微熱とサラマンダー   作:人造人間二号

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すいません。今回は不完全燃焼気味になってしまいました。


前哨戦

ナツが怒り狂って走ってきた。

「丁度良い!君、僕と決闘しようじゃないか。君が勝てば、キュルケに謝罪して、キュルケにもう関わらないと誓おう!どうだね、キュルケ!!」

「そんなの了解出来る訳…」

「良いぜ、ケンカだ!」

「ちょっと待ちなさい!アナタ、彼に勝てるの?」

「勝てるかどうかなんてどうでもいいんだよ!!仲間を傷つけられて黙ってられるか!!」

「でも…」

「まあまあ、ナツに任せなよ。」

どうしても不安が拭えないキュルケに対してハッピーは楽観的だった。

「まあ、ナツなら大丈夫だよ。いざとなったら、オイラ達で何とかしようよ!」そんな事を言われてキュルケも渋々了承した。

「では、決闘はヴェストリ広場で行おう。ついてこい!」

「上等だ!!」

ナツがペリッソンの後についていったところに、ナツを追って丁度この場に着いたシエスタはいきなりの決闘話に恐怖していた。

「ミス・ツェルプストー!止めさせて下さい!!ナツさんが殺されてしまいます!」

しかし、キュルケはもう覚悟を決めていた。その上、冷静になってみれば、そこまで怖がる必要もない事に気付いたのだ。何故なら、今年は《ゼロ》のルイズがいるから目立ちはしないが、ペリッソンは明らかにメイジとしての実力は低く、魔法の威力は学園最弱クラスで多少強い程度の平民でも充分勝てる強さなのだ(最初にハルケギニアに来たサイトがガンダールヴの力抜きでも6:4で不利程度)。シエスタのような平民(多くの魔法至上主義のメイジも)はメイジは皆強いと思っているが、それは違う。はっきり言ってペリッソンは特に運動もしていない高校生の少年にも負けるかも知れない程弱かった。ナツの鍛えられた体つきを見れば魔法の存在を忘れていても、負けは考えられない状態だった。

「大丈夫、いざとなったら私が頼み込むから、ね?」

「でも…」

「ていうか、キュルケ、ナツも魔法が使えるって忘れてない?」

「あっ!」

キュルケはハッピーに言われるまでその事をすっかり忘れていた。逆にシエスタはその事を初めて知った為、僅かだが、ナツに対しても恐怖が芽生え始めていた。

「でもナツって強いの?まああの体を見ればケンカは強いと思うけど…」

「それに杖もないのに…」

「ナツは強いよ、特に火の魔導師相手には」

「それってどういう事?」

キュルケとシエスタは怪訝な顔をした。するとハッピーの背中から羽が生えてきた。

「何それ!?」

「これがオイラの魔法、翼《エーラ》って言うんだ。」

その羽を見てキュルケとシエスタはついハッピーの可愛さに和んでしまった。 「それはそうとオイラ達も早く追いかけようよ。早くしないと終わっちゃうよ。」

「そうね。結果がどうなろうと原因の私が見届けないとね。」

そう言ってハッピーとキュルケは広場へ向かおうとするが、シエスタはまだ恐怖ですくんだ体を上手く動かせなかった。

「シエスタ、なんならオイラが運んであげるよ。」

そう言ってハッピーはシエスタの背後に回ると自分の体重の10倍程はあろうかとシエスタの体を持ち上げていた。これにはキュルケも驚いた。

「そんな小さな体でよく人一人持って飛べるわね…」

「あわわわわ…」

「でも一人が限界だからキュルケは走ってね♪」

「そんな〜」

三人?は広場に向かいながら話を続けた。

「まあ、オイラはナツより相手が心配だよ…ええとなんて言ったっけ?ベリーサンド?」

「…ペリッソンよ…まあペリッソンは火のドットの中でもとびきり弱いし…はっきり言って平民でも充分勝ち目がある位弱いけど…」

「え?メイジって皆とんでもなく強くて私達平民にはどう足掻いても勝てない存在だと思ってました…」

「まあ、大抵はそうなんだけど…極たまには平民よりも弱いのもいるってことよ…」

「そんなに弱いの?益々心配になってきたよ…」

そんな話をしている内に広場に着いた。すると、そこでタバサが待っていた。 「タバサ、来ていたの!?止めてくれても良かったのに…」

タバサとキュルケ、学園の生徒二強が同時に反対すれば、どんな弱味を握られていようが、力づくで全てを闇に葬れるからである。しかし、

「止める意味が無い。ペリッソンが勝てるとは思えない。」

はっきりとタバサは断言した。キュルケもナツなら勝てると思っていたが、そこまで絶対的な自信があった訳ではない。寧ろ、希望的観測がかなり働いているのではないかとかなり不安になったりした。しかし、タバサに断言されて、やっと心の奥底から安堵出来た。

