ポポに思いもよらぬ反撃を食わされたシンとハイネは、支給品の[応急薬]を飲んで一息ついていた。
>ハイネ
>『定説では、ポポは仲間が 傷つけられると逃げ出す って言われてるけど、ポ ポも生物だもんな。群れ を形成してるようなやつ なんだから、仲間を助け るぐらいのことしても全 然不思議じゃないんだよ な』
>口にした応急薬を一気飲みする。
>正直、一気飲みできるほどウマいものじゃない。シンはそう思いつつ、一気飲みするハイネの姿を見ながら応急薬を飲んでいた。
>シン
>『次は遅れをとらねぇさ。 ケンカ売って負けてたん じゃ、話になんないしな 』
>シンは片手で剣をうまく回しながら立ち上がった。
>ハイネ
>『もちろんそのつもりさ。 負けっぱなしは趣味じゃ ねぇ、ってな』
>同意したハイネも続いて立ち上がる。
>目的はガウシカ、の前にポポとなった。
>ハイネ
>『とりあえず、さっきのポ ポの群れが逃げてった方 へ行ってみるか』
>全快というわけではないが、時間も無限にあるわけではないので、先を急ぐことにした。
>
>??
>『あらあら、ポポなんかに やられちゃって。さぁ、 これからどうすんのかな ~?』
>岩影から、ポポにやられた恥ずかしいシンとハイネの姿をのぞき見ている人物がいた。
>
>シン
>『アレ?いねぇぞ、ポポ』そんな追跡者がいることにもまったく気づかず、ポポとの再戦に燃えるシンとハイネは、当のポポを完全に見失っていた。
>シン
>『もっと奥へ行ってみっか 。でもここからはホット ドリンクがいるからな~ 』
>唯一、先へ進める岩の間からは、真っ白い冷気がもれている。
>見るからに寒い。
>ここからはホットドリンクが必要になる。
>ポッケ村出身のシンには、雪国暮らしの知恵で、どこからホットドリンクを使えばよいのかがなんとなくわかるのだ。
>ハイネ
>『よっしゃ、やっと雪山ら しくなってきた~』
>正直、シンは心配していた。
>2人が持つホットドリンクはそれぞれ二つずつ。一つの効果持続時間がだいたい約3時間程度。
>つまり、二つ合わせて6時間。それが雪山の冷寒地帯で活動できる時間なのだ。6時間で、ポポとガウシカを狩らないといけない。
>シンには、それが可能なのかと、そう思えていた。
>ハイネ
>『かんぱ~い』
>先ほどの応急薬と同様に、ホットドリンクも一気飲みする。シンの心配を横目にして。
>そんなハイネを見ていると、やはり心配しても無駄と思えてくる。
>シン
>『おう』
>シンも一気飲み。
>すぐさま、冷寒地帯に突っ込む。
>ハイネ
>『さっぶ』
>やはりホットドリンクを飲んでも、寒いものは寒い。シン
>『いた。ポポ』
>シンが早速ポポの群れを見つける。
>どうやら先ほどの群れとは違うようだ。
>シン
>『ハイネ』
>ハイネを呼ぶが、『ガタガタ』と聞こえるぐらいの音を出して震えている。
>その状態で『あに(何)?』とハイネが一言。
>シン
>『…』
>一気に気が抜ける。
>とりあえず、聞こえてなかったようなので、目の前のポポの群れを指差した。
>ハイネ
>『お、ポポ』
>まるで自分が見つけたかのような反応。
>寒さもふっ飛んだ…ような気がする。
>シン
>『そういうことだ。早速、 雪辱戦といくか』
>リベンジに燃えるシンとハイネ。
>作戦は前回と同じ。シンが斬り込んで、ハイネがスキをついてとどめの一撃。注意するはターゲット以外の行動。前回と同じ轍を踏まないように周りにも目を配りつつ、だ。
>まず、シンが駆け出す。続いてハイネ。
>ポポはシンたちの気配に気付き、多少体勢を変えた。シン
>『ハァ』
>双剣でクロスに斬り込む。ポポ
>『ウォ~ウ』
>叫び声をあげるポポ。
