微熱とサラマンダー   作:人造人間二号

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今回はいつも以上に会話だらけで読みにくいと思います。すいません。ルイズに対する軽いアンチが出ます。


異世界

ナツ逹はキュルケの部屋に集まっていた。

「で、結局滅竜魔法って何なの?」

「だから、ドラゴンを倒す魔法だよ。」

キュルケの質問にナツはそんなことしか答えられず、はっきり言って何の説明にもなっていなかった。するとドアからノックが聞こえた。

「はぁい居るわよ。」

「夜分遅くにすいません、ミス・ツェルプストー。」ドアから聞こえたのはコルベールの声だった。

「あら、ここは男子禁制ですわよ?コルベール先生?」

「しかし、急用で…」

「何〜!?じゃあ、俺らも出ないといけないじゃねえか!!」

「だね、ナツ!!」

キュルケがコルベールを茶化した言葉にナツ逹の方が反応してしまった。

「冗談よ!禁制なのは学生の話よ。ナツはいいのよ!」

まあキュルケは男子学生もよく呼んでいたのだが…

「何だ。」

「で、続きを話してもよろしいですかな?」

「ええ」

「ミス・ツェルプストーと使い魔の方に学園長室に来ていただきたいのです。」「私も駄目?」

タバサは呼ばれてはいないのだが、ナツの力に興味があったのと自分の使い魔が韻竜であるために[ドラゴンを倒す魔法]というものを放っておけなかったからである。

コルベールはタバサがついてくるのに反対していたが、結局押し切られてしまった。

 

学長室に着くと、ドアの前に秘書が待っていた。「こちらです。中でオールド・オスマンが待っております。」

「これはどうも、ミス・ロングビル」

挨拶を軽く交わして、中に入る一行。

「「失礼します。」」

「邪魔すんぞ〜」

「あいさ〜」

「…」

ナツとハッピーの適当な挨拶にコルベールは絶句するも、オスマンは別に気にしている様子はなかった。

「よく来てくれた。儂がこの学園長のオスマンじゃ。」

「よろしくな、じいさん。」

「よろしく。」

「あわわ…学園長になんて口を…」

ナツの《じいさん》呼ばわりはコルベールだけでなくキュルケ達ですらマズイんじゃないかと思ったが、口にすることが出来なかった。

「うむ…単刀直入に聞くとしよう…君は一体何者なんじゃ?本当に人間か?」

「人間に決まってんだろ?」

「ギリギリだけどね…」

「ギリギリってなんだよ。」

オスマンはいきなり本題に入ろうとしたが、一瞬で脇道に逸れた事で『素か?それとも情報を隠す為にわざと?』と変に考えてしまった。政治では話を脇道に逸らすのは時間を稼ぎたい時か話を誤魔化したい時と決まっていたが、こんな逸らし方をする連中はいなかった。

「おほんっ!!話を元に戻してもいいかね?」

「だからギリギリってなんだコラー!!」

「ギリギリはギリギリだよ!」

オスマンが声を大きくしても聞く耳持たずでどうしたらいいのかと迷っていると、いきなりナツの体が浮き出した。

「おお!?なんだ!?」

そして後ろを見るとタバサが自分に杖を向けていた。

「話は最後まで聞く…」

「「ごめんなさい。」」

タバサの正論にナツとハッピーはすぐに謝った。

「ありがとー、タバサ〜」

そして今度はキュルケがタバサに抱きついた。

「暑い…」

「うむ…で、結局君は何者なんじゃ?」

「妖精の尻尾《フェアリーテイル》の魔導師だ。」

「「「フェアリーテイル?」」」『フェアリーテイル?』

キュルケ達ハルケギニア出身の人間には何の事だか分からず首をかしげる事しか出来ない。

「それじゃ分かんないよ、ナツ。ここじゃフィオーレ王国も知らないんだし…」

「そっか♪フェアリーテイルは俺達のいる魔法ギルドだ。」

しかし、ハルケギニアにはギルドが存在しない為、結局分からないままである。そこでナツ達と文化そのものが違うという事に気付いたオスマンが切り出した。

「すまんが、ギルドというものもよく分からんのだ。儂らの国にはないものだからの。恐らく君らと儂らでは常識そのものが違う場所から来たのじゃろう…だから、何度も質問してしまうじゃろう。だが、ミス・ツェルプストーやミス・タバサには明日も授業がある。よって今日は後2、3質問してまた明日という事でいかがかな?」