「キュルケも賭けたら?」なんと賭けまで行われていて、倍率は7対3でペリッソン有利だった。魔法至上主義のこの国でナツ側に3も流れている時点でペリッソンがどれだけ弱いかという証と言えた。

「アナタも賭けたの?」

するとタバサはピースをして

「今の全財産1000エキューアナタの使い魔に賭けた。」

それを聞いてキュルケとシエスタは卒倒しそうになり、同時にナツの心配が頭から完全に消えた。

「それってナツのオッズの3は全てアナタのお金なんじゃないの!?」

「違う、2」

どっちにしろタバサの賭け金の影響が大きい事に変わりはなかった。

「分かったわよ!私も全財産500エキューナツに賭けるわよ!アナタもどう?」それを聞いてシエスタも1エキューだけナツに賭ける事にした。

 

学長室

秘書らしき美人と学園長らしき老人が珍しく真面目に仕事に取り込んでいると…バタン!いきなりドアが力強く開かれた。

「大変です!!オールド・オスマン!!」

「何じゃ騒々しい。」

「生徒が決闘を始めました!!」

「何じゃと、で誰と誰なんじゃ?」

「ミスター・ハインリヒとミス・ツェルプストーの使い魔です!!」

「あの小僧なら問題なかろう、はっきり言って平民でも充分勝ち目があるメイジじゃし、寧ろミス・ツェルプストーの使い魔の方が気になるわい。」

学園長たるオスマンはコルベールよりも冷静に状況を判断していた。

「で?ディテクトマジックで調べた結果はどうじゃったんじゃ?」

「あ!すいません、彼らにはディテクトマジックをかけ忘れました…」

「アホたれ〜!!!」

「しかし、どこにも杖を持っている様子もないので大丈夫かと…」

コルベールはキュルケとの口論で疲れていた為か、サイトよりも遥かに魔法に関連ありそうなナツとハッピーを調べ忘れていたのである。

「まあ、いざとなったら儂らで止めればよい。取り敢えず決闘を見守るとするか。」

 

広場

ペリッソン「さて、諸君!!これから行われるのは平民でありながら不遜にも我々貴族に楯突く者への制裁だ!!存分に楽しんでくれたまえ!!」それを聞いて周りの平民が痛めつけられるのを楽しみにしている貴族は騒ぎ立てた。ペリッソンはキュルケを見つけると、

「やあ、キュルケ!君も彼が痛めつけられるところを見て、この私こそが君にふさわしいと知りたまえ!」

などと言うのでキュルケはブチキレて

「馬鹿言ってんじゃないわよ!ナツはアンタなんかに負けないわ!」

と言ってしまったから、もう取り返しがつかなくなってしまった。

「ハハハ!皆、今の言葉を聞いたか?では貴族と平民の絶対的な違いというものを見せつけてやろう!!」

もはや、貴族の品位等カケラもなく騒ぎ立てるペリッソン。

「俺は負けねえよ…たとえどんなにボロボロにされてもてめえをぶっ飛ばす!!」

「威勢は良いが良く見れば既に傷だらけじゃないか、大丈夫かい?」

ニヤニヤしながらペリッソンが言うがナツはいい加減やり取りも面倒になっていた。

「ごちゃごちゃとウルセエ野郎だ、来ないんならこっちから行くぞ。」

そう言ってナツは前進した。その予想外の速さに慌てたペリッソンはナツが距離ニメイルの距離にいる時に詠唱を終え、火の魔法、ファイヤーボールを放った。しかしその火の玉はスピードはそれなりだが、僅か3サント程度の大きさでナツでなくても我慢して突っ込む事が出来る程度の威力しかなく、ナツはそのまま突っ込んで、ペリッソンの顔面を思い切り殴った。

 

「がはっ!」

ペリッソンはその一撃で気絶してしまい、アッサリと決着はついたように見えたが、そこにペリッソンの実家であるハインリヒ家に借金をしていて仕えているラインメイジの銀髪の少年、ダリル・フリードリヒが割ってはいってきた。

「ナツといったね?すまないが、ここから先はこのダリル・フリードリヒが引き継がせてもらおう。」

 




書いている内にペリッソンがドンドン弱体化してしまい、ナツの見せ場を作れなくなってしまったので、かなり強引に少し強めのオリキャラを登場させました。次回は彼の奮闘に期待しましょう。
ペリッソンだと弱すぎてキュルケ達にナツが強い事が伝わらなかったのでこうしました。次回こそ決着です。

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