ハイスクールD×D~スペードの切り札~   作:保志白金

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今回は文章量少ないです


最悪な「再開」

あの休みから数日たった日の放課後。俺と木場は公園に集まってから、町中を歩いた。神父の格好に身を包み、人通りが少ない場所を中心に。

 

木場については二人とも渋々ではあったが、協力することを許可してくれた。

 

協力関係を結んだあの日から、俺達はこうして手がかりを捜索しているものの、何もつかめないままである。

 

「そろそろ時間か。しかし、今日も収穫なしとは」

 

俺がそうぼやいた時、木場が突然立ち止まった。俺も同時に強烈な殺気を感じ取った。

 

『前に会ったことのある気配だと思ったら、あいつか。できれば会いたくなかったよ』

 

鍠がうんざりしたような口調で言った。

 

「上!」

 

木場の声に反応して、見上げる。

 

「神父の一団にご加護あれってね!」

 

いつぞやのはぐれ悪魔祓いが長剣で斬りかかってきた。それを木場が魔剣で防ぐ。

 

「あんたとは一生会いたくなかったんだけどな」

 

「その声はあの時の仮面君かい?これまた珍妙な再会劇でござんすね!あの金ピカのバケモノ君は元気かな?そろそろ殺したいんだけど!」

 

その下品な口は相変わらずだな。

 

「木場、さっさとあれを砕こう!」

 

「あぁ、そのつもりだ!」

 

木場が魔剣を2本持ち、攻め立てていく。

 

「チッ!これはもしかして『魔剣創造』でございますか?なかなかレアな神器を持ってるじゃあーりませんか!」

 

奴は言ってることとは裏腹に、ずいぶんと楽しそうに戦っている。

 

「でも、そんな魔剣では俺様の持っているエクスカリバーちゃんに到底及びませんぜ」

 

いともたやすく木場の魔剣が砕け散った。

 

「くっ!」

 

再び魔剣を創りだす木場だが、あの様子じゃあまた破壊されるだけだ。

 

「木場サポートいるか?」

 

「いや、まだやれる!」

 

今のあいつは冷静じゃない。かなりいらだっているみたいだ。

 

「ハハハ!ずいぶんとエクスカリバーを見る目が怖いねぇ。まさか、憎悪とか持ってるとか?でもさ、こいつで斬られれば悪魔君は消滅確定ですぜぇ?死んじゃうよ!死んじゃうぜ!死んじゃえよぉ!」

 

木場が大きめの魔剣を創りだして奴の一撃を受け止めようとするが、また簡単に砕かれてしまう。

 

「変身!」

 

〈TURN UP〉

 

木場へと振り掛かる二振りめの聖剣を間に入って防いだ。

 

「おいおい、いいところだったのに邪魔すんなですよ!この腐れがぁぁぁ!」

 

「木場!お前もう少し自分を大切にしろ!」

 

「ねぇ!よそ見してる暇なんかないでしょぉぉ!」

 

なんだ、このスピードは!さっきと比べると速すぎる。

 

\キィン!/\ガィン!/

 

それでも、目では追っていけるが。

 

「俺様のエクスカリバーは『天閃の聖剣』速度だけなら、負けないんだよッッ!」

 

「なら、俺も最速で勝負だ。木場、文句があるかもしれないけど、今は二人がかりであの野郎を仕留めるぞ!」

 

俺はアブゾーバーからハートのクイーンとジャックを抜き取った。

 

「そうだね、この状況なら仕方ないか。奪われたエクスカリバーはあと2本ある。そちらの使い手に期待させてもらうよ」

 

「あらそう。でも、俺様の方が他より強いんだぜ?つまり、ここで俺を倒しちまったら、満足な相手はいなくなるってことでございますよ!俺を殺したら満足できる聖剣バトルはなくなるぜ?」

 

「そんなのにこだわってる場合じゃないだろ、木場!」

 

木場は奴の言葉を聞き、目をひきつらせていた。なら、俺だけで突っ込む!しかし、別の方向から聞いたことのない声が届いて、俺達は動きを止めた。

 

「ほう、見たことのない神器を使う人間と魔剣創造の使い手か」

 

そちらを向くと、神父の格好をした初老の男が立っていた。

 

「……バルパー・ガリレイ!」

 

木場が憎々しげにその男を睨む。こいつが木場の仇か。いかにも悪人って雰囲気を漂わせてる。

 

「いかにも。フリードここは一旦引くぞ」

 

「チッ、了解だ。じいさん。次に会うときこそ、最高のバトルをしようぜぇ!」

 

ここで逃がすわけにはーー

 

「逃がさん!」

 

俺の横を猛スピードで通りすぎていくものがあった。ゼノヴィアが突然、割って入ってきたのだ。

 

「ヤッホー、ハジメ君」

 

「来てくれたのか!」

 

ここにきて助っ人とは、最高のタイミングだ。

 

「フリード・セルゼン、バルパー・ガリレイ。反逆の徒め。神の名のもと、断罪してくれる!」

 

「お~、怖い怖い」

 

あいつはゼノヴィアの斬戟を捌きつつ、懐に手を入れ、光の球を取り出した。

 

「あばよ!」

 

そして、光の球を地面に投げて、俺達の視力を一定時間奪った。視力が戻った時には、奴らは居なくなっていた。

 

「追うぞ、イリナ」

 

「うん!」

 

ゼノヴィアとイリナはお互いに確認をとると、その場を駆け出していった。

 

「僕も追わせてもらう!バルパー・ガリレイ、逃がすか!」

 

木場も二人の後を追うように、この場を駆け出した。

 

「お、おい!俺も急がないと!」

 

〈アブゾーブクイーン〉

 

ハートのジャックをラウズさせようとするが、それを誰かに止められてしまった。

 

「待ちなさい、ハジメ。この状況説明してもらうわよ」

 

そこにいたのは、木場を除いたオカルト研究部の全員だった。

 

「どうして、止めるんですか?」

 

俺はブレイバックルのレバーを引き、変身を解除した。

 

「そんなの、あなたが心配だからに決まってるじゃない!」

 

答えたのは、部長ではなく朱乃さんだった。俺はその時言葉が出なかった。なぜなら、いつものおしとやかな口調ではなかったからだ。

 

「朱乃の言う通りよ。あなたが誰よりも仲間大切にしていることはわかっているわ。でも、あなただって私達にとっての大切な仲間なのだから。そこのところ理解してちょうだい」

 

「しかし、部長は木場を放っておくつもりですか?」

 

「祐斗は使い魔に探索を任せているわ。見つかりしだい、全員で迎えにいくつもりよ。それからのことはその時に決めるわ」

 

「………わかりました」

 

俺は返事をして、ブルースペイダーを呼んで、すぐさま走らせようとしたが、後ろに誰かが乗り掛かってきた。ーー朱乃さんだ。

 

「単独行動させないように、私が見張り役です。勝手は許しませんわ。うふふ」

 

ガッチリ抱きつかれて体をホールドされた。……これはまずい。理性が飛ぶまではいかないにしても、自分の体温が上昇していることはハッキリと体感できた。

 

『これはあきらめるしかないねぇ~』

 

(そう…だな)

 

こうなってしまった以上は仕方がないので、俺は朱乃さんを連れて、一旦帰宅をするのだった。

 

 

 

 

 

◼◼◼

 

 

 

 

 

こうして、監視されてる状態で生活をすることになった。しかし、ようやく目的が達成されそうだ、って時に部長達に見つかるとは。俺の運が無いのかな?

 

あとは部長達の使い魔が木場をなるべく早く見つけてくれることを祈るしかないのだった。

 


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