「ええ。いいですわよ。」「まあ、構わねえけど…」「オイラもいいよ。」

「では最も重要なのは君の火を消したり、体から出したりするアレはなんなのかね?」

「火は消したんじゃねえよ。喰ったんだ。アレは滅竜魔法《ドラゴンスレイヤー》だ。」

「喰った!?どういうことじゃ!?と言うか、アレは魔法なのか!?」

「火を食べるなんて信じられません!!」

「!??」

「もう、滅茶苦茶ね…」

「そうだよ。滅竜魔法を覚えた魔導師は同じ属性の魔法が効かなくなって、更に同じ属性をものを食べて自分の力にしちゃうんだ。」

「なんと無茶苦茶な…」

「ちょっと待ってくれ!!同じ属性と言うたか!?ではお主は火以外のものを食べられるわけではないが、中には火以外を食べられる者もおるという事か?」

「ああ、そうだ。」

オスマンはハッピーの説明から更に深い部分に気付いた。それを聞いて皆驚愕するが、逆にどんなのが居るのか気になり出した。

「ねえ、他にはどんなのを食べられる人がいるの!?」

「え〜と、まずはガジルが鉄だろ…ウェンディが空気…」

「滅竜魔法の使い手は珍しいんだ。」

「そうなの…でも空気はともかく鉄はとんでもないわね…」

「「確かに。」」

鉄を食べる場面を想像してしまって口の中が痛くなってしまった。

「ナツ、あとラクサスとコブラもそうだよ!!」

「あ、そういえば…まあアイツラはドラゴンに教えてもらったわけじゃねえけど。」

「え、ドラゴンを倒す魔法をドラゴンに教えてもらったの?」

「おかしい…」

ナツとハッピーが滅竜魔法について話しているとキュルケ達は妙な事に気が付いた。ハッピーは以前ルーシィに指摘された為、大した反応は示さなかったが、

「あっ!!そういえば…何でだ!?」

「いや、聞いているのは儂らの方じゃから…」

「私達に聞かれても…」

「そういえば前にルーシィもそんな事気にしてたなあ…」

今気が付いたナツの質問に一同呆れていたが、キュルケだけはそれ以上にルーシィやウェンディの名前の方を気にしていた。

オスマンは今日はもうこれ以上質問する気が失せてしまい、

「まあ、今日はこれで解散としようかの…」

と言い解散になった。

キュルケ達が出ていきロングビルが入って来た時、コルベールはオスマンに問い詰めていた。

「いいんですか!?あれで!?」

「言いたい事は分かるが一気に全て聞いても理解がついていけるとも思えん…少なくとも儂はついていけん…頭を整理する時間が必要じゃ。」

「あの滅茶苦茶な話を信じるおつもりですか!?」

「彼らは嘘をついとりゃせんよ。見れば分かる。ああいうのは嘘が土下手なタイプじゃ。矛盾も特になかったしの。」

「ドラゴンにドラゴンを倒す魔法を教えてもらったというのは充分矛盾でしょう!」

「いや、それは彼にも知らん理由があると考えた方がよいじゃろう。」

オスマンはその長い人生経験からより正しくナツ達の性格を理解していた。同時に何をしても止まらないタイプだという事も。

 

