「ここは一体何処だ!?つーか、お前ら誰だ!?皆は何処だ!?」
「ナツ、落ち着い…」
「落ち着いて下さい、ナツ・ドラグニル。私の名はメイビス。妖精の尻尾《フェアリーテイル》初代マスター、メイビス・ヴァーミリオン」
「「え?え?えぇぇー!!!?!」」
ナツとハッピーはひっくり返って驚いたが、キュルケ達には何の事だかさっぱりでマスターだの初代だのいう言葉から何となく偉い人なのかという推測しか出来ず、首をかしげていた。
「初代ってもう死んだはずでしょ!?」
その言葉を聞いた瞬間、タバサが震えだした。
「もしかして、幽霊って事?」
「!?」
「まあ厳密には違いますけど、そう受け取って貰って構いませんよ、キュルケさん。」それを聞いたタバサは完全に耳を塞いで目を閉じた。その様子を見てキュルケはタバサが幽霊が苦手な事を初めて知って頭を押さえていると、
「幽霊かどうかなんてどうでもいいんだ!!皆は無事なのか!?」
ナツが大声で怒鳴った。その様子を見てメイビスはキュルケより先にナツの質問を解決しなければ話が先に進まないと思い、
「キュルケさん、先にナツの質問に答えさせていただきますね。結論から言うと、皆生きています。、」
「そっかー、良かった〜。」
「しかし、当分会うことは出来ません。」
「どういう事だ!?」
「あの時、私はアナタ達の絆と信じ合う心、その全てを魔力へと変換させました。そして皆の想いが妖精三大魔法の一つ、妖精の球《フェアリースフィア》を発動させたのです。この魔法はあらゆる悪からギルドを守る絶対防御魔法、しかし威力が強すぎたために皆にかけた凍結封印の解除に何年もかかるでしょう。また、アナタ達が元の場所に戻っても封印の中になるでしょう。ですからキュルケさんは召喚した事にあまり罪悪感を感じなくてもいいんですよ。」
その言葉で、ナツ、ハッピー、キュルケの三人?からは胸のつかえがとれた。 「じゃあ、キュルケが召喚しなかったらオイラ達は封印されていたって事?」
「そうなのか!?ありがとな、キュルケ。」
そう言ってナツはコルベールの肩に手をやった。
「あの〜…」
「キュルケは私なんだけど…」
「何っ!?いや〜悪い悪い。」
ナツとタバサを除いた全員が溜め息を出す。
「それにアナタ達が元の場所に戻れる方法が分からないんだけど…」
「なっに〜〜〜!!!!」
「本当に!?」
キュルケが申し訳なさそうに言い、ナツとハッピーも驚く。
「まあ数年以内に見つけられたらいいんですから、気長に帰る方法を探して下さい。私も協力しますよ」
そんなことを言われて渋々納得する事になった一同であった。
「では話もまとまった様なので契約にかかりましょう。」
「いや、しかし…」
コルベールが使い魔の契約を勧めるが、キュルケはこれまでの話を聞いて人を使い魔にしてもいいのか?と思い悩んでしまう。
「コントラクト・サーヴァントは神聖な儀式なのですから、執り行わなければいけません。例外はありません。」
「でも、彼らは人です!!」
「しかし、ミス・ヴァリエールも契約をしましたし…」
「契約する気がない人を無理矢理使い魔にするなんてお断りです!!」
そんな言い争いをしていると、正気を取り戻したタバサがキュルケの服を引っ張った。
「ならハッピーとすればいい。」
「でも…」
「しかし、学園の規則ではこのままでは留年ですぞ。」
「留年は困るけど、無理矢理契約するなんてもっと嫌!!」
キュルケはナツが好みのタイプだったことやルイズと違って劣等感をもっていないこと、魔法至上主義でないことから頑なに拒む。しかし、その時、
「別に俺らなら構わねーぞ。やれる事もないし。」
「オイラ達が使い魔にならないと話が進まなさそうだしね。」
キュルケはその言葉に驚いた。
「アナタ達、使い魔の意味分かってる?」
「ううん、知らないけど。」
「お前なら信用してもいいかなって。」
そんなことを言われてキュルケは嬉しくなって使い魔の意味を説明を説明するのも忘れて惚けていた。『何?この気持ち。胸が凄いドキドキする。今までの男達とは全然違う!これが本当の恋!?』今までの体目当ての下心だけの男達と全く違う言葉をかけられキュルケは柄にもなく舞い上がってしまった。
「では、相手からの許可も出た事ですし、コントラクト・サーヴァントを執り行いましょう。」
コルベールの言葉でキュルケは我を取り戻し、もう一度ナツに聞く。「本当にいいの?」
「ああ。」
「まあ、使い魔になった方が情報も集めやすいですし、ギブアンドテイクということで。」
その言葉を聞いてキュルケにも決心がつき、ナツの方を向いた。
「分かったわ!じゃあ契約を始めるわよ!」
「おう!」
「我が名はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ…」
そして、キュルケは顔を真っ赤にして、ナツに顔を近づけたが、ナツは怪しい雰囲気を察知して離れようとした。しかし、いつの間にか背後に回り込んでいたタバサに顔を押さえつけられた。
「おい、まさか、よ…」
キュルケとナツの唇が合わさる。そして二人とも顔を真っ赤にして離れる。
「何すんだ!?」
「だって、契約って唇にキスしなきゃできないんだもの!!」
メイビスも顔を真っ赤にして手で覆い、指の隙間から見ていた。ナツとキュルケが顔を合わせられない中、ハッピーは空気を読まずに、
「出来てるぅ〜」
と巻き舌風に話した。
「「止めろ(て)!!」」
二人の声がハモった。
感想を書いてくれると嬉しいです。
しかし、「もう書くのやめちまえ。」位キツイことを書かれるとへこみます。