハイネ
>『クリアしたど~』
>雪山までの往復を担当してくれた2人の運び屋、ソーマとフィンクスにしばしの別れを告げ、今まさに『帰ってきた』というべき状態にある。
>シン
>『早速お願いします』
>シンとハイネはすっかり手慣れた手つきでサクにギルドカードを差し出す。
>サクもちゃちゃっと必要事項を記入していく。
>サク
>『ありがとうございました 。こちら報酬金の1500z です。それから契約金を お返しします』
>サクが2人にギルドカードとともに、報酬金1500zと契約金800zを手渡す。
>当然、仲良く半分コ。
>2人の分け前は1150zとなった。
>そして精算アイテムを金に代える。主にホワイトレバー(200z)とポポノタン(100z)。
>
>シン
>→合計1850z
>ハイネ
>→合計1950z
>
>の収入となった。まぁ、上々だろう。
>シン
>『これからどうする、ハイ ネ?』
>現時刻は18:30というとてつもなくビミョーな時間なのである。
>雪山とこのティーズの距離は、時間で表して約1日。往復して2日。
>雪山では半日クエストをしていたので、帰ってきたらちょうどこのハンパな時間帯だったのだ。つまり、2日半、このティーズを離れていた。
>帰りの気球の中でそこそこ寝たので、眠気もない。
>ハイネ
>『んん~』
>声を出してうなる。
>そこまで深く考える必要もないと思うが。
>ハイネ
>『とりあえず、ブラブラし よか。暇だし』
>こんな時間でもまだ十分に明るい。
>イク
>『ホイ、お2人さん。聞い たよ。ポポにメタメタに されたんだってな』
>サクの隣で別のハンターのクエスト手続きを終えたイクがシンとハイネに食らいつく。
>ハイネ
>『え゛なんで知って…』ポポにメタメタにされた、一応事実だが、なんでイクが知っている?
>とたんに恥ずかしさが込み上げてきた。
>イク
>『チッチッチ、ウチら受付 嬢をナメちゃいけないね 。張り巡らせた情報網は 海よりも広し…』
>サク
>『余計なこと言わない。ご めんなさいね。クエスト にクリアできたんだから 、結果オーライよね』
>サクがイクを妨げた。
>原因は運び屋のソーマとフィンクスだ。
>雪山でポポにメタメタにされた場所は吹雪いていなかった。だから、気球に乗った彼らも、上空からシンたちを確認できたのである。シン
>『まぁ、事実ですし…』
>ハイネ
>『でも、後からはちゃんと 狩れたぜ』
>それも事実だが、言い訳くさいぞ。
>と、まぁ、受付嬢の情報網とやらに驚かされつつ、集会所を後にする。
>
>一応、シンとハイネ、これからも仲間としてやっていく上で、その『これから』というのについて話し合うことになった。
>ハイネ
>『まず話したいことその1 。これからもツーマンセ ル(2人組)でやっていく か?だ』
>2人はレストラン(カフェ)的な店に入って、屋外の席に座った。
>ハイネの質問の意味はわかってもらえると思う。
>これからどんどん難易度があがっていくクエストに、このまま2人でいいのか、ということだ。
>シン
>『そうだな。確かに、仲間 を増やすってことには文 句はないけど、アテはあ るのか』
>ハイネ
>『ない。だからこれから探 す』
>シン
>『…どうやって?』
>ハイネ
>『目星まではつけてないけ ど、アテはなくないんだ よ。一応』
>と、ハイネは何か策があり気に話しているが、なかなか核心を言おうとしない。シン
>『どういうことだよ?』
>すると、1匹のネコがトテトテと寄ってきた。
>シンとハイネはハンター。今さらそのネコが直立二足歩行していることに驚くはずもない。お察しのとおりアイルーだ。
>アイルー
>『おきゃくさま、ごちゅう もんはおきまりニャ?』片言の人語を話すそのネコことアイルーは、まるで田舎から出稼ぎに出てきた少年のようだ。
>ハイネ
>『そうだな。じゃ、マスタ ー頼むよ』
>アイルー
>『ニャ?ハイネ』
>今ごろ気づいたのか、ハイネはそんな顔をしていた。アイルー
>『ニャア、でもマスターは うってないニャ。それに あれ、まずいとおもうニ ャ』
>ハイネ
>『いやいや、そうじゃなく て。呼んできてくれって こと』
>ハイネの説明に、『なるほどニャ』と片手の手のひらにもう片方の手の拳をのせたポーズをとって、今度は四足歩行で走り去っていった。
>シン
>『何?今のアイルーと知り 合い?』
>ハイネ
>『まぁな』
>あまり多くは語らなかった。わかったのは、今のアイルーの名前が、ロンということだけだった。
>しばらくして、ロンがマスターという人を連れてきた。
>マスター
>『あら、ハイネちゃん。遅 かったわね。なかなか顔 見せないから、例の密林 のセルケトに襲われたの かと思ってたのよ』
>現れたマスターという人物は、おっさんだった。
>名は、シド。
>シン
>『え~と、ハイネ。もろも ろの事情を簡潔に分かり やすく、手短に話しても らいたいんだが』
>ハイネ
>『あいよ』
>
>この店(喫茶店)は『ストレイキャッツ』という。
>そして、このストレイキャッツはマスターのシドと、無数(シドもわからないぐらいいっぱい)のアイルーによって経営されている。シドは現役の“美食ハンター”でもある。
>美食ハンターとは、普通のハンターと違い、“味”の研究・追究を目的とするハンターのこと。
>そしてこのシドは、ハイネのヴェステンフルス一族と古い付き合いがあった。
>なので、ハイネと知り合いなのだ。
>
>以上、長い説明にお付き合いくださってありがとうございました。
>
>シン
>『美食ハンター…』
>美食ハンター、とりあえず、戦闘能力を持った料理人ぐらいに思ってもらえばよい。
>当然、美食ハンターも統括しているのはギルドだ。
>ハイネ
>『シドは昔からの馴染みで な。知ってのとおりオレ の一族が滅んだ時も、い ろいろ世話焼いてくれた んだ』
>シドは美食ハンターとして、自分が研究した料理を提供するために、このティーズで店を開いている。
>シン
>『へぇ~』
>シンがマジメにうなづく。シド
>『今度はこっちの番よ。こ のかわいいボウヤは誰か しら♪』
>このおっさん、ハイネが言うような立派な人には見えないんだが。
>ハイネ
>『オレの仲間(ダチ)。名前 はシンってんだ』
>シン
>『シン・アスカです。よろ しくお願いします』
>シンは心の中で一定の距離をおき、お辞儀する。
>シド
>『あら~、やっぱりかわい いわね~。私はシド・イ エーガー。よ・ろ・し・ く・ね♪』
>うっ、今何かが背中を…。ロン
>『ぼくはロンっていいます 。これもよろしくです』先ほどのアイルーが、机の上に登って、シンに前足を出す。握手を求めているのだろう。
>シンは快くその肉球をとった。