キュルケの部屋

キュルケはナツにルーシィ達の事を聞くかどうか迷っていたが、自分もたくさんのボーイフレンドがいたわけだし、まだ片想いでしかないこと、何よりキュルケは『一夫多妻もいいか』という結論にたどり着いたので、違う話をする。

「ねえ、ギルドって何なの?」

「ギルドは仲間が集まる場所だよ!」

簡単すぎる説明だったが分かりやすくもあった。

「傭兵ギルドや商人ギルドとか色々あるんだ。」

「へえ、面白そうね」

「ああ、最高だ。」

ギルドの簡単な話が終わるとタバサもナツ達に聞くべき事を聞く事にした。

「ドラゴンにあったらどうするの?」

「イグニールの事を聞く!!」

「イグニール?」

「ナツに滅竜魔法を教えてくれたドラゴンだよ。七年前にいなくなっちゃったんだって。」

「そう…」

少なくとも自分の使い魔である韻竜《シルフィード》に危害を加えるつもりはないと知って安心した。タバサはナツが自分より強い事を理解していたので敵になる事を避けたかったのだ。

「で、他にはどんな魔法があるの?」

「後は明日でいいじゃねえか、また明日も質問されるんだし。」

さすがのナツも質問されっぱなしで疲れたのか話を切り上げようとした。

「じゃあ、そろそろ寝ましょうか。タバサもまた明日でいい?」

取り敢えず一番聞きたい事を聞けたタバサは自分の部屋に戻っていった。

「キュルケ、ところで俺らって何処で寝ればいいんだ?」

ナツに聞かれてキュルケはナツ達の寝床を自分の部屋に用意してなかった事に気が付いた。使い魔用の藁は用意していたが、ナツにそこで寝ろとは言えなかった。

「じゃあ、このベッドに一緒に寝る?」

キュルケは顔を赤くしながら聞いた。

さすがのナツもこれには動揺した。

「いやいや、それはちょっと…あ、藁が用意してあるじゃねえか///」

「出来てるぅ〜(巻き舌風)」

「止めろ!」

キュルケは最悪自分が藁で寝る覚悟もしていたので、動揺してしまった。少なくとも人であるナツを自分の都合で喚んどいて、ナツを藁に寝かせることなんて出来なかった。

「駄目よ!一緒に寝られないなら私が藁に寝るわ!!」

「でもこれってオイラ達の為に用意してくれたんじゃないの?」

「それはそうだけど、自分の都合で喚んどいて喚ばれる前より悪い環境になんて出来ないわよ!」

「大丈夫だよ、野宿とかも結構あったし、家も汚くてここよりずっと酷い寝床だったし。」

「あ、そう…」

キュルケはつい了承してしまった。『近いうちにナツ用のベッドも買おう。』そう決心していた。

そこでナツがチラリと外を見ると月が二つあるという事に気付いた。

「何ー!?月が二つ〜!?」

「え、ええ〜!?」

ハルケギニアに来てナツとハッピーが一番驚いた瞬間だった。

「え?何驚いているの?」

「だって、お前…」

「月が増えたんだよ!!驚くよ!!」

「月は元々二つよ。」

「「ええ〜!?」」

ここでナツ達はようやく理解した。ここは天狼島から遠いとかではなく、エドラスの様な異世界なのだという事を。しかし、エドラスの経験もあるので、その事に気付いた後はすぐに落ち着いた。

「まあ、なんとかなるだろ。」

「そうだね。」

「え、どういう事?」

「その話も明日するからもう寝ようぜ。」

キュルケはどういう事かとても聞きたかったがこれ以上しつこくするのもどうかと思って寝る事にした。




ルイズはサイトにいきなり藁で寝るように言ったのに対し、キュルケには躊躇させてみました。最初の頃のルイズは酷すぎだと思ってたので。次回はルイズが出てきます。ルイズが成長するまではアンチルイズが強くなるので注意してください。(理不尽なアンチにはしないつもりですが)

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