ハイスクールD×D~スペードの切り札~   作:保志白金

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学校がそろそろ始まるので、更新速度が落ちるかもです。


「聖剣」と「魔剣」と「醒剣」

俺達は外に出て、俺はイリナと、木場はゼノヴィアと対峙するかたちになっていた。

 

そして、俺達4人を囲むように結界が発生していた。

 

「では始めようか」

 

そう言って、イリナとゼノヴィアは白いローブを脱ぎ、それぞれの得物を構える。………服装に関してはツッコミどころ満載だが、黙っておこう。

 

なぜこんなことになったかと言うと、木場が喧嘩を売って、ゼノヴィアがそれを買った。簡単に説明すればこれがわかりやすいだろう。

 

「リアス・グレモリーの眷属の力、試してみるのもおもしろい」

 

とか、ゼノヴィアは言っていたが、ならなぜ俺が巻き込まれるのか?さっき口答えしたのがそんなに気にくわなかったか?

 

しかし、教会にも知らせない私的な決闘だと言うし、殺す気はないというから問題はあまりないが。むしろ、木場が一番心配だ。

 

まぁ、俺にとって聖剣はただの特殊能力をもった剣程度だ。一撃をまともに受けても死にはしないだろう。……たぶん。

 

「剣一君」

 

俺の前に立つ女の子、紫藤イリナが突然話しかけてきた。

 

「再会した、幼馴染みのひとりは悪魔。もうひとりはその悪魔の協力者になっていた。……ショックだったわ」

 

残念そうな表情をしている。

 

「なぁ、イリナ。俺達が戦う必要があるのか?戦う要素がどこにも見つからないんだけど」

 

俺としては言いたいことを言ったから、俺はそれで十分な気がしていた。しかし、イリナは涙を流しながらこう言った。

 

「なんて、運命のイタズラ!聖剣の適性があって、晴れて主のお役に立てる代行者になれたと思ったのに!あぁ、これも主の試練なんだわ!故郷にようやく帰ってきたのに、懐かしのお友達が悪魔の手先に!時の流れは残酷なのね!さあ、ハジメ君!私がこの聖剣であなたの罪を裁いてあげるわ!アーメン!」

 

言い終えると、手に持った聖剣をこちらに向けて構えてきた。

 

なんなの?この子は!言ってることが無茶苦茶だろ!もはやどんな意味か1ミリも伝わってこないよ!

 

『……ねぇ、変身する?むしろすぐに黙らせた方がいいタイプな気がするけど』

 

(たしかに、関わってはいけないタイプの女の子だろうけど、ここは変身せずに適当に捌くさ)

 

俺はブレイラウザーを抜き、身構える。

 

木場とゼノヴィアの方はというと、既に斬り合いを始めていた。互いの魔剣と聖剣が火花を散らしていた。

 

「こっちもいくよ、ハジメ君!」

 

イリナが勢いよく本気で斬りかかってくる。俺はそれを避けて、反撃に転じる。だがその刃は彼女には届かなかった。振り抜いてきたはずの刀身が蛇のように伸びて、曲がりくねり、俺の斬撃を防いでいたのだ。

 

「ちっ!」

 

「変幻自在って言ったでしょ?えいっ!」

 

そして、そのまま鞭を使う要領でブンブン振り回してくる。俺はブレイラウザーを使い、それを受け流していく。一撃の重さは大したことはないから、驚異とはあまり感じない。だったら、

 

〈タックル〉

 

〈メタル〉

 

「はぁぁぁ!」

 

身体の防御力を上げて、突進で一気にかたをつけようとする。……が難なくかわされてしまい、逆に背中に一発もらってしまった。なんで〈タックル〉は毎度当たらないんだよ!

 

「あら、なんで今ので切り傷ひとつも負ってないの?」

 

イリナは予想外の出来事に驚いているようだった。それでも、攻撃の手を緩めようとはしなかったので、俺は防戦一方となっていた。

 

『おい!こんなのに手こずるとはお前らしくないぞ!』

 

(でも、本気でやったら殺しかねないだろ?)

 

『っ!勝手にしろ!』

 

麟はこういう戦い方は好きじゃないから怒ってしまったか。殺さずに打開するにはやっぱりこれしかないか。木場達には悪いけど。

 

〈スモッグ〉

 

「煙幕で目眩ましのつもり?でも、甘いわよ。気配で感じ取れるもの!」

 

「その気配が2つになったらどうだろうな?」

 

〈ジェミニ〉

 

「えっ?」

 

そのカードをきったことが勝負を決定付けた。いくら変形して、伸びるといっても、2つの標的を同時に相手をできるような速さは持ち合わせていなかったのだろう。結果、彼女の聖剣を手放させることに成功した。

 

「ふぅ、勝負あったな」

 

「なによ、あれ!2対1とか卑怯じゃない?」

 

「いやいや、その聖剣も十分危険だったから。殺さないようにするには、これしかなかったんだよ。悪いね」

 

俺達はとりあえずケリがついた。あっちの2人の勝負も終わったようだった。

 