>それを見た左右のポポは、一気にシンに向き直り、攻撃姿勢をとる。
>今度はシンもちゃんと気付けている。
>攻撃したポポの左右から、2頭のポポが体当たりを繰り出す。一方、ターゲットのポポは、その他のポポとともに逃げ出す。
>ハイネ
>『行け、シン』
>シンに体当たりをする左のポポに、野球のバットを振る要領で大剣を振るう。
>シン
>『おう』
>水平方向に降った大剣と、ポポのキバが交わる。
>ハイネはすかさず体勢を変え、もう一方のポポに蹴りをいれた。
>ポポは少しでも攻撃を受けると、ひるんで動きが止まってしまう。
>シン
>『逃がすかよ』
>片手の剣を持ち変え、回転斬りをする。
>動きを止めるポポ。
>シン
>『ハイネ』
>一瞬だが2頭のポポを足止めしたハイネが駆け寄ってくる。
>さらにその後から先の2頭のポポが。
>シンとハイネがすれ違う。シン
>『後ろは任せろ』
>ハイネ
>『サラッと一発で決めてや るさ』
>すれ違いザマの一瞬の会話。
>作戦どおりハイネがとどめをさすのだ。シンはその間の時間稼ぎ。
>シン
>『オウラ、ちょっと黙って ろ』
>2頭のポポの間にはいり、両手の剣でそれぞれに斬り込む。ひるむ2頭のポポ。ハイネ
>『これで幕引きだ』
>背負った大剣のつかに手をかけ、ターゲットのポポに詰め寄る。
>先ほどのシンの一撃でひるんでいたポポだが、すぐに体勢を立て直し、逃走をはかる。
>ハイネは両手で大剣のつかをつかみ、大きく振り上げる。
>逃げ出すポポの後ろから、その巨大な刀身は振り下ろされた。
>直撃。
>大剣の斬撃とともに、ポポはその場に倒れ込んだ。
>シン
>『後ろだ』
>シンの一言に、ハイネは背後を振り向く。
>さっきの2頭のポポが迫っていた。
>ハイネはうまく前転で、ポポの体当たりを回避した。ハイネ
>『ひゅ~、あぶね』
>2頭のポポは、倒れた仲間のもとに駆け寄った。
>鼻先で横たわる仲間をさすったり、つついたりしている。
>しかし、反応はない。
>何を察したのか、ポポはハイネやシンに、それ以上の追撃をするでもなく、倒れた仲間をおいて立ち去っていった。
>シン
>『案外強敵だったな』
>シンがハイネのもとに駆け寄ってくる。
>ハイネ
>『ああ、まったくだ』
>2人は横たわるポポに近づいて、剥ぎ取りを行った。シン→[生肉]×2
>ハイネ→[生肉][獣骨][生肉]は調理すると、スタミナ回復のアイテムになる。
>この先は必須になるアイテムなので、今のうちにためておくのがよいだろう。
>ハイネ
>『生肉か。焼いたらこんが り肉とかになるんだよな 。ん?どうやって焼けば いいんだ?』
>ハイネが大きい声で一人言を言っている。
>普通に焼けばいいだろ、そう言ってあげたい。
>シンは空を見回している。ハイネ
>『どうした?』
>ハイネは自分の一人言に反応してくれないシンに、顔を向けて問いかけた。
>シン
>『早く行こう。ティガレッ クスとか、来るかもしん ねぇ』
>ハイネ
>『て、ティガレックス…。 マジ…?』
>雪山の帝王と言っても過言ではないティガレックス、今自分たちが討伐したポポの血の匂いを嗅ぎ付けて、この場にくることも考えられなくはない。
>ポッケ村育ちのシン。幼いころから、ティガレックスは危険と教えられてきた。ティガレックスとは遭遇しないことを注意せよ。もし遭遇したら、諦めろ。そう教え込まれた。
>ハイネ
>『おいおい、早く行こうぜ 。実力のないやつがティ ガレックスと出くわすと 、生きて帰れないってい うからな』
>シン
>『おう』
>2人は、本当の目的であるガウシカを探し、さらに雪山の奥へと歩を進めた。
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