木場が聖剣の柄の打撃を受けてその場で倒れた。その後、ゼノヴィアが木場に対して一言、二言しゃべって、聖剣使いのふたりはこの場を去っていった。

 

そして、木場も部長の制止する声を気にも止めずに消えていった。部長は悲しそうな顔をしていた。

 

 

 

 

 

◼◼◼

 

 

 

 

次の休日、俺は珍しくイッセーに呼び出された。場所は駅前で、匙もそこに呼ばれたらしく、そこで待っていた。

 

そこにイッセーと小猫ちゃんがやって来た。このふたりの組み合わせとは珍しい。

 

「なぁ、イッセー。俺達をここに呼び出した理由は木場に関連することか?」

 

俺はなんとなくそう質問をした。

 

「……それって、まさか」

 

「おい、木場の野郎がどうしたんだよ?」

 

小猫ちゃんはある程度察しているようだ。まぁ、匙は生徒会役員だし、あのことを知らなくて当然だろう。

 

「さすがハジメ。そう、聖剣エクスカリバーの破壊許可をあのふたりからもらうんだよ」

 

なるほどな。木場のエクスカリバーへの復讐を果たせれば、もとの居場所に帰ってくるだろう。という考えか。

 

「俺は帰る!大体、お前ら眷属の問題だろう?シトリー眷属の俺には関係無いだろう!?」

 

泣きながら、匙は訴えかける。それもそうか。聖剣は悪魔にとっては危険であるから、そういったリアクションをとるのも仕方ないだろう。

 

「イッセー悪いんだけど、この件は俺に任せてくれないか?」

 

「なんでだよ?そもそも、提案したのは俺だし、なによりも俺だって木場を助けたい」

 

「……私だって協力したいです。祐斗先輩のために」

 

「イッセーと小猫ちゃんが仲間思いなのは伝わってくる。でも、相手は聖剣。もしものことだってあり得るんだ。それにふたりだって部長を心配させるにはいかないだろう?」

 

その言葉にふたりとも黙ってしまった。

 

「心配しないで。俺はグレモリー眷属には属していない協力者で人間なんだから、教会だってなにも問題は無いだろう。絶対に木場は連れて帰ってくるから、待っててよ」

 

そう言って、みんなと別れた。そしてとりあえず、人通りが少ない路地裏に入っていった。

 

「とりあえず、白いローブの女性二人組を探さないとな。力を貸してくれ」

 

〈リモート〉

 

スペードとダイヤのキングをそれぞれ召喚した。もちろん人間の姿をしている。

 

「なぜこの組み合わせなんだ?」

 

「え~、ちょっとそれ酷くない?」

 

「特に大した理由はない。……が強いて言えば、敵といつ戦うことになってもいいようにかな」

 

「フン、まぁいい」

 

「で、僕達はあの子達を探せばいいのかな?」

 

「そうだ、頼むぞ鍠、麟」

 

探す場所は町中と決め、まずはまとまって向かうことにした。そして、別れて捜索を始めようとしたとき、路頭で祈りを捧げている怪しい白いローブの二人組を見つけた。

 

「探し物はあれか?あっけなかったな」

 

そう言うな。俺だってこんなことは予想外だ。それにしても、困っている様子だけどどうしたんだ?そう思い、近づいていった。

 

 

 

 

 

話しを聞いたら、馬鹿馬鹿しい。ただそれだけは思った。

 

イリナがどっかの展示会まがいの呼び込みに騙されて買ったらしく、そのせいでふたりとも空腹の限界だったという、本当にくだらない理由だった。

 

仕方なく、近くのファミレスに誘ったら首を縦に振ってついてきて、到着するやいなやとんでもない量注文するし………。先日、部室で啖呵を切ってたのは、本当にこの子達なんだよな?

 

「まさか、キミに救われるとは」

 

「貴様らは今どんな立場かわかってるのか?」

 

麟は今にもキレそうだし。

 

「で、私達に接触した理由は?」

 

ゼノヴィアが水を飲み、息をつくといきなり本題を聞いてきた。

 

「単刀直入に言おう。エクスカリバーの破壊に協力したいんだ」

 

「そうだな。破壊できるのであれば一本ぐらいは任せていいだろう。ただし、悪魔とつながっていることはばれないようにしてくれ」

 

意外とすんなりいくものなんだな。

 

「ちょっと、いいの?相手は人間のハジメ君とはいえ、悪魔の協力者なのよ?」

 

イリナが異を唱える。そして、二人がもめだした。

 

「悪魔の力は借りていない。それにイリナよりも彼は強いのだろう?そんな実力者が協力してくれると言っているんだ。この出会いも主のお導きと見るべきだね」

 

「たしかにそうだけど……」

 

ゼノヴィアのその言葉にイリナは黙った。どうやら了承してくれたようだ。

 

「よし、交渉成立だ。じゃあ、今回の主役を呼んでいいかな?」

 

俺はすぐさま木場に連絡を入れた。

 


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